◆ 消費税増税の効果は?:  nando ブログ

2016年07月20日

◆ 消費税増税の効果は?

 消費税は 0% → 3% → 5% → 8% と上がっていった。それによって財政はどれほど健全化したか?

 ──

 消費税増税の狙いは、財政健全化だ。日本の財政は大幅赤字だから、消費税増税によって財政健全化を果たそう、というわけだ。
 このことは、竹下内閣(3%)のときもそうだったし、橋本内閣(5%)のときもそうだったし、野田内閣・安倍内閣(8%)のときもそうだった。さらには、頓挫したが、細川内閣のときの国民福祉税(7%)もそうだった。(このときは名前まで変えようとしたので、「姑息だ」と批判を浴びた。)

 では、「財政健全化」という狙いに対して、実際にはどうなったか? まさしく「財政健全化」は果たされたか? 換言すれば、歳入における税収は拡大したか? 

 このことは、グラフを見れば一発でわかる。財務省のサイトから転載しよう。


クリックして拡大
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出典:財務省



 税収は、ここ8年ぐらいは増えているように見える。特に、ここ3年ぐらいは良く増えているように見える。その意味では、「増税の効果はあった」と思えそうだ。
 しかし、よく見るといい。消費税増税の前は、1988年度で、税収は 50.8兆円もあった。それから 17年もたって、 2015年度には 56.4兆円だ。あまりにも増加額が少ない。特に、消費税導入直後の 1989年度が 54.9兆円だから、そこからほとんど増えていないことになる。

 結局、まとめて言えば、こうだ。
 「消費税導入によって、17年間の間に浮き沈みもかなりあった。増えたり減ったりした。特に近年は、底打ちしたあとで上昇した。しかし 17年たったあとで全体をまとめれば、税収の増加はほとんどなかった。消費税増税の効果はほとんどなかった」


 このことは、「17年間の間に GDP が増えた」ということと照合すると、いっそう明らかになる。
 GDP の推移はこうだ。


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出典:ガベージニュース

《 注 》グラフに著作権はありません。



 日本の名目 GPD は、1990年以降、ほとんど増えていないことがわかる。いくらかは増えているが、それは、税収の伸び率と同じぐらいだ。
   名目 GDP の伸び率 ≒ 税収の伸び率

 これはつまり、消費税増税の効果はほとんどゼロに等しい、ということだ。名目 GDP が少しだけ増えたから、税収も少しだけ増えた。それだけだ。つまり、消費税増税による税収増の効果は、ほとんどゼロだった、ということになる。

 ──

 では、どうしてこういうことになったのか? 理由は二つの点で理解できる。

 (1) 消費税増税のたびに、消費税の税収は急激に増えている。そのことは、1番目のグラフで、 1989年、1997年、2014年の箇所で、消費税が急激に増えていることからわかる。つまり、消費税に関する限りは、税収はまさしく増えている。
 にもかかわらず、税収の全体は増えていない。としたら、次のことが成立する。
 「消費税が増えた分、他の税収は減ってしまった」

 これは、換言すれば、次のことを意味する。
 「消費税が増えた分、所得税と法人税が減ってしまったので、全体の税収は増えない」

 このことは、短期的には必ずしも成立しない(∵ 変動が大きいから)のだが、長期的にはおおむね成立する。その結果が、「税収は長期的にはほとんど増えていない」ということだ。

 (2) 消費税増税がもたらした最大の効果は、税収が増えないことではなくて、GDP の伸び率を大幅に鈍化させたことだ。そのことは、2番目のグラフを見るとわかる。1989年以前には高い GPD 成長率があったのに、1990年以降は低い GDP 成長率となっている。1990年には、バブル破裂という事件があったので、この直後に成長率が鈍化するのはやむを得ない。しかしながら、その影響が消えつつある 2000年以降でも、GDP 成長率は低いままだ。これは、橋下増税による増税効果が大きかった、と見なせる。

 ──

 以上をまとめれば、消費税増税の効果は、次の二点だ。
  ・ 税収の点では、プラスマイナスが相殺して、効果なし。
  ・ 経済成長の点では、成長率を大幅に鈍化させた。




 [ 付記1 ]
 1990年以後の成長率が低い、と上で示した。
 さらに、1989年以前の分との比較を見ると、こうだ。


gdp-long.png
出典:世界のネタ帳



 1989年以前の成長率は高く、1990年以後の成長率は低い、とわかる。

 ちなみに、同時期の米国と中国は、高い成長率を達成していた。


gdp-3.png
出典:世界のネタ帳



 このことからして、1990年以後の低い成長率は、日本に特有のことだとわかる。

 ちなみに、この時期、日本のサラリーマンの平均年収はどんどん低下するばかりだった。


平均年収の推移

(クリックして拡大。別サイトで。)


 この件は、別項 でも述べた通りだ。
 
 まあ、ひどいものです。
 
 [ 補足 ]
 本項の趣旨がわかりにくいかもしれないが、一言でいえば、こうだ。
 「消費税増税は、税収の増加をもたらさず、経済成長を抑止するばかりだ。良い面は何もなく、悪い面ばかりだ。特に、不況期には、そのことが典型的に現れる」
 わかりやすく言えば、この 20年間、日本は自殺政策ばかりを取ってきた、と言える。運悪く景気後退していたのではない。あえてそうなるように、自分で自分の首を絞めていたのだ。天の運によって不幸が訪れたのではなく、自らあえて不幸を招き寄せていたのだ。「不況」または「デフレ」という名の不幸を。
 
( ※ 本人は、「不況を脱したい」と思って、必死に努力してきた。しかしそれは、「量的緩和」という、まったく無効な手でしかなかった。いくら努力しても、ただの無駄なあがきにすぎなかった。無効な努力は山のようにやったが、有効な努力は何一つやらなかった。むしろ逆に、自分の首を絞める努力ばかりをしていた。……それが「消費税増税」だ。)
 


