TPP(環太平洋戦略的経済連携協定。関税撤廃をめざす)への参加について、政界が騒いでいる。これについて考察しよう。
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私の見解は、次の二点だ。
(1) TPPの必要性
TPPに参加することが必要だ、ということは、論を待たない。理由は二つだ。
第1に、農業を関税で保護すれば、外国製品の輸入を阻止できるが、代償として、輸出製品に外国で課税される(その課税をなくすのがTPPの目的だ。) TPPを「輸入関税撤廃」とだけとらえている農業関係者が多いようだが、それが同時に輸出への関税撤廃とセットになっている、ということを理解できないようだ。当然だが、輸出製品に関税がかかれば、日本製品は圧倒的に不利になる。特に韓国に対して不利になる。「円高が大変だ」なんて騒いでいる企業が多いが、関税だって 10%ぐらいはかかるのだし、それを免除される韓国に比べれば圧倒的に不利になる。こういうことを理解できない阿呆が多い。
ついでだが、農業を保護することは、工業を冷遇することと、セットである。両方をセットで維持すれば、日本の生産性は大幅に低下する。簡単に言えば、日本を(生産性の低い)途上国状態にするということだ。
逆に言えば、関税撤廃により、日本は生産性が大幅に向上する。たとえば、農業輸入が増え、農業人口が大幅に減り、かつ、工業へ労働者が移動することで、日本全体の生産性が大幅に向上する。(これは高度成長期に起こったことだった。その再現である。)
なお、ここで農業製品が自由化されれば、日本の食料品価格は大幅に下がる。特に、乳製品で下がる。バターやチーズの価格は大幅に下がる。アイスクリームやピザやチョコレートもおいしいものをいっぱい食べられる。豚肉の価格も下がるだろう。日本の食生活は大幅に向上しそうだ。(これはかつて高度成長期のあとでも起こった。それまでは牛肉は高価すぎてまともに食べられなかったが、輸入自由化にともなって日本人の家庭でも牛肉は頻繁に食べられるようになった。果物のジュースも同様だ。)
第2に、中国が日本を大幅に越えるGDPを生産するようになるにともなって、日本と中国の間の貿易量は大幅に増大するのが自然だ。経済学の算定式に従うと、二国間の貿易量は、各国のGDPに比例し、両国間の距離に反比例するそうだ。これに従うと、中国との貿易量はやがては現在の5倍程度まで増大しそうだ。また、アジア各国や韓国との貿易量も、3倍ぐらいにまで増大しそうだ。逆に言えば、それを阻止するような貿易障壁は、両国にとって損失となる。たとえば、日産自動車の現在の輸出先は、北米ではなく中国が最大である。やがては現在の2倍〜5倍ぐらいを輸出するかもしれない。ところが、貿易障壁があると、そのような急増は不可能となる。ちなみに、ドイツがフランスなどの欧州諸国との間になす貿易量は、GDP比率で、日本の数倍になる。ドイツは大量の輸出をして、大量の輸入をしている。そのことで国全体が効率化する。一方、日本のGDPにおける輸出量と輸入量の比率は、ドイツよりもずっと低い。なかば鎖国状態のようなものである。これでは国全体の産業が非効率になる。……なお、この話(第2の点)は、伊藤元重のコラム(読売新聞 2010-11-01 による。
( ※ 原文は、批判サイト に掲載されている。掲載者は伊藤元重を批判しているが、ともあれ、原文をネットで読めるのは便利だろう。実は、批判なしの丸ごと転載なので、明白な著作権法違反ですけど。 (^^); 。そのうち削除される可能性あり。念のために保存することをお勧めします。)
(2) TPP の実現方法
TPP が必要だからといって、やみくもに猪突猛進すればいいわけではない。強引にやれば、日本の農業が崩壊する。そこで、それを防ぐ方法が必要となる。では、どんな? その方法は、すでに下記で示した。
→ 円高と関税(FTA)
ここに書いてあるとおりにすればいい。つまり、次の二点だ。
・ 所得補償をする。特に高齢者を中心に。期間は限定。(無期限ではない。)
・ 所得補償の代償として、土地を接収する。(つまり土地を買い上げる。)
土地を接収するといっても、もともとは農地改革により、タダ同然でばらまいた土地だ。それを終身年金と交換の形で買い上げるわけだ。
