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日本政府は意気込んで、輸出制限の措置を取ったが、韓国は悲鳴を上げるどころか、自主開発路線で成功しつつあるそうだ。朝日新聞が実状を報道している。
韓国が素材や部品、製造装置の「日本頼み」からの脱却で成果を出し始めている。日本政府が昨年7月に強化した半導体材料の輸出規制を受けたものだ。歴代政権の国産化の取り組みは実を結ばず、日本側も冷ややかにみていたが、官民挙げて猛スピードで対策を実現しつつある。
半導体やディスプレーをつくる大企業が、品質も納期も安定している日本企業から調達する方針を変えなかった。
ところが、今回の局面では、大企業が率先して「脱日本」に動き出した。
( → 韓国、素材・部品の「脱日本」加速 「寝た子起こした」:朝日新聞 )
韓国企業はこれまで、日本企業から部材を調達して、韓国製品を使わなかった。日本政府はそれを見て、「韓国は技術的に劣っているから無理だ。日本企業が圧倒的に優れている」と自惚れた。
しかし韓国企業は、技術的に劣っているので開発できなかったのではなかった。すでに市場を得ている日本企業に対抗するのは、コスト的にちょっと不利であっただけのことだった。サムスンのような大企業は、コスト的に不利な韓国企業からあえて購入するメリットがなかった。
ところが今回、日本が部材の供給規制をするようにした。こうなると、供給制限で、企業存亡の危機にさらされる。もはやコストがどうのこうの言っている余裕はない。そこで、コストが少しばかり高くなるとしても、日本企業の製品を購入することをやめて、韓国企業から安定的に購入することを優先するようになった。
その結果、日本企業は安定的な販売先を失うことになった。
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結局、どういうことか? 日本政府の方は、
「日本の製品を購入できなくなると、困るだろ。ざまあみろ」と思っていた。しかし現実には、「コストを気にしなければ、製品化できます。もう売ってくれなくていいよ」と言われることになった。かくて結果的には、日本企業は販路を失って、大損することになったわけだ。
いや、販路を失っただけではない。今後は韓国企業というライバルが出現することで、世界各国で韓国企業と競合することになるのだ。その分、世界的にシェアを失うことになる。
下手をすると、日本の家電会社がサムスンに敗北したように、電子的な部材産業でも韓国企業に敗北するようになりかねない。そうなれば、日本沈没だ。
そして、それを招いたのが、安倍政権の愛国的な方策だった。
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思えば、これと似たことは、前にもあった。日本ではなく中国が、レアアース規制をしたときだ。あのとき、中国は似のんを締め上げようとしたが、逆に、販路を失い、中国は大損することになった。
それと同様のことが、今回も起こった、と言えそうだ。いや、それよりももっとひどい結果になったようだ。
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ちなみに、こういうことになりかねないということは、本サイトが警告していた。その上で、「制裁をやめよ」と低減していた。
→ 対韓政策をどうするべきか? : nando ブログ
一部抜粋しよう。(コメント欄を含む。)
対韓関係では、日本の側ばかりが大幅な損失を受けている。この現状に、どう対策を取るべきか?
両者が損をしているのならともかく、日本ばかりが大幅に損をしている状況では、我慢をするのは愚策である。
では、どうするべきか?
日韓対立の影響で、日本側の損失は 315億円、韓国側の損失は 35億円、という試算が出た。
「ホワイト国はずし」という措置は、すでに目的を果たしたのである。「日本には譲れない一線があるのだと教える」という効果だ。
そして、そういう効果を得たからには、今となっては「ホワイト国はずし」という措置を停止してもいいのである。
【 関連サイト 】
日本が米国の「ホワイト国リスト」から外された……という報道がある。
→ (真相深層)「ホワイト国」日本外れる 米外資新規制の免除リスト公表 技術投資、企業に自衛迫る :日本経済新聞
これは、製品輸出の規制でなく、投資規制の話。米国の製品が輸入できなくなるのではなく、日本のが米国に投資できなくなる。
「ホワイト国リスト」という点では似ているが、それ以外はあまり関係ない。