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慰安婦問題を人道主義でとらえる立場がある。たとえば、はてなブックマークでは、そういう意見が圧倒的だ。
第1に、前項の [ 付記1 ]で述べた例がある。日本が慰安婦問題でなしたことを「非人道的だ」ととらえて、それを批判することで、「人道的になれる」と思い込む。しかしそこでは、歴史的な事実が無視されている。(前項で説明済み。要するに、歴史的事実を誤認しまくり。)
第2に、次の例がある。吉村・大阪府知事のツイートへの反発だ。
「大村知事、哀れな吉村です。知事がいう「表現の自由」を学びたいので、展示を再開して下さい。公金、公共施設、公務員、公権力を使って愛知県が展示した、慰安婦像、天皇の写真を焼き踏みつけ、特攻隊員の日の丸寄せ書を使った「間抜けな日本人の墓」等々。知る権利のためフルオープンでお願いします。 https://t.co/0Qng5XwkeH
( → 吉村洋文(大阪府知事)の Twitter )
このツイートには、はてなブックマークでは大反発が生じた。
→ はてなブックマーク
たしかに、このツイートは右翼感情が丸出しだから、はてなーが反発したのはわかる。私としても心情的には反発する気もある。(というか、あまりにも馬鹿な発言なので、呆れて無視する感じだが。)
しかし、彼の右翼感情はさておき、「展示を再開して下さい」という主張そのものは妥当だろう。はてなの人々が、「表現の自由は大切だ」というふうに主張するのであれば、なおさらだ。また、愛知県知事にしても、「表現の自由は大切だ」というふうに主張するのであれば、なおさらだ。これらの人々は、右翼に反発するのであれば、いっそう「表現の自由」を守るために、「展示の再開」を唱えるべきだ。
なのに、「展示の再開」を唱える大阪府知事を、(右翼だとして)批判するばかりだ。これでは、はてなーも、愛知県知事も、展示中止を容認することで、自らが「表現の自由」の弾圧者になってしまっている。自己矛盾。本末転倒だ。
で、どうしてこういう馬鹿げたことになってしまったかというと、慰安婦問題を、ただの人道主義でとらえることで、事象の善悪を考えているからだ。そのとき、歴史的な事実を見失ってしまっているのである。
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では、歴史的な事実とは? それは、「慰安婦問題はたいした問題ではない」というのとは逆に、「あまりにも大きすぎて手に負えない」ということだ。
はてなーは、慰安婦問題をとりあげるとき、善人気分で、慰安婦問題の大きさを指摘する。しかしこのとき、大事なことを忘れている。「この問題は韓国だけではない」ということだ。
当然ながら、慰安婦は中国や東南アジア諸国にもいた。これらの国でも、現地の女性が徴用されて、慰安婦とされた。その数は大量である。
日本軍は1937年末から大量の軍慰安所を設置し始めた。飯島守上海派遣軍参謀長の12月11日の日記には、中支方面軍から慰安所設置の指示が来た事が書かれている。上村利通上海派遣軍参謀副長も、軍の不法行為が激しいので「南京慰安所の開設において第二課案を審議す」(28日)と書いている。現地軍最高司令部であった中支那方面軍から指示が飛び、取り急ぎ各軍が南京攻略後の駐留地で憲兵に指示して慰安婦を集めさせ慰安所を開設した。内地や朝鮮半島から呼び寄せた記録もある。
( → 日本の慰安婦 - Wikipedia )
要するに、兵士による現地女性への強姦があまりにも頻発するので、大量の軍慰安所を設置して、血走る兵士を慰安所に留めようとしたのである。(もしそうしなければ、強姦事件が多発するからだ。)
で、このような慰安婦は、もちろん、大量にいた。その数はたぶん、韓国人慰安婦の十倍でも足りないだろう。当然、それへの補償も、十倍では足りないだろう。
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それだけではない。慰安婦や徴用工なんて、規模はあまりにも小さすぎる。
実は、それよりはるかに重要な問題がある。日本兵が現地の人々を大量に殺したということだ。
たとえば、中国では南京虐殺があったと知られている。その数には疑問の余地があるが、大量の住民が殺されたことは間違いない。(便衣兵をしていた中国軍の側にも責任があるが、そもそも侵略をした日本が悪い。)
