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安倍首相は、漢字が読めない点では麻生太郎・元首相に並び、頭の悪さでは森喜朗・元首相に並ぶ。また、嘘つきや文書隠蔽や独裁性では断然トップを走る。学歴を見てもわかるように、歴代最悪とも言えるほどだ。それにもかかわらず、安定したこう人気を誇る。では、それはなぜか?
この点について、朝日新聞の報道があった。
練馬区の男性(30)は、2009年に専修大学商学部に入学した。その年に発足した民主党政権の3年3カ月は、円高や株価低迷の記憶が強く残り、「暗い印象」が染みついているという。
大学卒業後、地方公務員試験に挑みながら、スーパーでアルバイトを続けた。30歳を機に辞め、今年2月に今の会社に入った。「政治が自分たちの生活を邪魔しないことが一番。日本の景気が良くなるのは難しくても、安倍政権の方が悪くはならないのかなって」
今は実家暮らし。国政選挙では一貫して、自民党に投票している。家を出た34歳と33歳の兄2人も、経済政策を評価して安倍政権を支持する。「僕らの世代は自己防衛。親から独立してある程度の生活を築くために」というのが、政権を支持する理由という。
中高年層に比べて若い男性の支持率が高く、女性や高齢層は比較的低いというのが、第2次安倍政権以降の特徴だ。朝日新聞社の世論調査(電話)で5月の内閣支持率は全体で45%だが、18〜29歳男性は54%(女性38%)、30代男性は57%(同39%)と高めだ。若年層の支持率が低く、中高年層が高かった第1次政権(06〜07年)時代とは逆の傾向だ。
その一方、調査では、安倍政権の支持理由として「他よりよさそう」が51%と過半数を占めた。こうした消極的支持の傾向も近年固定化している。
( → (長期政権の磁界:5)他よりマシ…若者、堅い支持 景気不安、経済政策に関心:朝日新聞 )
確かにこういう傾向はある。同趣旨の話は、この記事に限らず、あちこちで何度も報道されてきた。(朝日新聞だけでも、何度も報道されてきた。)
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では、その意味は? 原因は、民主党政権の暗い記憶だ。それは、次の二つだ。
・ 時期的に経済状況が最悪だった。( 2009〜2012年)
これは、リーマンショック後と東日本大震災後だ。
・ 経済政策がまずかった。(不況中の増税決定)
前者は、人々の誤解だ。たしかに当時の経済状況は最悪だったが、原因はリーマンショックと東日本大震災の影響だった。そのいずれも、民主党がもたらしたものではない。だから、民主党には責任はない。しかし人々は、「当時の経済状況は最悪だった」という記憶があるので、「あの当時の経済状況は二度と味わいたくない。まっぴらごめんだ」と思い込んだ。……ここには、明らかに「思い違い」があるのだが、実は、自民党や保守系マスコミなどが強く宣伝したことでもあった。「この経済状況が悪いのはみんな民主党のせいだ」というふうに。そういう嘘を信じたので、人々は「民主党のせいだ」と思い込んだ。
後者は、思い込みではなく、事実である。不況中に増税(消費税アップ)を決定するなんて、あまりにもどうかしている。しかも、それを打ち出したのが、参院選の直前だ。おかげで選挙は惨敗した。自殺願望があったかのごとしだ。こんなふうに自党を自殺させるような政党に、日本の政治を任せたら、日本自身が自殺しかねない。……そう心配した人が多いのも当然だろう。
また、経済学的な観点からしても、不況中に増税(消費税アップ)を決定するなんて、まったくメチャクチャなので、識者もまた民主党を見放した。
しかもまた、党内の十分な論議を尽くすこともなく、菅直人首相が独断で勝手に増税を公約したことも、国民の顰蹙を買った。(まるで独裁者だ。)
というわけで、こと経済政策に関する限り、民主党は最悪と言ってもいい道を取ったことになる。実は、安倍首相だって同様のことをやっている(現時点で消費税を上げようとしている)のだし、どっちも大同小異なのだが、安倍首相がやると、「民主党の二番煎じ」としか見えないので、あまり反発を買わない。
そもそも、民主党の後継である立憲民主党が、民主党と同様の経済政策を引きずっているので、「増税に反対」とは言っていない。安倍首相の増税路線には、対抗軸がないのだ。これでは、安倍首相だけが反発を食うこともない。
