◆ 地方人口の減少対策:  nando ブログ

2014年07月26日

◆ 地方人口の減少対策

 地方人口の減少に対策をしよう、と政府が唱えている。しかしここには根本的な勘違いがある。

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 地方人口の減少に対策をしよう、と政府が唱えている。何度も唱えているが、最近ではこれがある。
 政府が地方の活性化に向けて検討している取り組みの全容が25日、判明した。
 2060年時点の日本の人口について「1億人の大台を維持する」との目標を掲げ、国が都道府県や経済団体も巻き込み、15年度から5年間の具体策を盛り込んだ総合戦略を来年1月にまとめる。地方の人口減対策などを国のリードで効率的に進める狙いがある。
 政府は25日、地域活性化の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」(本部長・安倍首相)の準備室を設置した。創生本部は9月に正式発足した後、本部会合を毎月開くほか、次官級の関係府省庁会議を招集し、税制や地方交付税制度などを見直す。有識者会議も毎月開き、来年1月にまとめる国の「長期ビジョン」と「総合戦略」に盛り込む内容を検討する。
( → 読売新聞 2014年07月26日

 これは概略。読売・朝刊には、もっと詳しい情報がある。「このままでは地方の若年女性は半減してしまう」というような話もある。「地方崩壊」という状況だ。
 そこで、「これを何とか阻止して、地方を活性化したい」と狙っているのが、上記の記事のような話だ。
 しかし、ここには根本的な勘違いがある。

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 そもそも、「人口が減ったから人口を増やそう」というような発想は、根本的に不十分だ。そこからはせいぜい、「地方を優遇して、補助金を出そう」というような補助金業制しか生まれない。比喩的に言えば、「水は低きに流れる」という状況を阻止しようとするために、大金をかけてせっせと水を低きから高きに運ぶ、というようなものだ。自然の摂理に反する、ただの無駄。
 では、どうすればいいか? 「こうあるべき」というグランドデザインを構築する必要がある。そのグランドデザインは、「なしたいこと」という夢や欲望を記したものではなくて、「かくあるべき」という理論的な理想を示したものであるべきだ。
 では、「かくあるべき」という理論的な理想とは、どのようなものか? 

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 ここで物事の本質を考えよう。それには、次の項目が参考となる。
  → 農業再生と生産性向上

 ここでは、次のことが記してある。
 「農業を再生するには、生産性の向上が必要だ。それによって効果は高い所得を得ることができる。だが、生産性の向上は、同時に、就業人口の減少をもたらす」


 生産性の向上というと、「所得が増えること」という点ばかりに着目する人が多い。しかし、生産性が向上すれば、生産のために必要な労働力は減少する。当然、就業者も減少する。
 たとえば、生産性が2倍になれば、同じ生産量のために必要な労働時間は半減する。就業者も半減する。これは論理的な必然だ。
 とすれば、今後、農業の生産性の向上にともなって、農業人口はどんどん減るばかりなのである。それは、困ったことではなくて、好ましいこと(理想的なこと)なのだ。

 戦後の日本は、農業の生産性が低くて、地方の山間僻地でも農業生産をしていた。そのせいで山間僻地にも大量の人間がいた。それでいて、生産できる農産物の量はたかが知れていた。多くの農民が必死に働いたが、日本は貧しく、肉を食べる機会はあまりなく、牛肉は特別なぜいたく品であった。
 ところが、高度成長期になると、農業の機械化にともなって、農業の生産性は飛躍的に向上した。すると、同じ生産量のために必要な人員は劇的に少なくなった。そのせいで、第一次産業から第二次産業へと、人口構成の変化があった。同時に、地方から都会へと、人口の移動が起こった。

