◆ 金とは何か? (所得税):  nando ブログ

2010年07月12日

◆ 金とは何か? (所得税)

 金とは何か? これには、経済学的な意味と、人間的な意味との、双方がある。
 このことから、所得税が累進制をもつことも、説明される。
     ( 金 は gold でなく money )

 ── 

 (1) 経済学で

 経済学においてはどうか? 金は、一種の基本単位だ。それは科学の「メートル」というような単位と同種である。
 経済学が科学であろうとする限り、金は客観的な価値をもつと見なされる。金が金である限り、誰のもつ金も同じ価値をもつ。
 また、金は市場を通じて、公正に配分されるはずだ。
 ( ※ 以上は、主として、古典派経済学者の立場から。)

 (2) 人間的に

 人間的にはどうか? 金は、(客観的に)同一の価値をもたない。つまり、人によって価値が異なる。
 特に、次のような差がある。
  ・ 貧しい人にとっては、金は生存のために必要不可欠なものだ。
  ・ 富める人にとっては、金は贅沢や無駄遣いするためのものだ。


 具体的に示そう。
 金持ちが気まぐれに、貧乏人の集団のなかへ、1万円札を放り投げる。すると、貧乏人たちは、気が狂ったようにそれを求めて奪い合う。金持ちにとっては、ただの余興にすぎない1万円札が、貧乏人にとっては大ケガをしてでも奪い合うための目的となる。……それほどにも価値が異なる。

 では、どうしてそういうことが起こるのか? 
 ある程度までの金は、人間の生存のために、どうしても必要だからだ。人は霞を食って生きるわけには行かないからだ。衣食住のためには、どうしても最低限の金を必要とする。
 一方、ある程度以上の金は、必要性は薄い。特に、平均所得を上回る金は、贅沢や無駄遣いのためにある。
 ここでは、人ごとに価値の違いが生じるというよりは、金額ごとに価値の違いが生じる。月収 10万円ぐらいまでの金は絶対的に必要だが、月収 50万円を上回るような金は、特になくても困らない。(よほどの贅沢病の人以外は。)




 [ 付記1 ]
 したがって、人間的な発想をすれば、税制としては、「累進的な所得税」というのが最も妥当だ、とわかる。
 つまり、生きるために必要な額の所得についてはろくに課税せず、贅沢のための所得については高率で課税する、という制度だ。それが最も妥当だ。
 逆に、フラットな消費税や、フラットな所得税は、妥当でない。

 このことは、人道的にも明らかなことだが、経済学的にも説明が付く。
 人々の得る所得というのは、もともと適正だとは言えないからだ。なぜなら、労働者の賃金は、労働市場で決まるものだとは言えないからだ。むしろ、経営者が決定権をもつせいで、経営者が労働者の賃金を切り下げることができるからだ。
 換言すると、経営者は自分の給与を勝手に大幅に引き上げることができて、そのために労働者の賃金を大幅に引き下げることができるからだ。……このことは、独裁的な会社では、成立する。また、労働組合が弱い会社でも成立する。この件については、下記項目で述べた。
  → 賃金とは何か?
 
 [ 付記2 ]
 「所得税の最高税率を引き上げると、日本にいる金持ちが外国に逃げてしまう」
 という説があるが、まったく成立しない。なぜなら、その説が成立するならば、外国にいる金持ちはみんな日本にやってくるはずだからだ。というのは、日本の消費税は極端に低いからだ。
 現在の所得税は、日本も外国も、大差ない。(下記の 関連サイト を参照。)
 一方、消費税は、日本がはるかに低い。総合的な税で見れば、欧米で暮らすよりは、日本で暮らす方が、ずっと税負担は低い。ならば、欧米の金持ちは、大挙して日本にやってくるはずだ。……現実には、そうはならない。金持ちってのは、自国に住むものなんです。
 
 《 余談 》
 実は、大金持ちにとって、「金を使う」ということは、あまり意味がない。大金持ちは、使う金の十倍以上を稼ぐ。このぐらい多額の金を稼ぐようになると、貯金の金を増やすということは目的とはならないのだ。結果(支出額)は同じなのだから。
 金持ちの目的は、金を稼ぐこと自体だ。「おれはこんなに稼いだんだ」と自己満足にひたりたいのだ。とすれば、税率の低い国よりは、いっぱい稼げる国の方を、選ぶというものだ。つまり、いま住んでいる国だ。
( ※ ただし、トレーダーやディーラーなどは例外。彼らは何も生産しないから、どこの国に住んでも同じ。)




 【 関連サイト 】
 日本の所得税と世界各国の所得税との比較
  → 財務相の資料

 これを見るとわかるが、「最高税率が 50%」というのは、世界各国とほぼ同様である。日本だけが高いということはない。
 一方、日本では、消費税がずっと低い。このことを勘案すると、所得税の引き上げの余地はある。
 「低所得者を除いて、全般的に所得税を上げる」
 ということは、十分に成立する。(ただし、「消費税を大幅に引き上げるまでの期間だけ」という限定を付けて。)
  


 【 追記 】
 大金持ちは、資産性所得への課税が低いので、実際の税率はとても低い、という指摘があった。(コメント欄で指摘を受けた。)
 その資料は下記。
  → http://www.mof.go.jp/genan22/zei001e.htm#02
 
( ※ キャピタルゲインや配当には、所得税を課するべきだ、と前に述べたが、現実には分離課税だから、大金持ちはすごく優遇されているわけだ。ゴーン社長みたいなのは、ちゃんと税を払っているが、楽天やソフトバンクの社長は、桁違いの金を儲けていながら、ろくに税を払っていないわけだ。)
( ※ このことからすると、「最高税率の引き上げ」というのは、いささかピンボケだとわかる。実は、「最高税率の引き上げ」よりも、「資産性所得への優遇をやめる」ことの方が、はるかに有効だ、とわかる。)
posted by 管理人 at 21:11 | Comment(2) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
資産からの所得が多い富裕層は資産性所得が
申告分離課税で定率だから
日本は税金が安い国かもしれません
http://www.mof.go.jp/genan22/zei001e.htm#02
Posted by 森 at 2010年07月13日 00:15
ご指摘ありがとうございました。
これを得て、最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2010年07月13日 01:10
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