◆ TPP の誤解と正解 1:  nando ブログ

2011年11月02日

◆ TPP の誤解と正解 1

 TPPについての議論が世間で話題になっている。ただしその議論は非常に誤解が多い。そこでどこが問題で、正解は何であるかを、初心者向けにわかりやすく示す。

 ──

 《 前口上 》

 まず、初めに簡単に結論を述べておくと、自由貿易(TPPなど)についてどの議論が正しいかと言うことは、いちいち私が書くまでもない。その正解はとっくに知られている。その正解は、経済学の教科書を読めば、すぐにわかる。騒いでいるのは、経済学の教科書を読んでいない人だけだ。つまり、経済学音痴だけだ。
 比喩的に言えば、数学音痴が、「微積分では何が正しいか?」と勝手に議論しているようなものだ。教科書を読めば正解はすぐにわかるのに、教科書を知らない人が騒いでいるだけだ。
 当然ながら、自由貿易の是非について、学界内の論議など話されていない。教科書に書いてあることで議論など話されるはずがない。当然ながら、経済学者の 99% は、自由貿易に賛成している。

 では、残りの1%は何かというと、いわゆるトンデモ学者だ。大学を卒業したときには、経済学の本を覚えていたはずなのに、大学を卒業したとたんに、せっかく学んだ経済学を忘れてしまったのだろう。あるいは、最初から大学で経済学を学んでいなかったのかもしれない。
 その一例が、中野剛志 だ。東京大学で外交について学んだあとは、資源エネルギー庁で原子力政策に携わったと思ったら、エディンバラ大学で経済学について研究し、そのあとは京大工学部に入って都市社会工学の教員として働いている。……つまり、エディンバラ大学で研究したこと以外には、経済学についての素養がまったく欠如している。ただの経済学音痴だ。こういう人間が、経済学のイロハも知らないまま、社会に対して煽動的な嘘八百をばらまいている。
 で、社会の大部分は、経済学なんか知らないから、経済学音痴のがなり立てる感情的な嘘八百にあっさり引っかかってしまうわけだ。

 私としては、経済学の教科書に書いてあることなど、元々は解説するつもりはなかった。しかし、世間にデマが出回るに至って、見逃せなくなってきたので、ペテン師のペテンを明かす意図で、初歩的なことを書くことにしよう。

 ──

 《 TPP反対論 》

 中野剛志のTPP反対論を紹介しておこう。次の趣旨だ。
 (A) TPP圏内でGDPが大きいのは日本と米国だけで、他は弱小の諸国ばかりだ。ほとんど無視できる。つまり、TPPは実質的には日米二国間の関係だ。そして、日米間で見ると、米国の大幅な輸入超過(日本の大幅な輸出超過)だ。米国はこれ以上日本の輸入を増やすはずがない。関税がどうのこうのという前に、通貨レートをドル安にして、日本からの輸入を阻止する。だから、日本が米国に輸出を増やすことはできない。輸出を増やすことができないまま、日本ばかりが輸入を増やすことになる。これでは、日本ばかりが一方的に損をする。TPPで日本が利益を得るということなどありえない」
 (B) TPP賛成論者は、「関税が下がるので輸入物価が下がって好ましい」と言う。しかし、輸入物価が下がれば、かえってデフレがひどくなる。デフレがひどくなるのだから、状況は今よりも悪化する。失業者が続出する。状況は悪くなるばかりだ。
 ( → 出典1出典2

    ̄ ̄ ̄
 さて。上の話を読んで、どう思っただろうか? 
 素人ならば、「なるほど、ごもっとも」と思うかもしれない。
 しかし経済学をちゃんと学んだ人であれば、(大学教授ではなくて普通の学部卒レベルの人でさえ)「読んで頭が痛くなる」と思うだろう。「微積分とは何か」を知らない人が「微積分は役に立たない」と述べているのと同様だ。聞く方の頭が痛くなる。「このバカはどうしようもないな」と思うばかりだ。
 だから、まともな頭のある経済学者は、こういうバカの話を聞いても、無視するだけだ。「バカには何を言っても通用しない。バカに教えるだけ時間の無駄」と思うだけだ。私だって、そう思うから、「経済学の教科書を読め」とだけ言うことにしていた。
 ただ、世の中には物好きな人もいるもので、池田信夫はせっせとバカの批判をしている。よほどバカを批判するのが好きらしい。(バカいじめが好きだ、とも言えるが。)
  → 池田信夫 blog : TPP亡国論
  → TPPについてのウソとホント
  → TPP参加による消費者の利益は生産者の損失より大きい
  → アゴラ: TPP反対派の本音
  → その他一覧

 こういうふうに、せっせと同じテーマで、あれこれと書いている。しかしそれでも、バカの是正はできないようだ。

 そこで、以下では私なりに、この問題をまとめてみよう。バカいじめをするのは私の趣味ではないので、普通の初心者を相手に、心優しく解説しよう。

 ※ 以下では、Q&A 形式で説明する。

 ──
 
 Q 1 貿易収支は、「日米」間の貿易黒字または貿易赤字が大切ですか?

 A 1 貿易収支というものは、全世界を相手にした数字だけが意味を持ちます。特定の二国間は意味がありません。
 中野剛志は、日米間とか、アジアの某国とか、そういうふうに二国間の関係に分けて考えていますが、まったく意味がないことです。そういうふうに物事を個別の二国間に分断して考えることは、まったく意味がないことです。
 たとえば、日本は中東から莫大な石油を輸入して、莫大な貿易赤字を抱えています。これは不公平です。では、公平にするべきでしょうか? もし公平にするなら、日本から輸出した分しか、石油を輸入できなくなります。それでは日本経済が崩壊してしまいます。
 たとえば、特定の二国間に着目して、「日本はサウジアラビアとの間で貿易赤字だからけしからん」なんて言えば、日本は崩壊してしまいます。そんなことを考えるのは、ナンセンスです。
 日本は中東から資源を輸入し、製品を世界中に輸出します。そのことで、輸入と輸出のバランスが取れています。……このことは、私は小学校で学びました。今の東大卒の誰かさんは、小学校で学んだことも理解できないのでしょうか?
 日本は、韓国や中国に対しても、大幅な輸出超過です。そして、韓国や中国は、日本から輸入した部品を使って、米国に大幅な輸出超過となっています。ここでは、次の図式が成立します。
    日本 → 中国・韓国 → 米国

 こういう形で、日本は米国に対して、間接的に大幅な輸出超過となっています。
 では、米国は、日本からの輸入を停止するべきか? いや、そんなことはありません。米国は米国で、高額の戦闘機をアラブ諸国に売りつけており、米国の大幅な輸出超過となっています。(日本・米国・アラブ の三角関係。)
 つまり、世界は、このように「巡り巡る」関係になっているのです。この中で、特定の二国間だけに着目して、「この二国間関係は黒字だ、赤字だ」などと騒ぐ人は、現実の世界貿易というものをまったく理解していません。経済学を学び直すべきです。いや、言い間違えました。小学校の社会科を学び直すべきです。
 
 Q 2 日米間はともかく、日本の輸出が増えないのは問題だ。

 A 2 それは初心者の誤解です。この問題は、歴史的には、18世紀に示された問題であり、その解決も 18世紀になされています。今さらこんな問題を出すのは、2世紀以上遅れています。(大学の経済学の教科書では、「経済学の歴史」の項目で説明されている問題です。)
 簡単に言えば、「輸出を増やすべきだ」というのは、「重商主義」の発想です。それが間違いであることは、アダム・スミスが 18世紀に示しました。Wikipedia から引用しましょう。
 重商主義は、18世紀には既にアダム・スミスによって間違いが指摘された考え方であり、『国富論』で繰り返し批判されている。そのため、過去の遺物のように考えられがちだが、今日でも貿易問題が論ぜられる際には重商主義的な誤解がしばしばなされる。
 ある国にとって「貿易の黒字は利益で赤字は損失だ」といった見方は重商主義的な誤解の典型である。貿易の黒字・赤字は、他国に売った額と他国から買った額とを比べて、 売った額>買った額  なら黒字、  売った額<買った額  なら赤字と呼んでいるに過ぎず、利益や損失という概念には本質的に符合しない。
( → Wikipedia
 わかりやすく説明しましょう。
 企業が「黒字だ・赤字だ」というときには、利益の有無を示します。黒字のときには利益が出ているし、赤字のときには損失が出ています。これはその企業で単独で発生したものであり、他の誰かの損得とは関係ありません。
 一方、貿易赤字が「黒字だ・赤字だ」というときには、利益の有無は関係ありません。単に「輸出超過・輸入超過」という現象が起こるだけであり、損得はありません。
 どうしてかというと、「貿易」というのは、「等価交換」だからです。たとえば、1億ドルの金を渡して、1億ドル分の商品を得る。この場合、金と商品を交換しただけであり、損得は生じていません。ただし、貿易収支では、売った方に「黒字」が計上され、買った方に「赤字」が計上されます。それだけのことです。特に損得はありません。したがって、「黒字が出たから良いことだ」とは言えません。(原則として損得はありません。)
 ここを誤解しているのが、重商主義です。「貿易黒字は、黒字だから、素晴らしいことだ」と思い込んでいる。しかし、いくら黒字を貯め込んでも、そこでは利益はちっとも増えていません。なぜか? 確かに財布を見れば、「1億ドル」の金が貯まっているので、「金儲けをした」と感じられます。しかしその代償として、1億ドル分の商品を渡しているからです。
 つまり、金を得れば得るほど、それと同額の物品が出ていきます。これはちっとも利益になっていません。その意味で、「輸出は素晴らしいことだ」ということは、成立しません。

 Q 3 だとしても、輸出できないよりは、輸出できる方がいいだろう?

