◆ 北方領土の解決策:  nando ブログ

2012年03月03日

◆ 北方領土の解決策

 北方領土の問題を解決するには、どうすればいいか? 難しい問題に見えるが、詳しく分析すると、問題を解きほぐせる。問題の核心を理解すれば、合意は十分可能だ。

 ──
  
 北方領土についてプーチン首相が解決の意向を示した。
  → プーチン氏、北方領土「最終解決目指したい」
 そこで、この件について、ちょっと調べてみた。

 日本側の歯舞・色丹は問題ではないから、残りは国後と択捉だ。この二島は、数は二つだが、面積では圧倒的に広い。「返せ」と言っても、面積的には「9割ぐらいを寄越せ」と言っているわけだ。ちょっと考えると、とても解決が付きそうにない。

 しかし、実状を調べると、そうでもないとわかった。
  → Wikipedia 「国後」
  → Wikipedia 「択捉」
 
 国後で人家があるのは、古釜布(ユジノクリリスク)とその周辺だけ。人口 6,801人。
 択捉で人家があるのは、紗那(クリリスク)および小村落だけ。人口 6,739人。
 二つの島を見ても、村落となっている地域はごく限られている。
  
 で、それ以外の大部分の土地はどうなっているかというと、開発禁止の自然保護地域となっており、人間は立ち入れない。無人地帯。
 ついでに言うと、面積は、国後が東京都の3分の2ぐらいで、択捉は東京都の5割増し。これほど広い面積に、総計1万人余りの人口しかなくて、大部分は無人地帯となっているのだ。(重要!)
  


大きな地図で見る

 地図を航空写真で見るとわかるように、国後・択捉の大部分は、山岳地域である。平地部はごくわずかだ。その限られた平地部のごく一部に、人家がある。

 
 ──

 以上からわかるように、国後・択捉のほとんどの領域は、まったく利用されていない。しかも、それは、現時点だけのことではない。将来もだ。仮に日本に返還されたとしても、日本としても利用価値はない。というか、利用するべきでない。(自然保護地域として保全するべき。)
 要するに、国後と択捉の大部分の地域は、ロシアにとっても日本にとっても利用価値はないのだ。どちらの領土になったとしても、そこに国民は入れない。そこを利用するのは、ロシア人でもなく、日本人でもなく、熊や鳥や鮭などの動物類だけだ。

 では、両国の間で何が問題となっているか? 「領有権」という名目的なものと、「漁業権」という小規模の実利だけだ。
 となると、これらについては、容易に解決が付く。
 (1) 領有権については、名目的な問題なので、日本が名目的にもらい受ける。
  ( ※ その意味はせいぜい地図に「日本領」と記されることぐらいだ。)
 (2) 実効支配については、ロシアにも権利を認める。次の形で。
  ・ 自然保護地域については「誰もが立ち入り禁止」とする。
   「日本とロシアの双方の合意」があった場合のみ、禁止が解除される。
  ・ 現在の居住区域については、ロシア人の居住を認める。


 以上のすべてを解決する具体的な方法として、次のことを提案する。
 「領有権については日本がもつが、民法的な土地所有権はロシア人(個人)がもつ」

 ロシア人は、個人として土地を保有して、そこに現状のまま居住できる。ただし領有権は日本が持つから、ロシア人は在日外国人の扱いとなって、日本政府に納税しなくてはならない。
 さて。このような経済活動があるが、その総計は、ロシア人1万人分程度であるから、両国の経済規模からして、ほとんど無視できる小ささだ。この問題は、金の問題であり、どうとでも解決が付く。

 つまり、北方領土で合意できないでいる部分(対立している部分)を突き詰めると、ごく小規模の経済問題だけがある、とわかる。そして、そのようなごく小規模な問題は、十分に解決が可能なのだ。
( ※ 実利的には。)

