◆ 農業と関東ローム層:  nando ブログ

2015年10月17日

◆ 農業と関東ローム層

 農業を維持するとしても、土地の条件で制約されることがある。関東では、関東ローム層がそうだ。

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 農業を維持するとして、前項では次のように述べた。
  ・ 米や小麦のように土地集約的な農業は、大規模農家に集約する。
  ・ 生鮮野菜のように労働集約的な農業は、小規模農家に委ねる。


 ここでは、土地の面積だけで場合分けをした。
 しかしながら、農業の種類を決める条件は、土地の面積だけではない。土壌の問題がある。土壌の制約から、適した農業が制約されることがある。特に、関東ローム層がそうだ。

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 関東ローム層は、富士山などの火山灰が蓄積してできた土壌だ。栄養分が乏しく、農業には向いていない。
 ただし、九州のシラス台地ほどひどくはない。直接の火山灰でなく、風で飛ばされてきた塵などが多いので、ある程度は農業が可能だ。稲作には向いていなくても、畑作ぐらいはできる。
 「関東ローム層」
 富士山や浅間山の噴火によって広く拡散した火山灰が粘土化した土壌によってできた地層です。火山灰が堆積し、火山灰に含まれていた金属分が酸化されて粘土となった、いわゆる赤土によってできているのが特徴です。
 ローム層のロームとは粘土分の多い粘り気の強い土壌をさす英語です。高台や台地を構成しているので農業用水の確保が難しいこと、火山灰でできた土壌であることから植物の生育に必要な栄養分をあまりふくまないことなどから、農業、特に稲作には向かない土地です。
 このため、畑作がさかんで、群馬県はキャベツ、きゅうり、こんにゃくいも、栃木県はいちご、かんぴょう、茨城県はメロン、はくさい、千葉県はらっかせい、ねぎ、埼玉県はブロッコリーなどの日本有数の産地となっています。
( → 知恵袋
 ほとんどは火山灰ではなく、風で飛ばされてきた塵が堆積したものであることが分かってきています。火山の噴火は間欠的で、噴火中は火山灰も降りますが、それ以外の時間は塵が少しづつ積もっているだけなのです。
( → 知恵袋

 実は、火山灰の土地でも、長い時間がたつと、植物が生えるので、その後は、腐葉土などが蓄積して、豊かな農耕地になることもある。
 火山灰は農耕に不向きだと思われがちですが、これは新しい火山灰が酸性であって植物が育ちにくいのでそのように思われるのですが、風化と言う作用で火山噴出物も変化してきます。
 日本のような雨の多い所では酸性も急激に減少し、十年単位で見れば急速に変わっていくのです。まずコケ類、草が生え、低木が生えてきてやがては立派な林に成ります。火山の噴火の有った土地は荒れ地に成りますが直ぐに再生が始まっていきます。火山の噴火が昔起こった所を訪ねてみて下さい。何処も立派な林、森に成っています
 長い時間の中では火山噴出物は土、粘度等に変化し、地球上でも最も豊かな土壌を作り出します。世界の穀倉地帯と言われる所は火山の噴出物で出来た地形の所に存在し多くの実りを人類に与え多くの人口を支えています。
( → 知恵袋

 ここで、「コケ類」という言葉が出てきたが、これはとても大切だ。もともと何もない火山灰の土地に、最初にコケ類が生える。コケ類が生えると、そこで保水された水分を元に、草や木が育つ。
 [ 乾性遷移 ] 火山が流出した溶岩や火山灰層に成立する遷移で,最初は,雨が降っても水を蓄える力がなく乾燥してしまう。やがて溶岩の割れ目や砂礫の堆積した凹地などやや湿りけのある所に地衣類やコケ類が侵入して始まり,時間とともに草原から森林に変わっていく。
( → 植物学概論
 コケ類や地衣類の胞子が風雨によって運ばれると考えられる。コケ類は岩のくぼみのようなところを中心にはえてくる。やがて、風や雨によって岩の表面は風化して砂礫が生じ、また、苔や地衣類の生育による有機物の蓄積により少しずつ土壌が成熟される。
 ある程度の量の土壌が蓄積すれば、草本が侵入することができるようになる。
( → 遷移 (生物学) - Wikipedia

 このように、火山灰の土地でも、かなり長い時間がたてば、農耕に適するようになる。
 とはいえ、関東ローム層の場合には、十分な時間がたったとは言えない。
 約10万年から約5000年前まで、古富士火山
 約10万年前から新たな活動時期に入った。この時期を古富士火山と呼ぶ。古富士火山は爆発的な噴火が特徴で、大量のスコリア・火山灰や溶岩を噴出し、標高3000mに達する大きな山体を形成していった。

