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日本と韓国の対立という問題では、日本人は「こっちが正しい」と思っている人が多いようだ。なるほど、道理では、日本の方に分があるだろう。しかしながら、世界における評価を見ると、日本は世界各国からの支持を受けていない。仮に「多数決」で評価を決めるとしたら、日本は負けてしまう状況にある。
たとえば、慰安婦問題では「日本が悪い」「韓国が正しい」と思っている国の方が多い。だから世界のあちこちで慰安婦像が設置される。
同様に、徴用工の問題でも、「過去に悪いことをした日本の方が悪い」と思っている国が多そうだ。
また、ホタテなどの海産物の放射線の問題では、日本は世界における争いで完敗してしまった。
要するに、いくら「日本に理がある」と思っていても、世界における「多数決」を取ると、日本は負けてしまうことが多いのだ。つまり、道理だけでは物事は済まないのだ。
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では、どうしてこういうことになるのか? それは、情報戦(プロパガンダ合戦)で日本が負けているからだ。つまり、宣伝や広報で日本が劣勢にあるからだ。
比喩的に言えば、裁判でいくら正当性を訴えても、その訴え方が下手であれば、上手に嘘の論理を並べる相手弁護士に負けてしまうのである。
・ 正しいことを下手に語る弁護士
・ 自分勝手な嘘を上手に語る弁護士
この両者が争えば、後者が勝つのが通常だ。そして、前者にあたるのが日本であり、後者にあたるのが韓国だ。
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日本は宣伝や広報で劣勢にある。このことは大切だ。このことを解説している記事がある。
→ 韓国・文在寅はGSOMIA破棄で自爆、安倍政権に吹いた「神風」とは | ダイヤモンド
ここでは、日本政府の訴えが、海外ではまったく理解されないまま、日本が悪者と見えている……というふうに示されている。
そして、その理由も示されている。こうだ。
日本政府の説明があまりにも簡略的で親切でないため、韓国の主張が取り上げられてしまう。たとえば川口氏は、韓国が日韓基本条約を破ったことについて、以下のように書いている。
<しかしながら、1965年、日韓の間で「日韓基本条約」が締結されたことについては一切触れられていない。
これにより、日本の韓国に対する無償3億ドル、有償2億ドル、さらに民間借款3億ドルという破格の経済協力が決まり、また、両国の請求権に関する問題も完全かつ最終的に解決され、国交正常化が実現したことについて、解説がまったく無いのである。 その代わり、「日本側は、それは1965年に解決済みだと言っている」と一言あるだけだ。>
川口氏はドイツメディアに憤っているが、これも日本政府の「説明不足」を責めるべきだろう。ドイツメディアは、日本政府が「1965年に解決済みだ」とだけ言うので、そう書いた。しかし、世界の人々は、「日韓基本条約」のことを全く知らないので、本来なら日本政府は毎回、丁寧に解説しなければならない。それをしないので、韓国の主張だけが書かれることになるのだ。
ここに書いてあることは、まったく「ごもっとも」と言うしかない。
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これに準じて私が言えば、こうなる。
日本が自国の正当性を訴えるために、「問題は解決済みだ」「法律を守れ」と主張しているが、こんなことをいくら主張しても、海外では支持されない。なぜなら、そんな言葉を聞いても、それだけでは事情がさっぱりわからないからだ。そもそも「日韓基本条約」のことさえ知らないからだ。
だから、ここでは、上のような主張をするべきではなかった。
そして、かわりに、こう語るべきだった。
「韓国は金を払えと主張しているが、その金はすでに払った」
つまり、「解決済み」と語るのではなく、「すでに払った」と語るべきだったのだ。
さらに続けて、こう語るべきだった。
「日本は金を払ったが、払った相手は、被害者ではなく、韓国政府だった。韓国政府は、その金を日本から預かったあとで、勝手に不正流用(横領)してしまった。だから、被害者への弁済金は、韓国政府が払うべきだ」
こういうふうに説明してこそ、日本は世界の支持を得ることができる。
しかるに、現実には、そうしていない。日本人向けの発信をするだけで、欧米向けの発信をしていない。
また、内容が不十分であるだけでなく、そもそも英語の発信量が圧倒的に少ない。それというのも、日本人の英語能力が弱いせいであるらしい。
ちなみに、日韓問題で YouTube の英語コメントを見ると、日本を批判する英語コメントが圧倒的に多い。ただし、その筆者は、韓国人が多い。つまり、韓国人の英語力が高いので、YouTube のコメントでは、日本を批判する英語コメントが圧倒的に多くなっているのだ。
韓国人の英語力が極めて高いことは、次のことからもわかる。
ハーバード大学は世界最難関の大学の1つだが、中でも合格するのが特に難しいのが、ハーバード・カレッジだ。その合格率は約5%。20人に1人しか受からない。海外からの留学生の国別データ(2017年現在)を見ると、韓国の躍進が目立つ。アジア系で最も多いのが、中国人(59人)。次に多いのが韓国人(32人)だ。ちなみに日本人は10人しかいない。
( → ハーバードの日本史の授業は韓国人留学生の認識をどう変えたか )
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一方で、日本はどうか? 英語の発信力はきわめて貧弱だ。
たとえば、日本は今回の問題で、事情を説明する英語文書をろくに発表していない。そもそも、日本人向けにすら、まともな解説をしていない。たまに見かけたとしたら、外務相の個人ブログだ。