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以上から結論すれば、こう言える。
「安倍首相がダメダメであっても、それでも安定した支持が続くのは、野党が駄目だからだ。特に、野党の経済政策が駄目だからだ。この点を改善しない限り、どうにもならない」
これが本質的だろう。
ただし、これは、私の独創ではない。同種の意見は、はてなブックマークでも何度か語られてきたし、支持を集めていた。つまり、多くの人がそのことに気づいている。
だが、それにもかかわらず、野党の経済政策の無能ぶりは続く。……ここにこそ、安倍首相がダメダメであっても支持が続くことの理由がある。
要するに、安倍首相が勝ち続けることの理由は、「敵失」なのである。いくら自分が無能でも、ライバルがいっそう無能であれば、試合には勝つ。そういうことだ。
[ 付記 ]
立憲民主党は、消費税増税に反対していない。そのことを示す資料を呈示する。
(1)
立憲民主党の公約には、消費税についての明確な公約がない。下記のように、曖昧にぼかしているだけだ。何をする気なのか、さっぱりわからない。
中長期の財政健全化目標を定め、その目標に基づく歳出・歳入両面から改革を行い、持続可能な財政構造を確立します。
( → 国のかたち - 基本政策 - 立憲民主党 )
どちらかと言えば、「財政健全化」による「増税」を狙っているようだ。下記の記述があるからだ。
中長期の財政健全化目標を定め、その目標に基づく歳出・歳入両面から改革を行い、持続可能な財政構造を確立します。
(2)
枝野代表は、「消費税増税(2019年10月)には反対する」と、昨年 10月には述べた。
→ 消費増税「この段階で決めることに全く理解できない。2度延期した状況と何も変わっていない」枝野代表 - 立憲民主党
しかし、その後は何ら発言していない。ググっても、発言が出てこない。
→ 立憲民主党 消費税 - Google 検索
つまり、半年前にいっぺん「増税反対」を述べただけで、以後は「増税反対」とは言わないのだ。これでは「増税容認」ということになる。(自分たちの意図では「財政健全化に賛成」ということだろう。)
というわけで、以上の(1)(2)からして、立憲民主党が消費税増税を容認していることは明らかである。
そのことゆえ、「立憲民主党の経済政策は駄目だ」と言えるわけだ。
なお、国民民主党や、公明党や、維新の会などは、輪をかけてひどいから、論外である。
[ 余談 ]
エラーで大逆転、という事例は、今季のプロ野球にもあった。
阪神12―8DeNA ( 2019年4月9日 甲子園 )
DeNAのドラフト1位ルーキー上茶谷は6回3失点、5点リードの場面で降板したがリリーフ陣が打ち込まれ、手痛いタイムリーエラーもあってプロ初勝利を逃した。
阪神は…… 8回には先頭・梅野の左越え1号本塁打で7-8と1点差に迫り、さらに2死満塁。福留が右中間方向へ打ち上げたフライを右翼手のソトが落球する間に満塁の走者が全員本塁生還を果たすなどこの回一挙6点を入れ、最後は4点差をつけての勝利となった。
( → スポニチ Sponichi Annex 野球 )
ソトは二回にも梅野の飛球を捕り損ね、2点三塁打としていた。ラミレス監督は守備固めを送らなかったのは、九回の攻撃がソトから始まるためと弁明。
( → DeNA・ラミ監督「僕自身も現役時代にミスをした」 - SANSPO.COM(サンスポ) )
2死満塁のエラーで6失点。その前にもエラーで2失点。一人で8失点もかせいでいる。ダブルエラーで8失点とは、たいしたものだ。まるで民主党並みだ。
こんなにエラーばかりをするチームがライバルならば、こちらがどれほど駄目でも勝てる。……それがまあ、安倍首相が勝ち続ける理由だろう。
財務省に逆らえなくなっているということでしょうね。
当初、安倍は財務省の意向に反する振る舞いをしていたはずですが、モリカケ事件のあたりから変わってしまいました。
公文書の改ざん等により、表向きは財務省の立場が悪くなったように見えましたが、実際は、モリカケ事件の真実を把握することで財務省は安倍の弱みをつかみ、10月からの消費増税は予定通りと安倍に言わせたのだと思います。
増税延期と言ってしまうと、財務省はすべてをバラすつもりでいるのだと思います。
× 中長期の財政健全化目標を定め、その目標に基づく歳出・歳入両面から改革を行い、持続可能な財政構造を確立します。
◯ 所得税・消費税・資産課税など税制全体を抜本的に見直し、税による再分配機能を強化します。