 ── 
 
 ただし、以上の案では、(少なくとも名目的には)ロシアの一方的な譲歩となるから、ロシアとしては受け入れがたいだろう。
 また、金銭的に解決するという方針は、ロシアとしては気分的に受け入れがたい。(ロシアは今は金持ちだ。金を恵んでほしいとは思っていない。ある程度の補償金をもらうとしても、たいした効果はない。ソ連崩壊のころの貧しいロシアとは違う。)

 そこで、ロシアにメリットを与える必要がある。どんな? 次のことを提案しよう。
 「サハリンなどの天然ガスを開発して、長期的に日本に導入する。政治的な安定を理由として、日本としても積極的に購入する。また、政府の支援で、莫大な投資も推進する.日本からロシアに超巨額の資金を送り、かわりに、大量の天然ガスをもらう」
 「日本政府はあらかじめロシアの都市部で大量の土地を購入しておく。モスクワやペテルブルグなどで。それらの土地を、領土問題解決後に、平和公園という名分でロシア市民に贈与する」(1000億円規模)


 以上をロシア市民の側から見ると、次のようになる。
 「身近にたくさんの広い美しい公園ができて、嬉しい。万歳。おまけに、天然ガスの開発で、たくさんの経済的メリットが得られる。お金の面でもすごく豊かになる。単に金を恵んでもらうのは乞食みたいで腹が立つが、互恵の形で経済繁栄に協力してもらうのなら、とてもありがたい。……公園と経済繁栄、両方得られるので、いいことずくめ」


 なお、ここで注意。
 「ロシア市民が金を得る」ことの理由は、「日本政府から金をもらうこと」ではなくて、「地下に眠っている資源を取り出すこと」つまり「宝を掘り出すこと」である。掘り出せなかった宝を掘り出すことで、金を得るわけだ。そして、それを可能にするのが、日本政府の資金と協力であるわけだ。
 
 ──

 結論。

 北方領土の解決は可能だ。その原則は、次の二点だ。
  ・ 両国はともに名分を捨てる。両国でなく「自然」が名分を得る。
  ・ 「自然」を開発することで、両国がともに「自然」から利益を得る。


 日本とロシアがたがいに「俺が取る」「いや、俺が取る」といがみ合っている限りは、妥協はできない。しかし第三者である「自然」を介入させて、「自然に与える」「自然から受け取る」という形にすれば、すべては丸く収まるのである。
( ※ 国後・択捉では、「自然に与える」となり、サハリンなどでは、「自然から受け取る」となる。)



 ※ 以下は細かな話。読まなくてもよい。

 [ 付記1 ]
 元島民の権利については? 補償金を与えるか、代替地を与えればいい。
 補償金は、こんな島ならばたいした額にはならない。代替地だって、場所はたっぷり余っている。どっちにしろ、たいした問題にはならない。
 
 なお、「土地などの所有権をすべてロシア側に渡したあとで、数年後に、日本政府が購入する」という方針も考えられる。その場合、たいした額を払わずに、土地を取り戻せる。また、取り戻せなくても、どうってことない。元島民が保有しようが、ロシア人が保有しようが、どっちでもいい。
( ※ すでに本土の土地は外国人がいくらでも保有できるし、実際にいくらか保有されている。対馬や大久保など。)

 [ 付記2 ]
 参考記事。
  北方領土問題を解決する提案。本項とは異なる案。
  (北方領土を、カムチャッカ半島の一部と交換する、というアイデア。)
    → 泉の波立ち 2011年2月11日
  
  ※ 本項の案に比べると、ロシアにとって、マイナスは大きく、プラスは小さい。
    実現の可能性は、十分ではなさそう。
  



 【 追記 】
 新たに別の案を提出する。
 「北方領土の共同保有」
 という案。

 「両国の共同の保有とする」
 「双方はそれぞれ人口2万人を限度として、居住し、経済活動をできる」
 「島の大部分は、自然保護区域として、人間は立ち入り禁止とする」
 「軍事利用は一切禁止」

