◆ 消費税増税の問題点:  nando ブログ

2012年06月16日

◆ 消費税増税の問題点

 消費税増税は、財政赤字の縮小のためには必要か? それに対する回答は、経済数値をグラフにしてみれば、すぐにわかる。

 ──
 
 「消費税増税は、財政赤字の縮小のためには必要だ」
 というのが、増税論者の根拠だ。

 では、本当に、消費税増税によって、財政赤字は縮小するのか? そのことを知るには、次の二つのグラフを対比してみるといい。


《 日本の名目GDP 》

日本の名目GDP

《 日本の税収 》

日本の税収

   ※ 1985年 = 昭和60年 ,1990年 = 平成2年
     1998年 = 平成10年 ,2010年 = 平成22年
   ※ 前者の出典は、Wikipedia (グラフ化は私 )
     後者の出典は、財務省のページ

 
 ──

 これを見ると、次のことがわかる。
  ・ 1990年(平成2年)以降、税収は下落基調にある。
    (60兆円 → 40兆円)
  ・ 1990年(平成2年)以降、名目GDPはほぼ一定値。
    (500兆円程度)


 ここから、次のことが結論できる。
 「名目GDPは変わらないのに、税収は大幅に減ってしまった。その間、税制度では減税はなかった。消費税増税(3% → 5%)があっただけだった。したがって、財政赤字の原因は、税制度ではない。原因は、景気悪化である。(法人税と所得税の大幅な落ち込み。)」

 
 ここから、次のことも結論できる。
 「財政赤字を縮小することは、大切だ。しかし、そのためになすべきことは、税制度の改正ではなくて、景気回復である。景気回復があれば、少なくとも平成2年の水準まで、税収を戻すことができる。さらに、景気回復にともなう物価上昇の効果で、それ以上の税収アップが見込める。こういうふうに二重の意味で税収増をもたらすのが、景気回復である」


 さらに、次の推論もできる。
 「消費税増税は、景気を冷やすことで、税収をかえって減らしてしまう効果があるだろう。実際、1997年(平成9年)の消費税アップのあと、税収は落ち込むばかりであり、消費税アップ以前の税収を上げたことは一度もない。税収面で見ると、完全に逆効果だった。それと同様のことが、次回の消費税増税でも起こりそうだ」


 以上をまとめて言えば、こうなる。
  ・ 消費税増税は、税収増をもたらさない。(逆効果)
  ・ 税収増をもたらすのは、景気回復である。

 
 つまり、景気回復があれば、「税収増」と「企業や国民の経済状況の改善」という双方が同時に達成される。増収のためにいちいち税率を上げる必要はないし、税率を上げて不景気にするという逆効果も生じない。一石二鳥。
 
 【 注 】
 景気回復については、下記を参照。
  → 景気回復の方法は? (総需要の拡大)

  ───────────────

 ついでに、補足的な解説をしておこう。(読まなくてもよい。)

 (1) 成長は低迷?

 名目 GDP は、1990年以降、頭打ちである。これをもって、「日本経済は低迷している」と思う人もいそうだ。
 しかし、この間、物価上昇率はマイナスだった。その意味で、実質 GDP は、名目GDPとは違って、上昇している。( → Wikipedia のデータ
 さらに言えば、この間、 円レートは大幅に上昇した。したがって、ドル表示で見れば、日本の GDP は、大幅に上昇している。次のグラフを参照。
  → http://nando.seesaa.net/article/229619420.html
 このグラフからわかるように、1990年に比べて、2010年の値は、約 1.8倍になっている。さらに、昨今の円レートを見よう。

yendol.gif
→ http://j.mp/KsQIqG

 2010年には 1ドル=90円強 だったのに、昨今では 80円を割っている。12〜14%ぐらいの下落だ。これを勘案すると、昨今のドル表示では、日本の GDP は、1990年に比べて、2倍ぐらいになっていると見なせる。22年間で2倍になるのであれば、たいした成長率だ。
 その意味で、決して停滞しているわけではない。相変わらず、潜在的な生産力に比べて低い水準ではあるが、それでもとにかく、経済成長はなしている。(相対的には低迷状態だが、絶対的な数値では着実に成長している。)
 
 (2) 円安景気

 税収は 2006年〜2007年のころには上昇している。それはなぜか?
 これについても、すぐ上の円レートのグラフを見ればわかる。このころちょうど、円安になっていたのだ。(1ドル=120円程度,1ユーロ=160円程度。) この円安にともなって、輸出産業が好景気に沸いた。そのおかげで、法人税の税収がアップしたのだ。(ただし、労働者への配分は多くなかったので、所得税はあまり伸びなかったようだ。)
 ここでも、「税収増をもたらすのは景気回復である」ということが、部分的に証明されたことになる。
 ただ、このときは、外需頼みであり、内需拡大はなかったから、景気回復は本格化しなかった。日本の輸出は、GDP の1割程度でしかないから、そこだけが回復しても、景気の本格回復にはつながらないのだ。
 


 【 関連項目 】

 本項の続編。(次項)
  → 財政赤字と消費税
 
posted by 管理人 at 21:33 | Comment(4) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
この記事へのコメント
 名目GDP における、労働力人口の減少の効果は、過去の分を見る限りは、影響はほとんどないようだ。
 → http://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/point14.pdf

 ただ、今後の推計値では、労働力人口の減少がかなり影響する見込み。
 → http://j.mp/MeNcgK

 これに伴って税収も減少し、一方、高齢化社会にともなって社会保障費は増えていく。
 数%程度の消費税増税なんかで対処できるはずがない。景気回復によって税収を何倍にも増やす必要がある。
 
Posted by 管理人 at 2012年06月16日 22:31
 もともと後半にあった文章を分離して、次項に移しました。
Posted by 管理人 at 2012年06月17日 06:56
 青いグラフ(名目GDP)を,一部改変しました。
 期間を下のグラフとそろえました。
 また、一部修正しました。
Posted by 管理人 at 2012年06月17日 14:31
1997年の消費税増税の影響については、次に細かい話がある。
 → http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20100703/1278169815
Posted by 管理人 at 2012年06月29日 06:32
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