◆ コンビニの深夜営業規制:  nando ブログ

2008年06月22日

◆ コンビニの深夜営業規制

 コンビニの深夜営業(24時間営業)を規制しよう、という動きがある。目的は省エネのため。しかしコンビニ業界は大反発。

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 コンビニの深夜営業(24時間営業)を規制しよう、という自治体の動きがある。これに対して、コンビニ業界が大反発している。
 「地域貢献になる。防犯拠点になる。便利である。しかも省エネ効果は、スズメの涙にすぎない(コンマ以下無視できる程度。)」
( → 読売・夕刊・1面 2008-06-21 )

 しかし、である。コンビニの深夜営業の目的が地域貢献であるなら、いちいち大反発する必要はないはずだ。
(たとえば、ボランティアをする人に「ボランティア禁止」という方針が出されても、誰も大反発なんかするはずがない。)
 としたら、コンビニ業界は嘘をついているのである。

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 では、コンビニ業界の本音は? もちろん、「地域貢献」なんかじゃない。「儲けを減らしたくない」ということだ。こっちが本音。(当り前ですけど。  (^^); )
 ではなぜ、コンビニ業界は、深夜営業で儲かるのか? 儲かる理由は何か? 通常、深夜営業なんかをやると、ちっとも儲からない。なのにどうして、コンビニ業界は、深夜営業で儲かるのか? 

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 実はこれは、前項で述べたことと同じような事情にある。すなわち、次の通り。
 「コンビニの各店とコンビニ統括会社を分けて考える。深夜営業をすると、コンビニの各店は損をするが、コンビニ統括会社が儲かる」


 その理由は、次の通り。
  ・ 深夜営業をすると、コンビニの各店は、労働力の提供や、人件費の支出で、損をする。(負担がかかる。)
  ・ しかし、コンビニ統括会社は、深夜営業に対する負担はゼロである。
  ・ コンビニの売上げが増えれば、統括会社は利益が増える。
  ・ 結局、深夜営業をすると、負担は各店に全部ひっかぶせて、コンビニ統括会社は一方的に利益を得ることができる。


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 実を言うと、別の理由もある。
 深夜営業というのは、けっこう利益が出やすい。というのは、「追加の固定経費がかからない」からだ。たとえば、普通の営業をすると、店舗の償却費や固定資産税などで、一定の経費がかかる。では、深夜営業を追加するとどうか? 「昼間営業をやめて深夜営業にする」のであれば、同様の経費がかかる。しかし、「昼間営業はそのままで深夜営業を追加する」のであれば、新たな追加負担は生じない。
 つまり、深夜営業においては、固定経費の負担がないから、損金が少なくて済む。その分、利益は出やすい。

 だが現実には、深夜営業には、いくらかの経費がかかる。それは次の二点だ。
  ・ 光熱費(照明や冷房)
  ・ 人件費


 さて。ここで注意。「省エネ」ということで注目されるのは、前者の「光熱費」の方だ。しかし、これにかかる量は大したことがない。実際、日本中のコンビニが深夜営業をやめても、ほとんど省エネ効果はない。記事からわかるように、0.009%の削減にしかならない。
 肝心なのは、「人件費」だ。これがいっぱいかかる。だから、たいていの商店では、深夜営業をしない。「深夜営業にかかる深夜割増賃金」が追加経費となるが、それをまかなえるだけの売上げ増がないからだ。

 ──

 しかし、である。コンビニの場合はいささか事情が違う。次のことがあるからだ。
 「コンビニ統括会社は、深夜労働の人件費を一切払わない。コンビニ各店の店長を、ほとんどタダ働きさせる」


 こうして「人件費がかからない」というシステムが生じる。しかし、その本質は、「人件費のコストがもともと不要だ」(人員がいない)ということではなくて、「人件費の分(労働または金)を、コンビニ各店から盗み取る」ということだ。

 これはまあ、犯罪まがいである。人のもの(金・労働)を勝手に奪ったなら、泥棒であり、犯罪だ。……ただし、コンビニの場合は、このことを契約に盛り込んでしまっている。そのせいで一見、合法的に見える。しかし、いかに合法的に見えようと、実質的に泥棒をしているのであれば、公序良俗に反するし、反社会的であるし、独禁法の「優越的地位の乱用」に当たるから、これは違法である。
(形式的には合法だが、実質的には違法。その場合には、違法となるのが常識。脱税裁判ではいつもそうなる。「形式的には合法です」なんて言っていると、ライブドアみたいに逮捕されてしまう。)

