◆ おかしな経済政策:  nando ブログ

2015年12月05日

◆ おかしな経済政策

 おかしな経済政策がいっぱいあるので、列挙する形で示す。

 ──

 軽減税率と関税


 軽減税率は、食品の課税を減らして、低所得者を優遇しよう……という趣旨らしい。
 しかし一方では、食品に高率の関税をかけて、低所得者を冷遇している。
 つまり、食品には高率の課税をしておきながら、軽減税率という制度でたったの2%だけ減税して、これを「低所得者対策」と称する。
 馬鹿じゃないの? 最初から食品への高率関税を下げれば、その方がずっと低所得者対策になるのに。
 比喩で言えば、弱者を 10回ぶんなぐってから、1回だけ親切にしてあげて、「俺は何て弱者に優しいんだろう」と自惚れる、という図式。
 狂気の沙汰だ。

( ※ この件は、別項 でも論じた。)
( ※ TPP はあったが、まったくの骨抜きだった。乳製品も小麦も、ほとんど関税は下がらない。→ TPP とバターTPP 結果詳細


 欧州の経済政策


 欧州は量的緩和の追加緩和を決めた。
 欧州中央銀行(ECB)は3日、定例理事会を開き、追加の金融緩和を決定した。国債などを市場から買い取ってお金を供給する量的緩和政策の期間を少なくとも半年延長する。また、民間銀行が中央銀行に預けるお金に課す手数料率(マイナス金利)を現行の 0.2%から 0.3%に引き上げる。経済の停滞で物価がなかなか上がらないデフレ不況を回避するため、追加緩和で景気押し上げを図る。
( → 毎日新聞 2015年12月03日

 ここでは、デフレ対策として、金融緩和をしている。それも、マイナス金利を設定するという異常さだ。

 一方、財政政策では、やたらと緊縮策をとる。財政健全化の方針で、各国に厳しい財政政策を強いる。
  → ユーロ圏の財政健全化|ニッセイ基礎研究所
 では、財政健全化は、何のためになすか? もちろん、インフレ対策だ。昔のドイツが急激なインフレになったので、そうならないようにと、財政健全化を強いる。これはあくまで、インフレ対策だ。

 ここでまとめてみよう。
  ・ 金融政策では、デフレ対策をする。
  ・ 財政政策では、インフレ対策をする。
 これでは政策が矛盾している。アクセルとブレーキを同時に踏むようなものだ。
 現実は? 各国とも失業率が高止まりしている。ならば、アクセルを踏む必要がある。つまり、デフレを退治してインフレになるように景気を過熱するべきだ。
 なのに欧州は、財政改善という形で、財政政策ではブレーキを踏んでいる。
 馬鹿じゃないの? アクセルとブレーキを同時に踏むなんて、狂気の沙汰だ。
    ( ※ 実を言うと、この政策が成立する場合は、例外的にある。それは、一国の生産力が破壊された場合、つまり、スタグフレーションの場合だ。たとえば、敗戦直後の日本。しかし今は、戦争があったわけでもないので、それには当てはまらない。ゆえに、アクセルとブレーキを同時に踏むのは、狂気の沙汰だ。)

 外形標準課税と経済成長


 政府は外形標準課税を導入しようとしている。その目的は、「経済成長のため」だという。
 政府は企業の利益にかかる法人税の実効税率(現在は32.11%)を、2016年度に29.97%まで引き下げる方針を固めた。赤字企業にも課税する外形標準課税を拡大して、引き下げに必要な財源を確保する。
 当初は17年度に20%台を目指す方針だったが、企業の国際競争力を高め、国内の設備投資や賃上げを後押しして経済の好循環を実現するため、1年前倒しで20%台まで引き下げることにした。
( → 外形標準課税で財源確保 - 毎日新聞