 関東ローム層
 東京周辺には、関東ローム層と呼ばれる褐色の細かい砂質の土が広がっている。これは古富士火山から飛んできた火山灰が主体の土である。同時期には箱根山も大量の火山灰を大規模に噴出させていたが、箱根の火山灰は白っぽく、古富士火山の火山灰は褐色なので見分けが付く。

( → 富士山の噴火史 - Wikipedia

 関東ローム層の土地は、比較的新しいので、農耕に適するほどには、腐葉土の土壌が蓄積していない。畑作には向いているが、稲作には向いていない。
 日本で畑作が盛んな場所には、内陸の扇状地とか火山灰の積もった台地が多いです。
火山灰地も扇状地も水もちが悪い土地ですので稲作には向かないんです。
 それじゃあいったい何ができる?というわけですね。
 「三大畑作地帯」として知られるところは、3つとも火山灰地ですね。
・関東平野(関東ローム層の台地)
  栃木県のイチゴ、千葉県茨城県のらっかせい・さつまいも、
  群馬県のキャベツ・こんにゃくいも・きゅうり など
( → 稲作か畑作か

 とはいえ、関東平野のすべてが稲作に適さない関東ローム層の土地かというと、そうでもない。関東ローム層に当たる洪積台地のほかに、川から流れてきた土壌成分が堆積してできた沖積平野がある。
 沖積平野は、主に河川による堆積作用によって形成される平野の一種。海浜堆積物によって形成される海岸平野と区別される。河川の流速が減じて運搬された土砂が氾濫原や河口、さらに沖合にかけて堆積して平野となる。
 沖積平野のうち、主に第四紀完新世以降の海水準変動に伴う海進期に沖合の海底に堆積した部分が、その後の海退によって陸化したものを’海成平野’、河川による堆積が現在も継続しているものを’河成平野’と分類することがある。
( → 沖積平野 - Wikipedia
 洪積台地とは、更新世(洪積世)において形成された平坦面が、その後隆起したことで形成された扇状地や三角州、台地の総称。。基本的に水はけがよく、……水田には適さないため、畑作や果樹園、茶畑などに利用されることが多い。

 武蔵野台地 : 関東ローム層からなる水はけのよい土壌で、……埼玉県の一部で大規模な畑作が行われている。
( → 洪積台地 - Wikipedia

 沖積平野がどのあたりに相当するかは、昔の海岸線と比較するとわかる。

tyuuseki.gif
出典:関東農政局

 ここで昔の海岸線がわかる。そのうち、浅瀬に当たる部分は、海面が下がる(海が後退する)ことによって、陸地になった。それが沖積平野だ。
 簡単に言えば、図で青色に塗られた部分のうち、現在では陸地になってる領域が、沖積平野であり、堆積土で構成される。そこは、関東ローム層ではないので、農耕に適している。

 沖積平野のほかに、洪積台地の一部では、ところどころで農耕に適した土地も点在するそうだ。
 関東ロームといっても一様でなく、地域によって差があります。新しい火山灰の堆積した所が不向きでしょうが、古い火山灰が堆積してるとか、他から他の種類の土が混ざったり、乾燥していない水の中とか、湿地に堆積した地域は農耕が出来る所が多く有ります。
 現在関東ロームと言われる所は乾燥した武蔵野台地とかが多いですが、その地域の中でも上で述べたような地区が点在していますので、畑、田んぼとして利用され稲作もおこなえるのです。
( → 知恵袋

 
 では、結果的には、どうなったか? 茨城や千葉の沖積平野では、稲作が盛んであるようだ。栃木の南東部でも稲作が盛んであるようだ。

inasakuti.jpg
出典:関東地方の稲作

 ならば、関東でも稲作をするのが好ましいだろうか? 
 まず、
 「稲作が可能か?」
 という質問に対しては、
 「関東ローム層の土地では、畑作が向いているが、沖積平野の土地では、稲作は可能だ」
 と言える。この意味で、可能かどうかについては、答えは簡単に出る。
 とはいえ、稲作が好ましいかどうかは、そう簡単には言えない。たとえば、次の航空写真を見てほしい。





 これは、栃木県小山市の航空写真だ。右側に市街地があって、人家が密集している。左側には農地があって、田んぼだらけだ。





 すぐそばには人家の密集地があり、交通至便である。しかも農地のあちこちには舗装済みの立派な道路がいっぱい走っている。こんな立派な道路がたくさん整備されている農地なんて、農地に使うのは馬鹿馬鹿しい。
 このような土地は、住宅地にするべきであって、農地に使うべきではないのだ。
 すぐそばの小山市の市街地では、やたらと人家が密集している。各戸は狭い土地しかなくて、庭さえもないような一戸建てが大半だ。





 これほどにも狭苦しい住環境に人家が密集する一方で、すぐそばでは広大な農地があり、しかも、立派な道路が整備されている。
 馬鹿馬鹿しいといったら、ありゃしない。この農地を開放して、人家にすれば、各戸はまともな庭のある敷地になるはずだ。

