◆ 消費税と所得税の負担:  nando ブログ

2015年08月23日

◆ 消費税と所得税の負担

 消費税と所得税の負担を見る。(消費税の増税が日本の財政にどれほど効果があったか、というのを調べると、ほとんどない、とわかる。)

 ──

 朝日の記事にあったので紹介する。
 くらしや企業活動を左右する日本の税の構造は、消費税中心へと大きく変わりつつある。消費税が導入された1989年度と、税率が8%になった2014年度の国の税収は50兆円台半ばでほぼ同じ。だがこの間に消費税収は約13兆円増え、その分、所得税収と法人税収が減った。15年度は初めて消費税収が国にとって最大の税収になる見通しだ。

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( → 朝日新聞 2015年8月23日

 記事はともかく、グラフからは次のことがわかる。
  ・ ここ2年間は消費税の分だけ、税収が増えている。
  ・ それでも消費税増税5%の97年の水準並み。
  ・ 消費税導入3%後の 90、91年の水準には及ばない。
  ・ 税収は、消費税分は増えたが、法人税・所得税分は減った。
  (法人税分は少し減り、所得税分は大幅に減った。)


 消費税の増税で消費税の税収は、もくろみ通り、大幅に増えていった。しかしながら、法人税の税収は減ってしまったし、所得税の税収は大幅に減ってしまった。結果的には、いくら所得税の増税をしても、税収の総額はちっとも増えていない。

 では、どうしてこういうことが起こったか? 

 ──

 このことについて、同じ日の朝日の記事に、次の情報がある。
 《 節税、個人事業の会社化増 アベノミクス、下がる法人税率 高所得者に恩恵 》
 株式会社より簡単に立ち上げられる「合同会社」の設立数がこの4年で3倍近くに増えた。個人の所得にかかる所得税の最高税率が上がる一方、安倍政権の経済政策アベノミクスで法人税率が下がり続けているため、個人経営から法人経営に乗り換えて節税する人が増えていることも一因だ。
 所得税率と法人税率の「落差」に着目した節税といえる。民主党政権は、消費税を増税するのに合わせ、お金持ちにもより多く負担してもらおうと、所得税の最高税率を15年から45%に上げる方針を決めた。一方、安倍政権は企業の投資を呼び込みたいとして、法人税の税率を毎年度、引き下げている。
( → 朝日新聞 2015年8月23日

 記事の例では、次のようになる。
 「年収 6200万円で、納税額は 750万円だったが、法人名義にすることで、330万円の納税で済んだ。56%の節税」
 
 さらに、次の情報もある。
 《 納税者のたった3%強が所得税の大半を納付 》
年間所得2千万円超(各種所得控除前)の26万人(納税者の3.5%)は、所得税の約6割、3兆円強を納付しています。1人あたりでは、ざっと1,155万円強もの所得税を支払っているワケです。
 1,000万円超(年収約1,200万円強)の所得者まで拡げると、納税者数は78万人で、所得税の8割、4兆1,700億円を負担しています。1人あたりでは半減するものの、533万円も支払っているのです。
( → ブログ記事

 つまり、所得税の大半を収める高所得者層には、アベノミクスの法人税減税で大幅減税を施す。そのせいで、所得税の大半を占める富裕層の納税が激減する。だから、先に示したように、所得税の税収が大幅減になるのだ。

 ──

 以上をまとめれば、こうなる。
 「消費税をいくら増税しても、日本の税収はちっとも増えない。その理由は、アベノミクスで、高所得者層の納税額を大幅に減じているからだ。結果的に、低所得者層から、高所得者層へ、所得移転が起こっている。国民の大半はますます貧しくなり、ごく少数の高所得者層は大幅に豊かになる。そのせいで、国全体では、消費の総額が減ってしまう。かくて、景気はますます悪化する」


 100人の低所得者の所得が減って、1人の高所得者がその分だけ所得が増えたとしよう。その場合、所得のプラスマイナスプラスマイナスのバランスは取れている。全体としては、プラスマイナスはない。では、消費の総額もプラスマイナスがないか? いや、ある。1人の金持ちが 100人分を食べることはできないし、1人の金持ちが 100台の自動車を買うわけでもないからだ。グルメ食や高級車を買うとしても、たかが知れている。
 というわけで、富の偏在が起こると、総消費はかえって減ってしまう。だから、一国全体では、消費の総額はかえって減ってしまう。

 ただ、消費は減ったとしても、公共事業は増えている。東に保内震災のための公共事業は、19兆円にもなる。この公共事業のおかげで、ケインズ効果が出て、景気にはプラスとなる。
 かくて、消費のマイナスを、公共事業のプラスで補っているので、国全体としては景気の悪化はほとんどない。少しプラスになったり、少しマイナスになったり、というぐらいで済んでいる。
 とはいえ、公共事業は、国全体に大幅な赤字をもたらし、巨額の借金が生じる。それにもかかわらず、景気回復効果が出ていないのだから、アベノミクスの罪は重い。
 そして、その理由は、
  ・ 消費税の増税
  ・ 金持ち減税

 という二本立てでできている。
 以上のような本質が、冒頭のグラフからわかるだろう。

( ※ 「ここ数年に限っては効果があるぞ」という反論もあるかもしれない。しかし、ここ数年は、リーマンショックと東日本大震災による暴落からの復活の効果があっただけだ。元に戻っただけであって、前に比べて特に良くなったわけではない。特に、97年に比べて、まったく増えていない。)



 [ 付記 ]
 「アベノミクスは金融緩和で円安効果が出たぞ」
 という声も上がりそうだ。しかし、これにはかなり疑問符が付く。
 (1) 円安は、消費者にとっては、物価上昇をもたらし、賃下げ効果が出る。企業は黒字になったとしても、それは、労働者の賃下げによるのと同じだ。たいして意味がない。(金持ちや資本家にとっては意味があるが、賃上げが不十分なら、国民にとってはデメリットの方が大きい。)
 (2) この期間、原発停止と石油価格上昇の効果で、貿易収支が大幅な赤字となった。ならば、円安になるのは当然だ、とも言える。一方、最近は、石油価格が大幅に下落した。また、原発も稼働しつつある。となると、このあとは、円高が進みそうだ。1ドル=110円 ぐらいになるのは確実だと思える。1ドル=100円 ぐらいになることも十分にありそうだ。今のような円安を、輸出企業が享受していられるのも、そう長いことではなさそうだ。

posted by 管理人 at 10:51 | Comment(1) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
 肌に当たる世間惨風 わかってるんですが 管理人さんから 改めて教えられると げんなりしますね 
 
 あの若いピケティが富の平等化と貧困対策のため 累進所得税、累進相続税の厳格な適応 先世紀の東崩壊後の歴史踏まえて 提唱してますが
 安倍の坊ちゃんは反対のこと 金持ちがもっと金持ちに 貧者は 生かさず殺さず  米国のパクリですかね  やってること同じですね  死の商人

 国際金融の国家格差 是正のため 世界的な累進資本課税への   <強固な理論構築>  望まれますね  国家の揚棄

 まあ まともに学問なんかしたことないが いまだに やつらみたいに 思想的に破綻してないつもりですが 

 窮極 つまり 理想とされる全てが成就された不可能な社会 それを目指すのは 間違いではない ですね 

 それが 真実 真理 求めるのと似てませんか
Posted by  k at 2015年08月23日 14:31
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