◆ デフレの正体:  nando ブログ

2010年11月02日

◆ デフレの正体

 デフレの本質は、何か? 「現役世代が減ったからだ」という説もある。(書籍)
 それは正しいか? それが正しくないとすれば、正解は何か? 

 ──
  
 本項は書籍を切り口にして論じる。(書籍紹介とは違う。)
 
 「デフレの正体」という書籍がある。デフレの理由を、「高齢者が増えて、現役世代が減ったからだ」と見なす説。
  → デフレの正体 経済は「人口の波」で動く

 著者はこう言う。
 「高齢者が貯蓄ばかりして、若い世代が消費しないから、景気は悪化した。だから高齢者から若い世代へ所得とを移せば、景気は回復する」
 しかしこの発想は、経済学を知らない、素人の発想だ。経済学のイロハでは、次のことを教える。
 「高齢者が貯蓄をすることは、まったく問題ない。むしろ、必要なことだ。貯蓄は、金融市場を通じて、投資の金となる。(それを介在するのが銀行だ。)仮に、貯蓄がなければ、投資をする金もなくなり、経済成長は不可能となる」
 
 日本が不況なのは、高齢者が貯蓄ばかりして、消費しないからではない。高齢者が貯蓄した金を、企業が投資しないからだ。そして、企業が投資しないのは、総需要(消費)が縮小しているからだ。
 このことは、経済学の初歩であり、経済学を学ぶ人ならば誰もが知っている。しかし、その初歩さえも知らずに、「高齢者が貯蓄ばかりして、若い世代が消費しないから、景気は悪化した」なんて語るようでは、素人のトンデモ学説でしかない。
  → 「デフレの正体」の著者はトンデモさん?

 ──

 この本の著者が間違っていることは、別のことからも簡単にわかる。
 仮に著者の主張することが正しいとしたら、生産せずに消費する高齢者が多く、生産する若者が多いのだから、日本は人手不足の状態になっていたはずだし、供給不足の状態(インフレ)になっていたはずだ。ところが現実は、人手不足とは逆で失業者があふれ、供給は不足するどころか余剰の状態(デフレ)である。
 つまり、著者の主張は「絶対量の伸びが低いこと」を説明できても、「需要不足であるデフレ」になることを説明できていない。この本の主張は、「デフレはなぜか」ではなくて、「低成長はなぜか」ということでしかない。
 経済学的に言えば、低成長とデフレとは異なる。この違いを、著者はまったく理解できていない。よほどの経済学音痴なのだろう。まったく見当違いのことをタイトルにしているのだから。

 ──

 この本のいかがわしさは、すでに本質を示した。他に、個別に示すこともできる。たとえば、Amazon の読者批評から要旨を抜粋すると、次の通り。
 著者が繰り返しデータを示しながら主張しているのは、"率だけをみてはいけない、絶対量の増減をみよ"ということ。
 例えば、一人当たり所得では地域の景気はわからない、所得総額を見よ。生産性を向上しても付加価値額の減少を補えない。出生率を上げても人口動態を動かすことにはならない。外国人労働者の受け入れを加速しても、生産年齢人口の減少を補うにはほど遠い。等々。
 そして、その率の変化では補えない絶対額の変化を左右するのは人口動態、つまり生産年齢人口の減少と高齢者人口の増加。
 端的に言えば、消費をリードする若い世代がお金を持たず、多くの金融資産は消費意欲の低い高齢者が持つ。その結果内需は低迷し経済も停滞する、と。