 A 3 輸出をするのはいいですが、輸出はそれ自体は目的ではありません。輸出は、輸入するためにあるのです。
 この件については、クルーグマンが述べているので、孫引きの形で引用します。
ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンは、「輸出ではなく輸入が貿易の目的であることを教えるべきである。国が貿易によって得るのは、求めるものを輸入する能力である。輸出はそれ自体が目的ではない。輸出の必要は国にとって負担である」と述べている(ポール・クルーグマン『良い経済学 悪い経済学』山岡洋一訳)。
( → 日経ビジネス
 輸出はそれ自体では目的ではなく、輸入するための手段なのです。
 わかりやすく言うと、「金は使うためにある」ということです。いくら金を稼いでも、ただ金を貯め込んでいるだけでは、金は何の意味もありません。貯めている限りは、ただの預金通帳の数字です。それはバーチャルなものであり、リアルなものではありません。金は、使ったときに初めて、その価値を発揮します。この意味で、「金は使うためにある。貯めるためにあるのではない」と言えます。
 輸出も同様です。輸出で1億ドルの金を稼いでも、それを使わないでいる限り、その金はただの数字以上の意味を持ちません。しかし、その金で何かを買ったとき、その金は意味を持ちます。そして、何かを買うということは、ここでは「輸入すること」です。輸出で稼いだ金で、何かを輸入したときに、ようやく輸出したことの意味が現れます。
 「輸出が大事だ、輸入しないで輸出することこそ大事だ」
 などと主張している人は、貿易とは何かを、根本的に理解していないのです。というか、勝手に歪めて誤解しているのです。

 Q 4 そんなこと言って、もし日本が輸入超過になったら、どうしてくれる?

 A 4 仮に日本が輸入超過になったら? それは、恐れるべきことではなく、かえってありがたいことです。なぜか? 本来ならば、「輸出した金で、輸入する」というふうになります。なのに、「輸出しないで、輸入する」というふうになれば、それは、「働かないで、物を得る」ということになるからです。
 普通は、せっせと働いて、せっせと金を稼いで、かわりに、物を得ます。それを日本全体でやれば、日本人はせっせと働いて輸出して、かわりに、石油や牛肉を得ます。なのに、輸出しないで輸入するとしたら、何も働かないで、石油や牛肉を得ることになります。そんなにうまい話があるのならば、それこそ大歓迎でしょう。
 「働かないで、物品だけ得る」
 というのは、
 「輸出しないで、輸入する」
 というのと、ほぼ等価です。そんなことができるのなら、そうしたいくらいですね。ありがたい話です。

 Q 5 じゃ、そうすれば? 輸入超過にすれば?

 A 5 上の話は、あくまで仮定の話です。現実には、輸入超過はありえません。というのは、為替レートが変動するので、輸出入は常にバランスするようになっているのです。
 その意味で、「輸出ができなくなる」とか、「輸入が極端に増える」とか、そういう心配は、杞憂です。
 現実に起こるのは、次のようなことです。
  ・ 輸出が減れば、輸入も減る  
  ・ 輸入が増えれば、輸出も増える

 このように、どちらかが増減すれば、それに応じて、他方も増減します。(たとえば、円安になるという通貨レートの変更があるせいで。)
 だから、輸出超過ができないように、輸入超過もできません。両者は均衡します。つまりは、「稼いだ分だけ 支出する」ということです。これが原則です。

 Q 6 原則から ハズレることはないの?

 A 6 実は、原則からハズレることはあります。それは、「借金した場合」です。
 借金をすれば、「稼いだ分だけ 支出する」という原則を超えて、「稼いだ分以上に 支出する」ということが可能になります。
 国の場合は、それは、「資本収支」における「黒字」の形で示されます。
 たとえば、米国は、国債を乱発して、多額の金を国外から借りています。ここでは資本収支の黒字が生じています。(なんで黒字化というと、金が入っているから黒字にする、という安直な理由です。その際、借用証としての国債を渡しているので、現実的には損得はありません。ただの帳簿の付け方です。)
 米国が資本収支で黒字になっていることで、米国は貿易収支(正確には経常収支)における赤字を穴埋めします。
 ともあれ、このように、「資本収支の黒字」があれば、外国から「借金」をしたことになるので、「働かないで物品を得る」ということが可能になります。
 逆に、中国は、米国に金を貸し付けていることになります。この場合は、「いっぱい働いても、働いた分に見合う物品を得ていない」ことになります。かわりに、米国の国債をたっぷり持っているわけです。
( ※ どちらにしても、特に損得はありません。物を得るか金を得るか、という違いだけです。)

 Q 7 日本も中国のように黒字をたっぷりと貯め込めばいいのでは?

 A 7 それは物品を得ないということですから、その国の生活水準が低下するということです。たとえば、黒字を増やすために、牛肉や石油の輸入量を減らせば、われわれ日本人の生活レベルはたちまち低下します。中国人ほどひどくはならないが、いくらかは中国人に近い生活レベルになります。
 それはまあ、「倹約生活」と同じです。貯金通帳に金が貯まれば、その分、生活レベルは下がります。「黒字が貯まったから素晴らしい」ということにはならないのです。
 「国家の黒字が貯まるのは素晴らしい」なんて主張している人は、日本人全体の生活レベルを下げようとしているのも同然です。「欲しがりません、勝つまでは」とキャンペーンして、日本人の生活レベルを下げようとするのと、同様です。
 はっきり言って、(戦時中でもないのに)今どきそんなことを言うのは、ただのアホです。

 Q 8 でも中国は、いっぱい貯金することで、あとで得をするだろう。

 A 8 逆です。中国はあとで損します。
 中国が貿易黒字を出しているということは、たくさんの貯金を米国に持っているということです。そして、将来、貿易黒字の分だけ、中国通貨は通貨切り上げが起こります。そのとき、中国の持っている大量のドルは、大幅に価値を下げてしまいます。
 わかりやすく、円とドルで例を取ります。日本が 1ドル=120円 のときに、円安のせいで、貿易黒字をたくさん貯め込んだとします。貿易黒字のおかげで 1000億ドルを得たとしましょう。それを日本円に交換すれば、12兆円になります。一方、時間がたって 1ドル=80円 の円高・ドル安になります。ここで 1000億ドルを日本円に交換すれば、8兆円になります。差し引きして、4兆円の損です。
 つまり、円安のときには、ドルで貯金することは損です。さっさと円に交換しておくべきです。その円で、外国製品をまんべんなく買えば、ちゃんと 12兆円分の価値があります。なのに、いつまでも貯金していると、あとになって、4兆円の為替差損をこうむります。大損です。
 これと同様のことが、中国にも起こります。中国のように貿易黒字を出している国が、(ろくに輸入もしないで)米国にせっせと貯金をすることは、将来的に巨額の為替差損をもたらすので、中国にとっては大損なのです。
 要するに、黒字を貯めれば貯めるほど、かえって大損をします。
( ※ それで得をするのは、貿易赤字の米国です。12兆円の借金をして、8兆円の返済をするだけで済みます。差額の4兆円は為替差益です。)
( ※ というわけで、巨額の貿易黒字は、得ではなくて、かえって損です。)

 Q 9 ろくに輸出しないで、輸入ばかりしていると、ギリシャのように破綻するのでは?

