◆ 法人税と配当:  nando ブログ

2012年05月04日

◆ 法人税と配当

 「日本では法人税率が高いから企業は外国に逃げ出す」という説がある。しかし、日本では配当率が低く、外国では配当率が高い。外国に出れば、企業に残る利益は減る。

 ──
 
 「外国に出れば法人税が低いから企業に有利だ」
 と思っている企業経営者が多い。しかし、日本では配当率が低く、外国では配当率が高い。日本企業の配当率はごく低いが、外国企業の配当率は 10%ぐらいが多く、20%ぐらいになるのもざらだ。40%を配当することもある。(利益に対して。)
 とすれば、法人税率が日本ではいくらか高いとしても、配当との合算では、企業が払う金は少なくなる。つまり、内部に残る金は多くなる。
 だから、「外国に出れば法人税が低いから企業に有利だ」と思って、外国に出れば、「当てはずれ」になるわけだ。
 「利益がいっぱい残るかと思ったら、国には金を取られないかわりに、株主に金をいっぱい取られてしまった。結果的に、企業に残る金は、かえって減ってしまった。そのせいで、社長であるおれの取り分も、かえって減ってしまった。悔しい!」
 というふうに。

 欲張り婆さんが損をする、という「舌切り雀」みたいな話。



 [ 付記 ]
 日本では配当課税が極端に低い。「その分、企業は配当を削れる」という見方もできる。こうして考えると、「法人税 + 配当課税」の合算では、「日本では企業課税がかえって低い」と言えるだろう。
 「法人税を少しだけ引き下げて、その代わり、配当課税を大幅に上げる(分離課税をやめる)」というふうにすれば、国の税収は大幅に上がる。そのように是正するといいだろう。
 また、企業に対しては、「配当を増やす」という方向に促すといいだろう。「法人税は引き下げてあげるから、配当をたっぷり払ってね」という方向に促すといい。そのために制度改正をするといいだろう。
 企業は「法人税を下げてほしい」と望んでいるのだから、その望みを叶えてあげるといい。そして、その代わり、別の道で企業からはたっぷりと徴税するといい。企業は「外国並みにせよ」と言っているのだから、外国並みにすればいいのだ。今のような課税免除(分離課税)をやめればいい。 



 【 関連項目 】
 
  → サイト内検索「法人税」
 


 【 関連サイト 】

  → http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20100619/1276918374

 高所得者ほど所得税の税率が低い、という事実を、山型のグラフで示している。
 こうなる理由は、配当課税が分離課税で、低率だから。外国では総合課税だから、金持ちはたっぷりと税金を払うのだが。ただし外国では、配当の率も高いから、外国の金持ちが損をしているわけでもない。
 企業は配当をたっぷり払えばよく、金持ちは税金をたっぷり払えばいい。それで国は良くなる。税金を払わないことばかり考えている日本の企業経営者は、合法的な脱税ばかり考えているようなものだ。そんなことばかり考えているから、肝心の経営がお留守になる。
 
posted by 管理人 at 08:50 | Comment(0) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
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