 この本への批判としては、アマゾンの読者批評もあるので、引用しよう。
 人口の波がデフレの真因であるとするなら、日本と同じ高齢化問題を抱える国は、日本同様に長期デフレに悩まされているはずです。しかし、ドイツにせよイタリアにせよ、日本のような長期デフレ現象は全く生じていません。
 著者の説明によれば、人口の波によるデフレはちょっとやそっとの景気対策では改善できないはずですから、こうした諸外国のケースへの説明が必要でしょう。
 外国には当てはまらないのだから、間違いであるということは簡単にわかる。
 また、人口を理由とするなら、「原理的に解決不可能」という結論になる。現実をろくに知らないまま、勝手に悲観的な結論を出している。
 それはいわば、チリ落盤事故で、作業員らが「救助不可能」という結論を出したあげく、集団自殺するようなものだ。地上からの救援が到着したら、「そのときには集団自殺の遺体だけ。自殺の理由は失望」というようなものだ。
 こういう「原理的に解決不可能」という結論は、有害この上ない。(著者は対症療法みたいな解決案を出しているが、それは原理を否定するほどのものではない。)

 ──

 この本では、「デフレの理由は、生産性の向上がないことだ」という古典派の説を否定しているが、まあ、そのことは妥当だろう。(生産性の向上がないことは、供給不足[= インフレ]を意味するのであり、需要不足[= デフレ]を意味するのではない。)
 しかし、「生産性の向上が大切だ」なんてことはすでに構造改革時代になされた。
 「構造改革によって生産性の向上」
 という形の、経済実験。その結果は、
 「生産性の向上のために、企業はリストラを推進して、企業の収益だけは向上させた。しかしその代償として、日本の GDP を大幅に縮小させた」
 この意味で、「生産性の向上が大切だ」という説は間違いだ。しかし、古典派が間違っているからと言って、本書のが正しいことにはならない。他人の間違いを否定したあとで、自分が別の間違いを出すだけだ。
 
 ──

 これほどにも低レベルな本であるにもかかわらず、日経BP というサイトでは、この本が、「小飼弾が選ぶ上半期の新書ベストワン」に選ばれている。
  → 日経BP
 しかしそのことは、本書が正しいことを意味しない。紹介者の(経済学についての)認識レベルを示すだけだ。
 
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 ここから先は、いよいよ本論の本題に入る。
 上記の本が間違っているとしたら、正解は何なのか? つまり、デフレの正体は、何なのか? それに答えよう。

 デフレになる理由は、消費性向の急激な低下である。(ただしその前に、消費性向の急激な上昇[= バブル]があったことが、問題を悪化させる根本原因だった。)
 デフレが続く理由は、デフレになる理由とは別だ。それは、「縮小均衡」だ。ここでは、消費性向が現状維持を続けること自体が、デフレが続く理由となる。

 比喩的に言おう。
 地表から地下に落ちるには、何らかの特別な理由がある。(たとえば、落とし穴に落ちるとか、地下への階段を下るとか。)……それが「バブル破裂」とか「消費性向低下」とかの特別な理由だ。
 地下に居続けるには、特別な理由は必要ない。「何もしない」という方針を取るだけで、「現状維持」という状況が続く。……それが「縮小均衡」という状況だ。
 
 ──

 縮小均衡という状況では、需要も供給も縮小している。そのせいで、失業者が増え、被雇用者は少なくなる。
 これを見て勘違いした人々が、「労働人口が少ないから、被雇用者が減っているのだ」と思い込む。

 しかし、「労働人口が少ない」というのが理由であれば、経済状況は「デフレ」ではなく「インフレ」になるはずだ。
  労働者不足 → 失業解消・人手不足 → 賃金上昇 → インフレ

 という形で、コスト・プッシュ・インフレが起こるはずだ。かつて 60年代や 70年代にはそういうことが起こった。
 要するに、筆者の説明は、「デフレ」の説明にはならない。「インフレ」の説明になるだけだ。つまり、話の方向が正反対だ。

 著者は、規模の縮小を説明しようとして、「労働の供給不足」を理由にしたが、それはまったくの勘違いである。
 規模の縮小の理由は、「労働の供給不足」ではなく、「労働の需要」でもない。別のことだ。(以下で説明する。)

