◆ 円高と関税(FTA):  nando ブログ

2010年11月06日

◆ 円高と関税(FTA)

 円高が問題になっているが、関税の方が問題だ。EU では 10%の関税がかかっている。韓国がFTAを締結したので、韓国は免税となった。日本はライバルの 韓国との競争で圧倒的に不利になった。

 ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2010-10-19 です。)

 
 韓国がFTAを締結した件は、先に報道されたとおりだ。
  → EUと韓国がFTA締結 (ブルームバーグ)
  → FTA:EU、韓国と締結 (毎日新聞)
  → FTA交渉推進を求める声は切実 (毎日新聞)

 とすれば、対策は簡単だ。日本もEUとFTA(自由貿易協定)を結べばいい。
 しかし、できない。では、なぜ?

 ──

 それは、農業保護のためだ。欧州から日本への輸出には、農産物が多い。ワインとか、チーズとか、チューリップとか。ところがその農業分野で、高率関税や輸入制限がある。
 とすれば、この分野で関税を撤廃すれば、日本も欧州に対して関税撤廃を要求できる。ところが日本は、農業の保護をやめられない。そのせいで、工業が 10%の高関税という不利益をこうむる。
 これが自民党ならば、農業正当なのだから仕方ないが、民主党でさえ、このありさまだ。情けない。
 日本が農業で得る利益など、たかが知れている。(というか、利益を上げていない。日本の農業は構造赤字であり、国の補助金でかろうじて生きているだけだ。)
 日本は、小さな利益(実は損失)を守るために、巨額の利益を失っている。どうでもいい農業を守るために、輸出産業で莫大な損失をこうむっている。
 その損失額は? いろいろと試算があるが、「輸出品にかかる関税額」にだいたい等しいかもしれない。つまり、輸出額の 10%だ。その金を、欧州政府が歳入としてもらっている。日本が損して、欧州がもらっている。
 一方、日本が輸入農産物の関税で得る金など、たかが知れている。損ばかりが巨額で、利益はほとんどない。

 というわけで、実に愚の骨頂である。「円高が大変だ」などと騒いでいる暇があったら、FTAの方で騒ぐ方がいい。円高ならば、輸入原料の値下げという効果があるが、関税の場合には、丸損だからだ。



 【 補説 】
 じゃ、農業の輸入制限をなくすには、どうすればいいか?
 その方法を私が示す。簡単に言えば、次のことだ。
 「農業生産者の土地を、国が買い上げる。その補償金として、所得補償になる年金を終身保証する。ただし高齢者のみ」

 たとえば、65歳以上の高齢者に限って、土地を買い上げて、その分、終身年金を与える。金額は、土地の面積に応じて変動するが、正比例ではない。公正な額を適当に決める。
 例として、価格を示そう。(農産物の価格は国際価格で計算する。)

 (1) 従来
 50万円分(国債価格で)の農産物を生産する。補助金や貿易保護によって 100万円の所得を与えてもらう。つまり、50万円の生産をしたところへ、制度によって 100万円を上乗せされ、計 150万円の所得を得る。
 (2) 今後
 終身年金として 100万円をもらう。そのあとは、二者択一だ。
  ・ 農業生産をやめて、出稼ぎで 300万円を稼ぐ。
  ・ 農業生産を続ける。国から広い農地を借りて、300万円の生産と所得。
     (補助金などはなし。国際価格で生産して販売する。)
 農業生産をしてもしなくても、終身年金 100万円が加算され、計 400万円の所得。
 なお、いずれの場合も、農業の輸入は自由化かされているので、市場価格は下がる。
 
 ──

 こうして制度変更した場合、政府の支出額(農業終身年金費)は、大幅に増える。その分、国民にとっては増税となる。しかしながら、国民は農産物を国際価格で買えるので、農産物の価格が大幅に低下するメリットを受ける。
 例。消費税は 15%に大幅アップ。一方、農産物の価格が大幅に低下するので、食費は大幅に下がる。エンゲル係数の高い低所得者ほど恩恵を受ける。

 これで、めでたしめでたし、となる。
 なお、FTAの締結により、輸出が増えるので、その分、農業従事者を雇用できる。

( ※ 何だか話がうますぎるように見えるが、別に、うまい話ではない。普通に戻すだけのことだ。一方、輸入制限という市場原理の否定は、ものすごくコストが高く付く。その馬鹿げたコストをなくすだけのことだ。……異常な状況に慣れていると、当り前の状況が「すごくうまい話」に見えるだけのことだ。)



 [ 付記1 ]
 農家への所得補償は、農家(だけ)にとって有利とは言えない。次の事例がある。
 農家への所得補償をしたら、その分、農家は値切られて、市中の農産物の価格が下がった。農家への所得補償は、農家を豊かにするのではなく、消費者の財布を豊かにした。下記に新聞記事がある。
 農家への戸別所得補償制度が始まったことで、補償分を見込んだ業者らからの値下げ圧力も強まっている。
( → 朝日新聞 2010-10-18
 おもしろいですね。経済というのは、巡り巡る関係にある。そのことが、この記事からもわかる。

 [ 付記2 ]
 「農業終身年金」というのは、永続しない。現在の高齢者が死亡した時点で、打ち切りとなる。したがって、農業のための対策費は、あと 20年ぐらいで大半は打ち切りとなる。40年もすれば、ほぼゼロに近くなるだろう。そのあとでは、少数の農民が自立して、大規模農業を行なうだろう。国の財政支援額は、将来的にはゼロとなる。
 一方、現状のような「農業支援」を続けると、小規模の農家が大量にいて、いつまでもダラダラと国からの支援を受ける、というふうになる。国の財政支援額は、無限大となる。(底の抜けたバケツにいつまでも水を注ぎ続けるようなものだ。無駄の極み。)





posted by 管理人 at 21:19 | Comment(1) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
今回『 円高と関税(FTA)』のブログをWEBRONZAテーマページにリンクさせていただきました。
不都合な場合、WEBRONZA@asahi.comにご連絡ください。
宜しくお願い致します。

WEBRONZA編集部
Posted by WEBRONZA編集部 at 2010年10月22日 19:49
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