◆ ジャガイモ不足の対策は?:  nando ブログ

2017年06月16日

◆ ジャガイモ不足の対策は?

 ジャガイモ不足が話題になっている。では、ジャガイモ不足を解決するには、どう対策すればいいか?

 ──

 ジャガイモ不足が話題になっていた。
  → ポテトチップス販売休止相次ぐ 北海道産ジャガイモ不足で

 これは4月の記事だが、ようやくジャガイモ不足が一段落したそうだ。
 カルビーは 15日、原料のジャガイモ不足により4月から販売を休止していた「ピザポテト」などポテトチップス3種類の販売を来週から順次再開すると発表した。
 昨年夏に北海道を襲った台風の影響で、ジャガイモが不作となり販売休止となっていた。5月中旬以降、北海道以外でジャガイモの収穫が始まり、原料確保のめどがたったという。
( → 佐賀新聞

 今年については、とりあえず解決のメドが立ったようだ。とはいえ、来年以降も、同じような問題が発生しかねない。では、どうすればいいか? 

 ──

 この問題について、いろいろと調べたのだが、正解にたどり着くのはかなり難しかった。情報はネット上を探しても、あまり多くないので、実状を調べるのに手間がかかったのだ。「正解はわかりにくい難解なものかな?」とも思えた。
 しかしながら、最終的な正解は、「王道」とも言える常識的なものだった。
 とはいえ、それは日本では実行しにくいものだった。なぜなら、日本では、「王道」を取ることは困難であるからだ。ここに問題の根源があるとも言える。
 つまり、ジャガイモ不足の根源は、技術的な問題ではなくて、人間自身が正解を取ることを拒んでいることだ。「正解」は目の前に提示されているのだが、それを手でつかむことを自分自身で拒否していることだ。……ここに問題解決が困難であることの本質がある。
 以上が、核心だ。以下では、詳細を述べよう。

 ジャガイモ不足


 国内ではジャガイモ不足が話題になっている。ポテトチップス用のジャガイモの不足(不作)が話題になったが、ジャガイモ生産については慢性的な問題があるそうだ。
 《 ジャガイモ作り、根深い課題 》
 今春のポテトチップスの一部販売休止で注目された国内産のジャガイモ。今年の作付けは順調だが、実は、人手不足などで生産量の維持に不安がある。
 北海道農協畑作・青果対策本部によると、出荷までの1ヘクタール当たりの労働時間は約 116時間で、小麦の約7倍だ。収穫時の選別作業などで農家の負担が大きい。慢性的に人手不足にも陥っている。麦や豆と組み合わせた輪作農家が多いが、ジャガイモを外す動きもでているという。
( → 朝日新聞 2017-06-14 朝刊

 「労働時間は……小麦の約7倍だ」
 ということだから、問題の解決は容易ではないとわかる。では、どうすればいいのか? 

 生産コストの高さ


 労働時間について確認してみると、次のデータが出る。


jagaimo.png
出典:農水省資料


 ここからわかるように、植付・収穫で、小麦に比べて圧倒的に多くの労働時間がかかるとわかる。
 同趣旨の話は、他にもある。
ジャガイモ生産の労働時間は小麦の約7倍
ジャガイモの作付面積は、年々減り続けています。最大の要因は人手不足で、朝4時から始めて夜まで作業したり、収穫時期の約40日間で約600トンのジャガイモを収穫したりする激務ぶり。1ヘクタール当たりのジャガイモ生産の労働時間115.8時間で、小麦の約7倍です。イモについた土を払ったり、規格に照らし合わせて大きさで選別したりなどの作業はすべて手作業になるためです。農家の高齢化が進む半面、お金をかけた効率化も難しい。
( → ジャガイモ生産の危機。労働時間は小麦の約7倍

 こういう問題を解決しない限り、どうしようもない。
 では、どうするか? 

 解決可能か? 