 ──

 実際はどうか? 労働人口が減っているのではなく、労働人口に関係なく被雇用者(= 現実の労働者)が減っているのだ。労働市場において、求職者(労働者)よりも、求人が減っているのだ。
( ※ 換言すれば、労働力の稼働率が下がっている、ということ。労働力が足りないのではなくて、その稼働率が下がっているだけだ。)

 そして、その理由は、経済全体が縮小していることだ。つまり、縮小均衡だ。

 縮小均衡という概念を理解すれば、デフレが続くことの本当の理由がわかる。その理由は、何か特別な理由ではない。「何もしないでいること」だけだ。縮小均衡という状態は、それ自体が均衡状態であり、安定的である。何もしなければ、いつまでもそこから脱せない。だから日本は 20年間も不況が続く。

 要するに、「デフレが続くのは何か特別な理由があるからだろう」と思って理由を探すこと自体が、間違っている。
 「デフレが続くことの特別な理由は、何か?」
 という問題は、問題自体が間違っている。その問題への正解は、
 「解なし。特別な理由は存在しない」
 である。

 比喩的に言おう。サラダボウルのような凹型の器に、パチンコ玉が入っている。パチンコ玉はサラダボウルの外に出られない。その理由は、何か? 別に特別な理由はない。その状態が安定的だから、その状態に留まるだけだ。「パチンコ玉を押さえつけている特別な理由は何か」と思って探しても、そんな特別な理由は存在しないのである。
 それが「縮小均衡」ということだ。

 ──

 縮小均衡という状況を脱するには、どうすればいいか? 
 「縮小均衡を維持させる特別な理由を除去すればいい」
 と思う人が多いようだが、それは完璧な間違いだ。
 正しくは、
 「縮小均衡から脱するための特別な措置を取ればいい」
 となる。そして、それは、「最初の一撃」「最初にドカン」というような言葉で、すでに説明している。( → 該当項目

 比喩的に言えば、落とし穴に落ちた人を地下から地表に戻すには、そのための特別な力を加えればいい。たとえば、たとえば、巨大なジャンプ力を与える器具を使うというふうな。あるいは、上からロープで引き上げるとか。……いずれにせよ、特別な力を必要とする。
 では、その力は、どうすれば得られるか? 地下にいる人には、力もないし、道具もない。その場合は、地上の人に力を借りるしかない。ただし、黙っていても、地上の人は力を貸してくれない。そこで、対策は、ただ一つ。こうだ。
 「地上の人に、力を貸してもらう。そして、地上に出たあとで、力を貸してもらったことの代金を支払う」
 簡単に言えば、
 「未来の人々からお金を貸してもらって、不況を脱する。そして、景気が回復したあとに、働いて、借金を返す」
 これ以外には、解決策はない。そして、こうすれば、解決は可能だ。ここでは、絶望は禁物だ。
 「解決策はないさ。地下には現役世代が少なくて、老人がいっぱいいるの理由だ。老人が死ぬまで待つか、老人を殺すか、どちらかにしなくては、われわれは救われない」
 と思うようでは、とんでもない間違いだ。