このことで、所得補償がなされるので、農家としては、所得額が減ることはない。現状程度の所得は保証される。少なくとも、高齢者は。(若手は農業をやめて転職すればいい。)
結果的に、どうなるか? すでに現状の所得補償からもわかるように、所得補償がなされると、農産物の市場価格が下がる。所得補償が進めば進むほど、農産物の市場価格は国際水準に近づく。所得補償が十分になされれば、農産物の市場価格は国際水準と同じになるから、その段階で、農業自由化をしても問題はない。農家としては、
所得 = 国の補償金(農業年金) + 農産物の販売価格
という形で、従来通りの所得を得ることができる。
一部の農家は、生産性が高いので、多めの所得を得ることができる。これは問題ない。
一部の農家は、生産性が低いので、少なめの所得しか得られない。その場合は、補償金(年金)をもらいながら、都市に出て、工業や商業で働けばいい。
結果的に、国全体としては、一部の大規模農家に生産が集約される。これで農業の改革がなされることになる。
一方、国家の所有する大量の農業放棄地が生じるが、そこは、里山にして、ブナでも植えておけばいい。ブナにはおいしいドングリができるから、熊がそのドングリを食べて、熊は飢えずに済む。(現状のように杉だらけだと、熊は飢える。)
というわけで、上記のようにすれば、次の諸点が実現する。
・ 関税は撤廃される。
・ 工業製品は相手国で関税を免除される。
・ 国内の農産物は価格が大幅に低下する。
・ 農業従事者は、一部に集約される。
・ 大規模農家は、補償金を得ながら、低価格の農産物を大量に生産する。
・ 大多数の小規模農家は、補償金を得ながら、都市に出て工業・商業の労働者となる。
・ 国全体としては、生産性が大幅に向上する。
・ 消費者としては、おいしいものを安く買えるようになり、食生活が向上する。
めでたし、めでたし。
( ※ 実を言うと、農業の補償金の分、増税がある。 (^^); ただしその増税の額は、食料品の値下げの額と、ほぼ同じだ。一般的には食糧補助制度があるのと同じで、高所得者は大損で、中・低所得者は少し得だ。その他、国全体では、生産性の向上の分、少し良くなる。)
【 関連項目 】
→ 円高と関税(FTA)
→ 農業と関税
【 追記 】
TPP については、このあと大幅に項目を書き足したので、下記の項目一覧を見てください。
→ TPP(サイト内検索)
特に、次の項目は初心者向けに基本から解説しているので、最初にこれらを見るといいでしょう。
→ TPP の誤解と正解 1
→ TPP の誤解と正解 2
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《 日本のコメは本当に高いか 縮まる内外価格差 》
関税を撤廃すれば国内のコメ農業は壊滅する。値段が安い輸入米が流れ込めば、価格競争で歯がたたない国産米は駆逐される――と農林族議員や農業団体はいう。
本当にそうだろうか。実際にはコメには大きく2種類ある。日本人が主食とするのは短粒種(ジャポニカ米)。海外での生産地は、米国のカリフォルニア州や中国の東北地方などに限られる。
その外国産の短粒種の価格が上昇している。中国産の精米の輸入価格は現在60キログラム(1俵)が約1万円強。10年前の1999年産と比べると3.5倍に上る。一方、国産の米価は下落が続き、現在の卸売価格は約1万3千円。この10年間で25%下がった
輸入米を売る卸売業者は、「国内で受け入れられるかなり高い品質の短粒種は、安値で買いつけたくても難しくなった」と語る。内外の価格が急速に接近しているのがコメ市場の現実だ。
穀物価格の異様な上昇に危機感を抱く。世界的な人口増加に、農業生産が追いつけていない。
コメの関税率は778%(従価税換算)。数字の大きさから、内外の農業に途方もない実力差があると錯覚してはならない。
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→ http://s.nikkei.com/bGJ4ef
必要があるように思います。
TPPについては、対中国での米国の思惑が
あるので精査する必要性はある
私はTPPへの参加は反対ですが、貴方のブログを見て大変勉強させられました。
しかし、1点だけ質問させて下さい。
もし戦争・天災・地球温暖化による世界的な食糧不足等が発生した場合、日本国民の食の保障については、貴方はどのようにお考えですか?
