◆ 共産党は消滅するか?:  nando ブログ

2020年01月20日

◆ 共産党は消滅するか?

 共産党の党員数が大幅に減少している。このまますると、共産党は消滅するだろうか?
 
 ──
 
 共産党の党員数が大幅に減少している。
 この30年間で党員は約50万人から約27万人に減り、高齢化も進む。党機関紙「赤旗」の読者数(日刊と日曜版など含む)は約300万人から約100万人に減少した。

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( → 党綱領改定、中国を批判 「野党連合政権」めざす 個人後援会、設立認める 共産党大会が閉幕:朝日新聞


 このまますると、党員数はさらに大幅減となって、党を維持できなくなって、消滅しそうだ。では本当に、共産党は消滅するだろうか?

 ──

 グラフを見ると、次のことがわかる。
  ・ 1990年ごろに激減した。
  ・ その後は微増しつづけた。
  ・ 2010年〜2014年に大幅減となった。


 これは次のように解釈可能だ。
  ・ 1990年ごろに激減したのは、バブル崩壊のせい。
  ・ その後は微増しつづけたのは、不況下で労働者が労組に頼ったせい。
  ・ 2010年〜2014年に大幅減となったのは、リーマンショックと東日本大震災で景気悪化が進み、派遣社員や契約社員が増えたせい。(労組の弱体化)

     【 追記 】
     1990年の減少については、1989年の「東欧の体制変革」「中国の天安門事件」の影響だ、という指摘がコメント欄に来た。

 ──

 上のように、おおざっぱに推定できる。これですべてが割りきれるというほど簡単ではあるまいが、一応、いくらかは説明できそうだ。
 そして、そうだとすれば、共産党の本質は次のことだとわかる。
 「共産党の本質は、労働者の党だ、ということだ。そして、労組との関係が深い。しかるに、派遣社員や契約社員が増えると、(これらの労働者が組合に加入していないせいで)労組の弱体化が進む。同時に、共産党は支持母体を失って、共産党の弱体化が進む」

 ──

 では、共産党の弱体化(もしくは縮小)という減少は、どう評価されるか?
 自民党や資本家や経営者ならば、「それは好ましいことだ」と評価するだろう。
 一方、そのことゆえに、労働者としては、「それは好ましくないことだ」と評価するべきだ。実際、共産党というのは、労働者の党なのだから、共産党の弱体化は、労働者にとって不利なのである。

 日本には、リベラルな党として、以前の民主党のの流れを汲む政党がある。立憲民主や、国民民主がそうだ。しかしこれらは、保守である自民党出身の議員が多い。それゆえ、もともと「労働者の党」とはなりえない。日本で「労働者の党」と呼べるような政党は、現時点では、共産党以外にはない。
 ところが、その共産党が、労働組合の「連合」とは仲が良くない。
  → 結成30年を迎える連合―共産党を排除、左翼政党とも距離

 それでも、以前は連合が民主党を支持していたが、その後、民主党が分裂すると、連合はそのどちらもはっきりと支持しないで、右往左往しているありさまだ。
  → 結成30年を迎える連合―共産党を排除、左翼政党とも距離 | TOKYO EXPRESS
  → 連合は誰のため? 支持政党を示せず「30年前のよう」:朝日新聞

 ならば、立憲民主党 、国民民主党、共産党の3党がまとまればいいかというと、理想はそうだ。
 しかも、共産党の側は、野党連立政権を目指して、連帯しようとしている。
  → 党綱領改定、中国を批判 「野党連合政権」めざす 個人後援会、設立認める 共産党大会が閉幕:朝日新聞
 ここでは、「共産党固有の政策を、野党連立政権には持ち込まない」という形で譲歩して、野党連立政権を目指している。

 それでも、野党がまとまるのは、現実には難しい。立憲民主党や国民民主党の一部(保守系の人)には、共産党アレルギーが強いからだ。
 立憲や国民民主党内には「共産党とは国家観が違う」(国民ベテラン)と「連合政権」に懐疑的な声があり、野党共闘の深化に課題も多い。
( → 党綱領改定、中国を批判 「野党連合政権」めざす 個人後援会、設立認める 共産党大会が閉幕:朝日新聞