 それと同様のことが、今後も起こる。つまり、地方では一部の大規模農家ばかりが大量の生産をするようになり、零細な農家は淘汰されてしまう。これらの農業人口は、都会に移るしかない。したがって、当然のこととして、地方の人口は減るしかない。……これは歴史的な必然であり、かつ、理想的な状況である。
( ※ 仮にそれを拒むのであれば、生産性の向上ができなくなる。もし高度成長期にその道を取ったなら、日本は先進国の仲間入りができず、ずっと途上国であり続けただろう。大量の農民が地方にいて、都会における工業生産は不可能な状況となっていただろう。それは決して理想的な状況ではない。)

 ──

 以上から判明しただろう。つまり、地方の人口が減ることは、「農業の生産性の向上」を意味する限りは、好ましいことなのである。
 ただし、それが「地方の都会への人口移動」を意味するのであれば、理想的なのだが、「東京への一極集中」を意味するのであれば、国土形成の歪みを生じるだろう。

 とすれば、なすべきことはわかるし、なしてはならないこともわかる。
 なすべきことは、「東京への一極集中」を排して、地方の中核都市へ「多極分散」を推進することだ。
 なしてはならないことは、「農業の推進」をめざして、零細農家に補助金を出すことだ。これは、やればやるほど、状況を悪化させる。(農業生産性の低下をもたらすからだ。)

 米国でも、欧州でも、産業は多くの地方都市に分散している。ところが日本だけはどういうわけか、東京への過度の集中が進んでいる。この状況を阻止して、地方の中核都市への分散を推進することこそ、日本がなすべき道だろう。
 ただし、それは決して、「地方の振興」という名目で農業補助金をばらまくことではない。どちらかと言えば、東京に属する企業に高率課税でもした方がいい。たとえば、「東京の法人の固定資産税を大幅にアップする」というふうな。……これと併用するのであれば、「法人税の引き下げ」は妥当だろう。
 
posted by 管理人 at 15:06 | Comment(7) | 政治 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
 参考記事:
 「地方都市は「ほどほどパラダイス」になった!
地方の若者におけるイオンモールの存在感」
http://toyokeizai.net/articles/-/43668
Posted by 管理人 at 2014年07月27日 13:34
東京がワシントンDCとニューヨークとロス(映画などの業界)の機能を全部持っているからでしょう。でもその虚構はAEON MALLに喰われていますね。
Posted by 京都の人 at 2014年07月27日 14:14
僕はイオンモールが退屈で仕方ないから都会へ出てきました。
地方都市は快適だけど、その快適さが逆に気持ち悪かったです。
競争の激しい都会で仕事したり、地方にはない商店街(東十条や尾久銀座など)に新鮮な面白さを感じてます。
都会には色んな顔があるのが良いですね。
Posted by M at 2014年07月27日 22:01
人口減少より人口増加による食糧危機に供えて地方は農業推進すべきです。

あと貴殿と同じような意見の論や動画があるので貼り付けた掲示板↓をできれば御覧ください。
Posted by なお at 2014年11月12日 05:12
今晩は。
続いての質問です。

>なすべきことは、「東京への一極集中」を排して、地方の中核都市へ「多極分散」を推進することだ。

大賛成です。
小生は実は「意図的な1極集中」がなされている
との認識です。地方の中核都市へ「多極分散」策
は容易で簡単だと思う。 日本の政治全体が水面
下で意図的に邪魔したり破壊したりしていると考
えるとスッキりと理解できるように思います。

もしも中核都市へ「多極分散」を推進しようと
すると必ずブレーキがかかると思う。

Posted by cqf02343 at 2015年04月29日 19:15

初めまして、佐藤 繁と申します。こういう者です。
https://www.facebook.com/sato0127   
「地方創生」に付いて素人考えをまとめました。
お時間が有りましたらお読み下さい。
http://www.presen-cobo.com/01/14-1-1-1/
Posted by 佐藤 繁 at 2015年09月05日 18:20
初めまして、佐藤 繁と申します。こういう者です。
https://www.facebook.com/sato0127   
「地方創生」に付いて素人考えをまとめました。
お時間が有りましたらお読み下さい。
http://www.presen-cobo.com/01/14-1-1-1/
Posted by 佐藤 繁 at 2015年09月05日 18:26
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