 A 9 ギリシャが破綻したのは、貿易赤字のせいではありません。全く別の理由です。
 ギリシャが破綻したのは、借りた国債が返済できなくなったからです。その理由は、貿易赤字ではなく、巨額の財政赤字です。
 ただし、巨額の財政赤字ならば、日本も同様です。というか、日本の方がずっとひどい。では、どうして日本は破綻しないのか? 
 ギリシャと同じようでも、日本は借りた国債を償還できます。そこが決定的に違います。
 ではどうして日本は、借りた国債を償還できるのか? ギリシャ以上に巨額の財政赤字があるのに、どうして日本は借りた国債を償還できるのか? それは、借りた国債を償還する以上に、より多くの国債を借りるからです。比喩的に言うならば、借金の返済に 100万円を払う必要が出るが、そのとき、200万円を新規に借り入れることができるので、日本は破綻しません。(自転車操業ですけど。)
 ではどうして日本はそういうインチキみたいなことができるのか? ここで、本質的な差が現れます。
  ・ 日本は、財政は悪いが、経済はしっかりしている。
  ・ ギリシャは、財政も悪いが、経済は輪をかけて悪い。

 日本は、経済そのものはしっかりしています。自動車産業もカメラ産業も、世界のトップクラスです。他の産業も十分に強力です。だから、将来的に課税を強化して、財政を健全化して、国債を償還することが可能です。
 ギリシャは、経済そのものが破滅的です。産業と言えるものは観光ぐらいしかなく、その観光は欧州の不況期に(観光客が激減したせいで)大幅に縮小しました。国民の4割は公務員で、まともに生産する経済能力がありません。つまり、将来の国債の償還能力がありません。
 以上のように、「将来の経済体質」しだいで、「償還能力の有無」が判定されます。そのせいで、日本は破綻しないのにギリシャは破綻する、という違いが生じます。
 結局、本質は、「将来の経済体質」です。それは、「貿易収支の黒字・赤字」とは関係ありません。貿易収支が黒字であろうが赤字であろうが、そんなこととは関係なく、破綻の有無が決まります。
 「貿易赤字が貯まると破綻する」というのは、ただの妄想です。もしそれが真実であれば、米国はとっくに破綻しているはずです。しかし現実には、米国のドルは世界で最強の信任を得ています。貿易赤字なんてものは、一国の破綻とは関係ありません。破綻の有無を決めるのは、一国の経済体質という、本質的なものです。

 Q 10 黒字を貯めるためでなければ、貿易は何のためにやるの?

 A 10 それは、「自由貿易」についての「正解」を求めるということです。正解は何かということは、話が長くなるので、次項で説明します。
( ※ ここで簡単に言えば、それは「比較優位」の概念で説明されます。)

 Q 11 最後に。貿易についてのポイントを教えて。

 A 11 変動相場制ゆえに、輸出入は原則として均衡する、ということです。これがポイントです。
 すぐ前では、「均衡しない場合」を考えて、それは「貿易収支の黒字・赤字が出た場合だ」と述べました。しかしそれは、原則をはみ出る、特別な場合です。
 原則としては、輸出入は均衡します。輸出が増えれば、輸入も増える。輸入が増えれば、輸出も増える。両者は常に均衡します。どちらか片方だけが増えたり減ったりするということはありえません。( A 5 で述べたとおり。)
 だから、「輸出が減るから大変だあ」とか、「輸入が増えるから大変だあ」とか、そんな心配をする必要はないのです。
 具体的に言えば、農業で産業が縮小すれば、その分、輸出業で産業が拡大します。農業で失業者が出れば、輸出業で雇用者が出ます。……これが原則です。
 ただし、現実には、ミスマッチやタイムラグなどの問題が生じて、農民には被害が出るでしょう。その分は、別途、政策的に面倒を見ればいいだけです。たとえば「所得補償」などで。……これは、自由貿易の是非とは別のことです。

 ──

 《 注記 》

 本項では、特に「自由貿易」の是非に絞って述べました。
 それ以外の細かな事柄は、主たる話題ではないので、本項では取り上げません。特に、非関税障壁には、言及しません。



 [ 付記 ]
 書き落とした話があります。
   「輸入物価の下落でデフレになる」
 という説の是非です。しかし、こんなことを言う人は、経済学のイロハもわかっていないようです。あまりにも馬鹿げているので、特に論じませんでした。
 ここで簡単に述べておくと……

 デフレとは、「価格下落」(物価下落)のことではありません。
 デフレとは、需要不足で物が売れなくなっているせいで、価格が下落している現象です。この場合、「原価割れ」という現象が発生して、企業は赤字になり、労働者は解雇されます。
 一方、コストが下がるせいで価格が下がる現象は、通常は「技術革新」というふうに説明されます。たとえば、パソコンの価格が年ごとに下落していったり、携帯電話の価格が年ごとに下落していったりすることです。これは、価格下落はありますが、デフレではありません。実際、企業は赤字になるどころか黒字だし、労働者は失業されるどころかどんどん雇用されています。
 輸入物価の下落も同様です。それによって消費者は輸入品を安く買えますが、だからといって、外国企業が赤字になるわけでもないし、外国の労働者が解雇されるわけでもありません。
 むしろ、逆のことを考えるといいでしょう。輸入品の価格上昇により、ガソリンやコーヒーや小麦粉などが、どんどん価格アップしています。それはデフレに反するので、すばらしいことでしょうか? まさか。ガソリンやコーヒーの値上げを喜ぶ人はいないはずです。

 「輸入品の価格が下がるのはデフレだから、けしからん」なんて主張する人は、デフレとは何かも理解していないわけで、まずは経済学の教科書を読むといいでしょう。誰かさんは大学の経済学部にも入ったことがないようですから、とりあえずは大学の経済学部で基礎を学ぶことを推奨します。そうすれば、無知をさらさないで済みますよ。
 彼がこれ以上 恥をかかないで済むように、心からの忠告をします。今のままでは、出世街道からはハズレるだろうし、学界からはトンデモ扱いされるだろうし、できるのはせいぜいテレビの客寄せモンキーになることぐらいです。「キーッ、キーッ」と怒りの声を上げると、テレビ界の人は面白がって使ってくれるでしょうが、まともな人々からは軽蔑されるだけです。「大学一年生になって学び直せ」と。




 【 関連項目 】
 以前に述べた TPP関連の項目。

  → TPP(関税撤廃)
  → 円高と関税(FTA)
  → 農業と関税
 
 ※ 農業従事者への対策については、以上の各項をご覧ください。
 ※ 本項は、次項に続きます。「 TPP とは何か」の正解は、そちらにあります。
 


 【 追記 】
 本項を書いたあとで、次の項目を書き足したので、そちらも参照。
 
 * TPPの目的については 
   → TPP の誤解と正解 2 (次項)
   → TPPの目的

 * 非関税障壁(ISD条項など)については 
   → ISD条項のデマ
   → TPP で公的医療保険が崩壊?

 * 食糧自給については 
   → 食糧自給率をめぐる誤解
   → 小野善康のTPP論
 
posted by 管理人 at 22:16 | Comment(62) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
反対派が問題にしているのはそのようなことではありません。
ISD条項という「主権侵害条項」
「後戻り禁止」というラチェット規定
公的医療保険の運用での自由化=国民皆保険制度の崩壊
これらの点に関してはどうなのでしょうか。
Posted by 反対派 at 2011年11月03日 09:53
 それは経済学の問題ではないので、本項では論じません。本文中に書いてあるとおり。

 非関税障壁については、前にこう述べました。
 「その件は、非関税障壁としては、細かな話題なので、私は論じません。細かな実例は述べず、おおまかな方針だけ示す、というのが私の立場です。そんな細かな話は関係業界で調整するべきことであり、全般的な原則論には関係しません。」
 http://nando.seesaa.net/article/231780411.html

 あなたの意見は尊重しますが、ならば、次のように主張してください。
 「これこれのような非関税障壁に関する問題が解決すれば、関税撤廃・自由貿易というTPPの趣旨には賛成する」
 これならば、私と立場を共有できます。

 ※ 私は無条件の TPP 推進派ではありません。ただの「自由貿易の支持」です。現実政治をどうするかではなく、経済理論を扱う立場。政治運動をしたい人は、本サイト以外で騒いでください。本サイトはあくまで経済理論だけです。

Posted by 管理人 at 2011年11月03日 10:07
以前TPPについて質問しましたが、いよいよこの問題について論じられるとのこと、マッテマシタ♪
一応大学で経済学を専攻しましたが卒業と同時に全て忘れており、このブログは大変貴重な場所となっております。自分もそうですが、どうも短期的な損得(ミクロ経済)に目を奪われ長期的な結果(マクロ経済)を忘れているようにも思えます。
Posted by passerby at 2011年11月03日 12:44
自由貿易を推進していくという考え方そのものは反対ではありません.ただ,現実にはさまざまな問題もあると思うので,急進的に自由貿易を進めていくのはどうなのかなと.余りに急激な変化はそれに対応できない人たちを苦しめてしまうということもあると思います.
それは置いておいて,やはりTPPは問題が大きいと思います.
1.TPP交渉に参加しても事実上日本がルールを主張することは難しい
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011110290070328.html