 これならどっちも受け入れられるんじゃないの? 
 なお、対象とするのは、国後と択捉。歯舞と色丹は日本領とする。

 これと同時に、LNGのパイプラインなどの大型投資を実行する。
 win-win 関係ですね。
 
 (下記のコメント欄 2012年07月03日 でも示した。)
 
posted by 管理人 at 20:12 | Comment(11) | 政治 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
 人口の数を間違えたので、修正しました。
 細かな数字は、転写ミスだったので、全面的に変更しました。
 総人口は「1万人以下」と記しましたが、「1万人余り」「1万人程度」と改めました。
Posted by 管理人 at 2012年03月03日 22:42
 人口の新しいデータを得ようとしたが、よくわからなかった。ロシア語版の Wikipedia では、人口 Население  は、国後 8000 、択捉 6387  であるが、時点はいずれも 2007年。日本語版より1年しか新しくない。国後は人口増が大きいので、最近では1万人近くになっているかもしれない。それでも総計で2万人になることはあるまい。最新データで1万数千人とみていいだろう。
 ま、細かな数字なので、どっちでも大差はない。
Posted by 管理人 at 2012年03月04日 11:32
国後択捉は漁業が発展してるとか聞いたことがあったんですけど実際大して人が住んでないんですね。公園買収案はロシア側が反発すると思いますけどガスはパイプラインの建設含め、まだまだ進展余地があると思いますし交渉材料にもできると思います。
しかし私は国後以北はそもそもサ条約で放棄した領土なので領有権主張そのものが間違ってると思うんですけどいかがでしょうか。
Posted by ACL観戦中 at 2012年03月07日 19:49
>>ACL観戦中様
>国後以北はそもそもサ条約で放棄した領土
それは日本の立場に立って考えた場合の話。この条約に調印していないロシアの立場に立てば、極東地域の国境を定めた最新の条約は、日露戦争後のポーツマス条約まで遡るので、ロシアは北方四島どころか千島列島全体、南樺太さえ正式には領有していません。あくまで日本が放棄した後の、無主の地に対する、暫定統治。
それにサンフランシスコ講和条約だって、日本が千島と樺太を放棄すると謳われているだけで、その地をロシア(当時のソ連)が領有するなどとどこにも書かれていません。領有権主張が間違ってると言うなら、ロシアだって状況は同じ。
ですので、北方領土問題は、4島にとどまらず千島樺太全体の枠組みの中で考える事が重要。
例えば、日本が南樺太とウルップ島以北の千島を正式にロシア領と認める代わりに、択捉までの南千島4島は日本領とする、など。
内容的には実質完全に日本有利ですが、少なくとも、今の外務省の国際常識ゼロの主張から比べたら、私の提案はロシア側に日本の本気を感じさせる効果はあると思いますよ。
Posted by アルネチズン at 2012年03月07日 20:28
> サンフランシスコ講和条約だって、日本が千島と樺太を放棄すると謳われているだけで、その地をロシア(当時のソ連)が領有するなどとどこにも書かれていません。

 そうですね。だったら、千島と樺太を日本に返還してもらう、という方針もありそうです。
 サンフランシスコ講和条約を締結した相手が領有権を持つのならわかるが、サンフランシスコ講和条約の相手にソ連が入っていないのですから、ソ連がサンフランシスコ講和条約に基づいて何らかの権利を主張できるはずがありません。
 まずは「千島と樺太を返還せよ」と要求した上で、「引き分け」に持ち込むと良さそうです。それなら、千島全部を返してもらうこともできそうだ。
Posted by 管理人 at 2012年03月08日 18:51
 新たに別の案を提出する。
 「北方領土の共同保有」
 という案。

 「両国の共同の保有とする」
 「双方はそれぞれ人口2万人を限度として、居住し、経済活動をできる」
 「島の大部分は、自然保護区域として、人間は立ち入り禁止とする」
 「軍事利用は一切禁止」