 【 関連項目 】

 書いたあとで思い出したが、同じテーマで、前にも論じたことがあった。
  → 消費税と所得税の負担
 
posted by 管理人 at 22:25 | Comment(9) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
米国には消費税はなく、売上税がある。
http://guccipost.co.jp/blog/gucci/?p=3707

考え方の違いなんですね。
http://president.jp/articles/-/10632?page=2

結局悪平等すぎてボロボロになった。被災地で支援物資を配布するにあたって人数分が確保できないから支援物資を受け入れない。という思想と根は同じなのかもしれません。

Posted by 京都の人 at 2016年07月21日 00:33
財政健全化には最低消費税25%は必要と2000年初頭から言われ続けてる。

たかが8%10%でどうこうなるなんて最初からだれも思ってないし、言われてもない。

当たり前にのことですね。財政健全化はもはや不可能。100兆の歳出を切り詰めれば景気ははどん底へ。かといって70兆、80兆の税収はスーパーバブルを起こさないと不可能。
Posted by 散歩の大家 at 2016年07月27日 21:47
> 財政健全化はもはや不可能。

財政健全化は可能ですよ。景気を大幅に改善すれば、長期的には、いつかは財政健全化ができる。

そして、それこそが、日本経済の取る道(唯一の正解)であることも明らか。

そして、そのために当面なすべきことは、ただちに景気を大幅に改善すること。

そのためには、大幅減税をすればいい。
つまり、長期的に財政健全化をするためには、短期的に財政を大幅悪化すればいい。
なのに、短期的に財政健全化をめざすから、長期的には財政悪化を招くばかり。

……以上、何度も言っているとおり。本サイトをずっと読んでいれば、すぐにわかることだが。
Posted by 管理人 at 2016年07月27日 23:34
>景気を大幅に改善すれば、長期的には、いつかは財政健全化ができる。

たかが8%範囲内の減税で昭和バブルを超えるような税収になる景気が長期でつづくと??まあ夢は楽しいものですね。

>短期的に財政健全化をめざすから
短期的財政健全化すらめざしてませんよ。8%ではね。
もう一度言いますが健全化には20%〜25%が必要だとづっといわれてる。そこは理解しましょうね。8%ではそもそも焼け石に水。健全化するわけがない。悪化する一方。

で減税分の財源どうするの?まず10兆円*10年分をどうするのかご教授ねがしたい。

>本サイトをずっと読んでいれば、すぐにわかることだが。

いや、あなたの妄想を理解したところで意味はないでしょ。
Posted by 散歩の大家 at 2016年07月28日 07:42
本稿でのあなたの主張。

消費税で財政健全化したか? いやしてない。
だから意味がない。減らせ。

私のつっこみ。

たかが8%(税収にして10兆円(あのまま直接税なら5兆円相当、差は5兆)財政健全化するなんて話聞いたことがないし、だれもいってない。20%〜25%は必要だと2000年当初から試算されてた。

だからあなたの消費税8%で財政健全化できないから消費税は無意味という認識はそもそもおかしい。

8%10%で財政健全化できるなんてだれも思ってませんよ。

5兆円の減税で長期の景気改善??夢は楽しいものですね。
Posted by 散歩の大家 at 2016年07月28日 07:50
> たかが8%範囲内の減税で
> 5兆円の減税で

人の話を読みもしないで、勝手に決めつけるのは、おかしいと気づかないの? 

私は「最大 30兆円の一括減税」と言っていますよ。
妄想を抱かないで、人の話をちゃんと読みましょう。
5兆円の減税だったら、消費税の増税を解消することにもならない。それっぽっちで足りるわけがないでしょう。

なお、「財源はどうするんだ?」という疑問を出そうとするだろうが、それこそまさしく、あなたが本サイトを読んでいない証拠。
相手の話を聞かずに、自分の読んだ範囲内で理解して、書いてないことについて曲解したあげく、自分の描いた妄想を批判する……という藁人形論法の人は、お断り。
Posted by 管理人 at 2016年07月28日 12:39
30兆の一括減税?

もはや消費税のあるなし関係ない世界ですね。本稿命題はどこえやら。

独りよがりのお花畑よ永遠なれ
Posted by 気に触るとブロック at 2016年07月28日 21:23
> 本稿命題はどこえやら。

 本項は関係ないですよ。別項で述べている、と記したとおり。
 あなたが反論したければ、別項を読んでから反論すればいい。「30兆」でサイト内検索すれば、いっぱい見つかる。
 なのに、それを読みもしないで難癖を付ける人に、「人の話を読んでからにしろ」と言っているわけ。
 相手(こちら)の話を聞かない人は、ブロック対象になります。議論の最低限のエチケットを守らなければ、当然でしょう。ここは落書き場じゃない。便所の落書きにしないためには、ゴミ投稿はブロックするしかない。
 こちらの話を読んだ上での反論ならば歓迎するが、あなたはまったく違う。相模原の犯人と同様で、内容空虚のまま、他者攻撃することしかできない。

 以下、引用。

 ──

>本サイトをずっと読んでいれば、すぐにわかることだが。

いや、あなたの妄想を理解したところで意味はないでしょ。

 ──

 こちらの話を読むつもりはない、とあなたは宣言している。ブロック対象になるのは当り前。
Posted by 管理人 at 2016年07月28日 23:24
本邦の税収の推移を論じるに当たっては、昭和末期以来法人税率・所得税率が引き下げの一途にあることを明示すべきでありましょう。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/035.htm
Posted by 吉田 at 2017年09月19日 03:25
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