2.ISD条項は国家の主権を侵害する恐れがある

nandoさんの主張は,理屈としては理解出来ますが,
現実には様々な問題があるわけで「それは経済学の範疇ではないからよそでやれ」は無責任でしょう.
中野さんの主張のマクロ経済的な部分に誤りがあるにしても,主張のおおきなポイントは非関税障壁に関するものですから,ここをスルーして中野批判というのは意味がわかりません.
Posted by youkazu7777 at 2011年11月03日 14:00
中野氏が引き合いに出されていますが、反論しているのは誰か別の人の意見に対してなのでしょうか?
「中野剛志のTPP反対論を紹介しておこう」で紹介している内容は、恣意的すぎると思います。
中野氏の主張は”今の時点で”、”TPPはダメだ”の2点かと思います。時が変わって、TPPで無ければ論も変わってくるでしょう。
輸出を増加せよなども彼は言っていないと思うのですが...たしか、震災復興で財政出動して内需を増やせといっています。
それに対して、反証のやり方が大きくずれているように思います。
例えばQ1でつつこうとしているのはこれでは無いのでしょうか?
「”TPPに参加すれば車や家電の輸出が伸びるという論があるが”、参加国の顔ぶれをみると実質日米交渉だ。しかも諸所の状況からTPPに参加したからといって”米国への輸出を伸ばせる状況にはない”、だから”TPPに参加しても”それら品目の輸出増加の効果は小さく、その論はおかしい」
これに対して、「Q 1 貿易収支は、「日米」間の貿易黒字または貿易赤字が大切ですか?」というのは遠すぎる箇所から攻めているように思います...
※Q1が突っ込んでるのはそこじゃない!?って事でしたらすみません。
Posted by   at 2011年11月03日 14:21
紛いなりにも経済学について学び肩書きのある人間に対して「自称経済学者」が"猿"とか"ペテン師"と言うのはいかがなものでしょうか。

日頃は「私はトンデモだ(他称)。彗眼を持った人にしかわからない」というスタンスを演じているのに、いきなり「私は専門家だ(自称)。私の話を信用しろ」と押し売りをしているように見えます。

この記事が経済学者向けで経済学者の常識ならば誰でも知っている事なので書く意味も読む価値も無いでしょう。
そうでなければ、「まともな経済学者なら当たり前」と誤魔化さずにわかるように説明するべきです。
Posted by maru at 2011年11月03日 16:55
あなたはHP開設時には小泉を絶賛していた。しかるにその後の日本はどうであったか。政治や人間を除き、純粋に経済理論のみを論じていたらどうなるかをよくご存知のはずである。当時の小泉を論じるのであれば新自由主義や清和会との関係も考慮する必要があったのだ。TPPについて論じるのであれば、アメリカがこれまでどのように行動したのか、NAFTAや韓米FTAではどうだったのか、カナダやメキシコのその後についても考慮しなければいけない。
以後は片手落ち書生論として傾聴させていただく。
Posted by 反対派 at 2011年11月03日 17:03
>> 反対派

> あなたはHP開設時には小泉を絶賛していた。

大いなる誤解なので、ちゃんと読み直すといいですよ。

「全般的な姿勢はいいが、経済だけは駄目だ」

 というのが、小泉内閣発足時からの私の態度です。当時、小泉の構造改革路線を徹底的に批判していたのは、たぶん、私だけのはずです。
 当時の記事を読み直してください。

Posted by 管理人 at 2011年11月03日 18:09
>> maru
> この記事が経済学者向けで経済学者の常識ならば

(経済学者の常識であり)初心者向けだ、とちゃんと書いてあるでしょ。日本語が読めませんか? 
Posted by 管理人 at 2011年11月03日 18:10
> 輸出を増加せよなども彼は言っていないと思うのです

TPP では対米輸出が増えないので駄目だ、と言っています。私の要約を読み直してください。
Posted by 管理人 at 2011年11月03日 18:11
> 主張のおおきなポイントは非関税障壁に関するものですから

 非関税障壁の指摘は、彼の功績として認めてもいいですよ。そのことは別項(空洞化)で示したとおり。しかしそれは副次的な問題にすぎない。
 問題は彼の基本的態度。こっちを扱っている。

 彼が「非関税障壁の問題さえ解決すれば自由貿易でいい」というならともかくね。自由貿易反対という基本姿勢を問題にしている。
 別に、彼と喧嘩したいわけじゃない。(基本的知識における)誤りを指摘したいだけだ。
 経済学の論争じゃありません。初歩の初歩を教えてあげているだけ。中学生に需給曲線を教えてあげるようなもの。
Posted by 管理人 at 2011年11月03日 18:14
「輸入品の価格が下がるのはデフレだから、けしからん」なんて主張する人は、デフレとは何かも理解していないわけで」・・・・・
私素人ですが、安い輸入品売上拡大⇒国内品の需要減少⇒国内品の価格下落⇒企業は赤字になり、労働者は解雇⇒これってまさに日本国内でのデフレ現象ではないのですか?
Posted by mm at 2011年11月03日 20:59
毒入りスープに対して、スープの分子はおいしいと評論しているように感じました。実際は丸ごと飲み干すことを迫られているのに。
Posted by midori at 2011年11月03日 21:11
>midori
> 毒入りスープに対して、スープの分子はおいしいと評論しているように感じました。

 それを言うなら、「スープに超微量の毒があるからスープを飲まない」と言って餓死するようなものでしょう。あらゆる食品には毒が超微量 含有されているんですけどね。
Posted by 管理人 at 2011年11月03日 21:18
> mm
> これってまさに日本国内でのデフレ現象ではないのですか?

 それはデフレじゃなくて、ただの物価下落です。バブル破裂でデフレになるよりもずっと前から起こっていたことです。
 例。牛肉や輸入車の関税が撤廃されて、牛肉やベンツが大幅に安くなった。だからといって日本がデフレになったわけではなく、逆にバブル景気で、すごく景気がよかった。
 バブル時代を思い出してごらんなさい。円高のせいで、輸入品がどんどん安くなりました。しかしデフレではありませんでした。(資産インフレでした。)
 個別の輸入物価下落と、国全体の景気とは、別のことです。
 なお、牛肉などの産業は衰退しましたが、その一方、日本の自動車生産台数は劇的に伸びました。(もし日本が自由貿易に反対して保護貿易をしていたなら、日本の自動車産業は今ごろは衰退していたかも。)
Posted by 管理人 at 2011年11月03日 21:24
管理人様へ
中野氏は確かに
TPP では対米輸出が増えないので駄目だ、と言っていますよ
しかし、これはTPP推進派がTPP加盟で輸出が伸びるという主張に対しての反論です
 実際問題として関税が撤廃されてもこの円ドル
レートでは輸出が劇的に増えるとは思えません
 中野氏の主張はTPPで農業崩壊とかISD条項に
しても極端だとは思いますが、自由貿易自体に
反対していません、ただ自国がデフレの時は
自由貿易を推進するな、他国がデフレの時は
なおさらするな、なぜなら自由貿易で供給が
増えてデフレが加速するという主張です
Posted by mugu at 2011年11月04日 00:13
 中野さんはやっぱり無知ですね。本項を読めば、誤解を正せるんじゃないの?

