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法人税と経済成長
「法人税を減税することで、産業が活発になる」という見解がある。これはいかにも古典派(サプライサイド)の唱える方針だ。あちこちで述べられている。特に典型的なのは、次の見解だ。
→ 池田信夫 「法人税の減税を」
だが、「法人税減税」というのは、「産業補助金で起業強化を」というのと等価である。こんなものを与える方針は、基本的に狂っている。どうせなら、次のように主張するといい。
・ 法人税は今のままにする
・ 日本の企業には、産業補助金を与える
現実に、航空機産業では、産業補助金を与えられている。欧州のエアバスや米国のボーイングなどはそうだ。(最近もニュースになった。)
「法人税を減税せよ」という主張は、このような「産業補助金」を全産業に付与する、というのと等価である。
しかしながら、このように「産業補助金」を出すのであれば、特定の産業に補助金を出す方が、合理的である。全産業に「産業補助金」を出すというのは、全産業が弱体化しているときに一時的措置としてなすのであれば合理的だが、恒久的になすというのは馬鹿げている。
なぜ「全産業への補助」が馬鹿げているか? 「供給」面でだけ資金を投入すれば、その分、「需要」面では資金が失われるからだ。
このようなことは、「供給が崩壊した状態」(たとえば関東大震災で供給が崩壊した場合)には有効だが、「供給過剰」の状態では無効である。つまり、「不況」という「供給過剰」の状態では、「供給面に資金を投入する」という「供給拡大策」は、まったく逆効果だ。(やればやるほど、需要が減り、供給が増え、不況が悪化する。)
このことは、経済学の世界では、「黄金成長経路」という話題で説明されている。つまり、成長率を最適化するには、需要と供給を同じ成長率で成長させるのがいい。そうすれば、成長率は最高となる。
一方、需要と供給のどちらかを偏重すれば、成長率は最高にならない。
たとえば、次のようになる。
・ 需要が 4%増で、供給が6%増 → 成長率は4%増(供給過剰)
・ 需要が 6%増で、供給が4%増 → 成長率は4%増(供給不足)
・ 需要が 5%増で、供給が5%増 → 成長率は5%増(均衡)
このようになるから、供給だけを刺激しても、意味がないのだ。特に、不況期には、「供給拡大」というサプライサイドの方針は、効果どころか逆効果がある。(小泉路線で証明済み。)
法人税減税論者は、このことをまったく理解していない。そのせいで、需要不足のときに、供給拡大策を取ろうとする。構造改革路線の失敗を、何度も繰り返そうとする。失敗に学べないんですね。そうすれば、「供給過剰のさなかで、供給拡大策を取る」という政策の愚かさを理解できる。
結論。
「法人税減税」を成長のために利用しようというのは、まったく筋が悪い。「企業に金を与えれば企業が伸びる」という発想は、経済学の基本を理解していないと言える。「黄金成長経路」という理論を理解するべき。
法人税と不労所得
経済的な効果(GDP成長率)とは別に、税制として、この問題を論じよう。次の主張がある。
法人税をゼロにして、所得税だけで課税しても、税の公平さは保たれる。逆に、法人税で課税して、所得税で課税するのは、二重課税になるので、税の公正さが保てない。これは、(ことの良し悪しは別として)形式論議からいえば、まったく正しい。
・ 法人税をゼロにする方が公平である
・ 所得税が高いのは二重課税である
このことはまさしく成立する。
問題は、そのあとだ。ではどうして、法人税というものを課するのか? その目的は、不公平な税制で、二重課税をするためだ。すなわち、ここでは、不公平で二重課税をすることが、かえって目的となっているのだ。……そこに気づくことが大切だ。
( ※ 比喩的に言えば、金持ち階層に、税率を高くして、富裕税をかけるようなものだ。ここでは、不公平で二重課税をすることが、かえって目的となっている。それと同様だ。)
( ※ 「法人税から取るのは、取りやすいところから取っているだけだ」という批判があるが、それは早計だ。)
では、説明しよう。
法人税においては、あえて重い税を課する。それには、理由がある。「不労所得への課税」という意味だ。
株主が得る所得は、普通の所得とは、趣旨が異なり、不労所得である。
・ 労働者が給与として得る所得 …… 勤労所得
・ 株主が配当金として得る所得 …… 不労所得
このように、所得の意味がまったく異なる。
