◆ 米国が日本の自動車輸出に課税?:  nando ブログ

2019年04月16日

◆ 米国が日本の自動車輸出に課税?

 米国が対日貿易赤字を縮小するために、日本の自動車輸出に高率課税する、という方針を見せた。その無意味さを解説する。

 ──

 NHK の記事を引用しよう。
 日米の新たな貿易交渉が、日本時間の16日、ワシントンで始まります。
 トランプ大統領は、特に日本からの自動車輸出が多額の赤字の原因になっているとして、日本車に高い関税をかけて輸入を制限する措置を導入する構えを見せて今回の日本との貿易交渉に臨んでいます。
 トランプ大統領は赤字を減らすために自動車メーカーに日本での生産を減らし、アメリカの工場で車を作るよう求めています。それによってアメリカ人の雇用も増やそうともくろんでいます。
 このため日本から輸入される車の台数に上限を設ける規制さえ検討していると見られます。
 日本が対応しなければ、日本車に高い関税をかけることをちらつかせて、譲歩を迫る構えです。
( → 日米の新たな貿易交渉 対日赤字に不満のトランプ大統領 | NHK

 ここで詳しい経済的解説をしても、どうせトランプ大統領にはわからないだろう。文字をまともに読めないからだ。
 《 トランプは文章を読まない 》
 ドナルド・トランプ大統領のテレビ好きやブッシュ前大統領のように本を読まないことは広く知られているが最新のワシントンポストの報告によると大統領は諜報機関が毎日作成している世界の重要な出来事などをまとめた紙の報告書を拒み、口頭での説明(ブリーフィング)を行わせていると伝えた。
 特に最近ではより分かりやすくするために写真や映像、グラフなどを用いているという。以前のインタビューで短ければ短い文章ほど好きだと話していた。
( → Onebox News

 こういう識字障害みたいな人には、長い説明は無効だから、簡単に説明しよう。

 (1) 日本の貿易収支

 日本が大きな貿易黒字を上げて異様に思っているのだろうが、日本の貿易収支は、黒字とは言えない。これまで数年間、大幅な赤字を出していた時期があった。


trade-red.png
出典:nippon.com


 グラフの 12年間をならせば、黒字と赤字の総額はトントンだ。黒字でも赤字でもない。
 日米関係だけを見れば日本の大幅黒字でも、日本の貿易収支全体は黒字ではないのだ。
 
 (2) 自動車の輸入制限で円安に

 米国が対日貿易赤字を縮小するために、日本の自動車に高率の関税をかける……というのが、トランプの方針だ。
 で、そうしたら、どうなるか? 日本はもともと貿易収支が黒字ではないのだから、自動車輸出が激減したら、大幅な貿易赤字になる。そうなったら、大幅な円安となる。
 大幅な円安となれば、自動車以外の輸出が増える。電器製品や電機部品や自動車部品などの輸出が増える。米国向けにも増える。
 としたら、自動車部門では対日赤字が縮小しても、自動車部門以外では対日赤字が拡大してしまうのだ。これじゃ、モグラたたきふうで、「あちらを防いでも、こちらを防げず」となる。
 のみならず、円安となる分、米国からの輸出が減る。たとえば、米国産の農産物(牛肉など)が、円安のせいで減ってしまう。

 (3) 他国からの自動車輸入

 米国は、日本からの自動車輸出を減らしても、米国内の自動車生産が増えるわけではない。ビッグ3は、日本車に対抗するような米国車を生産していないからだ。(大型車ばかりを生産している。)
 結果的に、日本車が減った分を、韓国車や欧州車が埋めてしまう。かくて、日本との貿易赤字が減った分、韓国や欧州との貿易赤字が増えてしまう。差し引きして、トントンだ。(プラスマイナスゼロだ。)
 結局、何の効果も生じない。
 のみならず、日本は景気が悪化した分、ボーイング 737や、戦闘機 F35 などの輸入を減らす。また、米国産農産物の輸入も減らす。米国にとっては、損害の方が大きくなるだろう。
 で、日本と米国がともに損するが、その一方で、韓国や欧州が得をする。これを「漁夫の利」と言う。

 ──

 まとめ。

 米国が日本の自動車輸出に課税しても、何の効果もない。日本が円安になるせいで、かなりの量が相殺される。米国の対日輸出(農産物や飛行機)も減る。一方で、日米の貿易量が縮小した分、韓国や欧州が漁夫の利を得る。日米が馬鹿な喧嘩をすれば、まわりの第三者が得をするだけだ。日米は損するだけ。

 わかりましたか、トランプさん? 



 [ 付記 ]
 じゃ、トランプはどうすればいいか?
 簡単だ。何もしなければいい。そうすれば、日本は米国からシェールガスをどんどん輸入するようになる。かくて、何もしなくとも、米国の対日貿易赤字はどんどん縮小する。
 ※  シェールガス輸入は、2019年から急増する見込み。
     → 「シェール革命」が産んだ天然ガスが日本にも到来|資源エネルギー庁
     (グラフあり)



 【 関連項目 】

 実は、もっと大事な話がある。
 米国は対日で、貿易収支では大幅な赤字だが、(総合的な)国際収支では赤字幅が半減している。というのは、特許料収入や印税などの知的財産権収入では、米国が大幅黒字になっているからだ。(これで貿易赤字の半分を打ち消す。)
 詳しくは下記。
  → 日本の対米黒字は巨額か?:  nando ブログ
posted by 管理人 at 20:40 | Comment(2) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
 最後に [ 付記 ] と 【 関連項目 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2019年04月16日 23:38
トランプ大統領は企業経営者だけに「黒字=勝ち,赤字=負け」と単純に考えているだけなのでしょう。日本も同じ考えの秘密組織Zに牛耳られているので彼のことを笑えませんが・・・
Posted by 通りがかり@ポルトガル at 2019年04月22日 20:28
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