◆ 左翼と右翼(生産性の問題):  nando ブログ

2016年12月24日

◆ 左翼と右翼(生産性の問題)

 左翼は分配について考え、右翼は生産力について考える。そこに、今日の日本の問題がある。

 ──

 今朝のテレビを見ていたら、将来の年金問題について論じていた。
  ・ 今の高齢者は十分な年金をもらっている。過剰なほど。
  ・ しかし少子高齢化で、将来は年金額は減る。
  ・ 年金制度が破綻しないようにするべきだ。
  ・ そのためには、現在の過剰な年金額を減らすべきだ。
  ・ しかし、物価・賃金が低下しても、年金額は減らない。
  ・ その根源は、デフレが続くことが想定されていなかったから。
  ・ 根本は経済の不振だ。
  ・ それでもとりあえずは現在の年金を下げるべきだ。
  ・ しかるに、野党は反対している。
  ・ これでは年金制度が破綻する。

 まあ、その通りですね。あちこちで何度も指摘されたとおり。

 ここで、野党が滅茶苦茶なこと(わずかに年金額を下げること)に反対しているのは、なぜか? 基本的には、ただの人気取りだが、これは政権担当能力がないことにもつながる。
 とはいえ、大局的にざっと展望すると、別のこともわかる。

 ──

 そもそも、日本の左翼(野党)は伝統的に、「配分」にこだわる。こうだ。
 「金持ちの資産を奪って、大衆や貧困者に分配する」

 このこと自体は、別に悪くはない。ピケティも述べているように、このような形で「所得の再分配」をすることは、「富の集中」を是正するために、必要なことだ。(さもなくば富の集中のせいで、一国経済が歪んでしまう。金持ちばかりに富が集中して、生産物を購入する大衆に金が回らなくなり、一国経済が縮小する。)

 では、問題は何か? こうだ。
 「配分ばかりにこだわって、生産力の拡大に目が回らない」

 つまり、「パイの配分」にばかりこだわって、「パイを大きくすること」には目が回らない。そのせいで、「ともに貧しくなる」という道を選んでしまう。
 現在、日本経済は長年のデフレに悩んでいるが、これは、経済成長を疎んじてきた左翼(野党)の責任も大きい。特に、かつて「消費税の増税」を打ち出した民主党の責任は、とても大きい。
 
 では、右翼(与党)はどうか? これはこれで、逆の意味で問題が大きい。こうだ。
 「生産力の拡大を狙っているという点では正しいが、生産力を拡大する企業の側だけを優遇して、労働者への分配をないがしろにしている」

 自民党の政策は、経済成長を狙っている。そのこと自体は正しい。左翼(野党)よりもずっと正しい。しかしながら、そのために、企業を優遇することばかり考えているのが、まったく正しくない。目的は正しくても、方法が正しくない。経済成長のために、法人税減税など、企業を優遇することばかりを考えている。では、どうすればいい? 
 「経済成長が実現しない理由は、供給不足にあるのではなく、需要不足にある」
 と理解するべきだ。そうすれば、優遇するべき対象は、企業ではなく国民だ、とわかるはずだ。つまり、法人税減税ではなく、所得税減税(それも還付つき一律減税)こそ経済成長のための方法だ、とわかるはずだ。しかし、自民党はそれがわからない。相も変わらず、法人税減税や、農家優遇などをするばかりだ。かくて、いつまでたっても、デフレを脱せない。

 ──

 ここまで見れば、日本のあるべき姿はわかる。
  ・ 配分の問題だけを考える左翼をつぶせ。
  ・ 供給側の問題だけを考える右翼をつぶせ」
  ・ 需要の拡大による生産力の拡大をめざす新党を作れ。


 これが日本のあるべき姿だ。つまり、左翼でも右翼でもない、まったく新たな新党が必要となる。それは、マクロ経済学を理解した上で、「減税による経済成長こそが日本に必要だ」と主張する政党だ。
 現実には、それがない。国民の選択肢には、政界が含まれていない。だからこそ、日本は長期低迷となる。



 【 関連サイト 】

  → 「1人あたり」は最低な日本経済の悲しい現実
  → 日本は、ついに「1人あたり」で韓国に抜かれる
  → 日本を「1人あたり」で最低にした犯人は誰か

 これらの記事では、次のように述べている。
 「日本の経済成長が低迷している理由は、日本経済の生産性の向上率が低いからだ( or 生産性がずっと低いままだからだ)」
 「その理由は、経営者の経営がまずいからだ」


 このうち、前者は正しいが、後者は正しくない。個別の企業の良し悪しならば、経営者の責任に帰することができるが、一国全体の経営がまずいのならば、それは個別の経営者の責任に帰することはできない。(マクロの問題をミクロや個々の企業に帰することはできない。)



