◆ ギリシャ対策(EFSF)は無効:  nando ブログ

2011年10月24日

◆ ギリシャ対策(EFSF)は無効

 ギリシャの破綻回避のために、EFSF(欧州金融安定基金)を利用する方向で進んでいる。しかしこれは無効だ。バケツの穴があいているからだ。

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 ギリシャの破綻は、もはや現実のものとなっている。わかりやすくまとめてみよう。

 (1) 2009年10月に政権が交代した。すると、隠れていた莫大な赤字が露見した。
 (2) 2010年5月、NYの株価暴落にともなって、ギリシャのデフォルトの可能性が出て、金融市場が混乱した。欧州中央銀行(ECB)の出資により、当面の危機を回避した。( →  Wikipedia 「2010年欧州ソブリン危機」
 (3) その後は小康状態が続いた。
 (4) 2011年10月、ギリシャ政府は「財政赤字削減目標未達となる見通し」を発表した。( → Wikipedia 「ギリシャの経済」
 (5) それを受けて、欧州金融市場は混乱した。ギリシャ2年債利回りは前日比 246bp上昇の64.73%。10年債利回りは 49bp上げ23.11%となった。( → ブルームバーク 2011-10-05 。単位の bp は年利で 0.01% を意味する。)
 (6) もはやギリシャには危機回避能力がないことが判明した。そこで欧州各国が対処策を探った。「ギリシャ国債の元本を 50%削減するかわりに、欧州がギリシャの財政権を握る」という案が出て、その線で進んだ。(読売・朝刊 2011-10-19 )
 (7) 案が煮詰まってきた。これまでの借金については、ギリシャ国債を保有する銀行に半分ぐらいの債権放棄を求める。一方、今後の借金については、EFSF(欧州金融安定基金)が保証をすることで、新規の借金ができるようにする。( → 読売新聞 2011-10-24
 (8) しかし、債権放棄を求められた銀行は、あっさり「イエス」とは言いがたい。また、もし「イエス」と言えば、銀行が破綻しかねない。実際、すでに破綻した銀行も出た。(フランス・ベルギーのデクシアという銀行。)特に、ギリシャ国内の銀行が危ない。( → 日経

 要するに、破綻は決まっている。形の上では「自主的な債権放棄を求める」というふうになっているが、半分ぐらいの債権放棄になるのだから、破綻と同じ扱いだ。しかも、この破綻は、どこかの銀行が破綻するのではなく、ギリシャという国家が破綻するのだ。(国債を返済できなくなる。)
 これを「デフォルト」と見なすかどうかについては、見解が分かれているようだが、建前ないし形式がどうであれ、実質的にはデフォルトとなっている。(借りた金を返さないのだから、当り前だ。)
 さらには、他国の援助を受けるのと引き替えに、国の自主的な財政権を失う。もはや植民地みたいな半国家となる。

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 さて。以上のような現実に対して、私なりに見解を言うなら、こうだ。
 「穴のあいたバケツに水を注いでも、解決策にはならない」


 ギリシャという国の財政には、穴があいている。大量の赤字を垂れ流している。
 ここで、今回の方針は、「既存の赤字については、借金の半分について、返済免除(つまり踏み倒し)」という方針だ。それは、「穴があいている」(赤字の垂れ流し)という状況を放置したまま、大量の金を注ぐことを意味する。なるほど、そうすれば、当面の返済の問題を回避できるだろう。
 しかし、これまでの分は良くても、これからの分は良くない。欧州は、EFSF(欧州金融安定基金)によって将来の国債を買ってもらうつもりのようだ。しかし、ギリシャの赤字垂れ流しの体質は変わっていないのだから、ふたたび莫大な赤字が出て、EFSF の金を食いつぶす。ふたたび EFSF に大金を注いでも、その大金もいつか食いつぶす。要するに、1〜2年後に、三度目の「金がない!」という騒ぎが起こるだけだ。そして、そのときには、ドイツなどの国も「やだよ。仏の顔も二度までだ」と見放すだろう。というわけで、そのときになって、またしてもギリシャ危機が起こる。
 結局、「穴があいている」(赤字の垂れ流し)という状況を放置したまま、いくら EFSF の金を積み増しても、何にもならないのだ。せいぜい「破綻を当面1年だけ繰り延べる」というぐらいの効果しかない。その1年が過ぎれば、またもや危機が押し寄せる。
 
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 もちろん、欧州の経済学者も、そのことはわかっている。だから、「穴があいている」(赤字の垂れ流し)という状況を止めようとしている。
 では、その策は? こうだ。
 「ギリシャの財政を引き締める。増税財政支出削減を、大幅に実行する」

 しかしながら、その方針を貫こうとするせいで、ギリシアでゼネストが起こりかけている。公務員の給料はすでに大幅に引き下げられていて、生活がギリギリだ。国民だっていきなり大幅増税にさらされている。食うや食わずや、という状況だ。特に失業者は、払いたくても、払う金がない。……こういう状況で「増税」だの「財政支出削減」だのをやれば、メチャクチャな不況の嵐になる。そうなれば、財政は改善するどころか、かえって悪化する。
 つまり、欧州の経済学者の狙っている「財政赤字の削減」(増税と支出削減)という方針は、現実には不況を悪化させて、かえって財政赤字を拡大してしまうのだ。だから、
 「今回限りは借金の棒引きを認めるが、将来的にはきっちり返済してもらう」
 という方針は、成立しないのだ。

( ※ だいたい、不況のさなかで増税が可能ならば、日本だってとっくにやっている。現実には、そんなことをすれば大不況になるから、とうてい実現できないが。……しかし、できないことをやって、ギリシャという国家経済そのものを破綻させようとしているのが、欧州の経済学者だ。財政の破綻を回避させようとして、肝心の国家経済そのものを破綻させてしまう。卵を産むニワトリを殺すようなものだ。) 

 ──

 では、どうするべきか? ギリシャの破綻回避の策として、正解は何か? ── それについては、別の話題になるので、次項で示そう。
 本項では、とりあえず、「欧州が取ろうとする方針は誤りだ」と示した。そして、その理由は、「バケツに穴があいているからだ」と指摘した。
( ※ 欧州がやろうとしている「穴をふさぐ」という方法は、実際にはかえって穴を大きくするだけだ、とも示した。)

posted by 管理人 at 20:52 | Comment(0) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
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