◆ 軽減税率と関税:  nando ブログ

2015年10月23日

◆ 軽減税率と関税

 TPP が実現したが、まだ関税は残っている。
 消費税の軽減税率と、食品関税は、矛盾している。

 ──

 消費税の軽減税率を実現しようという方針があるが、これは、TPP でもまだ残した食品関税と矛盾している。どうしてかというと、めざす方向が正反対だからだ。
  ・ 軽減税率 …… 食品に減税する(低所得者を優遇する)
  ・ 食品関税 …… 食品に課税する(低所得者を冷遇する)


 差し引きすれば、軽減税率で減税される分よりも、関税で課税される分の法が、圧倒的に多い。前者は、財務省の見込みでは 4,000円〜10,000円 らしいが、後者は、コメも肉も乳製品も、やたらと高率の関税がかかっており、数万円〜数十万円にもなるからだ。
 これほどにも高率の税金を食品に課しておきながら、1万円にもならない軽減税率で「必需品の食品には軽減税率」なんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
 政策が根本的に矛盾している。

 ──
 
 これに対しては、次の反論も予想される。
 「関税で食品に課税されているからこそ、食品には消費税で減税するんだ。これで相殺されるから、いいんじゃない?」

 理屈にはなっているようだが、成立しない。
 第1に、全然、相殺されていない。関税の課税額の方が圧倒的に大きい。そのうち一部だけ還元されたとしても、食品に莫大な課税がなされているという事実は変わらない。
 第2に、課税と減税を同時にやるというのは、二重の手間であり、非効率だ。比喩的に言えば、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものだ。「ブレーキがかかっている状態だから、アクセルをいっぱい踏めば、普通の速度になる。だから、いいんじゃない?」なんて言っても、駄目だ。速度は同じになるとしても、ものすごく非効率になって、非効率さゆえに莫大な損失が発生するからだ。 

 ともあれ、「高い食品関税と、軽減税率」というのは、「ブレーキとアクセルを同時に踏む」というのと同様であり、無駄の極みだ。馬鹿げているといったら、ありゃしない。狂気の沙汰だ。

 ──

 では、どうするべきか? もちろん、どっちもやめればいい。それで農家が困るのなら、農家には若干の所得補償をすればいい。それだけのことだ。
 農家にいくらかの利益向上をもたらすために、日本中の消費者が馬鹿高い価格の食品を購入するというのは、日本全体で効率を下げているのと同様だ。所得をドブに捨てているのも同様だ。「非効率生産」という無駄のために、莫大な金を捨てているわけだ。愚の骨頂。

 ──

 対策は?
 関税が高い分野、つまり、効率の低い分野については、撤退すればいい。具体的には、バターやチーズの生産がそうだ。これらは輸入に任せていい。
 農家は、関税の低い分野、つまり、効率の高い分野に移行すればいい。具体的には、生鮮野菜などだ。

 なお、米作については、日本の稲作農家は、それほど非効率ではないようだ。特に、高級米については、国外のライバルがいないこともあって、十分な競争力がある。一方、低品質米については、国外のコメに太刀打ちできない。低品質米については、撤退した方がいいだろう。(四国や九州の米作など。)

 なお、九州は、温暖であるというより、(大昔の阿蘇山の噴火のせいで)火山灰質の土地が多くて、稲作には適していない土地が多い。これらの土地は、稲作から撤退した方がいいだろう。四国も、そういう傾向がいくらかありそうだ。たとえ稲作ができたとしても、高級米にはなるまい。おまけに、気温上昇まであるのだから、もはや稲作からは撤退した方がいいだろう。



 【 関連サイト 】

 → TPPに参加しても日本の農業は壊滅しない

 日本の稲作でも、高級米については、十分に国際競争力がある、と示している。
 


 【 関連項目 】

 → TPP後の農業政策 1
 → 農業と関東ローム層

 
posted by 管理人 at 21:50 | Comment(1) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
現段階での関税撤廃は、日本の景気を悪化させます。

競争力の低いところから、競争力の高いところへと移行せよとのお話でしたが、何も米農家は米農家とだけ競争しているのではなく、小麦などの他の穀物とも競争しているわけです。
肉や魚に関しても同じことが言えます。

輸入品との競争がはげしくなり、農家や料理店の所得が減少したり、あるいは倒産して失業すれば、当然消費も減りデフレが進行し、景気も悪化します。

消費者の利益とおっしゃいましたが、所得補償というのは結局税金で払うのですから、関税との違いは直接負担か間接負担かというだけですよ。
Posted by ホウセイ at 2015年11月03日 17:00
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