◆ 政治紛争とゲーム理論:  nando ブログ

2008年08月01日

◆ 政治紛争とゲーム理論

 政治的な紛争の解決には、ゲーム理論の発想を持ち込むといい。領土紛争、関税、戦争など。これらのようなエゴのぶつかり合いでは、正しい解決策がある。

 ──

 政治的な紛争は、たいてい、エゴのぶつかり合いである。
  ・ 竹島 …… 主権と経済水域の奪い合い。
  ・ 関税 …… 自国産業の利益の奪い合い。
  ・ 戦争 …… 領土(や権益)の奪い合い。


 いずれも、利益の奪い合いである。「勝った方がすべてを得て、負けた方がすべてを失う」という形で、利益の奪い合いがある。それゆえ、エゴのぶつかりあいがある。

 しかしながら、その結果は、たいていは「双方の損」となる。
  ・ 竹島 …… 両国間の関係がギクシャクする。経済発展の阻止。
  ・ 関税 …… 貿易量の停滞で、地球規模の利益の減少。
  ・ 戦争 …… 人命や金銭の損失。

 
 いずれにせよ、エゴによる「自分の利益」を狙ったせいで、双方がともに損をする。
 そして、このことは、不思議でも何でもない。子供でさえ理解していることだ。たとえば、お菓子の奪い合いでも、遊び場の奪い合いでも、子供どうして喧嘩をすれば、双方が傷つくので、双方がともに大損をする。各人が自然にふるまうと、自動的に最悪状況に陥ってしまうのだ。

 ──

 では、どうすればいいか? 
 双方が傷つくというのは、いわば、「合成の誤謬」である。そこで、その状況を避ければいい。しかしながら、現実には、各人はいずれも自己の利益ばかりをめざしてエゴイスティックにふるまうので、どうしても「合成の誤謬」という最悪状況に陥ってしまう。……現実に、そうなっている。(竹島・関税・戦争)

 とすれば、「合成の誤謬」を避けるようにすればいい。そして、そのための方法は、いわゆる「ゲーム理論」によって与えられる。
 ゲーム理論では、次のようになる。(囚人のジレンマ)
  ・ 一方だけがエゴイスティックならば、そちらが得。
  ・ 双方がエゴイスティックならば、ともに大損。
  ・ 双方が非エゴイスティックならば、ともに得。


 つまり、こうだ。
 各人は自己の利益をめざして、エゴイスティックにふるまう。「自分が得をして、相手が損をする」ということを。
 しかし、各人がみなそれをめざすと、各人はすべて大損をする。
 そこで、逆に、各人が「自分だけの利益」を狙わず、少しずつ我慢すると、「全体の利益」が増えて、各人はいずれも得をする。

 ──

 すると、問題は、次のことだ。
 「双方がエゴイスティックにふるまうのを、どうすれば阻止できるか?」


 これに対する解答は、前々項前項で与えられた。すなわち、次のことだ。
 「エゴイスティックにふるまった場合の獲得利益を、なるべく減らす。また、非エゴイスティックにふるまった場合の全体利益を、なるべく増やす」


 竹島ならば、次のようにする。
  ・ 主権を得た方が得られる利益を減らす。
  ・ 合意した場合の、双方の全体利益を増やす。

 関税ならば、次のようにする。
  ・ 関税を高めた方が得られる利益を減らす。
  ・ 合意した場合の、全体利益を増やす。(これは自明かつ所与。)

 こうして、紛争問題に対する一般的な解決の原理が判明した。つまり、前々項および前項のことを通じて、一般的な原理が得られた。



 【 参考 】
 参考として、タカ・ハトゲームについて論じておこう。

 上記のような問題を一般的に考えたのが、メイナードスミスの「ESS理論」だ。そこでは「タカ・ハトゲーム」という形で、この問題の原理が示されている。
 ここでは、攻撃的に奪うものが「タカ」であり、非攻撃的に逃げ回るのが「ハト」である。すると、どうなるか? 
  ・ 一方がタカで、他方がハトならば、タカの方だけが利益を得て、ハトの方は利益を得られない。
  ・ 双方がタカならば、ともに傷つけ合うので、最悪。
  ・ 双方がハトならば、ともに小さな利益を得る。


 通常、双方は1番目をめざして、タカになりがちである。しかし、その場合は、自動的に2番目に移行して、双方が傷つく。かくて、最悪になる。
( ※ これは「囚人のジレンマ」というゲーム理論の通り。……しかるに現実には、そうなりがちだ。上記の竹島・関税・戦争を見ればわかる。)
( ※ どうしてかというと、「自分が強くタカになれば、相手は弱くハトになるだろう」という楽観があるから。かくて、「見込み違い」「誤算」が生じる。……人間の愚かさ。)

 さて。ESS理論によれば、集団があったとき、次のようになる。
 「集団内部がタカばかりだと、全員が傷つけ合うので、全滅する。集団内部がハトばかりだと、安定しない。なぜなら、そこにタカが登場したとき、タカが圧倒的に有利になるからだ。かといって、タカが増えすぎても、全滅する。そこで、タカとハトが一定の割合で、安定状態になる」

( ※ その比率がどうなるかは、背景となる点数の状況に依拠する。)

 ESS理論は、集団内でタカとハトの比率が一定になることを示した。こういうことは、特に不思議ではない。現実社会でも、アメリカという強国が、自己の力を背景に、わがままのやりたい放題となっている。その状態で安定している。
 ただし、ESS理論が示すのは、集団内部の比率だ。この「比率」の問題は、本項では特に重要ではない。

 ──

 一方、ESS理論は、別のことも示した。次のことだ。
 「タカでもなくハトでもなく、別の戦略がある。それは、『自分の陣地ではタカになり、他人の陣地ではハトになる』という戦略だ。他人が自分の陣地に入ったら、徹底的にタカとなって攻撃する。しかし、自分が他人の陣地に入ったときには、ハトとなってあっさり撤退する」

 これを「ブルジョワ戦略」と呼ぶ。このような戦略が、全体としては最も安定的になる。( ESS理論という名称も、ここから来る。)

 ただし、ブルジョア戦略には、難点がある。境界領域において、双方が「ここは自分の陣地だ」と思った場合だ。
 たとえば、竹島については、韓国も日本も、「ここは自分の陣地(縄張り)だ」と思ったから、どちらもタカになる。かくて、双方が傷つく。
 こうなると、もはや ESS理論では解決がつかなくなる。ゲーム理論の最初(囚人のジレンマ)に戻って、考え直す必要がある。そして、そのことが、本項の主題だ。(本項の前半[本文]で述べたとおり。)



 【 関連項目 】
 → Open ブログ 「戦争とタカ・ハトゲーム」


 ※ 戦争についての例示は、この項目(↑)を参照。
   (領土紛争と関税は、前々項と前項。)

posted by 管理人 at 17:06 | Comment(0) | 政治 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。