戦争が起きれば、敵国となる国からは当然食料を調達出来ずに、慢性的な食糧不足となります。
日本が戦争に参加しなくても、日本が食料を調達する国が別の国と戦争になれば、日本は食料不足となります。
天災や地球温暖化の影響で、世界的な食糧不足が発生すれば、各国はまず自国民に優先して食料を回すでしょう。
そうなったら、日本はどこからも食料を調達できなくなるか、足下を見られ食料を相場より遙かに高い価格
で買わされる事になるでしょう。
現状ですら、日本の食料自給率はカロリーベースで40%程度と危険な状態であるにも関わらず、TPPでさらに日本の農業を減らし、食料自給率を落とすような事は自殺行為です。
(日本からも農作物の輸出は出来ると言っていますが、日本の場合は物価の高さ・人件費の高さを考慮すると、日本の価格が高い農作物を海外が大量に買ってくれる可能性は低く、確実に日本の農業は減少すると思われま
す。)
「戦争なんて起きない」「そんな大規模な天災はそうそう無い」と反論されそうですが、たしかに私達が生きている数十年の間でそのような場面に会う可能性は低いかも知れません。
しかし本件の問題は、私達1世代だけの問題ではなく、これから数世代・数十世代に渡って関わる大きな問題です。
一度農業を衰退させれば、それを元に戻すのは用意ではありません。
特に上記に上げたような突発的な食糧危機問題が発生すれば、日本国民は飢餓で壊滅的なダメージを受けます。そうなった時、結果論で「あの時、TPPなんかに参加しなければ…」と言っても遅いのです。
その分、何かあった時の為に食料を備蓄すれば良いのですが、今の政権は事業仕分けで食料の備蓄すらも削減しようとしています。
このような状況で、日本国民の食の安全に関して、どのようにお考えでしょうか?
というような状況は、ありえません。歴史上、一度もあり得ません。
「世界のうちの一国だけが飢饉になる」
ということならば、歴史上、何度もありました。しかし、
「世界中が飢饉となり、一国だけが飢饉にならない。しかもそれが日本であった」
というようなことは、一度もありませんでした。
現実的に言えば、世界中が飢饉になることはあり得ません。たとえば、食糧生産が大幅に減少したとしても、それによってまず犠牲になるのは、家畜です。家畜のた豚や牛は大量に死にます。しかし、豚や牛が食料を得られなくなったおかげで、人間は、豚や牛が食べるはずだったトウモロコシ類を食べられるので、死を免れます。
世界的な食糧危機が意味するのは、「肉類を食べられなくなり、トウモロコシなどを食べざるを得なくなる」というだけのことです。
一方、牛肉を自由化する前の日本では、牛肉は非常に高価であり、牛肉を食べることはほとんどありませんでした。「食料自給」を守っていたころの日本は、結果的に、世界食糧危機が起こっている状態と同じでした。
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ところで、あなたの質問は、本項を誤読していますよ。
私の方針は、「農業をやめる」のではなくて、「農業の生産性を高める」ということであり、食糧生産は維持されます。農業人口が減るだけであり、農業生産の生産量は維持されます。本項の趣旨は、「農業の生産性を高める・国際競争力を持たせる」ということであり、「農業生産をやめる」ということではありません。ちゃんと (2) のところで説明してあるし、その方法もリンク先で示してあります。
誤読しないでください。
年末年始番組を見ていて気になったのでググっていたらこのHP見つけました
結果的に関税撤廃を世界で進めて行ったら物価も徐々に下がり国民の生活の現状を保ったままやっていけるってことですか?