 要するに、コンビニ統括会社というのは、ライブドアのやったことを、はるかに悪質にして、はるかに大規模にして、莫大な富を奪っている、ということなのだ。ライブドアの悪は「小悪」であったが、コンビニ統括会社のやっていることは「巨悪」である。
 では、なぜ、コンビニ統括会社は逮捕されないのか? 巨悪だからだ。この世では、小悪ばかりが逮捕され、巨悪は見逃される。そういうものなんですよ。
 ライブドアは献金しなかったし、経済団体にも入らなかった。一方、コンビニ業界は多額の献金をしているし、経済団体にも入っている。だから、巨悪ゆえに、安全になるわけだ。巨悪ならば、政府を買収できるからだ。
 そして、その巨悪のせいで、コンビニ各店は、違法に労働力を盗まれてしまうのである。

 ──

 ここまで見れば、本質もわかる。そして、対策もわかる。対策は、こうだ。
 「深夜営業をするならば、妥当な賃金を払うこと。特に、アルバイトには、深夜割増賃金を払うこと」

 (通常、深夜割増賃金を払えば、深夜営業は成り立たなくなるだろう。こういう形で、深夜営業を規制するのが妥当だ。)
 
 また、次のことも大切だ。
 「コンビニ各店は、店舗の営業時間を、自分で自由に決められるようにする。現状のように、コンビニ統括会社が 24時間営業を強要することがあってはならず、各店舗が自由に自己の裁量で決められるようにする」

 (これは、前項で述べたことと同様。名ばかり店長を廃止して、ちゃんと権限をもたせるわけだ。これは基本となる。)

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 結論。

 コンビニの 24時間営業は、規制するにしても、「省エネのため」というのでは、まったく理由になっていない。「規制するべし」という方針は正しいが、理由がまったく不適当だ。
 正しい理由は、「泥棒まがいの犯罪をなくすため」である。つまり、「コンビニ統括会社がコンビニ各店から富を強奪することをやめさせること」である。(省エネのためではない。)

 なお、コンビニ統括会社が「経済の自由を統制するべきではない」と主張するのは、ちゃんちゃらおかしい。「経済の自由を統制している」のは、コンビニ統括会社なのだ。彼らが、コンビニ各店の経済の自由を縛りに縛っている。それも、「優越的地位の乱用」という違法行為によって。
 だから、正しくは、「コンビニ各店に自由裁量を与えること」である。深夜営業であれ、売れ残り商品の割引販売であれ、各店舗に任せるべきなのだ。それが経済の自由なのだから。そして、「コンビニ統括会社が、コンビニ各店の自由を縛って、コンビニ各店を奴隷のようにして、縛られた奴隷から莫大な富を盗み取る」ということをするのを、やめさせればいい。

 つまり、阻止するべきことは、エネルギーの無駄ではなくて、労働泥棒という悪なのである。(ただし、その悪は、普通の泥棒とは違って、狭い仲間同士における悪である。強者が弱者を痛めつけて富を奪うという悪。……いじめの一種ですね、これは。)

 ──

 たとえ話。
 不良高校生が、軟弱な同級生を呼び出して、ぶんなぐって、金を巻き上げた。それを見た自治体の警官が、こう叫んだ。
 「おまえたち、何をしている!」
 「何もしていませんよ。友達同士でじゃれ合っているだけです」
 「ふん。そうかもしれんがな。時計を見ろ。今は夜だぞ。なのに、照明を付けて、電気が無駄じゃないか。電気を節約しろ」
 「でもね。電気を付けると、人々から感謝されますよ。犯罪を阻止できるって」
 「そうかな。おや、おまえの手にしている金は、何だ?」
 「これですか? 24時間、愛は地球を救う、という名分で、貧しい人々に寄付するつもりです」
 「本当か?」
 「本当ですよ。カップラーメンを買って、そのお釣りは、ちゃんと寄付します」
 「そうか。わかった。じゃ、頑張れよ」
 自治体の警官は立ち去った。そのあと、不良学生は、軟弱な同級生に告げた。
 「よしよし。よく黙っていたな。お礼に一発殴ってやる。(ボカッ。)ありがたく思えよ。一発だけなんだからな。もし何かしゃべっていたら、口をきけないようにしてやるところだったんだぞ。わかったか? これからも黙っていろよ。おまえは毎日毎日タダ働きして、おれに金を貢ぐんだ。わかったな。そうそう。あとで警察に訴えようなんて、思うなよ。警察はおれの親が買収しているんだから、訴えても無駄さ。マスコミも買収済みだよ。誰もおまえの言うことなんか聞きはしないさ。だからおまえはこれからもおれに貢ぐんだ。わかったか。じゃ、最後に一発。(ボカッ。)」
 コンビニでアルバイトをする軟弱な同級生は、ぶんなぐられて、抵抗もできないままだった。彼は悔しくて、涙に暮れた。仕方なく、帰宅して、パソコンを開いて、萌えちゃんに慰めてもらった。
 しかし、そのうち、どうにも我慢的なくなってきたので、ついつい、ナイフを握りしめた。「おれをこんな目に遭わせた社会に復讎してやる……」と思いながら。