 外形標準課税は、財源の安定のためという目的のためなら、意味がある。特に不況のときに税収を落とさないためには、意味がある。しかし、これを「経済成長のため」と称するのは、間違いだ。
 なぜか? 赤字企業に課税して、黒字企業の減税するというのは、「弱肉強食」「適者生存」の意味で、市場における淘汰による改善をもたらす意味はある。しかしながら、マクロ的には、経済成長を損なう。なぜなら、不況のときには、企業は投資をしないで、金を内部留保に回すからだ。(その証拠が、投資不足、つまり、ゼロ金利という形で現れている。)
 つまり、黒字企業にどんどん金を渡すと、黒字企業はその金を有効に使うのではなく、その金を内部留保にして眠らせるだけなのだ。赤字企業ならば金を使うだろうが、黒字企業ならば金を眠らせるだけだ。結果的に、国全体の GDP は低下してしまう。
 要するに、外形標準課税を増やして、法人税を減税するという策は、好況時には経済成長をもたらすだろうが、不況時には経済成長とは逆の効果(経済の縮小)をもたらすのだ。「眠る金が増える」という形で。
 この意味で、政府の狙いは、狂気の沙汰だ。上に上がろうとして、下に下がる結果をもたらすだけだ。馬鹿丸出し。

 なお、経済学の用語で、「自動安定装置」という言葉がある。好況時には増税して、不況時には減税することで、景気を安定させる、というものだ。その具体的な制度は、法人税や所得税だ。……これらはとても良い制度である。
 これに反して、外形標準課税というものは、ほぼ一定の課税をする。これは、財政の安定には役立つが、経済に対しては「景気の山と谷をいっそう拡大する」つまり「経済を不安定にする」という効果を持つ。インフレのときにはインフレをさらに拡大し、デフレのときにはデフレをさらに拡大するわけだ。
 こんな制度を取るような人は、経済学というものをまったく理解できていない。頭のネジが狂っていると言える。

 自動車税と炭素税


 一般国民には消費税がどんどん増税となるのに、自動車税だけはどんどん減税となっていく。すでにいろいろと減税されてきたが、今後もさらに減税されるそうだ。
 《 消費税 10%増税に伴い、車購入時の新税は実質減税へ 》
 再来年の4月から自動車を購入した時に燃費に応じて新たにかける税について、自民党税制調査会は実質的に減税とする方向で調整を始めました。
 自動車購入時の新たな税は、消費税を10%に増税する2017年4月から現在の自動車取得税が廃止されるのに伴って燃費性能に応じてかけられるものです。
 税収の規模を現在の自動車取得税よりも少ない1000億円未満とすることで、実質的には減税とする方向で調整を始めました。
( → TBSの動画ニュースサイト

 実を言えば、減税の前から、自動車業界はものすごい財政支援を受けている。鉄道利用者は鉄道施設の取得費用や固定資産税を払っているのだが、自動車利用者は(高速道路を除いて)道路の取得費用や固定資産税を払っていない。のみならず、道路建設費には、ガソリン税では足りない分を、一般財源からまかなってもらっている。要するに、歩行者は、道路の大部分を車道に奪われるだけでなく、車道の建設費までを払う必要がある。(歩行者が車道を歩くわけでもないのに、歩行者が車道の建設費を払う。)
 このせいで、歩行者はどんどん未知から押しやられたり、交通事故に遭ったりする。特にひどいのは、京都のあたりだ。古い年のせいか、車道と歩道の分離がうまくできていないので、しばしば人身事故が起こる。生徒が車道に突っ込まれて大量に死ぬ、という事故とが、ときどき起こる。( → 京都府八幡市の事故京都府亀岡市の事故栃木県の事故
 歩行者を押しのけて、自動車は我が物顔で地上をのさばるわけだ。
 これほどにも自動車業界は恵まれている。なのに、さらに減税を受けようとする。

 しかし、本来なら、自動車は温暖化の排ガスを吐き出すのだから、余分に税を払うべきだろう。特に、炭素税を払うべきだ。
 そして、自動車が炭素税を払えば、消費税増税なんかをしなくても、国にはたっぷりと税収が入る。おまけに、エネルギー消費も減る。一石二鳥だ。
 なのに現実には、炭素税を払わない。かわりに、エコ減税と称して、炭素排出の少ないものだけを優遇しようとする。しかしながら、自動車税なんてものは、もともと安いのだから、いくらエコ減税なんかをしても、たいして効果はないのだ。むしろ、非エコ増税という形で、炭素税を課すべきなのだ。その方がはるかに妥当だし、効果も大きい。
 自動車ばかりを優遇する政府の方針は、まったく狂っている。狂気の沙汰だ。

 ではなぜ、政府はこうするのか? 業界に買収されたからだ。下記。
 《 自民への企業献金、首位の自動車業界、2割占める 》
2014年に自民党へ献金した上位100企業・団体(計16億9700万円分)を調べたところ、1位の日本自動車工業会など自動車業界からの献金が全体の2割を占めたことがわかった。
( → 朝日新聞 2015年12月4日