 これならどっちも受け入れられるんじゃないの? 
 なお、対象とするのは、国後と択捉。歯舞と色丹は日本領とする。

 これと同時に、LNGのパイプラインなどの大型投資を実行する。

 win-win 関係ですね。

Posted by 管理人 at 2012年07月03日 21:10
あとは漁業権ですね。
Posted by 京都の人 at 2012年07月03日 23:34
 「紛争のときは五分五分で分ける」という発想がある。以下、引用。
 ──
 それではフィフティ・フィフティを北方領土にあてはめるとどうなるか。等分する対象は、島の数、島の面積をはじめ、いろいろなバリエーションが考えられますが、海域や経済的得失にも注目した場合、歯舞、色丹に加えて国後の返還が妥当だとして、日ロともに受け入れ可能な案として実質的に3島返還論を唱えます(160頁以下)。また、これに北方四島の非軍事化(170頁)や、和田春樹の主張する共同利用(173頁)を絡めるのもよいと言います。そして地元住民(191頁)も、その他の国民(227頁)もこのようなフィフティ・フィフティを受け入れる素地がすでにできていると調査結果をもとに主張します。
  → http://www6.plala.or.jp/Djehuti/703.htm

 ──

 これを見て検索したところ、和田春樹は竹島についても同様のことを主張しているそうだ。

 で、私自身は竹島について、何と主張していたか? こうだ。
  → http://nando.seesaa.net/article/103947415.html
 つまり、私は竹島についても、五分五分を主張していた。ただし「共同管理」ではなく、「分割管理」である。
 
Posted by 管理人 at 2012年07月04日 21:32
非常にいい案です。なぜこんな案を政治家が出せないのかが情けないくらい。
ただ、日本が領有権を持たず、ロシア領のままだが、出入りや居住は自由、
漁業も北方領土の経済水域内は自由(漁獲量とかは双方で決めないと資源が枯渇しちゃいますが)、
という案でも、日本としてはまだ受け入れられる範囲なのかとも思う。
とにかく、中国と本格的にもめる前に、ロシアを味方につけられるように
解決に向けて進めないと本格的にまずいでしょうね。
Posted by ラヴァ at 2012年07月13日 08:01
私も、独自に新聞などを分析して、「領有権を棚上げする」「ロシア側に、クリリスク・ユジノクリリスクの『施政権』を認める」「日本側にも、〈同価値〉の施政地を認める」「両島で非関税貿易を行なう」で基本的に合意できるという論文を書きましたが、発表差し止めになっています。ただ、これに近い線で決まると思います。
Posted by 水野正規 at 2012年07月25日 06:10
平和条約締結し、シヘリア開発、たとえば間宮海峡に鉄橋、橋、水門を構築しましょう。 下見、設計、施工管理は日本側の負担で実施し、労働者、土木資材はロシア負担で提案してはどうでしょう。 ロシアは雇用が増え、資材の購入で景気を少し押し上げます。
ロシアが資金難なら、円借款で対応しましょう。
そして、歯舞、色丹を返して貰いましょう。
次に、色丹と国後の南側と等価交換してもらいます。 地域活性化のため、日露協力して国後島を観光特区にし、ロシア島民の雇用を促します。 そして南側の日本地区にハワイアンズの姉妹店を開設しましょう。ショッピングセンター、ホテル、中古車センター、無料日本語学校もつくります。 国後島のロシア地区からはパスポートなし、関税なしで日本地区へ入国できます、さらにモスクワからLCC航空で国後島へくる観光客も大量に受け入れます。 
北海道と国後間に橋を架け、日本の観光バスを直接受け入れます、ただし橋のたもとでチェック後入島させます。
観光の目玉は日本語を話すロシア人スタッフです。
国後島民を大量に雇用して、ロシアで一番豊かな国民になってもらいます。
歯舞と国後の南側の一部が戻ってくれば、とりあえず領土問題は落ち着かせましょう。
地域活性化のため、ロシア島民の協力が必要です。
また交渉を進めるため、ロシア当局の視察団を日本へ招待しましょう。 福島のハワイアンズ、新幹線、高速道路、東京ゲートブリッジ他見学してもらいましょう。

Posted by アイデア太郎 at 2017年05月15日 23:43
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