 [ 付記 ]
 上の問題に対する回答を与えよう。
 日本全体の生産性が低迷している理由は、別にある。こうだ。

 (1) マクロ的な経済成長率が低いせいで、個別の企業の生産性向上率も低い。一国全体の生産性の向上が起こるのは、常に、景気が拡大しているときである。景気が拡大すると、自動的に生産性も向上するのだ。(たとえば、遊休設備が稼働する。)逆に、景気が低迷すると、生産性も自動的に下がる。ゆえに、生産性を上げるには、景気の拡大が最優先だ。
  → 経済理論全体の概要
 上記ページの一覧の冒頭に、「生産性の向上」という項目がある。
 そのリンク先を読むといいだろう。

 (2) 生産性が極端に低い産業に、多くの労働力が投入されている。ここが問題だ。具体的に言えば、それは、農業だ。農業保護のせいで、日本全体の生産性が低下してしまう。具体的に言えば、こうだ。
  ・ 農業の生産性の低さが、一国全体に統計的に影響する。(平均値を下げる)
  ・ 農業人口が多大になるせいで、生産性が下がる。これを解決するには、生産力を維持したまま、農業人口を減らすべきだ。( → 別項
  ・ 農産物が保護されるせいで、輸入が減り、農産物価格が上昇する。そのせいで、円安となる。円安のせいで、通貨レート換算の所得が低下して、生産性が下がる。


 上記三点の問題を解決するには、農業を自由化するといい。すると、こうなる。
 「生産性の低い農業は壊滅する。酪農や米作などの生産量は激減して、5割〜7割ぐらいだけが国内生産となる。それは一部の大規模農家だけだ。それ以外の分(小規模農家)は、すべて退場する。かわりに、外国の安価な農産物が流入する。円レートは円高となり、そのせいで、いっそう外国の農産物は流入する」
 これで困るか? 別に、困らない。こうなっても、高品質の物を好む消費者が多いので、米作や酪農の半分以上は生き残る。
 ただし、次のものは生き残れない。
  ・ 国内産バター、チーズの大半。
  ・ 安価な低価格米(特に外食の弁当用など。)
  ・ 関税率がものすごく高いもの(さとうきび・てんさい) 要するに、TPP を極端に実行すればいいのだ。私としては、農業の関税率は、一律に 10〜20%にして、数量制限を撤廃するのがいいと思う。関税率は、当初は 20%にして、十年ぐらいをかけて 10%ぐらいまで下げればいい。
 この後、円高にともなって、1ドル= 70円ぐらいまで円高が進むだろう。このとき、関税率が 10%であろうと 20%であろうと、たいして違いはない。農産物の価格は大幅に下がる。と同時に、日本の生産性は大幅に上昇する。これまで農業に携わっていた人は、別の産業で働くようになる。
 かくて、ドル表示の日本の生産性は、大幅に上昇する。また、農産物の価格が劇的に下がるので、国民は実質所得の上昇をはっきりと実感できる。
( ※ 現実には、農産物の価格が下がるというよりは、インフレにともなって、所得が上昇するだけだろう。インフレの中で、農産物の価格が上昇しなければ、国民は所得の上昇だけを実感できる。)
 


 【 関連サイト 】

  → 海外移住?アメリカは止めた方がいいよ

 アメリカは(サービス産業で)物価が滅茶苦茶に高いので、高給をもらっても暮らしにくい、という話。
 年収 2000万円でも、日本の年収 1000万円ぐらいにしか相当しないそうだ。
 外食費が滅茶苦茶に高いという話もあるが、事情は欧州でも同様だ。ロンドンも同様に高い。(日本の倍。)

 日本のサービス産業の人件費(生産性)は低いが、その分、消費者は恩恵を受けている。実質賃金が上がったことに相当する。
 換言すれば、現状では、円が過小評価されている。(本来ならばもっと円高になるべき。その分、名目上の生産性は上昇する。)
 
 なお、上記では「アメリカ移住はやめた方がいい」というが、欧州だって、サービス産業の物価は高い。(労働環境は良いが。)
 
posted by 管理人 at 09:56 | Comment(1) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
1990年代初頭のバブル崩壊で、企業はリストラの脅しを使い賃金を引き下げた。その後、業績が回復しても、企業は将来が不安だとリストラをちらつかせ、労働分配率を上げようとはしなかった。
労働者は過去のリストラ時代の恐怖におびえ、賃上げを強く要求することもなかった。そこで、利益剰余金はむなしく内部留保に豚積みとなった。
あわれな社畜君たちに、明るい未来は来るのだろうか。
Posted by passerby at 2016年12月27日 23:51
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