 日本では、「土地がない」という理由で、住環境がやたらと狭いウサギ小屋だらけである一方で、市街地のそばには広大な田んぼがやたらとたくさんある。土地がないのではない。土地はたっぷりとある。交通至便なところに、広大な土地がある。ただし、その土地は、住居には使われず、田んぼに使われているのである。
 このような土地は、稲作にも畑作にも適していない。これらの土地は、住宅地にするべきだ。そうすれば、多くの人々が庭付きの一戸建てに住めるようになるだろう。

 ──

 結論。

 「大規模農家/小規模農家」という区分のほかに、土壌の質による区別がある。それは、「沖積平野/洪積台地」という区別だ。関東では、洪積台地は関東ローム層なので、稲作には適さない。沖積平野なら稲作に適する。
 とはいえ、関東地方では、「交通至便で人口密度も高いので、そもそも農地よりも住宅地に転じるべきだ」という場所が多い。これらの場所は、稲作でも畑作でもなく、住宅地に転じるべきだ。
 つまり、政府としては、これらの土地で農業を推進するべきではなく、逆に、農業の停止と、土地の用途転換(住宅地への転換)を促すべきだ。これらの土地で農業を推進するために補助金を出すのは、本末転倒だ。
 
posted by 管理人 at 11:09 | Comment(7) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
関東ローム層(それ以外の関東地方)で農業が出来るのは、江戸時代に確立した「都市の人糞⇔生産された野菜」のサイクルのおかげとも言えるのではないでしょうか。
大消費都市の「江戸」から、関東の農民は人糞を買う→人糞のおけげで、農作物が育つ→それを大消費地の江戸で売る→江戸の住民がそれを食べて、人糞を出す…のサイクルです。
 あと、小規模な住宅地の密集…についてですが、いわゆる「スプロール現象」、すなわち小規模なデベロッパーが、ちまちまと無計画に住宅を建てたというのが原因でしょう。
Posted by あるみさん at 2015年10月17日 21:21
あっ、書き込みが出来た(^^)
実は、「OPENブログ」に書き込むと、なぜかはじかれてしまい、私は書き込むことができません。
私は管理人さんになにか「不愉快」な書き込みをしたような記憶はありませんが(もしあれば、改めておわびいたします)、何とかならないものでしょうか?
Posted by あるみさん at 2015年10月17日 21:25
田んぼに使われる土地を住居に使っているから
常総市のような被害が出る場合もあります

Posted by stranger at 2015年10月18日 06:45
> 「OPENブログ」に書き込むと、なぜかはじかれてしまい、私は書き込むことができません。

 書き込みができていましたよ。その後、削除しましたが。
 ときどき「書き込みができない」という通知が来ますが、サーバーがビジーであるせいです。しばらく待ってから書き込むと、書き込めるようになります。


Posted by 管理人 at 2015年10月18日 10:37
こちらだけ読むと「効率的な大規模農業」に否定的にも読めるのが面白いですね。
バブル時代から言われてきたことですが、市街化区域を野放図に広げたところで、結局ウサギ小屋の解消には繋がらなかったことでしょうねえ(住宅の供給不足であって、宅地の供給不足ではないので)。

また、都市近郊の方が消費者との距離が近いので(農外収入を得られやすい面も強い)、より営農継続性が高いという管理人さんにとっては残念な現実も軽視しているようですね。
Posted by とれとれ at 2015年10月18日 23:10
> とれとれ

あなた、勝手な誤読ばかりだね。日本語読解力を疑った方がいい。

> 「効率的な大規模農業」に否定的にも読めるのが面白い

 「効率的な大規模農業」を唱えているのは、政府であって、私はその方針を否定しています。逆に理解してはいけません。正反対に誤読するひどさ。

> 営農継続性が高いという管理人さんにとっては残念な現実

 ぜんぜん残念じゃないですよ。
 私が言っているのは、「農民以外の人々にとって」住宅地にした方がいい、という話。
 「農民にとって」営農継続性が高いというのは、全然別レベルの話。
 まったく。人の話を聞いているんだか。どこまで誤読すれば気が済むのか。
 呆れるばかり。

 あなた、もしかして、小学生? 
Posted by 管理人 at 2015年10月18日 23:51
人に対してこれはない。

誤読があろうがなかろうが、先方は酷く礼を失するような書き方はしていない。
「それとこれは違う話」くらいはまだしも、
「あなた小学生?」とは…。

管理人氏にはコメントに於いてこのような書き込みが希にされるのが、読者としては残念だ。

誤読であれば相手に再読を求めつつ、なにが誤読に繋がったのか、自分の文を読み返すよい機会と考えましょう。
Posted by コメントがひどい at 2015年12月08日 13:08
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