汗水垂らして働いて得る 300万円と、単に 5000万円を投資して得る配当金の 300万円とでは、まったく意味が異なる。前者は勤労世代だろうし、後者は老人か、金持ちの二代目であろう。いずれにせよ、同じ 300万円を得るとしても、意味がまったく異なる。
とすれば、両者に対して同じ税率課税をするということ自体が、不公正であろう。不労所得は、勤労所得よりも、高く課税して当然だ。
とすれば、次のアイデアがある。
・ 法人税は税率ゼロとする。
・ 配当には、配当課税として 40%を源泉徴収する。
・ そのあとでさらに株主に所得税をかける。
これならば、社会的な公正さが保たれる。(不労所得者には余分の税がかかる。)
しかしながら、これは、「法人税として 40%を課する」というのと、ほぼ等価である。単に、配当を払うとき、配当の前で払うか、配当のあとで払うか、という違いでしかない。
会社 ────────→ 株主
↑ ↑
(法人税) (配当課税)
矢印の根元で払えば「法人税」となり、矢印の先で払えば「配当課税」となる。どっちみち、ほとんど同じことだ。(細かな違いはあるが。)
なお、企業の利益は、すべてが配当に回されるわけではなく、企業の内部留保や投資にまわる分もある。この分は、企業の価値を増すために使われる。それは株主にとっては、「キャピタルゲイン」(株価売買益)の形で利益となる。
とすれば、この分も配当課税と同様に、次のようにしてもいい。
・ 法人税は税率ゼロとする。
・ キャピタルゲインには、キャピタルゲイン課税として 40%を源泉徴収する。
・ そのあとでさらに株主に所得税をかける。
これならば、社会的な公正さが保たれる。(不労所得者には余分の税がかかる。)
しかしながら、これは、「法人税として 40%を課する」というのと、ほぼ等価である。単に、株式売買の前に払うか、株式売買のあと(株価売却益を得たとき)に払うか、という違いでしかない。
会社 ────────→ 株主
↑ ↑
(法人税) (キャピタルゲイン課税)
矢印の根元で払えば「法人税」となり、矢印の先で払えば「キャピタルゲイン課税」となる。どっちみち、ほとんど同じことだ。(細かな違いはある。キャピタルゲイン課税は、売買が生じるまで課税されないから、国の税収が不安定になる。)
ここまで見れば、わかるだろう。
法人税を課税するのは、配当課税とキャピタルゲイン課税をしているのと、ほぼ等価である。
そして、それが高い税率になっているのは、あえて「不公平な二重課税」をしているからである。その趣旨は、「不労所得には高い税率を課する」ということだ。
だから、「不公平な二重課税だからけしからん」というのは、論理として成立していないのである。
どうせ主張するなら、次のように主張するべきだ。
「不労所得に対しても、勤労所得と同様に、低い税率を課すべし」
これなら、理屈になる。その是非は、国民が決めればいいが、どうせ国民には支持されないだろう。倫理的にもおかしいからだ。
( ※ 企業には、生産活動にかかった費用は、「必要経費」として、課税対象から免除される。一方、人間の場合、生存のために必要な「食費」「住居費」「電気代」などは、課税対象から免除されない。実例でも同様だ。家賃も、電気代も、企業ならば経費扱いとなるが、個人ならば経費扱いにならない。……というわけで、企業の方はもともと大幅に免税となっているのだから、ある程度は二重課税や高率課税があっても、当然なのだ。)
池田信夫は、次のように書く。
「最大の障害は「大企業優遇税制だ」という類の政治的な批判です。これは資源配分と所得分配を混同して問題をイデオロギー化する誤り」( → 出典 )
これは彼が、物事をイデオロギー的にとらえるだけで、経済学的にとらえることができない、ということを意味する。ここでは、「不労所得/勤労所得」という違いがあるのだが、彼はそのことを理解できないのだ。
企業の海外逃避
「法人税が高いと、企業が海外逃避する」
という説がある。これはあまりにも馬鹿げている。
これと似た説として、次の説がある。
「中国は人件費が安いから、企業は安い人件費を求めて、中国に逃げる。だから、日本も賃金を中国並みに引き下げよ。さもないと、日本は中国に負ける」
これは野口悠紀雄が主張した説だ。「日本人の賃金を中国レベルにまで引き下げよ」という主張。あまりにも馬鹿げている。
人件費の問題は、「為替レートによる調整」という形で、簡単に説明が付く。
仮に、日本の企業がどんどん中国に逃げていけば、日本は貿易赤字になり、中国は貿易黒字になり、為替レートが変わる。中国の通貨は非常に高くなり、日本の通貨は非常に安くなる(円安となる)。こういう形で、為替レートによって、賃金水準は自動的に是正される。