 では、共産党を排除して他の野党がまとまればいいかというと、そもそも共産党以外の野党は、労働者のための党という性格が弱い。
 また、政党としても未熟であり、党の基盤が弱すぎる。政党というよりは、「政治家の個人後援会の連合である」という方が適しているぐらいだ。
 しかも、政治家としての力量が未熟な人々が多くて、まともに政策を打ち出すことができない。安倍首相がひどい政策を次々と出しているのだから、その対案を国民に訴えればいいのに、揚げ足取りをして安倍政権の攻撃をすることばかりに熱中している。
 また、人材も薄すぎる。立憲民主では、枝野以外に、ろくな人材が見つからない。民主党時代なら、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦、岡田克也、前原誠司、枝野幸男……という人材がいて、しばしばマスコミに登場したが、今ではそういう人材も目立たない。
 こんなことでは、立憲民主党や、国民民主党に、政権担当能力があるかもおぼつかない。

 ──

 その点、共産党ははるかにまともだ。先の「桜を見る会」の調査報道でも、共産党の能力の高さを見せつけた。
 また、原発問題でも、早くから原発の危険性を指摘して、「福島原発を止めよ」と訴えていたのも、共産党だった。仮に共産党が政権を取っていたら、日本には福島原発事故は起こらなかったはずなのだ。こんなに立派な政党は、日本では共産党だけだ。

 ところが、その共産党が、伸びるどころか、消滅の危機にある。
 では、どうすればいいのか? このまま日本は、自民党の一党支配を続けるしかないのか? 

 ──

 そこで私が提言しよう。こうだ。
 「共産党は、政党としては立派だが、名前にアレルギーをもつ人々が多すぎる。また、共産主義というのは、もともと私有財産制を否定しているので、私有財産制を認めている日本憲法(第29条)に反する。そこで、共産党は、党名を変えるといい」


 つまり、「共産」という文字にアレルギーをもつ人が多いので、「共産」という文字をはずせばいい。もともと日本憲法を守る以上は、共産主義を取ることはできないのだから、「共産」という文字を保つ必要はないのだ。
 共産党の本質は、共産主義(私有財産制の否定)ではなくて、「労働者の党である」ということだ。だから、この本質に立ち返って、「労働者の党である」ということを意味する党名に変えて、「共産」という文字をはずすといい。

 では、具体的には、どういう党名がいいか? 
 最も適切なのは、(意味的には)「労働党」であろう。ただし、この名前はダサすぎる。カッコ悪いので、国民受けしないだろう。
 そこで私が提案するのは、「共生党」だ。これならば、カッコいいし、一般国民から十分に受け入れられるだろう。また、他の政党からも、アレルギー感を受けずに済むだろう。また、略称は「共」のままなので、従来の党員にもなじみやすい。いいことずくめだ。

 以上を、私の提言とする。

 ──

 あと、もうひとつ。共産党や連合などは、労組加入率を大幅に高めるべきだ。また、特に非正規労働者の労組加入率を高めるべきだ。
 そして、そのためには、ストを打って賃上げを獲得することが必要だ。今みたいに「戦わない労働組合」なんて、組合費を徴収するだけのゴミでしかない。
 どうせなら、「組合員だけ賃上げする」というような要求をして、それを実現して、組合の組織率を高めるといいだろう。
 


 [ 付記 ]
 しかしまあ、共産党が共生党に名称変更しても、それで政権を取れることにはなるまい。「どうせ共産党だろ」という左派アレルギーは、国民に根強いからだ。
 その点では、やはり、もっと中道寄りのリベラルな政党の出現が待たれる。といっても、あまりにも人材不足なので、出現の見込みはまったくないのだが。