→ 輸出管理とは | 衆議院議員 河野太郎公式サイト
こういうのを、省庁の正式な業務でやらず、外務相の個人ブログに任せるのだから、日本政府の発信力がいかに低いかがわかる。日本人向けですらそうなのだから、いわんや海外向けをや。
こういうふうに、日本は情報戦で、圧倒的に負けている。「正しい方が勝つ」とだけ信じて、自分の正しさを上手に訴える努力をしていない。下手なやり方ばかりをやっている。
ここを直視して、反省して、改めない限り、日本は国際的な「多数決の場」では、なかなか勝てないのである。(相手が自滅でもしない限りは。)
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さて。こういうことがあると、どうなるか? 「日本が不利になる」ということのほかに、別途、重大な影響が出る。それは、こうだ。
「韓国が、理不尽なことを言っても世界から評価されるので、自分が正しいと思い込む」
これをひとことで言えば、「つけあがる」ということだ。
メチャクチャな理不尽なことばかりを言っているのだが、「日本人が悪い」というふうに非難すると、それが世界で通用する。それが通用するのは、韓国人が正しいからではなくて、日本人が英語下手・説明下手であることが理由なのだが、そうは思わないで、「自分たち韓国が正しいからだ」と思い込む。こうして、つけあがったあげく、「日本が悪い」というキャンペーを世界のあちこちで語り続ける。
換言すれば、こうだ。
韓国が世界のあちこちで、理不尽なデタラメなことを語っているのは、「彼らの頭がおかしいから」ということだけでは済まない。実は、彼らを付け上がらせているような、日本人の宣伝下手が、大きな要因となっているのである。
つまり、韓国をして「図に乗る」ようにさせているのは、日本人自身なのだ。日本人が愚直すぎるから、韓国を「調子に乗らせる」ようにさせているのだ。
今の日本にとって必要なのは、「自分たちは正しい」と思って黙って待つことではなく、豊かな英語力と簡潔な説明力で、世界にきちんと PR することなのだ。……ちょうど、韓国人がそうするように。
http://openblog.seesaa.net/article/462578847.html
上で述べていた「日本政府の主張の矛盾」や、「支払いは本人の同意を得ていないから原則的に無効」などとの話と色々と矛盾するように思います。これに対してどのように考えているのかなと。
返信は行わなくても構いませんが、気になったのでコメントさせていただきます。
で示していたのは、日本側の難点を見出すこともできる、というだけの話。奥の方にひそんでいる問題点を浮き上がらせる、という形。
実務処理では、上のページ(3)の前の2項目(1,2)ですでに示してあるので、そちらに従えばいい。それは本項と同じ。
3は、問題点を浮き上がらせているだけであって、「やり方を改めよ」というふうに実務上のことを述べているわけではない。
詳しくは、上記ページの 【 追記 】 を参照。下記。
> 本項のテーマは、「徴用工への補償をどうするべきか?」ということではない。
各ページは拝見済みです。
1は土台が固まってかつ他の手段が無い場合ならば行ってもいいかもしれません。
2は韓国が「この件は国内問題である」と協定でそう話した以上は韓国が「国内問題」として扱うものですから、管理人様の手法以外でも、韓国国内で治まるならばそれでいいかと。
ただ、3に関して、募集工に関しての日本の難点や問題点とするには無理があります。
もっと言うならば、当該ページの管理人様の主張には曲解や誤認、ないし誤謬が含まれていると見られるからです。
前回のコメントで情報の整理ができてない旨を伝え忘れてしまい申し訳ありませんでした。
この場で謝罪させていただきます。
改めまして、前回コメントへの補足ですが、管理人様の主張には以下の問題があります。
1:3のコメントにあるように、募集工では韓国が募集工に対して国が支払うとして日本からお金を受け取っていたが、被爆者の件では日米間で同様ないし類似の事例が無い。
2:1と関連して、韓国は募集工の件を国内問題として対処すると明言していたが、同じく被爆者の件では日本が国内問題として扱う旨の発言をしていた記録が無い。
この2点の差を補足しなければ、管理人様の主張は成り立たないと言わざるをえません。
補足しますと、私は「被爆者へ補償を行わなかった日本政府の正当化」を行いたい訳ではなく「日本政府の被爆者への対応は問題だとしても、その件を募集工での日本の問題とするは無理がある」と伝えたい所存です。
以上、駄文にて失礼しました。
ただ、海外に発信する力が弱いのは国力からくる国家戦略の違いなどの英語力とは別問題として考えないといけないと思います。
その中で、管理人様は2つの事例の差異を把握されているとのことですが、それでしたら管理人様が主張される「募集工での日本の問題」が成り立たないことは把握できると思割れます。
また、「根源的な問題を浮かび上がらせる」との主張につきましても、改めて見直しましても本文ならびにコメント序盤ではその点を話しておらず主張すらしていなかっったので、「論点をすり替えた」ように見受けられます。
お見苦しいかと思われるかもしれませんが、以下。
やはり「募集工問題における日本の問題」について、「結論は出てないが議論済み」とあやふやな状態にせず、問題点を今後も主張するか撤回するかをはっきりさせる必要があると思われます。その上で、以下についての説明が必要と思われます。
1:主張を継続する場合
⇨再三指摘された「被爆者と募集工の相違点」についての明確な反論
(国内問題として扱う旨については〜、お金のやりとりについては〜。)
2:主張を撤回する場合
⇨事実誤認していた箇所やズレていた論点の明示、ならびに修正後の自身の主張
(〜について私は〜と誤って認識していた。それを踏まえ〜を撤回し〜と考える。)
以上。
⇨は、右矢印と入力した箇所です。