また、NHKドラマ「マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜」で示されたように、フィリピンでは飢えた日本兵が現地住民の食料を盗むとき、武器で脅したり、武器で殺したりした。ここでも莫大な被害をもたらした。
日本軍が殺した相手というと、米軍兵士が対象となるだろうが、実は、中国や東南アジアで、大量の現地住民を殺害してきたのである。
とすれば、これらの人々にも、賠償する必要があるだろう。特に、「人道主義」を唱えるのであれば。
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とはいえ、現実には、そんなに巨額の賠償をすることは不可能だ。日本が破壊して殺害した量は、どれほど罪をあがなっても、あがなえない。また、どれほど賠償しても、とうてい賠償しきれない。それほどにも巨大なのだ。
なのに、ここで、「韓国の」「慰安婦」だけ、というふうに、非常に狭い視野を取るのが、はてなの人道主義者だ。
彼らは、「韓国の」「慰安婦」だけに人道的であることで、自分たちが正義の行為をしていると威張る。しかし彼らはそのとき、「韓国以外」「慰安婦以外」という大量の被害者のことを、すっかり失念しているのである。そして、ごく狭い範囲でだけ人道主義を取ることで、「自分たちは人道的だ」と自己陶酔するのである。
こういう独りよがりな善人気取りこそ、はてなーの特徴だ。そして、こういう馬鹿げたことをして、自分たちの過ちに気づかないのは、彼らが歴史というものに対してまったく無知だからだ。
「韓国の」「慰安婦」だけ、という狭い範囲については理解しているが、「韓国以外」「慰安婦以外」という非常に広い範囲では何も理解していないのだ。
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日本人のなした罪は大きい。そのすべてに賠償するのであれば、日本の GDP の全額を払ってもまだまだ足りないだろう。それでも、できる範囲で賠償するというのであれば、過去から現在までの日本の生み出した富の 99%をアジア各国に払う必要があるだろう。その場合には、過去において「日本が自分への投資」をすることができなくなるから、過去における高度成長もありえず、日本はいまだに発展途上国であっただろう。(賠償金を搾り取られる奴隷国家の状態だ。)
そして、その場合には、「賠償金の支払いを拒絶する」というヒトラーみたいな人物が出現して、日本はまた外国を侵略することになっただろう。
現実には、そうならなかった。巨額の被害を受けた中国や東南アジアは、可能な限りの賠償という少額だけで受け入れてくれた。だからこそ、日本はこれらの国と友好関係を構築することができた。また、中国は日本から多大な技術援助を受けることで、今日の驚異的な発展の礎を得ることができた。(日本の技術援助がとても有益だったということは、中国でも識者はよく理解している。)
中国や東南アジアは、歴史をよく理解して、過去の歴史の上に新しい未来を構築した。
しかるに、韓国だけは例外だった。自国は日本の一部であったにもかかわらず、戦勝国であると勘違いした。そのあげく、戦勝国としての賠償を求めようとした。何から何まで歴史を無視した勘違いの上に、過剰な要求をした。……そして、そういうことになったのは、独裁者が日本からの賠償金を勝手に転用したからなのである。( → 前項 )
そして、こういう歴史を無視して、「人道的なおれは偉いなー」と自惚れているのが、唯我独尊のはてなーだ。
はてなーがこれほどにも歴史に無知であるのは、たぶん、彼らの多くがエンジニアであって、歴史については何も知らないからだろう。彼らの知っている(戦争の)歴史とは、艦これや、ジブリ「風立ちぬ」ぐらいなのだ。
これほどにも歴史について無知だから、たかが慰安婦問題で人道的な立場になったぐらいで、「おれは善人だ」などと自惚れることができるわけだ。
度しがたい、という言葉がピッタリだね。無知ほど恐ろしいものはない。
[ 付記1 ]
もうちょっと、真実について考えよう。
そもそもそも、戦争について「敗戦国だけのせいにする」というのが根本的におかしい。
戦勝国だって、すごくひどいことをしてきた。たとえば、原爆。東京大空襲。ドレスデン大空襲。(無防備な市民への無差別虐殺は国際法違反だ。)
また、戦争の原因となった植民地支配もまた、ひどいものだった。
韓国は、「日本は植民地支配したことに賠償しろ」とも言ったが、欧米諸国は植民地支配には1円も賠償していない。
