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米国が TPP を離脱したとき、私は「米抜き TPP をめざせ」と述べた。
→ 米国のTPP離脱は問題ない
そして現在、日本政府はまさしく米抜き TPP をめざしている。だがここで、問題が生じた。ベトナムとマレーシアが渋っているのだ。
→ TPP きょうから首席会合 米抜き、各国温度差
では、どうすればいいか? ここで困ったときの nandoブログ。方針を示そう。
「物事の本質を理解すれば、解決法は見つかる」
この方針で、詳細を調べよう。
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そもそも、ベトナムとマレーシアが渋っているのは、なぜか? 思惑が外れたからだ。
このことは、次の記事からわかる。
《 TPPは日本とベトナム、マレーシアに大きな恩恵 》
世銀は6日、環太平洋経済連携協定(TPP)の経済効果を分析した報告書を発表し、日本、ベトナム、マレーシアが大きな恩恵を受けるとの見通しを示した。一方、米国など北米の国々が受ける利益はそれより小幅なものの、それでもかなりのものになるという。
( → WSJ 2016 年 1月 7日 )
本来ならば、日本、ベトナム、マレーシアが大きな恩恵を受けるはずだった。特に、ベトナム、マレーシアは大きな恩恵を受けるはずだった。では、なぜ?
第1に、両国とも、対米輸出の比率がきわめて大きい。
→ 米国抜きの「TPP11」に悩むベトナムとマレーシアの相違点
第2に、東南アジア諸国のなかで、ベトナムとマレーシアだけTPP加入をめざしており、他の国(インドネシアなど)に比べて、圧倒的に有利な立場になれるはずだった。米国の 10%の関税が、この2国だけが免除されるからだ。(インドネシアなどは関税が免除されないので不利になる。)
以上からわかることは、こうだ。
ベトナムとマレーシアが米抜き TPP への加入を渋っているのは、米抜き TPP だと不利だからではない。「圧倒的に有利になる」という思惑が外れたからだ。損になるからではなく、ものすごく得をするという思惑が外れたからだ。
要するに、欲が深すぎるからだ。
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では、どう対処するべきか? 次の二つの方法がある。
(1) 欲張りな両国の欲を満たしてあげる。この2国に限って、特別な恩恵を与える。具体的には、日本・オーストラリア・ニュージーランドなどが、この2国に限って、特恵的な輸入枠を与える。ただし、期間限定で、米国が TPP に加入するまで。
(2) 欲張りな両国を TPP から追放する。かわりに、他の国を TPP に加入させる。その対象は、「もともと2年後の加入」が検討されていた国だ。具体的には、韓国、台湾、タイ、フィリピン、インドネシアなどだ。
《【TPP署名】追加加盟に焦点 タイ、インドネシア、台湾…希望国続々 》
TPP協定が署名にこぎ着けたことで、今後は参加12カ国以外の国・地域が追加で加盟できるかも焦点となる。既に韓国や台湾、タイ、フィリピン、インドネシアなどのアジア各国が続々と意欲を示している。
追加参加が認められるのは 12カ国による協定が発効した後になるが、承認手続きに2年前後かかるため事前協議を実施する見通し。
( → 産経ニュース 2016.2.4 )
こういうふうに、かわりは、いくらでもある。ベトナムとマレーシアが米抜き TPP への加入を渋っているのであれば、この両国を説得する必要はない。韓国、台湾、タイ、フィリピン、インドネシアなどを、かわりに加入させればいい。そうすれば、これらの国の商品が有利になり、ベトナムとマレーシアの商品は不利になる。また、将来、米国が TPP に加入したときも、この両国は加入が(米国より)後回しにされて、他国との競争で大幅に不利になりかねない。
だいたい、TPP への加入は、一種の特権を得ることなのに、それをいやがるのであれば、丁重にお断りすればいいのだ。かわりに、別の国々を招けばいい。それだけのことだ。
パーティーを開くとき、あれこれと難癖を付けて参加をいやがる客があれば、無理に招待する必要はない。その客への招待券は、取り消せばいい。かわりに、別の客に、招待券を出せばいい。クレーマーみたいな客より、礼儀正しい客の方が、ずっと好ましいはずだ。
