◆ AIIB にどう応じるべきか?:  nando ブログ

2015年04月12日

◆ AIIB にどう応じるべきか?

 AIIB に日本はどう応じるべきか? 賛否両論があるが、私は第3の道を提案したい。

 ──

 AIIB(アジアインフラ投資銀行/アジア投資銀行)が、中国主導で設立されつつある。ここで、日本が参加するべきかどうかについて、賛否両論がある。

 反対論は、保守派に多い。「外向的な観点から、中国の主導を認めてはならない」というような見解。
 賛成論は、実利派に多い。「ともかく参加しないと、実利を得られない。ただの拒否は実利の喪失しかもたらさない」というような見解。

 しかし、どちらも難点がある。
 反対論に従ったとしても、中国の主導による AIIB は実現してしまう。「 AIIB を阻止したい」というのが日本の狙いだが、日本が参加しようが参加しまいが、AIIB はできてしまうのだ。日本ができるのは「仲間はずれになること」だけだ。これは何の実利ももたらさない。その間に、中国ばかりが大きく実利を得るので、日本は不利になる。
 賛成論に従うと、日本は実利を少しだけ得るが、その一方で、中国には多大な実利が入ってしまう。これはすごくまずい。目先の小さな利益を追うせいで、長期的にはかえって損失をこうむる。

 要するに、賛成論に従っても、反対論に従っても、どっちみち、日本にとっては損失になる。AIIBには、参加してもまずいし、参加しなくてもまずいのだ。
 とすれば、結論は、こうなる。
 「賛成も反対も、どちらも駄目だ。第3の道を取るべきだ」


 ── 

 では、第3の道とは何か? それが問題だ。
 ここで、次のサイトがちょっとヒントになる。
  → 日本は焦ってAIIBに参加すべきではない

 ここでは、反対論が述べられているが、その論拠が興味深い。要するに、 AIIB は、ADB(アジア開発銀行)では扱えないようなハイリスクな物件を高利率で融資するしかない、ということだ。
 つまり、安全な物件は、ADBが低利で融資するから、AIIB はそのおこぼれを扱うしかない、ということだ。

 一方、次の話も重要だ。
 アジアの新興国のインフラ整備のための資金需要は、アジア開発銀行(ADB)でまかなうことができると主張してきた。しかし、ADBが12年に出版した報告書によれば、アジアの32カ国にのぼる新興国はインフラ整備のため、10年から20年までに合計約8兆2千億ドルが必要だという。年平均で計算するとADBの資本金の数倍となり、ADBだけでその需要を満たすことは無理な注文だ。
( → 朝日新聞 2015年4月9日「私の視点」

 要するに、莫大な資金需要があるので、ADB だけではまかないきれないのだ。比喩的に言うと、優良物件だけを扱う都銀だけでは中小企業への融資に金が回らないから、地銀や信用金庫みたいなものが中小企業への融資に金を回すべきだ、となる。それと同様のことが、国際的な資金需要でも成立するわけだ。

 結局、資金需要はある。したがって、AIIB のようなもの(いわば 第2 ADB みたいなもの)は、必要とされている。その必要性に目を付けたのが、中国だ。この意味で、中国は目の付けどころがシャープであった。
 当然、これをつぶすのは無理筋だ。途上国などが必要だと望んでいるものを、無理につぶすことはできない。( iPhoneが高値で買えない途上国では、1万円以下のスマホが普及しているが、そのための Android には必要性がある、というようなものだ。これを無理につぶすことはできない。)
 だから、第2 ADB みたいなものは、必要なのだ。ここまではどうしようもな現実だ。
 一方、政治的・外交的には、中国主導はまずい。

