◆ マイナス成長の時代:  nando ブログ

2019年12月05日

◆ マイナス成長の時代

 日本はゼロ成長の時代が続いたが、今後はゼロどころかマイナスの成長率になりそうだ。

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 日本はゼロ成長の時代が続いた。(微小なプラスを含む。) それでも、「今はゼロでもそのうちプラスになるさ」と楽観する人が多かっただろう。だが今後は、ゼロでもプラスでもなく、マイナスの成長率になりそうだ。
 なぜか? 人口減があるからだ。

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 前日の Openブログの記事「IT は人を幸福にしたか?」でも紹介したが、次のグラフがある。


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日本の生産年齢人口



 日本の生産年齢人口は、1995年をピークに減少の一途だ。これまでもそうだし、今後もそうだ。
( ※ ただの「予想」ではない。用語の定義からして、15〜64歳の人口であるので、今後の 15年については、生産年齢人口の減少はすでに確定している。いきなり 15歳の人間を誕生させることはできないからだ。)

 生産年齢人口の減少だけを取っても、経済成長率がマイナスになることは十分に予想できる。
 ただし、これまでは、ありがたいことに経済成長率はマイナスにならなかった。マイナスになってもおかしくないのに、マイナスにならなかった。なぜか? 理由は二つ考えられる。
  ・ 女性の就業率がどんどん向上した。
  ・ 60歳以上の高齢者の就業率がいくらか向上した。

 この二つは、実際に、大きな効果があったと思える。それまでの日本では、女性の就業率がかなり低かったし、60歳以上の高齢者の就業率もかなり低かった。これらが向上することで、「生産年齢人口の減少」を補う効果があった。
 ※ 人口が1割減でも、就業率が1割増なら、差し引きして、「ほとんど影響無し」で済む。

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 ところが、である。最近になって状況が変わってきた。
 女性の就業率も、高齢者の就業率も、そろそろ頭打ちになってきたのである。そうなると、「生産年齢人口の減少」を補うための、「就業率の増加」が不可能となる。すると、「生産年齢人口の減少」だけが発現するので、日本の生産力はマイナス成長となってしまうのだ。
 そのことが理論的に予想される。

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 実は、それが現実化する兆候がすでに現れている。
 去年の出生率の記事。
 《 18年の出生数91.8万人、最低を更新 出生率は1.42 》

 厚生労働省が7日に発表した人口動態統計によると、2018年に生まれた子どもの数(出生数)は91万8397人で過去最低を更新した。3年連続で100万人を割った。1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.42と、17年から0.01ポイント下がった。
 出生率がほぼ横ばい圏だったのに出生数が大きく減ったのは、出産適齢期とされる女性の人口が減ったためだ。15〜49歳の女性は前年に比べ1.4%減の2463万人だった。

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( → 日本経済新聞

 今年の出生率の記事。
 《 19年の出生数が急減 1〜9月、5.6%減の67万人 》
 少子化のペースが加速している。厚生労働省が26日発表した人口動態統計(速報)によると、1〜9月に生まれた子どもの数は67万3800人と前年同期に比べ5.6%減った。年間の出生数が5%を上回る減少となったのは直近では1989年。2019年は30年ぶりの大幅減となる可能性がある。
 生まれる子どもの数が減る大きな要因は、出産適齢期に当たる女性の人口が減っていること。
( → 日本経済新聞

 どちらの記事でも指摘されているが、人口減が進んだ原因は、「出生率の低下」ではなくて、母体となる適齢期女性の人口が減っているからだ。いわば悪循環である。今さら出生率が少しぐらい向上しても、今後はどんどん人口が減りかねない。

 こうなると、話は今後の 15年間(確定した生産年齢人口減)だけでは済みそうにない。15年後から先には、「ゼロ成長が解決する」という希望があるどころか、「大幅なマイナス成長が起こる」というふうになりかねないのだ。

 ──

 とすれば、今後は、何としても「人口減少の抑制」つまり「少子化対策の大幅拡充」をするべきだ。
 ところが、日本政府のやっていることは、それとは正反対だ。「保育所の無料化」という方針を打ち出したせいで、待機児童は減るどころか大幅に増える見込みである。入園の必要のない家庭でも、「無償なら入園させたい」と思って、入園希望者が増加するからだ。その分、真に必要な家庭はあぶれてしまう。かくて、保育所不足で、少子化の解決が遠のく。
 