> 輸出が劇的に増えるとは思えません

輸出が増える量と輸入が増える量は同じです。輸出が増えなければ、輸入も増えません。だったら何も心配しないでいい。
 
> 自由貿易で供給が増えてデフレが加速する

 どうしようもないアホですね。理屈がつながらない。
 自由貿易のおかげで価格が下落するという意味なら、それはまさしく歓迎するべきことです。(パソコンでもガソリンでも何でも、輸入品の値下げは歓迎です。)
 自由貿易のおかげで赤字が増えるという意味なら、デフレという概念を根本的に理解していないことになります。

 本文を読めばわかるはずだが。
 ま、いずれにせよ、本文で説明済み。読み直してください。
Posted by 管理人 at 2011年11月04日 00:40
http://d.hatena.ne.jp/satohhide/

■牧歌的な比較優位を信じる牧歌的な人々Add Star

nandoブログ: TPP の誤解と正解 1及び2

をまとめて読む。

経済学者の99%は、自由貿易に賛成している。

では、残りの1%は何かというと、いわゆるトンデモ学者だ。

一体、どうやって統計取ったのか知らないけれど、こんなの嘘に決まっている。共産主義者が非共産主義者をバカ扱いするのを裏返ししたようなものだろう。つまり、自由貿易を否定する者は経済学者にあらず。どこぞやでよく聞く台詞だ。真理は一つだけ。とすると、この経済学というのは科学ではなく宗教教義だ。およそ世界の経済学というのは学問ではなく「経済成長」というイデオロギーだということだ。

A 2 貿易収支というものは、全世界を相手にした数字だけが意味を持ちます。特定の二国間は意味がありません。

二国間で意味がなくても、日本の農畜産業者とアメリカの農畜産業者との間では意味があり過ぎる。徹頭徹尾ガチンコで利害対立だ。意味がないわけない。

また日本国民一般にも関係して来る。現在埼玉県程度の耕作放棄地が関東地方全体くらいに広がればさすがにヤバイだろう。大体TPPでコメの関税がゼロになってもコメの値段がそんなに下がるとも思えない。むしろ、ますますワケワカメになって農水省が焼け太りする公算すらある。

輸出はそれ自体では目的ではなく、輸入するための手段なのです。

 わかりやすく言うと、「金は使うためにある」ということです。いくら金を稼いでも、ただ金を貯め込んでいるだけでは、金は何の意味もありません。貯めている限りは、ただの預金通帳の数字です。それはバーチャルなものであり、リアルなものではありません。金は、使ったときに初めて、その価値を発揮します。この意味で、「金は使うためにある。貯めるためにあるのではない」と言えます。

現実はそうなっていない。「金は使うためにある」というのは、まだ牧歌的な経済の時代の伝説であり、今では、「金は貯めるためにある」という行為が優勢だ。特に富裕層においては。なぜなら一定以上金を貯めて一生で使いきれない金は、もはや「使うためにある」から独立した動きをする。物理学にたとえれば、固体が熱せられると、液体、さらに気体へと変化するのに似ている。

基本的に世界は無目的だから条件次第で金の性質も変化することを知らねばならない。あんた、素朴過ぎるよ。いい年してまだ経済学の教科書ですか、フーン。

Q 5 じゃ、そうすれば? 輸入超過にすれば?

 A 5 上の話は、あくまで仮定の話です。現実には、輸入超過はありえません。というのは、為替レートが変動するので、輸出入は常にバランスするようになっているのです。

 その意味で、「輸出ができなくなる」とか、「輸入が極端に増える」とか、そういう心配は、杞憂です。

あれあれ、これまた教科書的な為替レート観。為替レートは圧倒的な投機マネーと政治の道具になっている。ドッタンバッタンしてヒドイ目に遭う人かなり出て、その犠牲者の懐から金を奪うのが現実の世界。なぜ金を奪うかって? そりゃ、金をためることが目的の人が世界的に増えているからですよ。

Q 7 日本も中国のように黒字をたっぷりと貯め込めばいいのでは?

 A 7 それは物品を得ないということですから、その国の生活水準が低下するということです。

アメリカはいざとなればアウタルキー経済を営めるが、日本はどう考えても無理でしょう。そのために金をため込むことが運命づけられている。中国様もあんなに人口抱えていればアメリカさんのようには参らんでしょうなあ。それにまだまだ軍事力を付けなければいかんし。

「はっきり言って、(戦時中でもないのに)今どきそんなことを言うのは、ただのアホです」と言うのはアホです。

・ 日本は、財政は悪いが、経済はしっかりしている。

・ ギリシャは、財政も悪いが、経済は輪をかけて悪い。

何か倒産直前の会社の社長さんのような台詞ですなあ。ああ怖い。

「輸入物価の下落でデフレになる」

 という説の是非です。しかし、こんなことを言う人は、経済学のイロハもわかっていないようです。

文句言うなら某経済ナショナリストより経団連に言って欲しい。このデマ飛ばしたのは経団連なのだから。

A,Bというふたりの人間がいて、それぞれ自給自足していたとする。それぞれ農業と漁業を半々でやっていたとする。ところがある日、「分業をしよう」と決めた。Aさんは農業が得意なので農業をやる。Bさんは漁業が得意なので漁業をやる。そうすると、Aさんは得意な農業でたくさんの収穫を得た。Bさんも得意な漁業でたくさんの収穫を得た。

A,Bというふたりの人間がいてAは肝臓が恐ろしく強く肺蔵は並み、Bは肺機能が恐ろしく強いが肝臓は並み。そこで肝臓と肺蔵の半分ずつをAとBの間で交換することにした。お互い得意な分野での等価交換が成立する。

でも、本気でやる人いるかなあ。平和時(健康)ならそれでいいかもしれないけれど、いつ有事(戦争だけじゃない未来の不確定性による想定外事態)(病気)になるか分からない。リスク大杉。

こうして、「貿易と交換」の必要性がわかった。これを理解すれば、「保護主義」というのがいかに馬鹿げているか、わかるだろう。それは「自給自足」を意味するのであり、「分業」の効率アップの利益を失わせるのである。

効率アップの利益というのは命が保障されてのものでいつでもどこでも成り立たない。世界の複雑性が全く理解されていない。大体、なんで非効率な戦争が歴史的に絶えず行われているというのか。基本的にできれば相手の利益を分捕りたい、というのが世界的な隠れたコンセンサスだからだよ。そして、敵を殲滅するのは楽しいし、美味しい、そのこと自体が報酬(利益)だということも。
Posted by satohhide/ at 2011年11月04日 14:25
 申し訳ありませんが、satohhide/ さんの言及には、お返事できません。あしからず。
Posted by 管理人 at 2011年11月04日 17:11
Typo??
> 時間がたって 1ドル=80円 の円安になります。

1ドル=80円 の《ドル》安
でしょうか?
Posted by m_yanagisawa at 2011年11月06日 06:53
> Typo??

 ご指摘ありがとうございました。修正しました。
Posted by 管理人 at 2011年11月06日 09:54
satohhide/さんの質問に答えられないのはどうしてですか?的を射られているからですか?経済学について詳しくないので是非説明をして頂きたい。
Posted by なかじ at 2011年11月08日 17:27
> 的を射られているからですか?

 的を射ていない質問(ピンぼけ)だからです。
 正面から答えることはできず、答えるには経済学の初歩からいちいち教える必要があります。その前に自分で経済学の本を読んでからにしてほしい。

 本サイトは基本として、初歩的な経済学知識を共有していることが前提です。何もわかっていない人に初歩から教えるつもりはありません。やるとしたら、何十時間もかけて、経済学を講義する必要がある。

 比喩。
 微分学のイロハも知らない人から微分学の質問を受けて、見当違いの点を教えるために、微分学をいちいち教える。

> 是非説明をして頂きたい。

 経済学の本を読みなさい。自分では何も勉強しないまま、「教えてくれ、教えてくれ」と頼むだけなのは乞食と同じ。
 
Posted by 管理人 at 2011年11月08日 18:04
そうですか…
あなたのような考え方の経済学者が多いからあなた方がトンデモ経済学者と言う人が世に憚るのかもしれませんね。
TPPの議論が進まない一因とも言えるかもしれません…
Posted by なかじ at 2011年11月08日 23:22
 中野氏のような人は、民放やNHKに出て電波をいっぱい飛ばしています。

 一方、私がこんな世間の隅っこで何か言っても関係ないですよ。
 どちらかと言うと、私のことをトンデモと呼ぶ人の方がずっと多いですからね。文句を言うなら、彼らに言う方が早い。
Posted by 管理人 at 2011年11月08日 23:34
管理人どの、お疲れ様です。

当方の理解力不足により、正直、全体の議論が把握できたとはとても言いかねるのですが、薄々感じていた中野氏の重商主義的議論の矛盾点について多少考えを深めることができ、有り難く思いました。

特にQA方式の部分が大いに参考になりました。
>何もわかっていない人に初歩から教えるつもりはありません。
とおっしゃられてはおりますが、QA部分についてはわかりやすくて有り難く、今後も続けて欲しいところです。
Posted by mojo at 2011年11月09日 20:05
中野氏は「輸入物価の下落でデフレになる。」なんて言ってないでしょ。
現状のデフレが、輸入物価の下落で
さらにひどくなる、と言ってるではないですか?
デフレじゃない国に輸入物価の下落が起きても
デフレにはなりませんよ。
「輸入物価の下落でデフレになる」なんてひどい曲解ですよ。

ちなみデフレが深刻な国で輸入物価が下落して
雇用は悪化しないのですか?
逆に失業率が改善されたりするのですか?
先生、是非教えてください。
Posted by 反TPP at 2011年11月14日 12:30
あと携帯電話の例を出されてますが、
資本主義では競争があれば価格が下がるので
それをデフレとごっちゃにするな、というのは
おっしゃる通りだと思います。

