◆ 「とか」と「し」(接続助詞):  nando ブログ

2009年11月23日

◆ 「とか」と「し」(接続助詞)

 口語表現で、文末につける「し」がある。
  用例。 「下向いちゃうし」
 このような「し」は、名詞につける「とか」と似ている。

 ──

 口語表現で、文末につける「し」というのが流行っている。
  用例。 「軽だと信号待ちで並ばれた時なんか恥ずかしい。下向いちゃうし」
    ( → 出典。「軽」は「軽自動車」のこと。 )

 これはかなり新しい表現だ。どこが新しいのか? そう考えたところ、次の点だとわかった。
 「並列表現における後半部が省略されている」

 標準用法においては、接続助詞の「し」は、主に次の二通り。
  (1) 「ので」などを意味する接続関係。
  (2)・ センテンスを並置する並列関係。


 このうち、(1) の方は、昔からある。
  用例 「行けばわかるし」
  用例 「どうせそんなことだと思ったし」

 一方、(2) の方は、最近の口語表現で用いられるようだ。ただ、並置されるものが何か、明示的ではない。そこがちょっと目新しいようだ。

 ──

 このような新しい「し」の表現法は、助詞の「とか」の新しい表現法に似ている。
  用例 「何が好き?」「カレーとか好きですね」

 この例では、「とか」というのは、もともとは並置するための表現だ。「Aとか、Bとか」という形で。
 ところが、新しい表現では、並置されるべきもの(B以降)が明示されていない。そのことで、表現を曖昧化している。(単に「A」と語らず、「AとかBとかCとか」を含意することで、「A」を曖昧化する。) 
 これが「とか」の新しい表現だ。そして、「し」の新しい表現もまた、同様であろう。並置するべきものを明示しないことで、表現を曖昧化しているのだ。 

 つまり、新しい口語表現としての「し」は、次のことを意味する。
 「並置するべきものを明示しないことで、表現を曖昧化する」

 
 これが新しい形の「し」の表現だ。それは「とか」の新しい表現と共通する用法である。
 
 ──

 なお、下記サイトに次の例がある。
 用例 「もうゲームを止めなさい」「もう止めてるし」
 用例 「宿題やりなさいよ」「嫌だし」
  ( → 出典ページ の 132番 )
 
 これらの例では、終助詞のようにも扱われている。終助詞の「よ」に近い。ただし、「よ」だと言い方がきつくなるので、「し」にすることで、ぼかしている。
 そのニュアンスは、「そこで言い切らず、まだ先に話が続く感じを残す」(終助詞でなく接続助詞の感じをもたらす)ことで、「そこではっきりと言い切る」という効果を弱めているわけだ。
 上の例では、「もう止めてるよ」「嫌だよ」と言い切ると、反論としては語感がきつくなるので、そのきつさを和らげるために、断定の度合いを減らしているわけだ。
 そして、そのことは、「とか」と同様である。(この場合は、名詞について言い切るのを弱めている。「リンゴとか好きだし」というのは、「リンゴ」とはっきり言い切るのを弱めている。)
 ともあれ、このような曖昧化(ぼかすこと)の効果がある。

 [ 付記 ]
 私なりに感想を言えば、「優柔不断な言い方」と評価できる。
 しかしまあ、それは昔から日本人の特徴だったかもしれない。私みたいに何事もはっきりと言い切る人は、日本人にはそう多くないしね。   (^^);

( ※ 私の場合には、「し」のかわりに「しね」で終わらせることが、たまにある。くだけた表現で。ま、「し」で終わることは、ほとんどないし。)



 【 参考サイト 】

 → 「し」の用例解説

 → 丸谷才一氏の「し」
    
 
posted by 管理人 at 10:15 | Comment(1) | 一般 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
いやー、やはり「し」が気になる人がいるし。日本語はこういう風に変化してくし。こういう「し」は最早接続助詞じゃないし。
Posted by 通行人 at 2013年12月19日 10:57
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