◆ 北方領土の事実認識:  nando ブログ

2019年06月01日

◆ 北方領土の事実認識

 北方領土でロシアは「第二次大戦の結果だ」と言っているが、これは事実とは異なるので、反論するべきだ。

 ──

 北方領土に関して、ロシアとの交渉が決裂した。ロシア側は自国の主張として、「第二次大戦の結果だ」と述べて、四島の占有を正当化した。
 まずは、以前の記事。
 ラブロフ氏は会談後の共同記者発表で「第二次世界大戦の結果を全面的に認めるべきだ」と述べ、北方領土はロシアが第二次大戦の結果として合法的に手に入れたという歴史認識を受け入れるよう改めて迫ったことを明らかにした。
( → ラブロフ氏「北方領土、大戦の結果」強調 日露隔たり鮮明 外相会談 - 毎日新聞

 その後、今回の記事。
 1月14日、モスクワで行われた第1回の条約締結交渉終了後の記者会見。ラブロフ外相は「日本側が第2次世界大戦の結果を認めるのが第一歩だ」と訴えた。
 北方領土についてロシアでは「ナチス・ドイツに協力した日本を破り、多くの犠牲を払って勝ち取った」との共通認識がある。第2次大戦の正当な結果として北方領土がロシア領になったという「原則論」をまず主張し、交渉で優位に立とうとした。
( → 見誤ったプーチンの「サイン」 日ロ交渉、大筋合意断念:朝日新聞

 二つの記事で明らかなように、ロシアは以前から、こう主張してきた。
 「第2次大戦の正当な結果として北方領土がロシア領になった」

 これに対して、日本側は特に反論しなかったようだ。(したかもしれないが、報道されていない。)
 しかし、ロシアの主張は事実ゴンなので、正面から否定するべきだ。以下のように。

 ──

 (1) 日本とソ連とは、第二次大戦という関係にはなかった。ドイツはソ連に侵攻したし、日本は米国に侵攻したが、日本がソ連に侵攻したという事実はなかった。(日露戦争じゃあるまいし。) このときは、ソ連が一方的に宣戦布告したあとで、日本に一方的に攻撃を仕掛けてきただけだ。戦いのすべては日本領で起こった。だから、これは(日独が起こした)「第二次大戦」の一環というよりは、第二次大戦のついでに生じたオマケふうの「侵略」のようなものである。
 (2) そもそも、日数からして、ソ連の宣戦布告から日本の降伏宣言まで、たったの7日間であるにすぎない。ごく短期間の戦闘であって、日ソ間の関係は「大戦」なんて呼ぶような状況ではなかった。
 (3) ソ連が北方領に攻め入ったのは、1945年の8月18日から9月1日までの 15日間だ。これは、日本が降伏したあとのことだ。また、戦闘期間(7日間)の倍以上の期間(15日間)だ。このことからしても、「第二次大戦の結果」ではなく、「第二次大戦に起こった侵略」であると見なせる。
 (4) ソ連がやったことに対して最もふさわしい言葉は、「火事場泥棒」であろう。火事場の混乱のどさくさまにまぎれて、勝手に人のものを盗んでいるだけだ。
 (5) いずれにせよ、それは決して「第二次大戦の正当な結果」なんかではない。

 ──

 では、日本はどうするべきか? 次のような方針を取るべきだ。
 第1に、上記の論拠を述べて、ロシアの主張を正面から全面的に否定する。
 第2に、日本が譲歩できる限界は、「北方四島以外の放棄」であることを示す。
 第3に、「北方四島以外の放棄」という主張を飲めないのであれば、ロシア側の主張をすべて否定すると示す。具体的には、南樺太および千島列島の放棄を取り消すと示す。つまり、南樺太および千島列島については日本領であると示す。
 第4に、サンフランシスコ条約では、「北方四島以外の放棄」と述べたが、その条約の締結国にはソ連は含まれていないので、領土放棄はソ連に対しては成立しないと示す。
 第5に、日本の戦争相手はソ連であって、ロシアではないので、北方領土の権利を主張できるのは、ロシアやウクライナなどの全体であって、ロシアはウクライナの合意を得ない限りは、ソ連の権益を引き継げない、と突っぱねる。(日本と平和条約を結びたければ、その前にウクライナと合意しろ、ということ。)
 第6に、日本とソ連(ロシア)は平和条約を結んでおらず、いまだに交戦状態が続いていることになるので、南樺太および千島列島の帰属はいまだに日本にある、と示す。

 ──

 一般的に言えば、交渉というものは、たがいに「譲り合い」をなすものだ。とすれば、初手では、こちらは最大限の要求をしておけばいいのだ。それがつまり、「南樺太および千島列島の帰属はいまだに日本にある」と示すことだ。
 その後に、「南樺太および千島列島は放棄するから、そのかわりそっちも北方四島を放棄してくれ」というふうに述べれば、合意が可能だ。
 なのに、最初から「南樺太および千島列島は放棄する」と述べていたら、日本が譲歩できるものは何もなくなる。これでは、ロシアは攻勢をしかけるばかりだ。まとまる話もまとまらない。
 日本が最終的に「譲歩する」という形で合意するには、初手では「最大限の攻勢をする」ということが必要なのだ。

 政府はどうも、交渉の仕方を知らないようだ。外交音痴。頭悪いね。



 【 関連項目 】

 → 北方領土の二島先行案 : nando ブログ
  ※ 安倍手首相の二島先行案は駄目だ、という話。

 → 北方領土の解決策 : nando ブログ
  ※ 北方領土問題を根源的に解決する案。領土トレード。
posted by 管理人 at 17:14 | Comment(0) | 政治 このエントリーをはてなブックマークに追加 
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