ただ
>それによって消費者は輸入品を安く買えますが、だからといって、外国企業が赤字になるわけでもないし、外国の労働者が解雇されるわけでもありません。

当たり前じゃないですか。
赤字になるのは自国の企業で
解雇されるのは自国の労働者ですよ。
外国に所得・雇用を奪われたのですから。
だから、デフレの現状で輸入物価の下落は
歓迎できないと中野氏は主張されているのでは
ないのですか?
別にTPPに加盟しなかったらといって
それで何かがよくなるわけではないですが
加盟して輸入物価が下落したら
失業者が増える可能性が高いのではないですか?
デフレの日本で、輸入物価の下落が
雇用悪化と関係ないという根拠を教えていただけると、ありがたいのですが。
Posted by 反TPP at 2011年11月14日 13:21
> デフレの日本で、輸入物価の下落が雇用悪化と関係ないという根拠を教えていただけると、ありがたいのですが。

説明済み。本項の Q11。
 ※ すでに本文中に書いてある。ちゃんと読んでください。

要するに、失業者は出るが、新規雇用も出るから、失業の増加についてはトントンだ。日本全体では失業は増えない。単に、「失業して、新規雇用される」というだけ。
ただし経過的には一部産業で問題も出るから、政策で助けてあげればいい。

国全体の雇用の問題は、マクロ政策の問題であって、貿易は関係ない。貿易は、日本全体の失業者の増減には関係せず、それぞれの産業間の増減(移転)にのみ関係する。

同趣旨の話は、下記にもある。
http://nando.seesaa.net/article/231780411.html

いちいち質問するより、本項を含め、サイト内の項目を、あちこち読んでください。

回答はすでに詳しく書いてあります。コメント欄で質問するようなことじゃない。「教えてくれ」と頼む前に、相手の話を読みましょう。
Posted by 管理人 at 2011年11月14日 19:40
 管理人さん。

>「失業して、新規雇用される」というだけ。

 確かマクロ経済学の教科書に摩擦的失業ってのが有りましたが・・・。

 これは瞬時に解消されるのでしょうか?
 その政策をご教示いただければ、日本経済も助かると思いますよ。
Posted by 椎名つばめ。 at 2011年11月14日 20:23
> これは瞬時に解消されるのでしょうか?

本項の A11 にちゃんと書いてあるでしょ? 日本語が読めないの? 
Posted by 管理人 at 2011年11月14日 20:33
 どうもすみませんネェ。
 日本語は読めるんですが、どこに書いてあるか判らないだけです。(笑)
Posted by 椎名つばめ。 at 2011年11月14日 20:47
> どこに書いてあるか判らないだけです。

 「どこ」じゃない。相手の話を「全部」読んでから、コメントを書くものですよ。ここは2ちゃんねるじゃない。個人ブログです。
 私の話を読まないで書くんだったら、2ちゃんねるに行ってください。
Posted by 管理人 at 2011年11月14日 21:17
>要するに、失業者は出るが、新規雇用も出るから、失業の増加についてはトントンだ。日本全体では失業は増えない。単に、「失業して、新規雇用される」というだけ。

なんとおめでたい理論。インフレ時のみ通用するマクロ経済学ですな。
輸入はGDPの控除項目だったと思うのですが
デフレ・需要不足時に
外国に雇用と所得を奪われる輸入を増やして、
雇用がトントンとは
どこの国の御伽話でしょうか。

>ただし経過的には一部産業で問題も出るから、政策で助けてあげればいい。

そんな面倒くさいことになるなら、
始めから、やんなきゃいいじゃないですか。

>新規雇用も出るから
>それぞれの産業間

何の産業か教えてもらえませんか?
総需要が縮小する中、マクロでトントンになるほど
新規雇用できる産業があったとは
で、驚きでございます。
Posted by 反TPP at 2011年11月14日 21:20
> 総需要が縮小する中

縮小していませんよ。ずっと低迷状態で、底打ちしているだけ。上がってはいないが、下がってもいない。

> 新規雇用・・・何の産業か教えてもらえませんか?

求人倍率がゼロ以上の全産業です。別に求人がゼロになったわけじゃない。それがわからないなら、ハローワークにでも行けば? 求人はたっぷりあるはずです。採用されるかどうかは知らないが。(倍率は1以下ですからね。)

ともあれ、マクロ的な失業問題は、貿易とは関係ない、というのがポイント。

なお、特に具体的に教えてほしければ、次の産業です。
「輸入品を販売する産業」
 販売者がいなければ、販売できませんからね。
 
Posted by 管理人 at 2011年11月14日 22:45
Q1 働かなくてものが得られるっていうのは雇用が奪われると同義ではないですか?
Q2 不動産バブルでアジア、」日本から大幅な輸入超過になっていたアメリカがいたからこそ今までの輸出が成り立っていて、そのアメリカが輸出を大幅に増やすと言っているのにどうして日米二国間での関係は意味が無いのですか?
Q3 米韓FTAで韓国の経済が浮揚するどころか急速に落ち込んでいったのはなぜですか?
Posted by にゅ at 2011年11月14日 22:57
>縮小していませんよ。ずっと低迷状態で、底打ちしているだけ。上がってはいないが、下がってもいない。

名目値は下がっていっているような気もしますが

これは私の書き方が悪かったことを認めます。
成長してない・増えないと書けばよかった。


>倍率は1以下ですからね

結局あぶれる人がいるということです。


>マクロ的な失業問題は、貿易とは関係ない、というのがポイント

ということは支出面のGDPで
輸出が加算項目で輸入が控除項目という統計は
概念上、間違っていたことになりますよね。
Posted by 反TPP at 2011年11月14日 23:16
Q1 働かなくてものが得られるっていうのは雇用が奪われると同義ではないですか?

A1 それは、「失業して一文無しになる貧乏人」と「金が余って引退してバカンス生活」の富豪を、同一視する認識です。レーニンもいっていたが、不労所得者には... (以下略)

Q2 不動産バブルでアジア、」日本から大幅な輸入超過になっていたアメリカがいたからこそ今までの輸出が成り立っていて、そのアメリカが輸出を大幅に増やすと言っているのにどうして日米二国間での関係は意味が無いのですか?

2〜3年ぐらいの短期的な偏りは起こります。しかしその後は、偏りは是正されます。金融バブルが破裂したら、輸出は大幅に減りました。増えた分が、減ってしまった。長い目で見れば、偏りは是正されます。

Q3 米韓FTAで韓国の経済が浮揚するどころか急速に落ち込んでいったのはなぜですか?

A3 FTAではなくて、韓国経済そのものが弱いからです。下記参照。
  → http://nando.seesaa.net/article/234703192.html

 ──

>輸出が加算項目で輸入が控除項目という統計は
>概念上、間違っていたことになりますよね。

違います。誤解ページの A11 に書いてあるとおり。輸出と輸入が均衡するから、輸入のせいで失業が増えた分、輸出のせいで雇用が増える、ということ。こっちで減れば、あっちで増える、ということ。はっきりと説明済み。ちゃんと読むべし。……この件、コメント欄でも、何度も繰り返している。 A11 を読め、と何度言ったらわかるのか? 
 
 ──
 
 いずれにせよ、別の項目に書いてあるんだから、他の項目もまんべんなく読んでください。私はあなたたちの家庭教師じゃない。質問ばかりされても困ります。「すでに書いてあることぐらい読め」と言いたい。
 
Posted by 管理人 at 2011年11月14日 23:47
>輸出と輸入が均衡するから、輸入のせいで失業が増えた分、輸出のせいで雇用が増える、ということ。こっちで減れば、あっちで増える、ということ。

それがウソなんじゃないんですか?と言ってるのです。ウソを何度読めといわれましてもねぇ。
ウソと言う言葉が強ければ、現実に即してないのでは?と思います。
変動相場制は為替レートでバランスするから
輸出超過・輸入超過が無限に続かないのは、そのとおりですが
それなら今のアメリカのように
ジャブジャブに金融緩和して結果的に
自国通貨安に誘導されたら
日本はアメリカからの輸入のせいで失業が増えたとしても
アメリカへの輸出で雇用を増やすことが
できなくなるのではないのですか?
中国のようにあからさまな介入などしなくても
(そもそも変動相場制ではないですね)
金融緩和で、通貨安になっちゃってますよ。
アメリカだけしか書いてないと
2国間だけで語るなと言われそうですが
ヨーロッパもやってますよね?
日本はいったいどこに輸出できるのでしょうか。
日本に、どうぞどうぞ所得と雇用を差し上げますよと
輸入してくれる余裕のある国が存在するのでしょうか。
Posted by 反TPP at 2011年11月15日 00:22
> アメリカへの輸出で雇用を増やすことが
> できなくなるのではないのですか?

