◆ シェイクスピア ソネット18番:  nando ブログ

2021年05月04日

◆ シェイクスピア ソネット18番

 シェイクスピアの有名な詩集「ソネット集」のうち、最も傑作の誉れ高い 18番を訳出する。

 ――

 原文は下記。( → 出典

    Shall I compare thee to a summer's day?
    Thou art more lovely and more temperate:
    Rough winds do shake the darling buds of May,
    And summer's lease hath all too short a date:
    Sometime too hot the eye of heaven shines,
    And often is his gold complexion dimm'd;
    And every fair from fair sometime declines,
    By chance, or nature's changing course untrimm'd;
    But thy eternal summer shall not fade,
    Nor lose possession of that fair thou ow'st,
    Nor shall death brag thou wander'st in his shade,
    When in eternal lines to time thou grow'st;
    So long as man can breathe, or eyes can see,
    So long lives this, and this gives life to thee.


 ――

 以下は、私の訳。

    きみを夏の日にたとえてみようか?    
    きみはもっと愛らしくもっと穏やかだ。
    すさぶ風は五月の蕾を揺すぶり、  
    夏の期限の日付は来るのが早すぎる。
    ときには天の眼はひどく照りつけ、 
    その金色の顔はしばしば暗く鈍る。
    麗しいものはどれも衰えを免れず、
    偶然や自然の移ろいのうちに荒れ果てる。
    だが、きみの永遠の夏は褪せることがなく、
    きみのもつ麗しさが奪い取られることもない。 
    死がおのれの陰にきみを収めたと誇ることもない。 
    この永遠の詩行のなかで、きみは時に伸びるからだ。
     人が息づく限り、また目が見える限り、
     これが生きて、これがきみに命を与える。

                     (南堂久史 訳)

 ――

 以下は、他の人の訳。

    君を夏の日にたとえても
    君はもっと美しいもっとおだやかだ
    手荒い風は五月の蕾をふるわし
    また夏の季節はあまりにも短い命。
    時には天の眼はあまりにも暑く照る
    幾度かその黄金の顔色は暗くなる
    美しいものはいつかは衰える
    偶然と自然のうつりかわりに美がはぎとられる。
    だが君の永遠の夏は色あせることがない
    君の美は失くなることがない
    死もその影に君を追放する勇気はない
    君は永遠の詩歌に歌われ永遠と合体するからだ。
    人間が呼吸する限りまた眼が見える限り
    この詩は生き残り,これが君を生かすのだ。

            (西脇順三郎 訳)
      http://plaza.rakuten.co.jp/graceland/29022/

 ――

    君を夏の日にたとえようか。
    いや、君の方がずっと美しく、おだやかだ。
    荒々しい風は五月のいじらしい蕾をいじめるし、
    なりよりも夏はあまりにあっけなく去っていく。
    時に天なる瞳はあまりに暑く輝き、
    かと思うとその黄金の顔はしばしば曇る。
    どんなに美しいものもいつかその美をはぎ取られるのが宿命、
    偶然によるか、自然の摂理によるかの違いはあっても。
    でも、君の永遠の夏を色あせたりはさせない、
    もちろん君の美しさはいつまでも君のものだ、
    まして死神に君がその影の中でさまよっているなんて自慢話をさせてたまるか、
    永遠の詩の中で君は時そのものへと熟しているのだから。
     ひとが息をし、目がものを見るかぎり、
     この詩は生き、君にいのちを与えつづける。

                  (戸所宏之 訳)
      http://plaza.rakuten.co.jp/graceland/29022/

 ――

    君を夏の一日に譬えようか。
    君は更に美しくて、更に優しい。
    心ない風は五月の蕾を散らし、
    また、夏の期限が余りにも短いのを何とすればいいのか。
    太陽の熱気は時には堪え難くて、
    その黄金の面を遮る雲もある。
    そしてどんなに美しいものでもいつも美しくはなくて、
    偶然の出来事や自然の変化に傷けられる。
    しかし君の夏が過ぎることはなくて、
    君の美しさが槌せることもない。
    この数行によって君は永遠に生きて、
    死はその暗い世界を君がさ迷っていると得意げに言うことは出来ない。
    人間が地上にあって盲にならない間、
    この数行は読まれて、君に生命を与える。

                   (吉田健一 訳)
      http://plaza.rakuten.co.jp/graceland/29022/

 ――

    君を夏の一日にたとえようか
    君はもっと美しくもつとおだやかだ
    手荒い風が五月のあいらしい蕾をふるわせ
    夏の貸借期間はあまりにも短い。
    時に天の眼はあまりに暑く照り
    時にはその金色の顔もくもり
    どの美しさもいつかは美しさから移ろい
    偶然や自然の移りかわりに美ははがれる。
    だが君の永遠の夏は色あせることなく
    君のものである美を失うことはない
    死も君がその陰の谷を歩むと威張ることはできぬ
    君が詩歌にうたわれ永遠と合体すれば。
    人の息のあるかぎり,目の見えるかぎり
    この詩は生き,これが君に生命を与えるのだ。

               (小塩トシ子 訳)
      https://core.ac.uk/download/pdf/228871328.pdf

 ――

 他の訳もあるが、リンクだけ示す。
  → 壺齋散人・訳
  → 森山恵 訳
  → 内村世紀 訳
  → Pink Hummingbird 訳
  → ameameshiratori 訳
  → 柴田稔彦 編(岩波文庫) 所収
  → 糸多郁子 訳




 [ 付記 ]

 10 Greatest Poems Ever Written (史上最高の詩 10編)
 というページで、その1位にランクしているのが、この詩だ。(ただし、英語作品のみ。)
 


 【 関連サイト 】
 英文解説。
Notes

temperate (1): i.e., evenly-tempered; not overcome by passion.

the eye of heaven (5): i.e., the sun.

every fair from fair sometime declines (7): i.e., the beauty (fair) of everything beautiful (fair) will fade (declines). Compare to Sonnet 116: "rosy lips and cheeks/Within his bending sickle's compass come."

nature's changing course (8): i.e., the natural changes age brings.

that fair thou ow'st (10): i.e., that beauty you possess.

in eternal lines...growest (12): The poet is using a grafting metaphor in this line. Grafting is a technique used to join parts from two plants with cords so that they grow as one. Thus the beloved becomes immortal, grafted to time with the poet's cords (his "eternal lines").

( → Analysis of Shakespeare's Sonnet 18 - Shall I Compare Thee to a Summer's Day

posted by 管理人 at 21:39 | Comment(0) | 文化・芸術 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。