◆ 農業人口の減少:  nando ブログ

2015年11月27日

◆ 農業人口の減少

 農業人口が減少している。高齢化も同時に進んでいる。これを「日本農業の危機」と見る認識もあるが、勘違いだ。

 ──

 読売新聞の記事を転載しよう。
 《 農業就業人口、5年で2割減…平均66.3歳 》
nougyoujin.jpg  農林水産省が27日発表した2015年の「農林業センサス」(速報値)によると、国内の農業就業人口は今年2月時点で209万人と、5年前の前回調査(10年)より19.8%減少した。
 就業者の平均年齢は66.3歳と過去最高だった。20年前と比べて農業人口は半減し、平均年齢は約7歳上昇しており、農業離れと高齢化が一段と深刻になっている。
 農水省は5年ごとに農家の経営の実態を調べている。来年3月に確報値を公表する。
 209万人の農業就業人口のうち、65歳以上は63.5%を占めた。一方、15〜39歳は6.7%、40〜49歳は5.3%と、いずれも減少しており、若手農家は増えていない。平均年齢は65.8歳から66.3歳に上昇した。
( →  読売新聞 2015-11-27

 紙の新聞にはもっとずっと詳しい情報があるが、とりあえずこの簡単な情報でも足りる。

 ──

 農業人口が減少していることは、困ったことか? いや、そうではない。大切なのは、人口ではなくて、生産量である。そして、生産量が一定である場合には、次の同値式が成立する。

   生産性が高まる ⇔ 人口が減少する


 生産性が高まることと、人口が減少することは、まったく同じことなのである。
 たとえば、10トンの米を生産するのに、次の二通りがあったとする。
  ・ ケースA …… 2人で10トンを生産する。
  ・ ケースB …… 1人で10トンを生産する。


 同じ量を生産するのに、前者は2人が必要だったが、後者は1人で済むようになった。
 とすれば、後者は人員は半減した。同時に、生産性は2倍になった。
 だから、農業人口が減ることは、何も困ったことではない。むしろ、農業人口がどんどん減るように仕向けることが大切なのだ。その意味で、現状は、状況が好転している状況だと言える。

 ──

 なお、この件は、前にも指摘したことがある。
 要するに、「生産性の向上」には、「就業者の減少」がともなう。「コストの低下」だけが起こるのではない。「就業者の減少」がともなうのだ。農業人口が大幅に減るのだ。
( → 農業再生と生産性向上

 本項は、上記項目を蒸し返しただけだ、とも言える。
 ただ、現実に農業人口が減りつつある、という具体的なデータを示したことには、意味があるだろう。
 この方針のもとで、米作については、生産性向上と大規模化を、同時に推進するべきだ。なお、
 「米作については大規模化を推進するべきだ」

 という点については、前にも論じた。
 「米や小麦のように土地集約的な農業は、大規模農家に集約する。生鮮野菜のように労働集約的な農業は、小規模農家に委ねる」
( → TPP後の農業政策 2

 ついでだが、参考情報として、次の話もある。
 日本のコメ農家が補助金漬けになる懸念を指摘すると、「欧州はもっと補助金に依存している」と反論されることがある。だが、例えば欧州の農業大国のフランスは農家の淘汰が進み、平均耕地面積は50ヘクタールを超え、経営効率はかなり高い。
 これに対し、日本の稲作は平均でたった1ヘクタールしかないにもかかわらず、非選別的に補助金を出す。だから、非効率な構造を温存することになる。問題は補助金を出すことの是非ではなく、だれに何の目的でどうやって補助金を出すかにある。
( → 日経ビジネスオンライン




 [ 付記1 ]
 紙の新聞の記事によると、「耕作放棄地がどんどん増えている」とのことだ。しかし、これも問題ないだろう。記事にもあるが、中山間地で高齢化が進んでいるということであるから、中山間地で耕作放棄地が増えていると見なせる。要するに、非効率な地域で耕作放棄地が増えているというだけのことだ。そういう地域では、もともと耕作放棄するのが正しいのだ。
 一方、平地では、耕作放棄する農地はあまりないだろう。容易に貸し借りができるからだ。仮に、耕作放棄する土地があったなら、その土地については、(農地としての)固定資産税の優遇をやめて、「農業をするか、売却するか」の二者択一を迫ればいい。それだけのことだ。これはすでに実現の見込みだ。
  → 耕作放棄地の固定資産税2倍に 政府方針 
 
 【 追記 】
 固定資産税2倍といっても、たいしたことはないらしい。
 《 耕作放棄地、課税2倍で集約促す…自民税調素案 : 経済 : 》
 自民党税制調査会は30日、2016年度税制改正の素案をまとめた。
 耕作放棄地に対する固定資産税を現在の約2倍に引き上げ、意欲のある農家への農地集約を促し、国際競争力を強化する。公明党と協議した上で、12月10日にまとめる与党税制改正大綱に反映させる。難航する消費税の軽減税率の具体策は大綱に向けて引き続き詰める。
 農地には宅地などと同じく、評価額の1.4%の固定資産税がかかっている。ただ、農地の評価額は宅地の約500分の1とされる低さで、税金の負担が軽い。このため、耕作を放棄しても土地を手放さない所有者が少なくなく、農地の集約を阻んでいる。
 課税強化の対象となる農地は、農地中間管理機構(農地集積バンク)が指定する。利活用可能な地域の農地が対象で、山間部の農地などは外す方針だ。地元の事情に精通する各市町村の農業委員会の意見も反映する。適用は17年からになる見通し。
( → 読売新聞・夕刊 2015-11-30

 500分の1が2倍になっても、250分の1で、課税強化の実効性はほとんどないだろう。2倍ぐらいじゃ、全然足りないんですけどね。やる気がないようだ。
( ※ 自民党じゃ、仕方ないかも。)

 [ 付記2 ]
 耕作放棄地への改革がなかなか進まないのは、農協がおのれの利権を重視しているからだ、という指摘がある。
  → 農業しないのに農地を手放さぬ「土地持ち非農家」の理由とは
 
 [ 付記3 ]
 「農業人口の高齢化」
 というのは、別に、悪いことではない。
 これは、一見すると、
 「若い人が減って、年取った人ばかりになる」
 ということのように思えるが、実は、そうではない。次の二本立てだ。
  ・ 若年では、農業の生産性が向上している。
  ・ 老年では、無為徒食ではなく、農業生産をしている。

 どちらも好ましいことだ。ちなみに、逆の事態は、こうだ。
  ・ 若年では、農業の生産性が低下して、若い農民が増える。  ・ 老年では、無為徒食となる。(または寝たきりとなる。)

 以上のようになれば、若者の農民が増えて、高齢の農民が減る。しかしながらその実態は、若者は非能率で低所得となり、高齢者は遊んでいるか寝たきりになるかだ。国全体では、大幅に生産性が低下するし、所得も減る。馬鹿げたことだ。だからら、
 「農業人口の高齢化」
 というのは、決して悪いことではないし、むしろ、好ましいことなのだ。それを避ければ、かえって生産性が低下してしまう。
 
posted by 管理人 at 21:54 | Comment(1) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
 [ 付記1 ] のあとに 【 追記 】 を加筆しました。耕作放棄地に対する政府方針の話。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2015年11月30日 19:08
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