 間違いでなく、正しい措置を取れば、全員が救われる。必要なのは、絶望ではなく、ただの楽観でもなく、正しい知恵だ。




 《 続編 》

 
      朝日新聞( 2011-01-15 )に著者へのインタビュー記事があったので、
      この記事について新たに論じる。

 
 要旨を述べよう。著者の主張は次の通り。
  1. 経済弱体化の理由は、国際競争力の減退ではない。実際、日本の輸出額はバブル期に比べて倍増している。
  2. 経済弱体化の理由は、内需の縮小である。
  3. 経済成長の低迷は、景気変動とは関係なく、生産年齢の減少に連動している。現役世代の需要が縮小しているので、内需が縮小する。
  4. 内需の縮小のせいで、供給過剰となり、値崩れが起こる。これはマクロ的なデフレではなく、ミクロ的な値崩れである。
  5. この問題を解決するには、高齢者から若い世代へと所得移転をすればいい。そうすれば、消費性向の高い若い世代の需要が増えるので、結婚難の問題も解決し、少子化の問題も解決し、生産年齢の人口も増える。
 あまりにも馬鹿馬鹿しい理屈に、目もくらむほどだ。以下、個別に批判しよう。
  1. 「経済弱体化の理由は、国際競争力の減退ではない」というのは、正しい。実際、国際競争力の強化のために法人税減税や規制緩和などが言われているが、それは見当違いであろう。
  2. 「経済弱体化の理由は、内需の縮小である」というのも、正しい。(ただし、正しいのはここまでだ。)
  3. 「現役世代の需要が縮小しているので、内需が縮小する」というのは、正しくない。現役世代では、人口が減っているのだから、需要も供給も減っている。この点は需要減少に影響しない。むしろ、生産しないで需要だけのある高齢者が増えていることは、供給不足というインフレ要因となる。(本項前半で述べたとおり。)
  4. 「内需の縮小のせいで、供給過剰となり、値崩れが起こる。これはマクロ的なデフレではなく、ミクロ的な値崩れである」……マクロ経済学のイロハを知らない阿呆。総需要の縮小で値崩れが起こるのは、マクロ的な現象である。ただ、ミクロ的な市場原理と共通する原理がある、というだけのことだ。(ミクロとマクロの区別もつかないようですね。無知。)
  5. 「この問題を解決するには、高齢者から若い世代へと所得移転をすればいい。そうすれば、消費性向の高い若い世代の需要が増えるので、結婚難の問題も解決し、少子化の問題も解決し、生産年齢の人口も増える」……という論理には、頭が痛くなる。詳しくは下記。
 最後の点が問題だ。高齢者の所得を若手に移せば、今度は高齢者の所得が減少するから、総需要は増えない。総生産も増えない。単に老人の餓死者が増えるだけだ。(生活レベルはお年寄りの方が低いのが普通だからだ。)
 老人が消費力が少ないのは、老人の消費力が低いからではなく、老人の経済力が弱いからだ。ここを逆にとらえて、老人の金を奪うというのは、気違いじみている。「貧乏人は消費が少ない。それは貧乏人が金を貯め込んでいて、金持ちだからだ。だから貧乏人からいっぱい増税すればいい」という理屈。「貧乏人は金持ちだ」という矛盾を内在する屁理屈。狂気の沙汰だ。
 そもそも、人は、現役世代には働いて貯蓄する。高齢者になったら、貯蓄を取り崩す。と同時に、生活水準も下げる。……これが当り前だ。老人の消費力が低いのは、老人が豊かだからではなく、老人が貧しいからだ。こんなことも理解できない人は、経済を考える資格がない。
 実を言うと、消費性向は、若者よりも高齢者の方が高い。なぜなら、高齢者は所得が年金しかないことが多いからだ。もらった年金の全額を使い、さらに、貯蓄を取り崩す。消費性向は 1 という値を上回る。これは、どんどん貯金している現役世代よりも、消費性向が高い、ということを意味する。「消費性向」という言葉を知っていても、その実態を理解できない阿呆は、どうしようもない。

 ──

 経済学的に考えよう。
 不況を解決するには、マクロ的な原理が必要となる。つまり、「縮小均衡」という状況を脱して、「拡大均衡」という状況に持ち込むことだ。需要も縮小も拡大することで、マクロ的な均衡点を移動させる(生産量を増やす)ことだ。
 「貧乏人が消費しないのなら、貧乏人の金を奪え。そうすれば景気回復する」
 なんていう理屈は、有害以外の何物でもない。



 【 関連項目 】

 本項で述べたのは、デフレであり続けることの原理。(穴に落ちたままでいる原理。)
 一方、デフレになる原理については、下記項目で示した。(穴に落ちる原理。)

  → 不況の原理(デフレの原理)