物価が下がるってことは労働賃金も下げられるってことですよね
農業だけは土地が少ない国の不利と考えればいいわけですよね、そういう国って日本だけじゃないし
あ?農産物のみ課税していけばいいのか
今みたいにバカ高いものじゃなければいいんですよね
とりあえずナントカなるのかな、TVみてて日本スゲーやばいジャンって思ってチョーあせった;
経済のことあんま良くわかってないのでアレですが勉強になりました
ここの他の記事をもっと読んで行きたいと思いマフ
でわでわ
違います。各国が適材適所をするようになるということです。工業が得意な国は工業を。農業が得意な国は農業を。そうすることで世界中の生産性が上がります。(不得意なことを わざわざ やらなくなるので。)
>物価が下がるってことは労働賃金も下げられるってことですよね
違います。生産性が上がるということですから、労働賃金は上昇します。
農業従事者について言えば、(不得意なことのために)一所懸命働いて 100万円を稼ぐかわりに、何もしないで 50万円ぐらいをもらって、その間、よそで働いて 150万円ぐらいを稼ぎます。合計 200万円。こうして所得は倍増します。
詳しくは、本文最後にリンクしている関連項目を参照。
名前だけ農家が増えそう・・・
農家も平均年齢上がってるし補償もらえるなら適当にするだろうな〜
そんなに簡単にいくならあそこまで猛反対されないだろうし
まぁ米国が日本の高い関税を突破したいから入るように仕組まれてるだけ
農業改革といっても米国は広大な土地を利用した大量生産できます。
それに加えてドル安、賃金下落
これに対抗できる改革なんてないですよ・・・
さらに米国は日本に対しては輸入したいものなんてないといっています
車に関してはトラックは25%ですけど、乗用車は2.5%しかありません・・・
だから米国はそれぐらいなら関税が撤廃されても問題ないと踏んでいます
取りあえず日本の農業の関税という高い壁を壊すためにTPPを利用しているということを分からない総理がかわいそうな気がします
ココで見れます。(高画質)
TPP アメリカの本当の狙い
(1) http://www.youtube.com/watch?v=XD-nv0sfbxQ
(2) http://www.youtube.com/watch?v=KwoGAtMfbUg
(3) http://www.youtube.com/watch?v=Lq37d8FbZyI
詐欺的論理かと思ったが、詐欺にもなれない。これで人をだませるはずがない。あまりにも幼稚なので。
論者の顔を見ても、すぐにわかる。馬鹿丸出しの顔。
顔って、役立ちますね。
※ 関西の番組だとしたら、おちゃらけの漫才番組か?
> 読めばわかると思う
と「受付11」で書いたのは、取り消します。
この番組は、経済学のイロハさえも知らない無知な人々を対象とした、煽動的な攘夷論です。「開国反対、チョンマゲを維持せよ、大和魂!」と叫んでいる守旧派です。どうしようもない。手に負えない人々(理屈はゼロで、恐怖と感情だけで動く人々)を対象としています。
こんなもの、はなから「いかがわしい」と感じて、見る気もしないのが,常識のある人々です。私も、ろくに見る気がしなかった。うさんくささいっぱいなので。
あらためて見直して、そのうさんくささがはっきりした。
こんなものを見ている人々には、何を言っても無駄です。ホメオパシーの信者と同じ。科学的知性とは正反対。
何を言っても、無駄です。理解できるはずがありません。
ま、強いて一つ教えるなら、次のことだ。
経常収支は基本的には均衡する。資本収支を別として、貿易収支だけで単純に考えて、貿易収支は均衡する、と言ってもいい。
つまり、海外からの輸入が増えれば、その分、円安になり、輸出が増える。海外から輸入が1兆円増えれば、その分、海外への輸出が1兆円増える。農業が1兆円縮小すれば、その分、工業が1兆円増える。
これは高度成長期に起こったことだ。(この件は、何度も述べたとおり。)
その他、データのつまみ食いや,データの歪みは、インチキの見本ですね。詐欺師の捏造。どこをどう歪めているかは、経済を知っている人ならば、すぐにわかる。知らない人は、そこにあるデータをそのまま信じればいいでしょう。それでうまくだまされる。
インチキ数字ほど素人をだましやすいものはない。
( ※ 指摘してくれ、教えてくれ、と頼まれても、そんな馬鹿馬鹿しいことのために手間をかけるつもりはありません。池田信夫の話ならば、利口な人も結構だまされそうだが、上の番組でだまされるのは、無知な人だけだから、私がいちいち教える必要はない。そこいらの普通の経済学部生でも指摘できる点が多い。)