 どうしてこういう馬鹿げたことをやるかというと、政府が安倍政権だからである。何でもかんでも、正しい政策とは逆のことをやる。
  ・ 「桜を見る会」で嘘ばかりを言う。公文書は廃棄する。
  ・ モリカケ問題でも、嘘ばかりを言う。資料は隠蔽。
  ・ 石炭発電を増やそうとして、「化石賞」を贈られる。
  ・ 日米貿易交渉では、圧倒的に一人負け。
  ・ 日韓関係では、日本ばかりが(対韓)輸出減で大損。
  ・ 消費税は増税し、法人税は減税。


 もう、メチャクチャばかりだ。「せめて、何もしないでくれ」と思うのだが、悪いことばかりをどんどんやる。
 そういうわけだから、少子化対策などをやるはずもなく、むしろ少子化を推進する方策を取る。(保育所の無償化)

 ああ、何たることか。せめて、日本が衰退する前に、自分の寿命が来てほしいものだ。……ということぐらいが、国民のはかない希望かな。



 [ 付記1 ]
 出生率の低下は、実は、日本に限ったことでなく、世界的にも見られる傾向であるようだ。
 グラフは、下記のグラフがある。
  → 8カ国の出生率( 2010年まで)
  → 子育て支援が手厚いフィンランドの出生率低下

 グラフを見ると、二つのグループに大別される。
  ・ 高い …… アメリカ、フランス、イギリス、スウェーデン
  ・ 低い …… 日本、ドイツ、イタリア、フィンランド


 高い方は、どうも、移民の出生率が高いのが理由らしい。
 全般的には、(移民を除いて)出生率は低下しつつあるようだ。

 [ 付記2 ]
 先進国で出生率が低下している理由は、何だろうか? ひょっとしたら、ITが影響しているかもしれない。
  ・ ゲームばかりやっているせいで恋愛や結婚をしなくなる
  ・ エッチをしたいという気力がなくなる
  ・ 残業とゲームで疲れるので、セックスレスに


 あと、次のこともありそうだ。
 「女性の出産が大変なので、働く女性は二人目を産みたがらない。一人で十分、と思いがちだ。また、会社の側でも支援する制度がないので、女性はキャリアを失わないために、出産回数を減らしたがる」

 [ 付記3 ]
 この問題を解決するには、次のことが有効だろう。
 「出産した女性をかかえる会社には、その分、法人税の減税をする」
 たとえば、「出産した女性1人につき、法人税を 30万円免除する。出産後3年間で有効」というふうな。……こうすれば、企業は法人税の減税を目当てに、出産する女性をたくさん雇用するようになる。また、社内で出産を奨励するようになる。

 これはこれで、根拠がある。それは、「出産した女性は、出産の前後で、能率低下という迷惑( or 被害)を会社にもたらす」ということだ。だからといって女性を非難するべきではないのだが、その被害を会社ばかりに負わせるのでは片手落ちだ。そういう状況だからこそ、会社は女性の雇用をイヤがるようになる。
 ここでは、社会全体が負担を分かちあうことにして、「出産した女性を雇用する会社には、それなりのインセンティブを与える」という形で、被害の補償をすることが望ましい。その分、他の人々や会社が負担増になるとしても、やむを得ないだろう。
 そういうふうにすれば、日本全体が成長率を上げることができるので、国家の衰退という道を避けることができる。

 現実には、そうしないので、日本という国家は衰退に向かってまっしぐらだ。(それが安倍首相時代の日本だ。)