 なお、この著者がいかに間違っているかについては、後日また書き足した。次の項目。
  → 消費性向を高めるには

 また、若者と高齢者の損得については、別途、次の項目で解説している。
  → 高齢者の損得

 
posted by 管理人 at 18:59 | Comment(7) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
わたしには、バブルで投資したこともない小心物なのでバブルがデフレの原因であることすらも見当がつきません。
このような頭で心配になってきました・・・
Posted by kozima at 2010年11月02日 21:11
 大半の経済学者や政治家も同様ですから、悲観するには及びません。無知の知があるだけ、彼らよりは利口でしょう。
Posted by 管理人 at 2010年11月02日 21:42
 後半に続編を加筆しました。 タイムスタンプは上記 ↑
Posted by 管理人 at 2011年01月15日 08:59
「デフレの正体」を最近読んで感銘を受けたひとりです。しかし、経済のことはまったくの門外漢。実は「本当かな?」という思いはつきまとっています。

さて、この本は「デフレ」そのものがどうかより、日本の現状の把握とどうすればいいのかということを人口の波という視点から見るというのがポイントだと思われます。

そこで、「生産せずに消費する高齢者が多く、生産する若者が多いのだから、日本は人手不足の状態になっていたはずだし」ということについて、筆者は、バブル崩壊直後ではなく97-02年頃からさまざまな消費量が減って(需要が減って)いることが先に立っていることを指摘しています。

「バブル」があったとは言え需要がそこまで減り続けた原因はなんなのでしょうか。

何もしないから「縮小均衡」になることは理解できるのですが、「均衡」したらそのまま価格は安定するのではないでしょうか。デフレが続くということはさらに下がり続けている、つまり縮小し続けているわけでそれは「均衡」ではなく、「均衡点を探し続けてしぼんでいる」状態を言うのではないでしょうか。つまり「不況の原理」のページで言う「A点に収束する」はずのA点がいつまでも下がり続けているように思えてなりません。

また、筆者は貧乏人の老人から金を奪えとは言って無く、「使われない巨大な資産」を若者にスムーズに移せるように例えば生前贈与を促進させるなどを上げているだけだと思います。
Posted by n_shimizu at 2011年02月14日 12:32
> 97-02年頃からさまざまな消費量が減って(需要が減って)いることが先に立っていることを指摘しています。
>「バブル」があったとは言え需要がそこまで減り続けた原因はなんなのでしょうか。

統計データを勝手に操作しているからです。正しいデータは下記。
 → http://www.garbagenews.net/archives/1060924.html

このうち、「実質値」を見ればプラスになるが、「名目値」を見れば半分ぐらいがマイナス。(それでもまあ、トントンだから、縮小均衡で安定しているとは言える。)

ここで、97年から数年間のどん底期だけを見て、しかも「名目値」だけを見れば、マイナス値がどんどん進行しているように見えます。データのつまみ食いだから。

比喩的に言うと、「日本の天気は?」と訊かれて、梅雨期の八丈島の天気ばかりを見て、「雨ばっかりです」と答えるようなものだ。他の時期の他の場所の天気をすべて無視して、雨の日のデータばかりを選んで、勝手にデータのつまみ食いをしている。

需要は減っているんじゃなくて、増えていないんですよ。それだけ。
そして、増えていない理由は、「所得が増えていないから」です。「所得が増えないから需要も増えない」という状況は、「縮小均衡」という概念で示されます。

> 「均衡」したらそのまま価格は安定するのではないでしょうか。

均衡とはミクロ的な需給の均衡ではありません。マクロ的な「生産量の停滞」のことです。つまり「所得と支出」が一定値で安定している状況です。その逆が、「貯蓄過剰」(需要不足)または「貯蓄不足(過剰消費)の状況であり、いずれも安定ではなくて変動します。