 それは A 1 で説明済み。

 通貨安の話は本項の  A 6  で説明している。何度も言うが、「本文を読め」。

 あと、コメント欄の  2011年11月14日 23:47  も。
Posted by 管理人 at 2011年11月15日 00:30
> アメリカへの輸出で雇用を増やすことが
> できなくなるのではないのですか?

 さらに説明の追加をすると、……
 あなたの主張では、「輸入だけ増えて、輸出が増えない。だから雇用が増えない」というふうになる。
 しかしそれは困ったことではなく、素晴らしいことだ。なぜなら、「失業して飢える」のではなく、「働かなくて物を得る」ということだからだ。
 A 4 に書いてあるとおり。繰り返すが、「本文を読め」。
Posted by 管理人 at 2011年11月15日 00:33
はてブ コメントへの回答。

> 経済学的に正しいことと、その政策の現時点における実行が正しいかどうかは別。一万回言っても理解してくれないだろうが。

回答:
そんなことはわかっている。だから本項には「TPPに賛成」というような趣旨の話は何も書いていない。中立的な立場から、経済学の話をしているだけだ。

本ブログは、基本的には、経済学(など)の学術的な話をするサイトだ。政治運動をするサイトじゃない。政治運動をしたい人は、どこか別のところに行ってください。

中野剛志が政治運動をしているからといって、私を彼の対抗馬だとは思わないでほしい。私は彼のライバルじゃない。いわば先生として、無知な生徒に経済学を教えてあげているだけだ。(私は政治家じゃない。)
Posted by 管理人 at 2011年11月15日 00:34
>デフレとは、「価格下落」(物価下落)のことではありません。
>デフレとは、需要不足で物が売れなくなっているせいで、価格が下落している現象です。この場合、「原価割れ」という現象が発生して、企業は赤字になり、労働者は解雇されます。

一つ質問させてください。

上記をそのまま読むと全体として失業率が改善傾向にあり、かつ企業の収益も向上していた時期はGDPデフレーターがマイナスでもデフレではなかったということですよね??

では管理人様は日本で「デフレ」だったのは何年から何年頃までと考えているのでしょうか??

Posted by 単純な疑問 at 2011年11月15日 07:59
この人リカードの比較優位説の前提も知らないで自由貿易ばっかいってるから笑える
Posted by アット at 2011年11月15日 11:06
> 比較優位説の前提

前提ぐらい知っていますよ。書いてないだけで。
あなたが間違っているのは、
「比較優位説の前提が成立しなければ、比較優位そのものが成立しない」
 と思い込んでいること。そうじゃありません。前提は成立しなくても、比較優位はたいていは成立します。
 ま、初心者をいじめるのも何だが。聞きかじりの半可通じゃなくて、経済学をちゃんと学びましょう。
Posted by 管理人 at 2011年11月15日 12:01
>全体として失業率が改善傾向にあり、かつ企業の収益も向上していた時期は
> GDPデフレーターがマイナスでもデフレではなかったということですよね??
>日本で「デフレ」だったのは何年から何年頃までと考えているのでしょうか??

デフレには「強度のデフレ」と「弱度のデフレ」があると考えてください。
  ・ 強度 …… 経済が縮小していく時期。「企業収益の悪化」が発生して、失業や倒産が次々と発生する時期。
  ・ 弱度 …… 経済が縮小している時期。縮小均衡の時期。企業収益は改善するが、失業はさらにいっそう悪化している時期。企業が国民の富を奪うことで、企業が黒字化する時期。国民生活はいっそうひどい時期。

 後者は、小泉政権が「構造改革」を進めたせいで、この傾向が強まった。時期は小泉改革以降です。

 一般に、経済悪化は、強度から弱度へと変わります。「縮小していく時期」から、「縮小均衡」の時期へと、変わります。これはなだらかな変化です。
 放置すると、この変化は単になだらかに変化するだけです。ゆっくりと縮小均衡に向かいます。
 そこで、このなだらかな変化をなるべく遅くしながら、この変化を逆方向に進めることで、景気を回復できます。
 一方、このなだらかな変化を急激に進めると、一挙に奈落の底に落ち込むことになります。それが小泉改革です。

 比喩的に言うと、崖の斜面で、足をすべらせた。放置すれば、そのまま谷の底に落ちる。
  ・ 放置する → いつか谷の底に落ちる。
  ・ 抵抗する → 谷の底に落ちまいとする。いったんストップしてから、上をめざす。
  ・ 加速する → どうせ落ちるならさっさと落ちる方がいい、と思って、あえて加速して、谷の底に落ちる。本人は損するが、棺桶屋は儲かる。「人は死んでも棺桶屋の会社が儲かればいい。企業の利益こそ大事だ。人命は二の次だ」というのが、小泉改革。その宣伝に踊らされて、「素晴らしい」と拍手して、谷底をめざしたのが、日本国民。

 2001年のうちに「小泉改革はまったくの間違いだ」と述べたのが、当時の私。しかし、それを述べたのは私だけで、他の人々は耳を貸さなかった。
 今の状況もそれに似てる。かつて「構造改革は素晴らしい」という声がひろがったように、今は「TPPは駄目だ」という声がひろがっている。たいていの人は、私の声に耳を貸さない。もしTPP不参加の道をたどれば、ふたたび谷底をめざすことになる。

 ※ 「TPP はまったく問題ない」と述べているわけではない。「問題があれば是正しろ。その主張をしろ」というのが、私の立場。理想を言えば、菅直人が首相になったまま、米国の大統領と喧嘩すれば良かった。彼は喧嘩が強いので。……野田首相では、米国に丸め込まれる可能性は高い。その意味では、野田首相は最悪だ。
 しかし、私が「菅直人がいい、野田は最悪だ」と述べても、日本国民は「菅直人は最悪だ、野田首相がいい」と言い張った。ここでも私の主張とは逆方向に進んで、状況は最悪となった。
Posted by 管理人 at 2011年11月15日 12:35
>2〜3年ぐらいの短期的な偏りは起こります。しかしその後は、偏りは是正されます。

後で戻ると、言われても、その間にどのくらいの方が犠牲になるか
想像したことございますか?

97年までの日本の自殺者数は2万人前後で推移してますが
98年から3万以上に増えているんですよ。
増えた1万人の方の自殺された理由の多くが雇用なんです。
理由は97年から本格的なデフレに突っ込んでいるからです。

Nanndo様は、それはマクロ経済政策の問題だと
何度もおっしゃられていて、そのとおりなんですが
この問題を解決する気がない政権が
さらに貿易量(額?)を増やす条約を結び、
一時的とはいえ失業を増やそうとしていることに反対することが
そんなにバカですか?猿ですか?

その混乱期に自殺された方は二度と戻ってきません。
たかがチーズやバターやアイスやお菓子が安くなることと
一時的に失われる雇用、そして取り返しのつかない人命の
どちらが大事なのですか?
(本当に一時的なのか?と疑問がありますがここはあえて引きましょう)

雇用と人命よりも瑣末な物価下落の利益を優先するのが
マクロ経済学の目的なのですか?
Posted by 反TPP at 2011年11月15日 15:40
>デフレには「強度のデフレ」と「弱度のデフレ」があると考えてください。
>  ・ 強度 …… 経済が縮小していく時期。「企業収益の悪化」が発生して、失業や倒産が次々と発生する時期。
>  ・ 弱度 …… 経済が縮小している時期。縮小均衡の時期。企業収益は改善するが、失業はさらにいっそう悪化している時期。企業が国民の富を奪うことで、企業が黒字化する時期。国民生活はいっそうひどい時期。

ご返信ありがとうございます。

「強度のデフレ」も「弱度のデフレ」も共に失業率が悪化することが一つの目安であれば、失業率が改善傾向にあった2003年から2007年ころは既にデフレを脱却していたと考えても良いということでしょうか?
Posted by 単純な疑問 at 2011年11月15日 20:47
 失業率は改善なんかしていません。技能労働者が仕方なく単純労働や派遣なんかをやっている。形式的に失業していなくても、実質的にはまともな職に就けていません。
 あと、日本の統計は、ハローワークで登録した人だけです。初めから諦めている人は失業者にカウントされません。
 
 日本はずっと底で低迷しています。デフレ脱却とは、穴から出た状態であり、穴のなかで「これ以上は悪くならない」と地獄で安住している状況ではありません。

 派遣をやめたい人がみんな正社員になれる時期が、デフレ脱出の時期です。
 ついでですが、本日発表の大卒初任給を見ると、20年前と同じぐらいだ。その前の 20年間は、毎年毎年、大幅な初任給の上昇があったが、20年前から低迷している。狂った状況。
 
Posted by 管理人 at 2011年11月15日 21:06
単純労働や派遣はまともな職ではないんですか??