 【 関連項目 】

 → 高齢化社会と少子化社会 : nando ブログ
  ※ 高齢化よりも少子化の方が問題だ、と指摘している。
    本項(今回)の趣旨とも合致する。

 → IT は人を幸福にしたか? : Open ブログ
posted by 管理人 at 23:58 | Comment(9) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
今からおよそ半世紀前、子供の数が多すぎるこのままでは子供の費用で潰れると今から見ると狂気としかいいようのないことを考えた役人がいました。
それから半世紀、今は少子化で騒いでます。このことを考えるに、今から子供の数を増やす政策をしても効果がでるのは半世紀後ですね。
もう手遅れだから移民をいれるしかないのでは、ただ今は中国のほうが豊かになってしまい移民のあてすらありませんが
Posted by 通りすがり at 2019年12月06日 19:03
 手遅れだからと思って放置していると、さらに悪化します。
 今から子供を増やせば、自分が老人になるころの年金を支えてもらうには、十分間に合いますよ。
Posted by 管理人 at 2019年12月07日 08:39
政府の経済政策次第で人口減少率を上回る経済成長は可能です。
世界で人口が減少している国は20弱有りますが(確か18だった)、
デフレなのは日本だけです。
特にジョージア(昔のグルジア)は15年で17%も人口が減っているのに、同期間での経済成長率の平均は5.6%だそうです。
それに比べたら日本の人口減少など誤差の範囲です。
しかも日本の場合は、総人口より生産年齢人口の方が勢いよく減るので、人手不足になりやすい。
人手不足でなければ経済成長できないので、逆に今は日本がデフレ脱却できる絶好のチャンスでもあります。
生産年齢人口が減るからと言って移民を入れるのは最悪の政策で、治安は悪化するし経済成長はできなくなるしで、
喜ぶのは超低賃金で働く奴隷が欲しい経団連とその株主だけです。(彼らには国家の概念がない)
安倍政権が経済成長の芽を丁寧に摘み取っているのが現状で、野党も桜を見る会だとか下らないことやってないで
政策で追求して貰いたいですが、彼らにはその知能がないようです。
このままでは、日本は四半世紀も持たずに滅亡でしょうね。
Posted by K'z at 2019年12月07日 08:40
 ジョージアの人口減少の理由。
  https://www.caplarity.com/world/asia/georgia/why_georgia_population_decrease/

 国民が海外に出稼ぎしているので、人口は減少し、仕送りで国内の富は増える。これは、貧しい国だからできることで、日本には真似できない。

 次項でも述べたが東欧では高成長が可能となっている。主な理由は、先進国ではないから。成長の余地がある。これも、日本では真似できない。

 ──

 経済政策が正しければ経済成長はできる、というのは事実だが、それを言われてきて、20年以上。日本政府は猿知恵しかないから、今後も消費税増税などで緊縮策をとり、経済成長は不可能になりやすい。
 次項で述べた話と共通する。高成長路線でなく、(財政均衡を優先した)低成長路線を取る。デフレのさなかで、インフレ防止策を最優先する。

 あと、貧富の格差を解消しないと、国民の購買力が増えずに、成長がそがれる。これも現政権のミス。
Posted by 管理人 at 2019年12月07日 09:01
結婚している女性の出生率はさほど低くないそうで、少子化の原因は結婚の減少にありそうです。
結婚の減少には様々な理由がありそうですが、デフレも要因の一つなのは容易に想像できます。
そして貧富の格差もデフレ期に拡大しやすいので、こう考えると均衡財政主義(=デフレ化)は
国家を破壊すると言っても言い過ぎじゃないですね。
残念なことに、国民のレベルを大きく超えた政治家が現れる可能性は低いので(正しいことを言っても国民が理解できないから当選できない)、
国民が変わらないことにはどうにもならないですね。
Posted by K'z at 2019年12月07日 09:48
>結婚している女性の出生率はさほど低くない

婚約の時点で、子を授かりたいと思うカップルが多いものと思います。

ただし結婚年齢が上がっているため、出産適齢期を過ぎている場合が少なくないと思います。なので、産んでも1人。多くて2人。

小学校の運動会や授業参観など、保護者が集まる場に行くと、私(もうすぐ40歳)よりも老けた雰囲気の保護者が多いのを感じます。
Posted by 反財務省 at 2019年12月07日 11:06
 たしかに、晩婚化って、問題ですね。出産奨励策だけでなく、早婚奨励策も必要かも。
Posted by 管理人 at 2019年12月07日 23:04
[ 付記2 ]
 先進国で首相率が低下している理由は、何だろうか? ひょっとしたら、ITが影響しているかもしれない。

「出生率」ですね。

「首相率」というのも適切な補遺があれば面白いものになりそうな気もしますが。
Posted by noname at 2019年12月08日 09:38
 ご指摘ありがとうございました。修正しました。
Posted by 管理人 at 2019年12月08日 09:49
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