なお、現状において物価が下落していることの理由は、生産性の向上です。食料品などの価格は上がっているが、自動車やパソコンの性能は上がっています。そして性能の向上が価格の低下に換算されているだけです。実際には液晶テレビの価格が少し上昇しても、画面サイズが大きくなったり機能が向上したりするせいで、性能は向上します。すると旧製品は売れ残り品となって旧製品となって投げ売りされるので、物価調査では物価下落というデータが出ます。実際に買う商品の価格はどんどん上昇しても、性能が向上すれば物価データは下落するのです。それだけ。
 現実に意味を持つのは、賃金水準です。それはほとんど不変でしょう。ただ、賃金水準は不変でも、自動車などの品質が向上していくので、生活レベルは少しずつ向上します。

> 筆者は貧乏人の老人から金を奪えとは言って無く、「使われない巨大な資産」を若者にスムーズに移せるように例えば生前贈与を促進させるなどを上げているだけだ

同じことでしょ。生前贈与を推進すれば、金持ちの孫が貧乏な祖父母から財産を強奪するようになります。老人が貯蓄を持っているのは、自分が無収入だから、将来のために財産を保存しているだけです。それは死んだあとでようやく、遺族のものになります。なのに、生きているうちに老人のものを奪うように推進しよう、という発想そのものが、あまりにも卑しいんですよ。著者にせよ、著者の賛同者にせよ、地獄の餓鬼のように卑しい。屍体の肉を食うかわりに、生きた老人の肉を食おうとする。恥を知れ、と言ってやりたい。

若者がなすべきことは、財産はあるが貧しい生活をしている祖父母の貯蓄を食いつぶすことではなく、自分の財産をつぶして祖父母の生活を豊かにして上げることです。金を使いたければ、祖父母のために、おいしい食事のレストランにでも招いたらどうですか? そういう発想もできないなんて、人間として最低。…… この件は、下記に詳しい。
 → http://nando.seesaa.net/article/96388372.html

 著者がいかに経済音痴かは、下記でも説明している。
 → http://nando.seesaa.net/article/182434394.html
 
Posted by 管理人 at 2011年02月14日 20:56
 例の著者への批判がネット上にあるので、紹介しておこう。以下、引用。

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日本は破産しない!(オフィシャルページ)さん
人口デフレ論の家元こと藻谷浩介氏が、PHPの雑誌Voice12月号に「人口が減れば需要が減るのは当然」という文章を寄せています。その文章の中で彼は次のように述べています。

(以下、Voice12月号77ページより引用)
拙論を、「人口減少がデフレの原因であるとのトンデモ説」「日本と同じく生産人口が減っているロシアや東欧ではデフレは起きていない」とする批判もある。しかし筆者は、「いま起きているのはマクロ経済学上のデフレではなくて、ミクロ経済学上の現象、すななわちクルマや家電、住宅など、主として現役世代にしか消費されない商品の、生産年齢人口=消費者の頭数の現象に伴う値崩れだ」と指摘しているのだから、これらはまったく的外れだ。
(引用終わり)

藻谷氏は「マクロ経済学上のデフレ」の問題は扱っていないとのことです。ということは、『デフレの正体(角川oneテーマ新書)』のタイトルは間違いだったということをあっさりと認めてしまったということになります。この潔さには脱帽しました。

また、「クルマや家電、住宅などの値崩れ」というのは相対価格の値下がりであって、モノの値段全体(一般物価)が値下がりするデフレの定義には当てはまりません。デフレかどうかを判断するのは「クルマや家電、住宅などの値崩れ」ではなく、消費者物価指数の前年同月比が2年以上連続して下落しているかどうかというのが経済学上の正しい定義です。「クルマや家電、住宅などの値崩れ」のメカニズムを解き明かしてもそれは「デフレの正体」を解き明かしたことにはなりません。本人はそれを最初から分かっていたと主張している訳ですから、これもまた大変潔い態度ですね。

自分で何を言っているのか分かっているのか、他人事ながら多少不安になりましたが、本人が雑誌で堂々と発表している訳ですから、その勇気を称えたいと思います。

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 → http://www.facebook.com/topic.php?uid=138204499560943&topic=156
Posted by 管理人 at 2011年02月14日 21:15
 コメント受付を停止します。
Posted by 管理人 at 2011年02月23日 13:15