◆ この 30年間の日本経済:  nando ブログ

2018年06月03日

◆ この 30年間の日本経済

 「この 30年間の日本経済はどうだったか」という推移を見る、経済調査があった。

 ──

 これは朝日の記事。全文が読める。
  → 税・社会保険の負担増え、消費減る 平成時代の働く世帯:朝日新聞 2018-06-03
 一部抜粋しよう。
 平成の約30年間で、一般的な働く世帯の税と社会保険料の負担が月に約3万4千円、率にして36%増えたことが分かった。この間物価は1割上がったが、消費に回した額は逆に約4千円減少。家計調査などをもとに、働く人がいる2人以上の世帯の月平均の実額(名目)を1988年と2017年で比較した。
 89年4月に税率3%で導入された消費税の負担は、8%の17年で月1万9711円。88年にあった物品税を差し引いても、間接税の負担は9471円、率にして52%増えた。
 一方、所得税や住民税による直接税負担は月1612円(4%)減った。消費税導入や5%への税率引き上げに伴い、所得税などが減税されたからだ。直接税と間接税を合わせた税負担全体では7859円(13%)増だった。
 税より負担が増したのが、年金や医療などの社会保険料。17年は月5万6869円で、88年よりも2万5946円(84%)増えた。年70兆円増えた社会保障費を賄うために保険料が値上げされたからだ。
 17年の税と社会保険料の合計は月12万6966円。収入に占める負担割合は5ポイント上昇して26%になった。
 この間、収入も月5万2570円(11%)増え、53万3820円になった。ただ内訳をみると、2万4479円(6%)増だった世帯主の収入に対し、配偶者の収入が2万1128円(49%)増。
 消費(税を除く)は17年、月28万5439円で88年より1%、3618円減った。消費者物価は消費税の影響を除いて約1割上がっており、消費は実質的に1割強減ったことになる。
 一方、膨れあがったのは企業部門が持つ現金だ。財務省の法人企業統計によると、企業の現預金(金融・保険除く)は16年度末、過去最高の211兆円で、88年度末より4割以上増えた。

 「消費は実質的に1割強減った」
 というが、これが日本全体に及んだとしたら、GDP も同じだけ減ったことになる。しかし、現実にはそうはならない。なぜか? この統計は、「働く人がいる2人以上の世帯」に限るからだ。つまり、現役引退した年金世帯や、結婚できない独身者の世帯は省かれている。どちらも近年は急増しているので、その分、調査から漏れる分は大きい。

 とはいえ、最後の話が重要だ。
 「企業の現預金(金融・保険除く)は16年度末、過去最高の211兆円で、88年度末より4割以上増えた」
 とのことだから、金は企業にどんどん集まっていることになる。その分、消費が減る。かといって、企業が投資をするわけでもない。(借り手がろくにいないことは、金利がゼロ状態であることからもわかる。)

 結論としては、こうなる。
 「日本経済が成長しないのは、金が消費にも投資にも回らずに眠っているからだ。その金を消費に回せば、経済は成長する。そのためには、企業が金を労働者に与えればいい(= 賃上げすればいい)」


 逆に言えば、それができないことが日本経済低迷の原因だ、とわかる。

 ついでだが、企業が「法人税減税を」と唱えるのは、自分で自分の首を絞めるのも同然だ。そんなことをすれば、経済成長率はどんどん低下する。労働者に金を与えなければ、企業の商品を買ってくれる人もいなくなるからだ。……こういうことは、マクロ経済学を理解すればわかるのだが、それができないのが、企業経営者の愚かさだ。



 [ 付記 ]
 企業の貯めた現金は、どこへ行っているか? 次の二つだ。

 (1) 海外投資 …… これによって海外を成長させることができるが、日本を成長させることはできなくなる。

 (2) 国債購入 …… 企業が直接的または間接的に国債を購入することで、日本の財政破綻の回避に寄与する。その一方で、日本の借金の総額はどんどん増える。現時点ではうまくバランスが取れているが、問題が解決されたわけではない。「破綻の先送り」とも言える。

 根源的には、現時点でバランスを取れるようにするべきなのだが、企業が賃上げをしないので、まともな経済状況になれない。いつまでも赤字体質のままだ。
 ここで財務省は「増税で収支のバランスを取ろう」なんて言っているが、そんなことをすれば、破綻が今すぐ来るだけのことだ。「十年後に死なずに済むようにするためには、今すぐ死ねばいい」というわけ。狂気の沙汰。
 