 特に収穫が問題だ。ここでの労働時間を減らすには、どうすればいいか?
 朝日の記事(上記)には、
 「収穫時の選別作業などで農家の負担が大きい」
 とあるので、
 「選別が問題だ」
 とも思える。そこで調べると、選別は、次のようなものだ。


《 ジャガイモの選別 》



 これは、人手がかかるとはいえ、十分に合理化されているので、これ以上の改善は困難だと思える。つまり、選別における労働コストを下げるという道は、解決は困難に思える。

 外国はどうか?


 では、どうすればいいか? 
 そこで、外国との比較を考えてみる。
 アメリカではどうか? 考えると、アメリカには、メキシコなどからの(不法)移民の労働力があるので、それで労働コストを下げるという方法がある。
 しかし、(不法)移民の労働力という手は、日本では使えない。では、どうする? 

 ドイツにおける低価格


 そこで、ジャガイモ生産で有名なドイツを調べてみる。ドイツは、(不法)移民の労働力は使えない。とすれば、ドイツではジャガイモは高価格か? いや、そうではない。とても低価格だ。
 《 ドイツはじゃがいもが安い!》
ドイツと言えばじゃがいも!
お値段もすっごく安いんですよ。
5キロで1.99ユーロのじゃがいもがたくさん積まれています(写真は外国系スーパーのもの)

美味しいし、安いし、主食だし。
じゃがいもを食べていれば、食費も安く済みます!
この前は、近所のスーパーマーケット「Edeka」で、5キロのじゃがいもが0.99ユーロで売られているのを見かけました。
( → ドイツの窓辺から

ドイツでは、じゃがいも、たまねぎ、ニンジン、マッシュルーム、トマトといった定番の野菜はとても安いです。買う場所や品質、時期にもよるので一概にはいえませんが、じゃがいも、たまねぎ、にんじんに関しては1キロあたり1ユーロ前後で買うことも可能です。
( → ドイツの物価って高い?安い?ドイツで買うと安いもの7選

 ちなみに、日本でいくらかと思って、近所のスーパーのチラシを見たら、こうあった。
 「特売で 2kg 398円。先着 100名様限り。お1人様1点限り」
 大特売であっても、ドイツの2倍ぐらいだ。いかに高いかがわかる。
 ( ※ 日本では通常、ゲンコツぐらいの大きさが、1個 80円ぐらい。)

 機械化による生産性向上


 上のことからわかるように、ドイツのジャガイモ価格は、日本の半額以下だ。ではどうして、ドイツのジャガイモ価格は安いのか?
 その根拠を調べて、ネットのあちこちを捜してみたのだが、どうやら「大規模化と機械化が進んでいる」ということらしい。
 実演機は大規模栽培を対象としているため大型で、作業能率や作業効率の向上を図っており、近年のEU圏の大型化傾向と同じであった。 
 ジャガイモ収穫においても収穫物の運搬作業が作業効率のボトルネックとなるため、運搬するトレーラ、荷受作業機、選別機やトラックへの積込み機など運搬関係の作業機の改善が進んでいた。
 ポテトハーベスタと搬送用機械などは最新機の実演で丶この方式は北海道と比べ作業効率が高く省力的な収穫体系である。 北海道と比べて種ばれいしょの種苗管理や生産方式は異なっているが、大幅な省力化が図られている(写真6)。

( → ドイツ、 オランダのジャガイモの現状と課題[PDF]

 大規模化と機械化というのは、妙案ではなく、当り前の王道だ。とはいえ、それこそが正解なのだということが、上のことからわかる。
 また、その正解が、日本ではなされていない、ということもわかる。

 生産性向上による低コスト化と生産者人口減


 ではなぜ、日本ではその王道が取られないのか? このことは、前に述べた次のことからわかる。
 農業人口が減少していることは、困ったことか? いや、そうではない。大切なのは、人口ではなくて、生産量である。そして、生産量が一定である場合には、次の同値式が成立する。

