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前項では、中国が国家エゴイズムを採っていることを指摘した。これに類する見解が米紙にある。読売の記事を引用しよう。
《 中国は領土への不満抱える独裁国家…米紙批判 》──
尖閣諸島沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件をめぐり、日本政府による中国人船長釈放にもかかわらず強硬な主張をやめない中国に対し、米メディアで批判が広がっている。
27日付のワシントン・ポスト紙は、「ますます威嚇的な中国に直面するアジア」と題する社説を掲載。事件について、「中国が国家主義的で領土に不満を抱えた独裁国家のままであることを世界に思い出させた」としたうえで、「中国は船長釈放後もさらに(日本に)謝罪を求めている。こうした振る舞いは、国際的なシステムに溶け込もうという気のある、節度ある国のものではない」と批判した。
( → 読売・夕刊 2010-09-28 )
米紙は「独裁国家」という表現を取っている。それはそれでいいが、単に悪口を言うだけでなく、本質的に考えると、「民主化されていない」という点が本質的だ。
・ 共産党の一党独裁
・ 民主的選挙がない
・ 言論の自由がない
・ スト権もない
こういう状況にある。
それでいて中国は、ああだこうだと日本を非難する。韓国を除けば、他の国はこういう批判をしないのに、中国ばかりは非難する。中国・韓国の両国に共通するのは、長らく独裁体制にあったということだ。その間に、独裁政権を構築するために、日本を敵に仕立て上げた。そして、党に対する批判へのガス抜きとして、日本批判を推奨した。
このことがはっきりするのは、中国の天安門事件以降だ。天安門事件までは、日本と中国はかなり親密な関係にあった。パンダが贈られて、友好関係を保ったりした。しかるに、天安門事件以降、一変した。中国は民衆を弾圧し、その一方、政権への不満を逸らすため、日本を敵に仕立て上げた。
その顕著な例が江沢民だ。彼は最も民衆を弾圧し、同時に、最も日本敵視政策を取った。対日敵視の教育を進めた。その教育を受けて洗脳された民衆が、今日では日本敵視に染まっている。
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ここまで考えれば、日中関係でなすべきことも、わかるはずだ。
「中国の民主化を進めること」
これが大切だ。このことによって、対日敵視の風潮も自然に凋んでいくだろう。韓国でもひところは対日敵視がひどかったが、今では若い世代を中心に、日本に親近感を持つ人が増えている。「日本は好きじゃないけど、両国の友好は大切だ」と思う人も増えている。「日本はけしからんからやっつけろ」と思っている中国人とは違う。韓国は 20年ぐらい前から民主化されているからだ。( → 1987年 民主化宣言 )
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中国はやたらと「侵略を謝罪せよ」と主張する。
それに対して、「ごめんなさい」と謝罪したり、「侵略じゃないぞ」と抗弁したり、いろいろと論議がある。
しかし、日本がなすべきことは、謝罪することでもなく、喧嘩することでもない。中国の民主化を要求することだ。
そして、それに対しては、中国の民衆も反対することはあるまい。「おれたちを民主化するな」と反対するとしたら、「そういうふうに語る言論の自由を抑圧せよ」というふうになるから、反対すること自体が自己矛盾になる。
ま、それは別として、中国人だって、民主化することについては喜ぶだろう。そして、「民主化せよ」という日本の声を聞いたとき、「中国は民主化していない国だ」ということを思い知らされ、ぐうの音も出なくなるのである。
これこそが正しい方針だ。「侵略を謝罪せよ」と喧嘩を売られても、売られた喧嘩を買うべきではない。
むしろ相手に、ぐうの音も出ないようにさせ、ぎゃふんと言わせればいいのだ。「民主化せよ」と語れば、「あなたを幸せにしてあげたい」と語りながら、議論に勝つことになる。
これこそが、利口な人のやることだ。
( ※ なお、議論に勝つことが目的ではない。まさしく中国を民主化することが目的だ。)
( ※ 本項で言おうとしていることは、「小手先の外交戦略なんかは駄目だ。本質的な措置を取れ」ということだ。いくら外交戦略を上手にとっても、中国が民主化されない限り、無駄となる。本質を考えるべきなのだ。)
[ 付記 ]
「どうやって民主化するか?」
という問題に答えよう。
単に「民主化しろ」と言うだけでは無効だろう。「民主化しない国には経済制裁」という法律を作って、輸入課徴金をかければいい。前項と同様だ。
当然だが、一国だけでやっても意味がない。日本・米国・欧州・韓国などといっしょに実行する必要がある。
当然、中国は反発するだろうが、中国の顔色ばかりうかがうのは、いい加減やめた方がいいだろう。もはや中国は「かわいそうな途上国」ではなくて、危険な国になったのだから。
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(1) 和訳
http://twitter.com/#!/ogawat/status/25116025159
韓寒:もしも私が今日唐福珍や謝朝平のためにデモできるのなら、明日はきっと釣魚島とオリンピックの聖火リレーのためにデモをするだろう。しかし、これもまた曖昧な言い方になるが、唐福珍や謝朝平のためにデモできる時には、釣魚島やらオリンピックトーチの類の事件など起きないのだ。
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(2) 朝日の記事
http://www.asahi.com/special/senkaku/TKY201010160149.html
反日デモは政府に踊らされたマスゲーム――。尖閣諸島沖の衝突事件で日中の緊張が高まった先月、中国の若手人気作家、韓寒さん(28)が自身のブログで発表した文章で、民族主義的な反日の動きを冷ややかに切り捨てた。
主張を貫くのは、中国国内に多くの矛盾を抱える中、政府が外国と対立するたびに庶民が「愛国」を叫ぶことへの疑問と、政治には踊らされないという冷めた視線だ。
政府の土地開発で立ち退きを迫られて抗議の自殺をした庶民や、当局に拘束された作家の名前を挙げ、「もし唐福珍や謝朝平のためのデモをすることができるなら、釣魚島や(妨害された北京)五輪聖火リレーのために自分もデモに参加しよう」とした。
誰でも知っているように人民解放軍は台湾の近くに戦力を集中させています。
台湾が独立してもいい。というか台湾の独立を中国側が承認できるのであれば、そもそも中国共産党の一党独裁にならなくてもいいような気がしてなりません。
台湾の独立を認める人間が中国国内にもし増えたらどうしようか、というおそれが中国共産党の内部にあり、一党独裁にならざるを得ないのではないかという気がします。
人民解放軍は中国共産党の軍事部門のようですから、中国共産党が政権から引き摺り下ろされたら、存在意義を失うかもしれませんね。
そうなったら、台湾への軍事的な狙いも消滅する可能性がある。それは台湾にとっても周辺諸国にとってもありがたいのですが、中国共産党は現在台湾へ向けている兵力を消滅させたくはないだろうから、政権を他の党に譲ることはないような気がします。
どうでしょうか。
私は中台問題にはほぼ無知ですが、中国が民主化できないのは台湾問題があるからのような気がしてならないのです。それが思い過ごしなら、それでいいでしょうけども。
別に民主化しなくたっていいんです。要求するだけでいい。要求に従わなければ制裁の名分が立つ、というのが大事。