 [ 余談 ]
 「だったら、 Openブログの管理人が政党を作れ」
 と言われるかもしれないが、私は政治家向きではないので、そいつは無理だ。

 ただし、政党の政治綱領だけなら、ある。
  → 理想党 公式サイト
 
posted by 管理人 at 21:00 | Comment(6) | 政治 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
共産党は、とても荒っぽいですが2つに分かれます。下部半分と上部半分です。下部半分は、派遣や日雇いなど労働者や金のない障害者など弱者に寄り添い真摯に相談に乗ります。人間としての暖かさと常識、人としての節度を持った立派な人たちです。
上部半分は、マルクス主義者です。人類史を俯瞰すると原始共産の社会があり、様々な物質的な発展を経て現代資本主義社会に至り、その後に科学的な共産主義社会が生まれる。これは人類史の必然と考え、論拠なく絶対の確信を持ちそこから動きません。あの人が好きでたまらない。あの人のためなら死んでもいいという恋愛感情と似ています。憑き物が落ちるといいますが、一体私は何をしていたんだろうと冷静になります。
共産という言葉は、マルクス主義の共産社会を意味しますから、共産の名前を変えることは極端に言えばマルクス主義を捨てること、表面的には主義を捨てずとも少なくとも憑き物を落とすことです。
マルクスは正しく重要なことを言いました。経済は特定の個人のためにあるのではなく、人類それ自体のためにあるということです。私はそう理解しています。
だから、マルクス学者は現代に合わせてその言葉を核にして経済学を広げ積み上げねばなりません。それを全くやりません。マルクス主義の解釈だけで、そこから出ません。マルクス経済学者でマルクスを乗り越えた人を知りません。
憑き物の落ちた共産の議員や党員が、例えばイディオロギーを持たないことを党是とする、いわば共産党の下部半分だけのような「れいわ新撰組」に吸収され、共産党はマルクス信奉を最後まで貫くマルクスオタクだけになる。
こういう姿になるように思います。
Posted by 太郎 at 2020年01月21日 17:10
> 共産党はマルクス信奉を最後まで貫くマルクスオタクだけになる。

 これは「共産党は消滅する」というシナリオですが、共産党には頭のいい人が多いので、こういう自滅路線を取り続けるとは信じがたい。

 ──

 実は、日本共産党は、中国共産党とは犬猿の仲です。

 また、ロシアとの関係では、日本共産党は「民主主義に基づく」ということを訴えています。
  → https://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-11-23/2017112305_02_0.html

 これを読むと、ロシア共産党の過去を歴史として認識するだけで、真似することはなく、共産主義よりも社会主義を目指しているとわかります。

> 憑き物を落とすこと

 これは、たぶん、やっているようです。すでに大幅に路線変更しており、自衛隊も(必ずしも)否定しなくなりました。
 ここ 10年ぐらいで、結構、中道に寄っています。
Posted by 管理人 at 2020年01月21日 18:21
私も共産が変わることを願っています。
不破さんの死後、共産党がどう変わるかですね。その日が1日も早く来ますよう、祈っています。
Posted by 太郎 at 2020年01月21日 19:04
  >1990年ごろに激減したのは、バブル崩壊のせい。

1990年ごろに党員数が激減した理由は、

 ・ 東欧革命による脱共産化の影響で、「共産主義は終わった」と考える人が急増した。

 ・ 天安門事件による、「共産党」という名の付くものに対する決定的なネガティブイメージが増した。

 ・ これら超弩級のイベントが、2つも、同じ1989年に起こった。

 ・ 1989年の影響が、翌年の1990年党員数データに反映された。

上記のあまりに大きすぎる理由に比べたら、バブル崩壊など共産党の党勢にとっては大した事では無いです。
Posted by あ at 2020年01月22日 02:16
SEALDsなんぞとつるんでいたらどんなにまともな主張をしていようとメジャーな支持を得ることはできませんわな。
Posted by とおりがかり at 2020年01月22日 22:04
日本共産党 かって民青の奴らにボコられたりしましたが 管理人さんは理解が足りないですね 敗北の文学の宮本の 小林秀雄より評価された彼の党派ですよ 前衛 党 なんて 冗談でしょう 変わってきている? 選挙で世界かえていくんですか 1000年掛けて 今の組織を維持していく それが一番なんでしょ 彼ら
 
 どうせ どうせ 虚しい存在なら カラマーゾフの兄弟のように 人類全ての変革をはかりたいな 私のアルコールに霧んだ頭で 

 ロシアに存在した党派は ボルシェビキだけじなかったすよ もちろん 左派SR いまだに強く惹かれます 大塩平八郎にもね 

 仲間 党派 組織  超えたいですね 私たちのある部分は もしかしたら達成したのかも 


Posted by  k at 2020年01月23日 22:01
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