◆ 米国の法人税減税:  nando ブログ

2017年12月03日

◆ 米国の法人税減税

 米国が法人税減税を決めたようだ。その意味は? 

 ──

 米国が法人税減税を、ほぼ決めたようだ。上院も下院も、似た法案を可決したからだ。
 米議会下院(定数435)は16日、2018年に法人税率を35%から20%に引き下げる税制改革法案を……可決した。上院は別の法案を出しており、上院の可決後に一本化する必要があるが、トランプ政権が最重要視する約30年ぶりの本格的な税制改革の実現に一歩前進した。
 減税などで財政赤字は今後10年間で約1.4兆ドル(約160兆円)増えるとみられている。
( → 米下院、法人税下げ可決 上院は内容相違、曲折も 税制改革法案:朝日新聞 2017-12-03

 では、その意味は? 
 日経は、次のように報じている。
 約30年ぶりの税制改革によって、米シンクタンクは10年間で米国内総生産(GDP)を4%近く押し上げる効果があると試算する。とりわけ法人減税はGDPの押し上げ効果が同3%前後と大きい。
( → 米、巨額減税へ前進 「法人税20%」上院が焦点に:日本経済新聞 2017/11/17

 好ましいことのように見えるが、「GDPの拡大が好ましい」と単純に喜んでいられるのは、会社だけだ。労働者の側は、基本的には、「労働時間が増えて給料が増える」だけだ。「単に給料が増える」というふうに「棚からボタモチではない。

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 もう少し細かく見ると、次のことが大切だ。
  ・ 法人税減税で得をするのは、資本家である。(労働者ではない。)
  ・ 財政赤字が大幅に拡大する。


 これはどういう意味か? 
 
 (1) 法人税減税で得をするのは、資本家であって、労働者ではない。お金をもらえるのは、法人税を払わなくて済むようになる会社であり、その会社の持ち主である資本家(株主)が得をする。普通の労働者は、所得税の減税がないから、ちっとも得をしない。

 (2) 労働者(= 資本家以外)は、得をしないだけならまだしも、損をする。なぜか? 
 法人税減税の資金をまかなうために、財政赤字が拡大する。その財政赤字は、国債によってまかなわれる。その国債を買うのは、富を得た資本家だ。
 結局、国は資本家に減税をするが、その減税のための資金は、国債発行によってまかなわれる。その国債を買うのは、資本家である。全部まとめると、次のようになる。
 「国は資本家に、将来の富としての国債を、どんどん無償給付する」


 これは次のことを意味する。
  ・ 現時点では、現金を渡さないので、インフレにならない。
  ・ 将来の富を、資本家に渡す。


 つまり、現時点では特に大きな問題を生じないが、何十年かたつうちに、将来の富をどんどん資本家に渡すようになる。現時点で富を奪うかわりに、将来の富を奪う。
 これは、国民にとっては、「将来の富を奪われることの契約」に等しい。比喩的に言えば、今すぐ泥棒に現金を盗まれるかわりに、「分割払いの泥棒」にあうようなものだ。「今後数十年に渡って毎年金を渡すこと」という借用証を押しつけられるも同然だ。(しかも見返りなしに。)

 ──

 これはまあ、一種の売国政策である。国家を売り払うようなものだ。
 ではなぜ、トランプは、そのような売国政策をするのか? それは、国家を売る相手が、他国ではなくて、米国内の資本家だからだ。その資本家は、多くが白人である。
 要するに、「多くの人種の混じった米国の富を、白人を主とした資本家に渡すこと」が目的だ。
 そして、これは、歴史的には珍しくもない。かつての奴隷制の時代の復活であるにすぎない。あのころも、有色人種の富は、白人に奪われていた。それを今度は、国家が制度的に実現しよう、というわけだ。それがトランプの政策である。

 トランプ(および共和党)は、オバマケアも廃止して、有色人種の貧困層を狙い撃ちしようとしているが、これもまた、白人の富を増やそうという狙いである。
 
 どうも、米国はひどい状況になりつつあるようだ。



 [ 付記 ]
 日本はどうか? よく考えれば、日本も半分ぐらいは似たような状況にある。人種の差別はないが、高所得者を優遇して、低所得者を冷遇する……という方針は、日本と米国で共通するからだ。
 たとえば、法人税減税という方針は、自民党も狙っている。一部は実現済みだ。
 また、1人当たり年間1000円の住民税増税、という方針もある。
 自民党税制調査会は30日、森林保全に使う「森林環境税」を2024年度から導入する方針を固めた。1人当たり年間1000円を個人住民税に上乗せして徴収する。6200万人程度が課税対象となり約620億円の財源となる。
( → 日本経済新聞 2017/11/30
 
 こういうことは、本来は一般財源でまかなって、高所得者ほど多く負担するのが筋だ。しかし、あえて「1人 1000円の定額増税」という形で、低所得者を狙い撃ちにする。こういうことをするのも、トランプと自民党に共通する方針だ。
 金持ち優遇・貧乏人虐待は、日米に共通する。
 そして、貧乏人がそれを支持するという点でも、両国で共通する。
( ※ 日本では、外国人や北朝鮮などが仮想敵国と見なされて、そのせいで自民党が支持される。ま、詐欺的な手段だね。ヒトラーのころから続く手法。頭の悪い貧乏人は、コロリとだまされる。)



 【 関連項目 】
 トランプが人種差別的だ、ということは、別項で論じた。
  → トランプの本質は人種差別か?: nando ブログ

 
posted by 管理人 at 09:39 | Comment(4) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
ハイパーリンクの貼り方を間違えてますよ。
Posted by こもの at 2017年12月03日 20:54
 ご指摘ありがとうございました。修正しました。

 ( HTML タグのための 不等号カッコ が一つ抜けていたせいで、普通の文章に青い線がついてしまいました。それだけ。)
Posted by 管理人 at 2017年12月03日 22:23
日本の場合、5%の富裕者層が50%の所得税金額を 払っている。 不公平!
Posted by hiromi nakayama at 2017年12月28日 12:20
>※ 日本では、外国人や北朝鮮などが仮想敵国と見なされて、そのせいで自民党が支持される。ま、詐欺的な手段だね。

「自民党が支持」というよりは、「(国家主義的な)安倍を支持」が正確な言い方と思います。
Posted by 反財務省 at 2018年04月15日 16:00
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