◆ TPP とコメ:  nando ブログ

2011年11月26日

◆ TPP とコメ

 TPP でコメはどうなるか? たとえ関税率をゼロにしても、日本のコメは輸入品と十分に競争力をもつ。最新のデータによると、そうわかる。

 ──
 
 朝日新聞・朝刊・7面(2011-11-26)の記事によると、次のデータがある。
  ( ※ いずれも 1Kg あたりの価格。輸入米は MA米。)
  ・ 輸入米の価格 …… 170円。 (近年は急上昇)
  ・ コメの関税 ……… 341円。 (関税率は約 200%。)
  ・ 上記の合計 ……… 511円。
  ・ 国産米の価格 …… 251円。


 以上から、次のようにわかる。
 (1) 関税率は、価格にかかるのではなく、量にかかる。
 (2) 関税率が 778%というのは、価格安の時点の試算値であり、今では約 200%だ。
 (3) 現時点では、輸入米が 511円で、国産米が 251円だから、関税のかけ過ぎである。
 (4) 輸入米と国産米の価格が同じになるのは、関税が 80円の場合。関税率は価格比で 47%。
 (5) 国産米の方がおいしいのだから、輸入米が国産品と価格競争力を持つには、関税率は 47%よりもずっと低いことが必要。たとえば、20%。
 (6) 関税に相当する部分(20%程度)を、国が補助金として与えれば、関税率をゼロにしても、コメは国産品が十分に対抗できる。

 結論。

 「現在の高い関税を一挙に大幅に引き下げると、輸入米に席巻されて、国産米は壊滅する」
 という説があるが、それはデマである。
 現状の関税率は、異常に高すぎるので、大幅に引き下げても問題ない。国産品と輸入品が同等程度になる関税率は、20%程度に過ぎない。
 その分を補助金として与えれば、国産農業は十分に成立する。



 [ 付記1 ]
 予測を書いておこう。
 私見では、補助金ゼロでも、国産米のほとんどは生き残れるだろう。というのは、人々は食べ慣れた国産米を好むからだ。かつてカリフォルニア米という大粒種が輸入されたことがあるが、(味は普通でも)大粒なので不人気だった。同様のことになりそうだ。
 米の自由化(関税撤廃)がなされれば、実際には輸入品が増えるだろう。(外食産業などはコストにシビアなので。)
 だが、それで壊滅するのは、小規模の兼業農家だけだ。大規模の専業農家は、価格が 20%程度下がっても、十分にやっていけるだろう。(強制的な減反がなくなるので、かえって所得は増えるかもしれない。)

 一般の国民にとっては、「価格が 10%ぐらい下がっただけで、あとは今まで通り国産米を食べるだけ」というふうになるはずだ。つまり、現状と大差ない。輸入米を食べるようにはなるまい。
 このことは、オレンジの輸入を見ればわかる。「オレンジの輸入自由化で国産ミカンが壊滅する」と大騒ぎされていたが、実際には、そうはならなかった。人々は相も変わらず国産ミカンを食べており、オレンジを食べる人は少ない。スーパーでも八百屋でも、店頭にあるのは国産ミカンばかり。オレンジを食べる人は少ない。
 たった一つ、例外みたいなものがあるとすれば、ジュースだ。国産ミカンのジュースはほとんどなくて、オレンジジュースはいっぱい売っている。1リットルの100%オレンジジュースが 100円程度。ま、これはこれで、いいことだ。(国産ミカンのジュースは、すごく高い。買いたい人だけが買えばいい。)

 米の自由化(関税撤廃)がなされれば、普通のコメは国産米ばかりで、輸入米はほとんど店頭に並ばないだろう。ただし例外として、業務用のコメ(総菜や料理店)は、輸入品が多くなるだろう。また、パックご飯も、輸入品が半分以上になるかもしれない。
 例。パックご飯 …… 国産品 1個 100円。輸入品 1個 80円。
 どっちが売れるかと言ったら、半々ぐらいでしょう。
 ちなみに、第3のビールは、輸入品が2割程度安いが、シェアはあまり多くない。そのくらい安いとしても、人々はおいしい国産品を買う。私もそうだ。輸入品(イオン製品)はまずいので、いっぺんで懲りた。

 結局、「輸入自由化で国産品が壊滅する」というのは、ただのデマである。
 
 [ 付記2 ]
 すぐ上で、「それで壊滅するのは、小規模の兼業農家だけだ」と述べた。では、この問題は、どうするべきか? 
 実はこれは、問題ではなく、望ましいことである。理由は下記。
  → 農業再生と生産性向上
 つまり、日本の農業生産は効率化するべきだ。そして、生産性が向上すれば、同じ農業生産物を生産するのに必要とする人員は余剰となる。余剰となった人々は必然的に不要となる。その不要となる部分は、生産性の低い零細農家だ。
 つまり、日本の農業の生産性が高まるにつれて、零細農家が締め出されるのは、当然のことなのだし、むしろ、望ましいことなのだ。
 その逆が、生産性の低下だ。その場合、日本では多くの人々が農業生産に携わるようになり、まともな工業生産ができなくなる。つまり、途上国化する。そして、このような道(= 途上国化)は、選ぶべきではない。
 
 [ 付記3 ]
 ただし、なお問題が残る。零細農家の多くは高齢化しており、農業をやめたからといって別の分野で雇用されるとは限らない、ということだ。この問題については、私は次のように提案したい。
  ・ 若年の農民は、他の産業に転出するべきだ。(転職可能)
  ・ 高齢の農民が何もしないで無為徒食なのは、それはそれで無駄な状態だ。
  ・ そこで高齢の農民は、自分の食べる分ぐらいを生産して、自給自足すればいい。
  ・ 政府は、生活保護費よりは安いぐらいの金(農業年金)を、投入するべきだ。
  ・ 零細農家が大量の農産物を生産することは、非能率なので、やめさせる。
   (つまり、価格維持[= 高額化]のための補助金は、投入しない。
    どうせなら、「遊んでいても金を払う」という農業年金の方がマシだ。)
 
posted by 管理人 at 09:13 | Comment(4) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
安い外国産農作物のポストハーベストに関してはいかがでしょうか?
Posted by linu at 2011年11月26日 23:01
国産農作物の産地偽装と放射能汚染に関してはいかがでしょう。
輸入物の含有化学物質の危険性を排除する為にはEUがやるように、含有量規制を設けたらいい。そうすれば非関税障壁として有効活用できる、
Posted by 京都の人 at 2011年11月26日 23:25
 私は政治的な賛否には関係せず、経済学的な視点から(コストなどを)解説するだけですので、細かな是非の問題について考えたければ、別のサイトで考えてください。
Posted by 管理人 at 2011年11月26日 23:48
ヨーロッパに住んでいる日本人にとってカリフォルニア米は高級品なんですよ。決して安くない。

短粒種だと、イタリア製のほうが安いんですが、やっぱりうまくないです。

日本の米は今のままで十分競争力あると思います。
Posted by mino at 2011年11月27日 08:59
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