英国が「離脱」を通知したあとでも、「取り下げ」という道がある。
──
前項では、「離脱はしない。通知を無期限延期するから」というふうに述べた。(理由は下記)
→ 英国は EU を離脱するか 5
では、(まかり間違って)いったん通知をしたら、どうなるか? あとで「しまった」と思っても、どうにもならないのか? 2年後には自動的に離脱が決まってしまうのか?
「いや。そうではない」
というのが、私の見通しだ。つまり、こうだ。
「英国が離脱の取り下げを申し出て、加盟国の全体が同意した場合には、先になした通知は無効となる」
これはまあ、当り前といえば当り前だ。
ただ、「取り下げ」というのは、リスボン条約には規定されていないと思う。
したがって、「取り下げがなされるかどうか」ということも、まったく議論にはなっていないと思う。
ま、当然といえば当然だ。いったん「離脱」を決めた上で、2年以内に「取り下げ」を申請するなんて、とんだ茶番だし、狂気の沙汰だ。そんなことを規定する方がおかしい。
ところが、現実は、この茶番が実現しかかっている。まさしく狂気の沙汰みたいな事態になっている。英国は「離脱」を決めたあとで、後悔しきりで、「やっぱりやーめた。再投票で、先の投票を取り消したい」と思っている人が続出している。
→ 英国は EU を離脱するか 3 の [ 補足 ]
こういう馬鹿げた事態になっているからには、将来的には「取り下げ」という事態が実現するかもしれない。
ま、本筋としては、離脱の「通知」をしないで、無期限延期となるだろう。( → 前項 )
しかしながら、まかり間違って、離脱の「通知」をしたとしても、その後で、「取り下げ」という道が残っているのだ。
だから、万一の場合があっても、英国の離脱は結局はありえない……というのが、私の見通しだ。
[ 付記1 ]
これは、「規定には何も書いてないが、たぶんそうなるだろう」という見通しだ。
ここで、「そうなる」ということの内容は、特別なことではなくて、ただの「全員の合意」だけだ。つまり、当り前の状況だ。したがって、別に不思議なことではない。
「取り下げ」というのは、一見したところ、「不思議なこと」に見えるかもしれない。だとしても、実質的には、当たり前のことなのだから、別に不思議でも何でもないのだ。
[ 付記2 ]
人々が「まさか」「不思議だ」と思えるようなことも、じっくり考えれば、ただの当り前のことだ、とわかることは多い。
ただし、「規則は絶対に守らなくてはいけない」というように、規則にがんじがらめになった頭だと、「当たり前のことをする」という選択肢を取るだけの、柔軟性が失われやすい。
常識にとらわれすぎると、ごく簡明な真実を見失いがちだ。
( ※ 「裸の王様」に似ている。私がよく扱うテーマ。 → サイト内検索 )
2016年06月26日
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