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数兆円もの莫大な駐留経費がかかることから、トランプが5月までの撤退を決めた。バイデンは少し遅れて9月までの撤退という方針を示した。
→ 国を壊し、去るのか 米軍撤退、アフガンにくすぶる懸念:朝日新聞
→ バイデン大統領 アフガニスタンからの米軍完全撤退を正式表明 | 米 バイデン大統領 | NHK
このあと、アフガニスタンで治安が悪化して、世界的なテロ活動が進むことが懸念される……というのが、マスコミの報道だ。
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しかし私は別のことを指摘したい。麻薬だ。
そもそもタリバーンはどうしてアフガン政府をしのぐほどの強力な軍を維持できるのか? 莫大な麻薬収入があるからだ。
アフガニスタンでは、麻薬の原料になるケシの栽培が伝統的に盛んだった。ターリバーンは、1997年終盤にケシ栽培を禁止したものの効力を得ず、2000年までには、アフガニスタン産のケシは、世界の75%に達した。
アヘン …… 価格統制政策はターリバーン政権が崩壊した事で崩れ、北部同盟の掌握地域では各軍閥が自派の資金源として、または貧農が生活のためにケシ栽培を再開するケースが続出した。この為に生産量は再び激増、GDPの50%に相当する産業となっている。これは2005年では全世界の87%に当たる生産量である。
( → ターリバーン - Wikipedia )
アヘンの生産量が全世界の87% にものぼる。年ごとに若干の変動があるが、およそ9割程度がタリバーンによるのだ。「タリバーン = 麻薬組織」と言ってもいい。だからこそ、莫大な資金力によって、アフガン政府をしのぐ軍事力を備えるわけだ。
ここで、これまでは米軍がタリバーンを攻撃してきたが、米軍が撤退するとなると、アフガニスタンはタリバーンの手に落ちることになる。
だが、それだけで話が済むわけがない。このアヘン生産が維持されている限り、世界はアヘンによって
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では、どうすればいいか? 米軍の駐留を維持することで、タリバーンを攻撃すればいいか? いや、それが失敗したのは、すでに判明していることだ。だから、それは駄目だ。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「アフガニスタンのケシ畑を焼夷弾で焼却する。それでも足りなければ、枯れ葉剤や塩などで、付近を不毛の土地にする。農業不可能にする」
これには疑問が出るだろう。「農業不可能になんかしていいのか? そんなことをしたら、金を得られなくなり、人々が餓死するぞ」と思うかもしれない。
しかしそもそも、アフガニスタンというのは、不毛の山岳地帯なのである。もともと農業には適さない土地なのだ。
そういう不毛な土地で、あえてケシ栽培をすることで、かろうじて人々が現金収入を得て、生きながらえることができた。「生きるためには麻薬生産をするしかない」というのが、アフガニスタンという国なのだ。とすれば、「麻薬生産をやめろ」というのは「死ね」というのとほぼ同義になる。
だから、世界各国がアフガニスタンに「麻薬生産をやめろ」と求めるのであれば、それがアフガニスタンに「死ね」というのとほぼ同義だと理解する必要がある。その上で、「麻薬生産をやめろ」と求める必要があるのだ。
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しかしこれは矛盾であるように思える。
・ 「麻薬生産をやめろ」と求める。
・ 「死ね」と求める。
この二つを同時に求めるというのは、矛盾というか、不可能というか、とうていできないことだと思える。
困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
この問題は、論理的に考えれば、解決可能だ。
「麻薬生産をやめろ」と求めるのは、どうしても必要だから、そのまま実施する。(枯れ葉剤や塩を撒いたりしていい。)
「死ね」と求めるのは、直接的には求める必要はない。別にアフガニスタン国民を殺したいわけではない。結果的に金がなくて餓死するというだけのことだ。だが、餓死することを避けることも可能だ。それは、地図を見ればわかる。
この地図を見ればわかるように、アフガニスタンの東側には、パキスタンとインドの緑地がある。農業に適した緑地だ。そこでは、多大な人口がある。パキスタンは 2.2億人。インドは 14億人。そのどちらも急激なペースで増加している。( 40年で倍増。)
一方で、アフガニスタンの総人口は 4000万人弱でしかない。
以上から、次のようにすることができる。
「パキスタンやインドの人口急増を止めることができれば、その分、アフガニスタンの人口を受け入れることができる」
つまり、こうだ。
「アフガニスタンで麻薬生産を中止すると、アフガニスタン国民は、アフガニスタンでは生きることができなくなる。しかし、アフガニスタンという不毛な地を離れて、肥沃なパキスタンやインドに移住すれば、そこで生きることができる」
麻薬生産の中止を強いられたとき、アフガニスタン国民は、もはやアフガニスタンでは生きてはいられない。しかし、その場で死ぬ必要はない。国内にいれば死ぬしかないが、国外に出れば生きることは可能なのだ。
だから、世界各国としては、次のことをセットで実施すればいい。
・ ケシ畑の廃止
・ アフガニスタンの国民を、パキスタンやインドに移住させる
・ そのために必要な巨額の費用を支払う
これを「麻薬対策費」という名目で支払えばいい。タリバーンの攻撃のための戦争費用に数兆円を払うのではなく、麻薬消滅とアフガニスタン国民の移住のために数兆円を払えばいいのだ。
これらをセットで実施した場合にのみ、世界は麻薬汚染から逃れることができるようになる。
逆に言えば、そうしない限りは、麻薬組織としてのタリバーンは生き残るし、そのせいで世界各国は麻薬に汚染され続けることになる。
問題の核心がどこにあるか、本項を読むことで理解できただろう。
[ 付記 ]
「パキスタンやインドが、大量の国民を受け入れてくれるわけがないだろう。住民が独立したら、国土の一部を乗っ取られてしまいかねないのに」
と思う人もいるだろう。しかし、その点は大丈夫。名案がある。こうだ。
「アフガニスタンの山岳部の人々の移住を受け入れるかわりに、その広大な領土を、パキスタンやインドに一部に領土割譲する」
つまり、人を受け入れるだけでなく、国土も受け入れるわけだ。これなら文句あるまい。
これに対して、アフガニスタンの都市部の人が文句を言うかもしれない。だったら、その分、アフガニスタンの農村部の人々を都市部に移入させればいい。
その場合、そこに職場はないから、都市部の人々はそろって貧困化することになる。都市部の人々は大損だ。のみならず、タリバーンの攻勢を受けて、最終的にはタリバーンに呑み込まれてしまうかもしれない。(タリバーンの独裁政権の支配下となって、全員がタリバーンの奴隷となる。)
そんなことになるくらいなら、農村部の国土と人員を、パキスタンやインドに送り込んだ方がマシだろう。
※ アフガニスタン全体をパキスタンと合体させる、という荒技もある。パキスタンに吸収してもらって、面倒を見てもらうわけだ。アフガニスタン全体をタリバーンに支配されるよりは、まだマシだろう。麻薬組織に国家を奪われるのは、世界にとって最悪だ。(米国はそのことに気づいていない。)
【 関連項目 】
似た話題。
→ イスラムテロの根源: nando ブログ
→ ナゴルノ・カラバフの紛争: nando ブログ