 とすれば、結論は明らかだろう。こうだ。
  ・ 第2 ADB みたいなものは成立させる。
  ・ それが中国主導であることは認めない。


 では、そのようなことは可能か? 可能だ。次のプランをとればいい。
 「日本と米国の主導で、第2 ADB みたいなものを設立する」


 これならば問題ないはずだ。「中国主導」という難点を免れることもできる。

 ──

 ただし、注意。そこでは次のことが必要だ。
 「日本と米国の主導で設立するのはいいが、運営までは主導しない。運営については、世界各国がすべて平等になるようにする」


 これができないと、中国は排除された感じになるので、中国の反発を食らう。そうすると、ろくなことにはならない。
 実を言うと、中国が AIIB を設立したのは、米国がアジア版 IMF などで、やたらと自国の権益を主張して、中国の権益を排除したからだ。それで「自国が不利に扱われた」と感じた中国が、「それならおれたちの主導でかわりになるものを設立してやる!」と対抗したのが、AIIB なのだ。
 また、他の国が AIIB に賛同したのは、既存の組織があまりにも米国主導でありすぎたからだ。( ADB は日本主導でありすぎた。)
 現状では、米国と日本ばかりが権益を大幅にとって、他の国がないがしろにされている。そう感じた諸国が、中国の提案になびいてしまったわけだ。
 
 とすれば、米国と日本が 第2 ADB みたいなものを設立するのはいいが、そこではあくまで自国の権益を抑制するべきだ。かわりに「各国が平等」という態勢を整えるべきだ。(そうだとしても、実際には GDP への比例となるだろうから、平等という前提のもとでは、結果的には日米が大きな権益を獲得できる。現状のように不平等なほどの巨大な権益は得られないが。)

 ともあれ、このような形で、中国の AIIB への対抗馬となるものを設立するべきだ。その提案が、私の回答となる。
 「賛成でもなく、反対でもない。AIIB に代わるものを、日米の主導で設立する」
 ということだ。

 
posted by 管理人 at 23:58 | Comment(3) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
そんなことをしなくても、ADBを増資したらいいのです。
元々AIIBは増資を認めないADBへの対抗手段でした。お互いに譲らなかった結果「設立」までいってしまったのです。

何事も「過ぎる」のは良くない。
少なくとも不満を持っているのは中国だけではないことが今回のことでわかりました。
ならば(貢献度に応じて)広く富を分配すべきでしょう。

独裁政権は必ず倒れます。なぜならば不満が蓄積されるからです。民主主義も短い周期では独裁政権ですが、選挙という形で政権は倒れます。ADBもそうです。倒されるのです。「過ぎたるはなお及ばざるが如し」です。

中国の権益が増す? いいじゃないですか。どうせ共産党の懐に収まりますよ。そうやって富が偏在したらどこかで爆発します。そのとき、富は民へ分配されます。

博愛は是でしょう?
世界で富を分かち合いましょうよ。神の子ならできますが、人間には難しいですか? でもキリスト教徒は神の子を模範として行動すべきと教わったはず。いけますって。
Posted by かーくん at 2015年04月13日 12:51
> ADBを増資したらいい

 ADB は、日米の支配下にあるのも同然なので、中国が納得するはずがない。他の国も同様。
 日米の権益を弱めた組織でないと、他の国が納得しないし、その場合、AIIB が強くなってしまう。

> そうやって富が偏在したらどこかで爆発します。

 戦争になるかもね。ただでさえやたらと侵略している国なんだから。下記を参照。
  → http://nando.seesaa.net/article/293801643.html
Posted by 管理人 at 2015年04月13日 19:38
 中国は日米の参加なしでは、AIIBを発足させないであろう。日米、特に日本からの出資がそれなりの額となるよう、自国の勝手気ままに運営できるよう仕組んだつもりである。ところが、その鴨に逃げられたうえ、融資原資調達のためのAIIB債に高格付けを期待できず、高利での起債を余儀なくされそうである。
 中国が50%を超える出資との触れ込みであるが、中国の現在の経済状況、資金状況からすると、本当に出資するか否か、はなはだ疑わしい。実際には手を付けられない4兆ドル近い外貨準備を見せ金にするだけで、出資せず、諸外国を誘ったのではないかと疑われる。
 自らは出資せず、諸外国からの出資のみでの運営を企てたのだと考えれば、50数カ国と言う多数の参加国を得たにもかかわらず、日本の不参加を非難しながら、参加期限を過ぎても待ち続けるとする中国の言動も理解できる。
 
 中国は、AIIBに理事会を常設せず、案件ごとに出資国理事にメールで承認を求める「非常駐理事会」を主張していると言う。もちろん、いかなる案件について承認を求めるかは総裁専決なのであろう。そのような異常な運営を提案し、総裁候補者が「汚職のない組織を」などと発言する。それだけでもう、まともな企てでないことを裏書している。
Posted by 名無し at 2015年04月13日 23:42
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