 17億円の献金をして、国から数百億円もの減税を引き出す。まったく、ずる賢い。業界と自民で、国民の血税を食い物にしている。
 
 
posted by 管理人 at 22:31 | Comment(8) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
私の認識では道路は自動車税、重量税、ガソリン関係の税金等の自動車購入〜車検等の様々な形を変え取れるだけ税金を取られて造られており、むしろ道路だけにその税金を使うのはずるいという訳のわからない理屈で数年前に自動車関係からむしりとった税金の一部を一般財源化させられたはずです。間違っていたらごめんなさい。
Posted by 会社員 at 2015年12月07日 21:04
 一般財源に入れようが入れまいが、それは形式のことだけなので、意味がありません。一般財源に入れてから道路建設に使われるだけです。

 肝心なのは、自動車から得る税金と、道路建設のために使われる予算とで、どちらが大きいか、ということ。これについては、Wikipedia に記述がある。

> 現在道路整備に充てられる予算は道路特定財源による税収を大きく上回っており、相応の負担をしてはいないともいえる。

 → http://j.mp/1Of1lsJ

 鉄道利用者は、乗れば乗るほど税金を払うが、自動車利用者は、走れば走るほど金をもらえる。
Posted by 管理人 at 2015年12月08日 12:19
Wikipedia見ました。これだけ自動車関係で税金を払っているのにまだ足りないとは信じられませんが、管理人さんのご指摘の通りなのでしょう。今まで車道を当たり前の顔で走る自転車を見て税金払ってから走れと思っていましたが改めます。勉強になりました。
Posted by 会社員 at 2015年12月08日 22:31
 ついでですが、道路の建設費はかかっていますが、道路の取得費はかかっていません。昔からある道路を勝手に自動車専用にして奪い取って、その代金も払わないわけです。で、そのせいで、歩く歩道がなくなった京都府では、自動車事故によって、歩行者の事故が続出しています。
 道路があまりない古都では、金を奪われるかわりに、命を奪われます。つまり、古都では、自動車は金を払うかわりに、歩行者の命を奪っています。

Posted by 管理人 at 2015年12月09日 01:39
少し調べてみましたが、有料道路を除く道路予算の内自動車関係の税金以外からの国や地方の税金で10〜20%くらい負担しているみたいですね。
バスやタクシーの利用を含めれば人口の9割以上の人が日常的に自動車で道路を利用していると考えられ、また有料道路以外は歩道や自転車も利用する事を考えると自動車保有者以外から上記10〜20%を国民全体で負担するのは相応かと思います。
もう少し歩行者側に立った道路造りが必要な地域もあれば無駄な歩道もあるでしょう。しかしそれは自動車業界と政治の問題ではなく、国と地方の街作り思想の問題ではないでしょうか。
Posted by 会社員 at 2015年12月09日 10:16
> 自動車関係の税金以外からの国や地方の税金で10〜20%くらい負担しているみたいですね。

比率が逆でしょ? 自動車以外の部分からの負担は約80%です。自動車の側が負担している率(揮発油税)が、19.9%です。
 → http://www8.plala.or.jp/uemura/papers/2007c.pdf
Posted by 管理人 at 2015年12月09日 18:57
逆ではないと思います。
管理人さんの資料だと重量税や取得税や自動車税が記載されておらずわかりにくいので、
www.mlit.go.jp/crd/gairo/h20gaisan/sankou22.pdf
http://www.mlit.go.jp/common/000114595.pdf
ではいかがでしょうか。
何度もすみません。
Posted by 会社員 at 2015年12月09日 22:36
>管理人さんの資料だと重量税や取得税や自動車税
>が記載されておらずわかりにくいので、
>www.mlit.go.jp/crd/gairo/h20gaisan/sankou22.pdf
>http://www.mlit.go.jp/common/000114595.pdf

これは国の予算ですね。
地方レベルでは4割が一般財源からです。

>バスやタクシーの利用を含めれば人口の9割以上
>の人が日常的に自動車で道路を利用している

都会はともかく地方でバス、タクシーなんて圧倒的に少ないですから10%では多すぎる負担でしょう。

また歩行車と自転車だけならば立派な道路はいらないですし、渋滞対策の費用などでも自動車のために金がかかっているとみられます。
Posted by Executor at 2016年03月06日 16:06
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