 [ 付記 ]
 コンビニ統括会社は、次の嘘もついている。
 「2007年度の女性のコンビニへの駆け込みは13,000件以上。その中でも半数近くが深夜帯であり、他にも子どもの駆け込み、高齢者の徘徊、迷子の保護や急病人の救助など、深夜営業を行っているからこそお手伝いできることが数多くある」( → 市ヶ谷経済新聞
 これは詭弁である。
 ここで言う「深夜帯」というのは、「午後7時以降」のことだろう。そのほとんどは「午後12時(真夜中)まで」であるはずだ。それ以降ではあるまい。だいたい、そんな真夜中に、女性がふらふら歩くはずがない。
 なのに、「午後7時以降〜午後12時まで」の必要性を、「午後12時以降・早朝まで」の必要性へと、論旨をすり替えてしまっている。ここに詭弁がある。

 なるほど、「午後7時以降〜午後12時まで」(特に午後11時まで)ならば、コンビニの必要性はたしかにある。これを営業規制する必要はあるまい。
 しかし、「午後12時以降〜早朝まで」ならば、コンビニの必要性などはほとんどない。住宅街のコンビニは、丑三つ時の客など、ごく少ないはずだ。

 ま、いずれにせよ、「コンビニ店舗から収奪することによってのみ成立するような営業形態」というものは、禁じられるべきだ。どうしても 24時間営業をするべきだと思うのであれば、コンビニ統括会社が深夜営業の人件費を負担するべきだろう。それが筋だ。そして、それができないのであれば、しょせんは「泥棒による利益」にすぎないのである。



 【 補足 】

 論旨がごちゃごちゃして、わかりにくいかもしれないので、簡単にポイントを述べる。
 コンビニが深夜営業をしているが、コンビニ各店は別に、深夜営業をしたくてしているわけではない。深夜にやってもたいして儲けにはならないし、できればこんなことはやめてしまいたい。
 しかし、本部がそれを許さない。「契約上で 24時間業となっている。それを守れ!」と要求する。
 なぜか? 本部としては、コンビニの労働者がどんなに苦労しようが、過労死しようが、生理が止まろうが、鬱病になろうが、そんなことは知ったこっちゃない。とにかく、店舗から統括会社に上がる納付金が一円でも増えればいいのだ。それだけが目的だ。労働者の健康なんて、知ったこっちゃないのだ。労働者が千人死のうが、自社の利益が千円増えるなら、その千円の方が大事なのだ。他人の損失よりは、自分の財布。日本全体で大損しようが、自分の財布さえ増えれば、それでいい。
 要するに、ここにあるのは、「名ばかり管理職」「名ばかり店長」と同じである。
 「管理職」「店長」という名目で、残業をタダでさせる。つまり、無償労働をさせる。そういう形の「労働泥棒」があるわけだ。


 ここに根源がある。根源は同じであり、その形が特に「普通の残業」でなく「深夜営業」という形になって現れているだけだ。(もう一つ、「契約」という形もある。)
 だから、深夜営業規制の名目を「省エネのため」とするのは、てんで見当違いである。
 いくら「省エネのため」と叫んでも、コンビニ統括会社は反論する。「そんなことをしても省エネにはならない。それより、おれたちが金を得る機会を奪うな。自由経済を邪魔するな」と。
 そう聞くと、自治体は「あ、なるほど」と思って、引き下がる。

 しかし、である。そこには自治体の錯誤がある。コンビニの深夜営業の問題は、省エネか否かではない。労働者の労働を奪うという泥棒行為だ。
 そして、それは、「優勝劣敗」という市場原理を勝手に用いることで、「巨者による弱者いじめ」がなされているということだ。
 ここでは「自由という名の犯罪(泥棒)」がなされていることになる。そして、それに対しては、「泥棒の自由などはない」というふうに指摘するのが正しい。(いくら契約をしたからといって、不当な契約は合法化されない。公序良俗に反する泥棒の契約は反社会的なので違法である。)