逆に言えば、日本の賃金水準が中国よりもはるかに高いということは、日本の経済力(貿易力・国際競争力)が、中国よりもはるかに高いということを意味する。だから、「競争力を高めるために、賃金を下げよ」というのは、全然成立しない。
仮に、賃金を円建てで引き下げたなら、それによって国際競争力が増すから、日本の円レートはものすごく高くなり、結果的に、ドル表示の賃金は何も変わらない。逆に、賃金をものすごく上げたなら、国際競争力が低下するから、すごい円安となる。この場合も、ドル表示の賃金は何も変わらない。
というわけで、為替レートの調整があるから、賃金を上げたり下げたりすることには意味がないのだ。(一国全体では。……特定企業だけなら話は違うが。)
「法人税が高いと、企業が海外逃避する」
という説も、だいたい、似た事情にある。(為替レートによる調整とは違うが。)
企業がその国に進出するか否かは、その国で利益が上がるか否かによる。最終的には「税引き利益」だとしても、税率がすべてではない。
たとえば、次の比較がある。
・ 経常利益率が 10%で、法人税 40% → 残りは 6%
・ 経常利益率が 5%で、法人税 20% → 残りは 4%
この場合、前者は、法人税率が高いが、元の経常利益率が高いから、前者の方が有利である。
また、市場規模も大事だ。利益率だけでなく、利益総額が大事だ。
・ 日本では、市場規模が大きいので、売上高が 100億円
・ 香港では、市場規模が小さいので、売上高が 5億円
どちらに進出の価値があるか、明らかだろう。
池田信夫は、次のように書く。
法人税を下げることは、「空洞化」を避ける上でも重要です。日本の法人税は国際的にみても高く、もっとも収益の高いグローバル企業が海外生産に移行する原因になっています。他方、法人税を低く設定したリヒテンシュタインやアイルランドには、海外の資本が流入し、一人あたりGDPはトップクラスです。呆れて物が言えない。リヒテンシュタインやアイルランドに、グローバル企業が進出しているか? ITでも、電器産業でも、自動車産業でも、グローバル企業が進出しているか? そんなことはない。
リヒテンシュタインが豊かなのは、タックスヘイブンとして、低めの税率にしているからだ。( → Wikipedia ) しかし、タックスヘイブンというのは、人口の少ないマイクロ国家ならば十分な歳入を得ることができるが、1億人程度の人口をもつ大国家ではタックスヘイブンとしての税収を十分に得られない。単に税収が大幅減になるだけだ。(税率を下げても、企業が大挙して押し寄せるわけではないからだ。)
リヒテンシュタインは、国としては、まともな生産産業がない。単に他の国の企業に寄生しているだけだ。ある企業が、米国や欧州で生産活動をして、その納税(の一部)だけを、リヒテンシュタインでやる。こうすることで、リヒテンシュタインには収入が入るが、それはあくまで「寄生」という形で金を得るだけだ。
「寄生虫は自分では何も生産しないで、生きていけるから、すばらしい。寄生虫のマネをしよう」
という発想は、あまりにも狂っているのだ。
なお、「アイルランドは GDPが多い」というのは、正確ではない。
→ 一人あたり国民所得
これを見ればわかるように、十年ぐらい前は、アイルランドはのGDPは日本よりもはるかに低かった。ただし、最近では、トップレベルである。
では、どうして急激に GDP が伸びたかというと、年率 10%程度の非常に高い成長率が続いたからだ。( → Wikipedia ) そして、その理由は、次の二つだろう。
・ 前述の黄金成長経路 (需要も伸びたから。)
・ 一種のバブル (日本のバブルと同様だが、まだ破裂していない。)
アイルランドでは、リヒテンシュタインと違って、ちゃんとした生産活動がある。このような生産活動こそが、高い所得をもたらしている。一方、日本の成長率が低いのは、需要不足だからだ。病気の原因を理解しないで、病気を治療しないまま、他国の真似をしようとしても、意味がない。(肝臓病の患者ならば、肝臓病を治すべきなのに、バナナ・ダイエットでダイエットに成功して健康になった人を見て、「自分もバナナダイエットをすれば健康になる」と思うのは、勘違いだ。自分の病気を直視しない。)
要するに、「税率を下げれば企業が来る」というような単純な理屈ではないのだ。アイルランドの場合、企業としては、「アイルランドは人件費がすごく高いから、進出しにくい」と感じているはずだ。税率よりは、人件費の方が影響するだろう。そのくらいのこともわからないようでは、経済学者失格だ。