   生産性が高まる ⇔ 人口が減少する


 生産性が高まることと、人口が減少することは、まったく同じことなのである。
( → 農業人口の減少:  nando ブログ

 要するに、「生産性の向上」には、「就業者の減少」がともなう。「コストの低下」だけが起こるのではない。「就業者の減少」がともなうのだ。農業人口が大幅に減るのだ。
 なのに、政府の関係者は、そのことをまったく見失っている。
( → 農業再生と生産性向上:  nando ブログ

 農産物の価格(および生産コスト)を下げるには、生産性を上げるしかない。そして、生産性を上げるということは、労働人口を減少させることと等価だ。
 ところが、労働人口を減少させれば、農業では多大な失業者が出る。
 たとえば、生産量を保ちながら、労働人口を 10分の1まで減らせば、現在の農業従事者の 10分の9は廃業してしまう。ジャガイモの生産コストを大幅に下げれば、現在のジャガイモ農家のほとんどは廃業してもらう。土地は一部の大規模農家に集約され、規模は大規模化するが、同時に、農家の大部分は廃業となってしまうのだ。

 ところが、政府は、それを拒む。「大部分の農家を廃業させるような市場価格の低下」なんて、断じて拒む。
 だからこそ、市場価格も高止まりするし、生産コストも高止まりする。こうして、生産性の向上は実現されなくなる。(集約も大規模化もなされなくなる。)

 政府の方策の矛盾


 結局、政府の方策そのものに矛盾があるとわかる。
 「生産性向上による低コスト化を狙うが、生産性向上にともなう生産者人口減(農家の廃業)を拒む」
 ここに矛盾がある。だからこそ、生産性向上による低コスト化も不可能となるのだ。
 比喩的に言えば、アクセルを踏みながら、速度向上による弊害を恐れてブレーキを踏んでいる。アクセルとブレーキを同時に踏んでいるから、いくらアクセルを踏んでも加速しない。……自分自身に矛盾があると、そういうことになる。
 そして、この矛盾に気づかないまま、
 「どうしてアクセルを踏んでも加速しないのだろう?」
 と不思議がっているのが、今の日本のありさまだ。つまり、自己の姿が見えないので、真実に対して盲目になっている。その状態で、「どうしたらいいんだろう、どうしたらいいんだろう」と悩んでいる。馬鹿丸出し。

 低コスト化の強制


 では、どうすればいいか? 簡単だ。
 「低コスト化を強制する。そのために、市場価格を下げる。そのために、TPP などを通じて、輸入を増加させる」

 つまり、輸入の増加を通じて、市場価格を下げればいい。そうすれば、次のようになる。
  ・ (輸入自由化により)輸入増加
  ・ 市場価格の低下
  ・ 生産コストの高い生産者が廃業する
  ・ 廃業して余った土地は、他の農家に委ねられる
  ・ 一部の大規模農家への集約が進む
  ・ 一部の大規模農家で、生産性の向上が大幅に進む

 こういうふうにして、自動的に生産性は向上していく。これはまた、保守系の経済学者の大好きな「市場原理」でもある。たしかに、市場原理を進めれば、状況はどんどん改善していくのだ。

 ところが、政府は、その逆の行程を取ろうとする。こうだ。
  ・ 一部の大規模農家で、生産性の向上が大幅に進む
  ・ 一部の大規模農家への集約が進む
  ・ 他の農家の土地を、どんどん購入する
  ・ 生産コストの高い生産者が、土地を売却して、廃業する
  ・ 生産コストの低下にともない、市場価格が低下する
  ・ 輸入の自由化に対抗できる

 こういう形で、「国内農家の生産性向上によって、輸入自由化に対抗する」ということを狙っている。
 しかしこれは、「市場原理」とは逆の、「国家による農業生産の管理・指導」であり、社会主義の一種だ。そして、社会主義の計画経済が成功した例など、いっぺんもない。
 政府がいかに間違った政策を取っているか、このことからも明らかだろう。

