◆ ギリシャ問題の混迷:  nando ブログ

2015年02月23日

◆ ギリシャ問題の混迷

 ギリシャの経済危機の問題が混迷している。では、どうするべきか?

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 ギリシャの経済危機の問題が混迷している。
 ギリシャと欧州の双方の意見がぶつかったあとで、今回、一応の合意は得られた。だから、小康状態ではあるが、これはただの「先延ばし」であるにすぎない。問題の解決はなされていないし、むしろ、悪化しつつある。

 まず、今回の合意では、欧州の言い分が一応通った。今後4カ月にわたって、従来の緊縮路線が取られることになった。そのせいで、財政健全化はどんどん進みそうだし、国家の財政面に関する限りは、状況は解決に向かいつつある。
 その一方で、ギリシャ経済の実態は、壊滅的になりつつある。ギリシャ債務危機が深刻化した 2010年ごろに比べて、現在では GDP は2割以上縮小し、失業率は 25% を上回るようになった。

 《 ギリシャの GDP 》

greek-gdp.png

出典


 《 ギリシャの 失業率 》

greek-situgyo.png
出典


 これは、財政緊縮の副作用である。
 これを見て、欧州諸国は「仕方ない」と考える。「財政緊縮が最優先されるので、GDP低下や失業率向上は仕方ない」と。
 しかしこれこそ、本末転倒というものだろう。目的は財政緊縮(財政の健全化)ではない。経済の健全化だ。そのためには、多くの人がいっぱい働いて、いっぱい生産して、いっぱい借金を返済することが必要だ。
 なのに、借金が山のように溜まっている状況で、せっせと働く代わりに、逆に失業という形で休んでしまっているのだ。これでは、なすべきこととは正反対だ。
( ※ まるで朝ドラ「マッサン」の、熊虎 みたいだ。借金で首が回らないのに、仕事をしない。……ここでは、熊虎が仕事をしないでいることを、誰もが批判する。ところが、熊虎みたいなギリシャに対して、あえて「仕事をするな」「失業しろ」というふうに、仕向けているのが、欧州諸国だ。方向性が逆だ。)

 借金が溜まっているときには、いっぱい仕事をして、いっぱい返済するべきだ。では、そのためには、どうすればいいか? 財政を健全化するべきか? 支出を最小限にするべきか? いや、そんなことをすれば、ますます失業が悪化する。
 とすれば、正解はその逆だとわかる。つまり、こうだ。
 「財政を健全化しないで、赤字化する。ただし、その赤字化は、消費のための赤字ではなく、投資のための赤字であるべきだ。つまり、借金をすることで、投資のための資金をまかなって、その投資の金によって、生産を拡大するべきだ」


 ここでは、一時的な財政悪化にともなって、生産を拡大する。これこそが、あるべき道だ。
 比喩的に言おう。「マッサン」で、北海道果汁 社は、リンゴジュースが売れなくて、大赤字になった。ここで、北海道果汁 社は、どうするべきか? 赤字を減らすために、リンゴジュースを捨て値で安売りをして、従業員を解雇した上で、会社整理をするべきか? そのことで、赤字を最小化するべきか? 
 ドラマでは、そうはしなかった。逆に、借金をした(正確には、借金でなく、出資者から出資金を得た)。それで得た金で、リンゴジュースを原料にしたアップルワインを製造して、会社を黒字化した。
 つまりここでは、「一時的には借金を増やす」ことで、中長期的には赤字体質を解消したのだ。どうやって? 「働かずにいた(遊休していた)リンゴジュースと人員を、ちゃんと働くようにした」ことによってだ。これは、「失業者を増やす」という政策とは、正反対である。
    ※ 「出資金は借金じゃないぞ」という見解もあるだろうが、ドラマのなかでは、主人公は「これは出資者から預かった金です」と言っている。

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 ギリシャもそういう道を取るべきなのだ。一時的には借金を増やしてでも、投資を拡大して、生産量を拡大するべきなのだ。
 ただし、その道は、容易ではない。「投資を拡大して、生産量を拡大する」ためには、「ギリシャという国全体での賃金水準の切り下げ」が必要だからだ。そして、そのことが可能になる方法はただ一つ。「ギリシャの通貨の切り下げ」だけである。そして、そのためには、「ギリシャのユーロ離脱」が必要不可欠だ。
 つまり、正しい経済政策は、次のセットである。
  ・ ギリシャのユーロ離脱
  ・ ギリシャ通貨の切り下げ
  ・ ギリシャの労働環境の悪化
  ・ 失業率の低下 (国全体の総労働時間の拡大)
  ・ 生産量の拡大
  ・ 借金の返済


 一方、これとは逆のことをやっているのが、現在の政策だ。働く量を減らし、生産量を減らしている。……このままでは、ギリシャの GDP は奈落のごとく低下して、ギリシャという国は崩壊しかねない。そうなれば、大量の難民が、欧州諸国を襲うようになるだろう。(欧州は移動が自由だからだ。乞食と化したギリシャ国民は、ジプシーのように欧州諸国に流入するしかない。)
 欧州は、ギリシャを崩壊させることで、自国に流浪の民を招こうとしているのである。そうと意識しないままに。

 「げに恐ろしきは、財政健全主義だ」と言えるだろう。



 [ 付記 ]
 日本はどうか? ギリシアを笑えない状況にある。というのは、「消費税増税」という形で、財政健全化を狙っているからだ。
 こんなことをやっていては、日本もギリシャと同様に、GDP が大幅に縮小して、不況は奈落の底に落ちかねない。
 ただし、ここで日本はインチキふうの裏技を使った。それは、「予算とは別枠で大幅な財政赤字を生み出す」という方法だ。それは「震災復興予算」という。一般予算とは別枠で、実に 25兆円を使う。(5年間の総額。)
 これを5年間で返済するのではなく、10兆円だけを 10年間かけて返済するだけだ。残りは赤字のまま。( → コトバンク

 というわけで、予算には現れない形で、巨額の財政赤字を生み出す。正規の予算だけは、大幅に赤字が縮小すると見せかけて、実際には裏側で大幅な赤字を発生させる。で、そのおかげで、「財政健全化による不況の悪化」という事態は免れるわけだ。
 とはいえ、復興予算というのは、震災によるものであり、天がもたらしたものだ。「天のもたらした地震のおかげで、不況の奈落の底に落ちずに済んだ」というわけ。
 安倍首相にしてみれば、神風が吹いたようなものだろう。民主党時代には、大震災のせいで GDP が急激に低下したが、それはすべて民主党のせい。東北の家屋が大幅に壊れたのも、原発の被害も、みんな民主党のせい。電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、民主党のせい。一方、震災のあとで、復興予算が付いて、(莫大な借金のおかげで)復興景気に湧いたのは、アベノミクスのおかげ。(莫大な借金をしたことはすべて無視して)金をさんざん無駄遣いすることで復興景気に湧くのは、みんなアベノミクスのおかげ。
 しかしその裏では、莫大な無駄遣いが発生している。
  → まるで詐欺ばかり…復興予算19兆円を何にどうして転用した

 それにしても、復興予算という神風を受けた安倍首相は、実にツイている。「倒産寸前に海軍の大量発注を受けた」というドウカウイスキーみたいだ。(朝ドラ「マッサン」の)。
 
posted by 管理人 at 20:26 | Comment(0) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
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