 正しい対策は、増税でもなく、法人税の減税でもなく、賃上げの推進だ。そのことが、今回の調査から明らかとなる。

 ※ なお、「賃上げの推進」のためには、上げ首相の主導する「賃上げのお願い」なんかではない。マクロ経済学的な方法だ。それは(一時的な)「巨額の減税」である。この件は、下記で示した。
  → 理想党
  → 経済政策: 理想党
 


 【 追記 】
 この 10年間ぐらいはどうか? アベノミクスの効果はあったか? 
 グラフを見て調べよう。


gdp18.png
出典:世界経済のネタ帳


 世界各国の GDP は順調に層化しているのに、日本だけは成長率が 0(ゼロ)% ぐらいの状態が続いている。そのせいで世界における「一人あたり GDP 」のランキングは大幅に低下してしまった。
 これはつまり、アベノミクスが失敗した、ということだ。金融緩和により、円安と株高はもたらされたが、実体経済を拡大する効果は皆無も同然だった、と言える。
 ただし、経済成長率はゼロ同然でも、失業率だけは低下した。
 これはなぜかと言えば、労働人口(生産者人口)が縮小したせいだろう。
  → いま就活が売り手市場なのと経済政策はぜんぜん関係ないよ - はてなの鴨澤

 この記事には、はてなブックマーク で、次の批判が来た。
jaguarsan  これは売り手市場の一因が少子高齢化と言ってるだけで、経済政策が関係ないエビデンスではない。やり直し

 なるほど、ごもっとも。しかし、その件は、本項で説明されている。つまり、「経済成長率がほぼゼロだ」ということだ。経済成長がないのだから、経済政策は効果がなかった。ゆえに、失業率の改善には、経済政策は寄与しなかったことになる。
( ※ この両者の関係が直接的に証明されるのではなく、間に「経済成長率」を挟むことで、間接的に証明される。)

 ついでだが、失業率のグラフは下記。


situgyo18.png
出典:世界経済のネタ帳

 見ればわかるように、2008年のリーマンショックで急上昇したあと、順調に低下している。つまり、2008年のリーマンショックの悪化からの回復があるだけだ。(日本では東日本大震災の影響もあったが。)
 ともあれ、これは、民主党時代からもずっと続いている傾向であり、特に安倍政権のときだけに顕著な改善があったわけではない。どの時代でも、どの国でも、一貫して、「008年のリーマンショックの悪化からの回復」があった。それだけだ。
 ただし日本ではどういうわけか、その功績が安倍政権のものだとされた。実際には、「 GDP の回復がなされない」という大失政があったのだが、人々は GDP を見ずに失業率だけを見るので、「アベノミクスのおかげで景気回復」というふうに勘違いしたのだ。

posted by 管理人 at 21:27 | Comment(4) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
まさに、俺様(企業経営者)だけが儲かれば良いの考えですね。

自分のことしか考えない、

我が我が・・・じゃないな。

我我我我(われがわれが)だな。

とにかく、今の日本人は我(が)が強すぎるんです。

もう手遅れかもね。
Posted by 反財務省 at 2018年06月04日 02:10
マクロ経済学では、

国内総生産=消費+民間投資+政府支出+純輸出(輸出−輸入)

という式あらわすことができます。

「国内総生産」が変わらず、「消費」が減っているということは、他の項目のどれかが増えているということです。

「民間投資」は不況で増えず、「純輸出」は貿易摩擦の原因になるので増やせず、「政府支出」が増えているが答えです。

これが「政府の借金」が増えた原因なのです。
Posted by 王子のきつね at 2018年06月04日 14:19
大企業(雇用数が多い企業)が従業員への給与を増加すると、消費が向上し、設備投資はB2Bの装置産業を潤わせます。
ということを考えると、損益分岐点が低い大企業(おそらく情報通信系)に利益が集中していると、設備投資は小さく(見た目が派手なオフィスビルを買う)、従業員数も増やさず、給与もあげない。
結果として内部留保が進みそうです。
で、政府支出が増えている→公共投資が増えている→五輪会場再構築とか、東京再開発というところでしょうか?もしくは、せっせと外国債を買い込んでいる?

上記は電気系大企業の元気がないのに、IT企業の長者が続出することともなんか関係ありそうです。

政府は従業員数が多く、設備投資が不可欠な産業を維持しようとしているのかもしれません。
Posted by 京都の人 at 2018年06月04日 23:09
失業率はただの大本営発表ですよ。改竄だらけのうそつき政権の出す数字が正しいなど誰が保証できます?
Posted by 7 at 2018年06月08日 08:58
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