なお、「税率が高い国から税率の低い国へ、グローバル企業が移転する」という説が正しいとすれば、現実にそうなっているはずだ。たとえば、次の会社。
ベンツ,BMW,フォルクスワーゲン,ジーメンス,他のドイツ一流企業。
マイクロソフト,アップル,DELL,GE,ウォルマート、他の米国一流企業。
これらの企業は、リヒテンシュタインにもアイルランドに海外逃避しない。リヒテンシュタインでアイルランドで低い課税ですませようとするより、欧州や米国で大規模な売上げを得ようとする。(当り前ですね。)
税率の低い国に海外逃避するということは、同時に、大規模な市場を捨てるということだ。そんな馬鹿なことをする企業はない。
いや、正確に言えば、皆無ではなく、少しはある。特に、金融関係のサービス業はそうだ。自分自身では、特に何かを生産するわけではなくて、コンピュータで数字をいじって利ザヤを稼いでいるだけだから、そういう企業は、タックスヘイブンに移転しやすい。しかし、そういう例外が少しあるだけだ。自動車産業や電器産業など、巨大な産業がタックスヘイブンに逃げるはずがないのだ。
法人税の是正
では、法人税は、今のままでいいのか? そうも言えない。(1)
現在の法人税には、問題がある。それは、大企業と中小企業で、税率に差があることだ。そのせいで、中小企業が優遇されて、非効率な中小企業がやたらと増える。そのことで、産業全体の効率が下がる。
池田信夫は「大企業優遇税制はけしからん」という主張を「イデオロギー的」と批判したが、それを言うなら、「大企業に高率で、中小企業には低率」という格差に着目するべきだ。
ここでは、「大企業優遇税制」ではなくて、「中小企業優遇税制」がある。それこそが経済学的に問題なのだ。
なお、大企業と中小企業で税率を均一にすると、中小企業はどんどん倒産するだろう。しかし、それは別に問題ない。なぜなら、その分、大企業がどんどん伸びていくからだ。結果的に、国民の大多数が大企業に勤めるようになるだろう。実際、北欧はそうなっている。そのせいで、産業の効率化がなされる。
自民党政権下で、中小企業の票集めのために、税制を歪めてしまった。農業優遇と同様だ。ここには、税による産業構造の歪みがある。だから、法人税の引き下げをいうなら、
「大企業の法人税をを引き下げて、中小企業の法人税を上げよ」
と語るべきだ。それなら、経済学的に、理屈が通っている。
ひるがえって、単に「法人税を下げれば、企業の海外逃避がなくなり、海外から企業が来て、日本は豊かになる」なんて、経済学にもならない駄ボラにすぎない。
《 注記 》
コメント欄で指摘を受けたが、「中小企業が優遇されている」というのは、妥当ではないようだ。正しくは、「(零細な)小企業が優遇されている」となる。正確には、年間 800万円の分だけが低い税率になる。これが当てはまるのは、(零細な)小企業だけだ。
上記本文の「中小企業」は、「(零細な)小企業」と読み替えてほしい。従業員が 10人以上いるような、普通の中小企業には当てはまらない。
以上、修正。
(2) 【 追記 】
大企業では、各種控除があり、実際の税率はかなり低くなっている。この点は、私も前に言及したことがあるのだが、本項ではいったん書き落としてしまったので、ここに追記する。(コメント欄で指摘を受けたので。)
この件については、コメント欄のリンク先に詳しいデータがある。あちこちで指摘されている件でもあるので、ここでは特に強く主張せず、要点だけを紹介しておく。
ついでに、リンク先の文章を引用しておこう。
日本経団連の会長企業、住友化学が払っている法人課税の負担率はわずか16.6%でした。前会長の企業、キヤノンは34.6%です。自動車メーカーでは最大手のトヨタ自動車が30.1%、本田技研工業は24.5%でした。電機ではパナソニックが17.6%、ソニーが12.9%。鳩山由紀夫前首相が大量の株式を保有していたブリヂストンは21.3%でした。
( → 出典 )
(3) 【 追記 】
実際には各種控除があるという点を考慮すると、法人税の引き下げというのは、やる価値があるかもしれない。次の趣旨で。
・ 法人税を5%ぐらい引き下げる
・ 各種控除をすべて廃止する
こうすれば、実際に払う税率は、5%ぐらいアップすることになりそうだ。名目税率を5% 引き下げて、実際には(各種控除の廃止で)払う税を5% アップにする、というわけ。企業にとっては藪蛇の結果になる。
これは案外、面白そうだ。 (^^);
(4) 【 追記 】
