◆ 生存期間つきの死刑:  nando ブログ

2023年02月19日

◆ 生存期間つきの死刑

 「生存期間つきの死刑」というものを提案する。すぐには死刑を執行しないで、一定の期間は執行を猶予されて、生存できる。死刑と無期懲役の中間刑。

 ──

 実は、このアイデアはずっと前に書いたことがある。2004年8月02日a の「泉の波立ち」だ。そこから再掲しよう。
 (2) 死刑と無期刑の間
 「死刑と無期刑の間に、適切な刑がないのが困る」という声がしばしば聞かれる。これは、実は、解決が可能である。次のような刑がある。
 「一定の生存期間つきの死刑」
 たとえば、犯罪実行後、十年間は、基本的に生存権を与える。ただし、悪質度があまり重くない場合には、生存権を延長する。二十年または三十年の生存権を与える。その後に死刑を執行する。死刑囚は死刑執行のときまで、「明日執行か」とびくびくすることもなくなる。
 この生存権の期間が百年になれば、実質的には、無期懲役と同じになる。生存権が追加された結果、余命が平均余命と同じになれば、死刑と自然死とは五分五分で、ギャンブルみたいになる。……この場合、死刑囚としては、特に文句はないだろう。平均寿命ぐらいまでは殺されないことになるのだから。一方、それでも一応は死刑を科したことで、被害者感情としては、ある程度は納得が行く。

( → 8月02日a

 このアイデアは大切だと思うのだが、Openブログでも nandoブログでも、この件について言及したことがなかったので、思い出しがてら、ここに記しておくことにした。



 [ 付記 ]
 先日、次の報道があった。
 2020年、福島県三春町で盗んだトラックで男女2人をわざとはねて殺害した罪に問われた男の控訴審で、仙台高等裁判所は一審の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡しました。
 住居不定・無職の盛藤吉高被告(53)は2020年5月、三春町で清掃作業中だった男女2人を盗んだトラックでわざとはねて殺害したとして、一審の裁判員裁判では死刑判決を言い渡されました。
 一審判決については「極刑がやむを得ないとまではいえず、不合理な判断をしたものといわざるを得ない」とも指摘しました。
( → 仙台高裁が一審の死刑判決を破棄 福島・三春町ひき逃げ殺人

 被告は事件の2日前に別の罪で服役していた刑務所を出たばかりで、出所後の生活などへの不安から「長く刑務所に入っていたい」と考えて、事件を起こしたとされています。
 裁判長は「犯行の動機は刑務所に入りたいというもので、他人を殺害すること自体が目的ではない。人命軽視の姿勢が甚だしいとまではいえず、これまで死刑になった事案に匹敵するとまで言えない」などとして、1審の死刑を取り消して無期懲役を言い渡しました。
( → 福島 2人はねて殺害の裁判 1審死刑判決破棄し無期に 仙台高裁 | NHK | 事件





 これはまあ、頭の弱い馬鹿が人命軽視で人を殺してしまった、というものだ。邪悪な人間が悪意たっぷりで人を残酷に殺す……という例からは、遠く隔たっている。複数殺人ではあるが、死刑でなく無期懲役にするのもやむを得ない。強い「殺意」も認定できない。どちらかと言えば、「傷害致死」でなく「殺人」となったことの方が不思議なくらいだ。私が裁判長だったら、「傷害致死」に認定したかもしれない。

 ──

 一方で、「高速道路であおり運転をしたあげく、被害者2名を事故死に巻き込んだ」という悪質な人間がいる。ろくに反省もしないで無罪を主張したあげく、 危険運転致死傷罪で懲役 18年。
  → 東名高速夫婦死亡事故 - Wikipedia
 しかし、これは非常に悪質なので、「未必の故意による殺人」と見なして、死刑に近い刑罰を与えたいところだ。最低でも無期懲役にしたいものだ。

 ──

 以上の2例がある。こんな例を思い浮かべているうちに、冒頭のアイデアを思い出したのだった。それで本項を記した。

 ※ 前項の「囚人への人体実験: Open ブログ」という話のついでに。

posted by 管理人 at 22:34 | Comment(0) | 一般 このエントリーをはてなブックマークに追加 
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