「空洞化についての誤解」で「自動車産業や繊維産業の雇用が減っても、半導体産業や電器産業の雇用が増えるのだから、ちっともマイナスではない。」と書かれていましたが、どっちにしろこういった雇用は量的には単純労働や派遣が殆どですよね?

インフレでもデフレでも単純労働が必要な産業が日本で比較優位である限り単純労働需要はなくならないでしょうし、派遣が禁止されない限り企業の供給調整の選択肢として派遣もなくならないと思いますが?

>派遣をやめたい人がみんな正社員になれる時期が、デフレ脱出の時期です。

これが「不況」脱出の時期というならまだわかりますが、デフレ脱出の時期というのはいまいちピンときません。 明らかにデフレでは無いアメリカやイギリスでもこんな時期は来てませんし、
Posted by 単純な疑問 at 2011年11月15日 21:28
> 単純労働や派遣はまともな職ではないんですか??

 やりたい人にとってはまともな労働ですが、やりたくない人にとってはまともな労働ではありません。
 アインシュタインを土方にしたり、ダルビッシュをお針子にするようなもの。ただの無駄。
Posted by 管理人 at 2011年11月15日 21:55
>> 単純労働や派遣はまともな職ではないんですか??

>やりたい人にとってはまともな労働ですが、やりたくない人にとってはまともな労働ではありません。
> アインシュタインを土方にしたり、ダルビッシュをお針子にするようなもの。ただの無駄。

アインシュタインは物理学に、ダルビッシュは野球に比較優位があるから確かに無駄かもしれませんが、単純労働にしか比較優位が無い人間はどうやって食っていけばよいのでしょう??

誰もがやりたい仕事をやって食っていけるような未来はまだ当分来なさそうですが?
Posted by 単純な疑問 at 2011年11月15日 22:26
> 単純労働にしか比較優位が無い人間はどうやって食っていけばよいのでしょう?

比較優位の発想を取るとわかるが、先進国では単純労働でも高所得を得ます。同じく掃除夫をやるとしても、途上国では月給1万円、日本では年収 200万円程度。

「泉の波立ち」で「床屋」を検索するとわかる。
Posted by 管理人 at 2011年11月15日 23:10
> 比較優位の発想を取るとわかるが、先進国では単純労働でも高所得を得ます。同じく掃除夫をやるとしても、途上国では月給1万円、日本では年収 200万円程度。

いや、派遣でも単純労働でも日本では所得がそこそこあるのは別に経済学を参照しなくても求人広告の一つでも見れば良くわかります。

聞きたかったのは、

その「高所得」(そこそこの所得?)を得られる仕事(単純労働や派遣)でも「やりたくない人にとってはまともなを労働ではなく」、故にそういった仕事が増えても「失業率は改善なんかしていない」ことになる。そして、「派遣をやめたい人がみんな正社員になれる時期が、デフレ脱出の時期」である。

と言うような話が現実問題として意味があるのかという点です。


世の中の殆どの単純労働者(或いは技能労働者も)は別にやりたくてやってるわけではなく、食っていくために働いており、その上で自身が比較優位をもつ分野で働くことがより豊かな暮らしをするための手段になっているのだと思います。 その中で単純労働だけが、「やりたくない人にとってはまともな労働でない」、故に「失業率の改善」にカウントするのはおかしい、みたいな話は意味がわかりません。

単純労働でも派遣でも食べるためにやっている仕事の一つであり、やりたくないけど食べるためにやっている仕事がなくならない限りデフレ脱出だと認めないとなったら永久にデフレ脱出できないでしょ?


数値に表れた失業率の改善を真っ向から否定するからには何か確固とした基準でもあるのかと思い質問したわけですが、否定自体は確固としていても基準の方はあまり確固としていないように見えますね、、
Posted by 単純な疑問 at 2011年11月16日 01:13
 やりたい仕事かどうかなんて、新卒者がみんな悩む問題ですが、馬鹿馬鹿しい。人生案内のページでも見てください。そっちに回答がある。

 やりたいことができて高所得なんていうのは、ただの夢想です。そういう馬鹿げた発想はさっさと捨ててください。
 やりたい仕事なんて私は言っていません。派遣社員以外の正社員がみんな自分の好きな仕事をできていると思ったら、大間違いです。

 実を言うとアルバイトの方に、好きなことをやっている人が多い。たとえば、演劇をやりながらアルバイト。好きなことをやりたければ、アルバイトするしかないですね。一生アルバイトしていれば。

Posted by 管理人 at 2011年11月16日 06:36
>大幅な初任給の上昇があったが、20年前から低迷している。狂った状況。

 >管理人さん
 それってどーして狂ってるんだと思います?
 それも、市場原理じゃないんですかね?

 市場原理なら狂ってるなんて言えないでしょ?
 教科書大好き管理人さんなら教えてくれるはず。
Posted by 椎名つばめ。 at 2011年11月16日 08:37
いや、管理人さんが書いたことについて確認してるだけなのに逆切れされてもねぇ、、


> 失業率は改善なんかしていません。技能労働者が仕方なく単純労働や派遣なんかをやっている。形式的に失業していなくても、実質的にはまともな職に就けていません。
> 派遣をやめたい人がみんな正社員になれる時期が、デフレ脱出の時期です。

単純労働や派遣はまともな職ではないんですか??

>やりたい人にとってはまともな労働ですが、やりたくない人にとってはまともな労働ではありません。
> アインシュタインを土方にしたり、ダルビッシュをお針子にするようなもの。ただの無駄。

アインシュタインは物理学に、ダルビッシュは野球に比較優位があるから確かに無駄かもしれませんが、単純労働にしか比較優位が無い人間はどうやって食っていけばよいのでしょう??

>比較優位の発想を取るとわかるが、先進国では単純労働でも高所得を得ます。同じく掃除夫をやるとしても、途上国では月給1万円、日本では年収 200万円程度。

単純労働でも派遣でも食べるためにやっている仕事の一つであり、やりたくないけど食べるためにやっている仕事がなくならない限りデフレ脱出だと認めないとなったら永久にデフレ脱出できないでしょ?

> やりたいことができて高所得なんていうのは、ただの夢想です。そういう馬鹿げた発想はさっさと捨ててください。

ほら、

「やりたい」とか「やりたくない」とか「高所得」とか全部管理人さんが言い出したことで、むしろ私が先に

「世の中の殆どの単純労働者(或いは技能労働者も)は別にやりたくてやってるわけではなく、食っていくために働いており、その上で自身が比較優位をもつ分野で働くことがより豊かな暮らしをするための手段になっているのだと思います。 その中で単純労働だけが、「やりたくない人にとってはまともな労働でない」、故に「失業率の改善」にカウントするのはおかしい、みたいな話は意味がわかりません。」

と書いてるんですが?

とりあえず「派遣をやめたい人がみんな正社員になれる時期」が来るなんて「夢想」をまず管理人さんが捨てたらどうですか?? そうでないと管理人さんの理論上は永久にデフレが脱出できなくなりますよ、

まあ現実の世界ではそういう時期が来なくてもデフレは脱出できでしょうから管理人さんが「夢想」を捨てなくても特に誰も困りませんが。
Posted by 単純な疑問 at 2011年11月16日 09:12
> 派遣をやめたい人がみんな正社員になれる時期

バブル破裂の前の日本はそうでしたよ。一般に求人倍率が1を大幅に上回る状態(好況期)では、それは満たされます。

私の話は「好況にしろ」と言っているのと同じ。そのための方法は別項を参照。
Posted by 管理人 at 2011年11月16日 12:38
>経済学者の 99% は、自由貿易に賛成している。 では、残りの1%は何かというと、いわゆるトンデモ学者だ。


そうであるならば、とうの昔に世界は自由貿易になっているはずなのに、世界各国が関税を採用しているのはなぜ?

保護貿易には保護貿易の利点があるからでしょう。
Posted by 素人通行人 at 2011年11月16日 20:32
>保護貿易には保護貿易の利点があるからでしょう。

 リカードの比較優位論の前提条件が満たされていないからではないでしょうか?
Posted by 椎名つばめ。 at 2011年11月16日 20:48
> とうの昔に世界は自由貿易になっているはずなのに、世界各国が関税を採用しているのはなぜ?

 本日の項目で説明しました。
Posted by 管理人 at 2011年11月16日 21:27
 本項は、コメントの量が増えすぎたので、コメントの受付を停止します。
 これ以後、何か書きたい人は、次の項目に書いてください。

  → http://nando.seesaa.net/article/235550485.html

 (ただし、回答・返信は、原則として ありません。)
Posted by 管理人 at 2011年11月16日 22:00
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