 闇夜に頭巾をかぶって泥棒をしている次郎吉がいた。銭形屁次がうまく十手でとらえた。「おまえは省エネに反するので逮捕する!」と。すると次郎吉は弁解した。「あっしは省エネに反していません。真っ暗なところで、ちっとも灯をともしていません」。それを聞いた銭形屁次は納得した。「そうか。おまえは省エネに反していないのか。だったら、経済の自由ゆえに、無罪放免だ」
 こういうお馬鹿な銭形屁次が、今の自治体である。それを指摘するのが、本項だ。「次郎吉の罪は、省エネに反することではなくて、泥棒である」と。
 


 【 対策 】

 じゃ、どうすりゃいいか? 簡単だ。法律を普通に守るだけでいい。特に、欧州並みに、まともな法律を制定したあとで、その法律を守ればいい。
  ・ 深夜労働は、大幅な割増賃金。
  ・ 深夜営業をするかどうかは、コンビニ各店の自由裁量に任せる。
  ・ どうしても深夜営業を強いるのであれば、そのことによって生じた
   赤字を、コンビニ統括会社が負担すること。
   (コンビニ各店に、一方的にしわ寄せすることを禁止する。)


 簡単に言えば、「泥棒を禁止せよ」ということだ。コンビニ統括会社が各店から泥棒をすることと、コンビニ店舗がアルバイト従業員から泥棒をすること。(深夜割増料金を払わないこと。)
 ま、この国では、国家自体がそういう泥棒行為を是認している。押収とは全然違う。(欧州では深夜労働はとても効率の割り増し賃金だ。50%アップから 100%アップぐらいになる。日本では 25%ぐらいらしい。しかも、現実にはもっと低いようだ。)
 



  【 追記 】
 コンビニの深夜営業の規制に自治体が熱心である、という記事があった。(朝日・朝刊・特集 2008-06-30 ,→ 朝日のサイト

 記事では「省エネ」のことばかりが取り上げられているが、狙いがピンボケである。ここでは問題は「違法労働」なのだ。省エネのためであれば、意味はない。こんな詭弁はやめた方がいい。(たとえて言えば、泥棒を見て、「省エネ違反だから規制する」というようなもの。泥棒そのものをやめさせるのではなくては意味がない。)
 対処するべきことは、「深夜営業の規制」ではない。むしろ、こうだ。
  ・ 営業権限を店舗に移すこと。(24時間営業の強要をやめさせること)
  ・ 深夜労働者には割増賃金を払うこと。

 こうすれば、結果的に、深夜営業は規制されるのと同じことになる。そして、それが正しいことなのだ。なぜなら、コンビニ以外でも、似たようなことをやっているところはあるからだ。(ドンキホーテなど。ドライブインも。)
 そして、これらは、単に規制すればいいのではない。必要性の高いところでは、十分な割増賃金を払えるだろうから、それならばやむを得ない。問題は、客のないところで無意味に営業することだ。また、そのための負担を、労働者や名ばかり店長に転嫁し、そういう方法でコンビニ統括会社ばかりが儲ける、というむごい状況だ。

posted by 管理人 at 11:08 | Comment(3) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
公正取引委員会の独占禁止法ガイドライン
http://www.jftc.go.jp/dk/franchise.html

これを見ると、前項の食品廃棄の件ははっきりNOと書かれていますが、営業時間等については「個別具体的に判断する」としかかかれていないようです。
Posted by shige at 2008年07月09日 18:40
私は神奈川県鎌倉市七里ガ浜町内会の者なのですが、七里ガ浜海岸にセブンーイレブンが出来てから、
暴走族、改造車族、旧車会、深夜花火族などが集まり、一晩中続くロケット花火の騒音で、
住民の中には不眠で入院するものも出ました。
セブンーイレブンに買い物客以外停めさせるなと言っても、完全無視。
そこで、今では、鎌倉市民の税金を投入して警備員を雇い、7月1日から8月31日までの午後9時から朝の5時まで、
毎日七里ガ浜海岸を警備しているような状態です。
セブンーイレブンは、「巨悪」そのものですね。
七里ガ浜セブンーイレブンは、深夜でも2〜3分おきに車が入って来て、驚きます。
暴走族の苦情も多く、毎日、毎晩、110番され、警察が取り締まりに来ますが、
セブンーイレブン駐車場の中なので、道路交通法で取り締まれず、警察も苦慮しています。
あれは鎌倉とは思えない光景で、環境破壊そのものです。
一度、見てやってください。驚きますから。
そのあまりにヒドイ様子を写真やビデオで撮って、いろいろな人が公開してくれると嬉しいです。
Posted by 神奈川県鎌倉市七里ガ浜町内会 at 2008年07月18日 10:34
 コンビニ会社のブラックさ。

 → コンビニを閉店するときにかかった費用1000万円
  http://kiri550.blog94.fc2.com/blog-entry-3408.html
Posted by 管理人 at 2012年07月10日 06:59
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