ここには、戦勝国の罪がある。なのに、それを直視しないから、(敗戦国だけへの)一方的な非難や要求が生じる。「敗戦国だけに罪がある」という、偏った主張だ。
これもまた、歴史についての無知から生じる。
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大阪府知事や名古屋市長は、右翼的立場から、保守的な発言をする。それを「反吐が出る」とばかりに批判すること自体はいい。しかし彼らを批判したことで終わりになっては駄目だ。
彼らは「それなら展示を再開しろ」というふうに反論する。それに対して、「はい。展示を再開します」と言えないところに、はてなーのような人道主義者の弱みがある。結局、他人の弱みはよく見えるが、自分自身の弱みはよく見えないのである。
詳細は下記。
→ 慰安婦像を公開するべきか?: Open ブログ
[ 余談 ]
余談だが、芸術展の問題は、こうまとめることができるだろう。
「津田という詐欺師の掌の上で踊らされた」
実は、新たな問題がネットで話題となっている。津田が学生時代にアルバイトをして、バイト先の金を横領していた、という話。
→ 津田大介氏、勝手に副社長を名乗り横領をしていた過去を暴露される
芸術展の問題も同様だ。ここでは、人々は「表現の自由の問題だ」と言って、企画展を擁護する。
しかし、違う。ここにあるのは、芸術ではないし、表現の自由の問題でもない。人々は単に、芸術ではないものを「芸術」だと思い込まされ、表現の自由とは関係のないものを「表現の自由」だと思い込まされているだけだ。そういうふうにだまされているだけだ。つまり、津田の掌の上で踊らされているだけだ。
結局、物事の本質は、「表現の自由」や「人道主義」ではなくて、「津田が詐欺師だ」ということだけだ。
この件については、前に述べたとおり。
→ 慰安婦像は芸術なのか?: Open ブログ
→ 慰安婦像は芸術なのか? 2: Open ブログ (最後の引用部など)
その中のひとりは、同一県内の人物だったので素早く捕まえることが出来たのだと、私は思います。
他県の人物の場合は管轄をまたいで捜査が必要だから、時間がかかるのでは?
以前あった、ブログで扇動されての弁護士への悪質な懲戒請求は800人ぐらいからあったそうですし、今回も脅迫も1人だけだとは思えないです。
大阪府知事も再開を望まれているようですから、ぜひ一緒に協力して全脅迫犯の摘発をしていただきたいと思います。
ガソリン携行缶というテロまがいなのは、該当者だけでしょう。
他にも何らかの脅迫者はいたかもしれないが、それなら会場の入口で警備を固めればいい。万一、ガソリン携行缶をもってくる人がいても、会場の入口で阻止できる。
「荷物の持ち込みは不可」(一次預かり所あり)という美術展は多いのだから、そういう形で警備を固めれば、問題ない。
というか、そもそも、攻撃対象は2作品だけなのだから、2作品を除外して展示すれば、最初から攻撃の心配もしなくて済む。
どうせ展示を中止するなら、企画展以外のすべても中止するべきだし、さらには日本中の展覧会をすべて中止にするべきだろう。それならばまだわかる。
なのに、今回の分だけを展示中止にするのは、道理が通らない。
逮捕するかどうかは、展示再開とは何の関係もない。安全性とも関係ない。(そもそも2作品意外は攻撃対象ではないから。)
> 大阪府知事も再開を望まれているようですから
大阪府知事も再開を望まれている、ということで、はてなーはかえって再開に反対している。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。……こういう馬鹿馬鹿しさを、本項では批判している。
再開するかどうかよりも、再開を拒むはてなー(などの人道主義者)の愚かさを批判している。
→ https://www.sankei.com/life/news/190809/lif1908090048-n1.html
これじゃ、「ガソリン携行缶で」と脅迫した犯人と同様だ……というふうに批判されている。(はてな)
→ https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.sankei.com/life/news/190809/lif1908090048-n1.html
はてなの人も、ようやく気づきかけているようだ。しかし、物事の本質は、津田が詐欺師だということなのだ。そのことは、本項の末尾で(ふたたび)指摘したとおり。
詳しくはそのリンク先を参照。