法人税だけでなく、社会保障の企業負担分もあわせて考えると、日本の企業負担は諸外国に比べて高くないし、むしろ低いとさえ言えるそうだ。
この件、ときどきあちこちで指摘されている。具体的なデータとしては、コメント欄で教えてもらったページを紹介しよう。下記。
→ http://www.zsk.ne.jp/zeikei552/ronbun.html
ともあれ、このこと(社会保障の企業負担分)も考慮するといいだろう。
最後にもう一つ。(市場原理派の大好きな)米国の法人税の税率は、日本とほとんど同様である。
→ 世界各国の法人税
どちらかと言えば、消費税の分だけ、米国の税率は高いとも言える。自由経済の米国の法人税の税率は、低くはないし、むしろ、最高レベルなのだ。
ここでクイズ。
「世界で最も税率が高いと言える米国と日本は、なぜ、世界でも最強レベルの経済力を持つのか? なぜ有名なグローバル企業は、米国や日本から出て行かないのか?」
( ※ 正解はすでに本文中に示してあります。)
[ 余談 ]
なお、上記のリンクを見ればわかるが、フランスとドイツも税率が比較的高い。経済強国ほど、税率が高い。
逆に言えば、経済小国ほど、税率を下げようとする。自国には自立的な産業がないから、そうせざるを得なくなる。しかしそれでは税収が減るから、消費税を上げたり、社会保障を下げたりする。それなりに歪みは生じる。
日本のような大きな国が、経済小国の真似をするのがベストだ、とは言えないのだ。
[ 付記 ]
共産党の新聞広告(朝日・朝刊 2010-07-10 )に、次の話があった。
「ギリシアは法人税を 40%から 25%に引き下げた。その結果、歳入に大幅な穴があいて、今日の結果(財政破綻)になった」
面白いので、共産党のホームページに行ったら、次の宣伝があった。
「消費税を 10%に上げると、11兆円の増収。法人税を 40%から 25%に引き下げると、9兆円の減収。差し引きして、財政面では、ほとんど変わらない」
というわけで、「消費税を増税するのは、社会保障のため or 財政赤字削減のため」というのは、嘘だと判明したわけだ。正しくは「法人税の減税のため」である。
なお、2010-07-08 の朝日朝刊には、消費税増税を巡る賛否両論が記してある。
→ 消費税増税を巡る賛否両論(朝日)
だが、増税賛成の方は、基本において間違っているわけだ。そのことが上記のことからわかる。
個人企業や零細企業を除く普通の中小企業では大体40%超の税金を払わさているのに対して、大企業は各種の優遇税制の適用で、それよりはるかに低い税率が現実に適用されています。
大企業の税率の実態は下記に示されています。
http://ratio.sakura.ne.jp/archives/2010/06/30233850/
http://www.zsk.ne.jp/zeikei552/ronbun.html
対しまして、私の経営している従業員200人規模の独立系非上場会社では、近年の税率は大凡41%となっています。
どららが高率かは言うまでもない事と思いますが・・・
加筆・修正しておきました。( 【 追記 】 と書いてある分。)
そういう企業も0では無いだろうが、日本がデフレ脱却してまともな経済成長を遂げる国になったうえで
法人税をあげて検証してみないと分からない。
縮小傾向にある国では、いくら法人税を下げても
どこの企業もいずれは逃げていくだろう。
なぜ自民も民主も法人税減税ばかりでデフレ脱却に意欲的ではないのだろうか・・・・・
現実の例で見ると、日産自動車は新型マーチをタイやインドや中国やメキシコで生産します。これは海外流出の例です。
ただし、いずれも、人件費の低い国であり、法人税の低い国ではありません。韓国や香港やタックスヘイブンやアイルランドやリヒテンシュタインには行きません。
ついでですが、サムスンやLGは、日本から韓国へ逃避したわけではありません。
自分の意見を書きたいときは、自分のホームページに記述してください。あるいは掲示板にでも書いてください。
上記コメント(二つ)は、独自意見であり、コメントとしての範囲を逸脱しているので、そのうち削除します。
「日本の法人税は、実際には低い」
という共産党の主張を「正しい」と是認している。
→ http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51508393.html
出典となる共産党のページは、ここ。
→ http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-06-24/2010062401_01_1.html