 まとめ


 ジャガイモ不足が起こっている。
 その理由は、ジャガイモ生産の生産性が悪いからだ。
 これを解決するには、ジャガイモ生産の生産性を向上させればいい。
 しかしそれには、農業人口の減少という痛みを伴う。
 その痛みを拒否するがゆえに、生産性の向上を進めることができない。
 かくて、集約も大規模化もできないまま、生産性の向上ができない。
 その根本的な理由は、政府が生産性の向上を拒否しているからだ。
 政府は、農家の廃業を否定するとき、生産性の向上そのものを否定している。
 なのに政府は、そのことに気づかない。この愚かさが、すべての根源だ。
 この問題を解決するには、真実を見抜くことが大切だ。「王様は裸だ」と言い切ることが大切だ。
 そして、そういうことができれば、「輸入の自由化による市場価格の低下」を受け入れることができる。
 そのときようやく、日本国内でも生産性の向上が進む。



 [ 付記1 ]
 ジャガイモについては、「輸入」という方策がある。
 実は、病害虫の危険があるので、「生のジャガイモは輸入禁止」という原則があるのだが、輸入した場所ですぐに加工することにすれば、輸入可能だ。ただし、きわめて限定的。
 【輸入の体制について】
(1)生じゃがいもの輸入解禁
2006年2月1日、ポテトチップス加工用に限り米国からのじゃがいもの輸入が解禁となりました。
このじゃがいもの輸入期間は毎年2月から6月までと限定されており、またその使用は農林水産省指定加工工場(2007年5月現在カルビー広島西工場)のみとなっています。
(2)輸入される量について
輸入量は日本全国のポテトチップスに使用される年間使用量の0.4%程度となっております。
( → ニュースリリース カルビー

 [ 付記2 ]
 ジャガイモには、放射線(ガンマ線)による殺菌が認められている。
 放射線であるガンマ線を照射する方法がある。コバルト60から放出されるガンマ線により、芽の組織の細胞分裂を阻害することで発芽を抑制する。
 ジャガイモへの放射線照射は 1972年に厚生省(現厚生労働省)により認可されたが、1974年1月から道の許可を得て北海道の士幌町農業協同組合が実施しているのみである。なお、日本において放射線の食品照射が認められている食品はジャガイモだけである。
( → ジャガイモ - Wikipedia

 放射線照射を米国で実施すれば、伝染病などの危険性は大幅に減る。もっと輸入を自由化することもできるだろう。
( ※ 逆に言えば、輸入自由化を阻止するために、放射線照射による殺菌を制限しているのかもしれない。非関税障壁。)

 [ 付記3 ]
 加熱調理したジャガイモならば、比較的低い税率で輸入可能である。スーパーではフライドポテトとして売られている。安いものでは 400グラムで 200円程度。(イオンやヨーカドーのプライベートブランド)
  → セブンプレミアム 皮付きポテト (400g)

 とはいえ、冷凍食品売場でいりろと商品を見ると、炭水化物の方がずっと安い。例は、冷凍うどんだ。1キログラムで 300円程度だ。
  → さぬきうどん ゆで -イオンのプライベートブランド TOPVALU(トップバリュ)
 なお、1キログラムで 200円程度のものもあるが、まずいらしい。
  → のどごしのよい うどん -イオンのプライベートブランド TOPVALU(トップバリュ)
  → イオンのベストプライス、冷凍食品のうどんってまずくないですか?
 また、3玉で 100円以下で、ゆでうどんもスーパーで売っている。

 うどんの他に、冷凍ラーメンもある。また、即席ラーメンやスパゲッティ(乾麺)もある。食パンもある。
 とにかく、これらの炭水化物の方が、ずっと価格は安い。どうせ炭水化物を取るのなら、ジャガイモでなく、もっと安い小麦製品の方がお得だと言えるだろう。
 日本ではジャガイモが高価格なので、消費者としては、当面、ジャガイモ以外の炭水化物を取る方が、お得である。



 【 関連項目 】

 → TPP とジャガイモ(北海道) (nando ブログ)
posted by 管理人 at 22:29 | Comment(0) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
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