福祉費用が増えることはさして問題ではないが、生産量(GDP)が減ることは大いに問題だ。
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高齢化社会の進展にともなって、高齢者への負担が増えることは、問題だろうか? 「高齢者に富が奪われる」というふうに、池田信夫は騒いでいるが、そういう問題なのだろうか? いや、違う。
(1) 高齢者というのは、赤の他人ではなくて、たいていは、自分の両親や祖父母だ。それらの人々を若手の人々が養うというのは、別に損をするわけではない。単に「仕送り」を「税」の形で公的にするだけのことだ。
(2)「自分の祖父母はもう死んでしまったから、取られ損だ」と思うかもしれない。なるほど、祖父母が死んでしまった人にとっては、損である。しかし、祖父母が生きている人にとっては、得である。損と得をならせば、全体としては損得はない。これは一種の「年金保険」みたいなものだ。保険なのだから、損をする人も得をする人もいるが、社会全体としてみれば、理に適ったシステムだ。(自動車保険や火災保険と同様だ。)
(3) 払うことばかり考えている人が多いが、そういう自分だっていつかは高齢者になって、次世代から仕送りを受けることになる。だから決して損をするわけではない。池田信夫は「若い世代が損をする」と言っているが、それは「自分は高齢者になる前に死んでしまう」というつもりなのだろうか? (皮肉)
(4) 財務省の計算では、「生涯にもらう金と払う金を比較すると、現在の高齢者よりも若い世代の方が損だ」というふうに計算をしている。しかしその根拠は、インチキ計算だ。「実質成長率が1%程度」という低い成長率を前提としている。しかしながら現実には、日本の実質成長率は、もっとずっと高い。(特にドルベースでは、かなり高い。)……財務省のインチキ計算に基づいて、「生涯にもらう金と払う金を比較すると、現在の高齢者よりも若い世代の方が損だ」というふうに計算するのは、まったく無意味である。仮にそれが成立するとしたら、次のことも成立する。
「円レートは 10年に半分になるぐらいの急激な円高が進むので、円のドルベースの価値は大幅に上昇する」
つまり、もらえる金は少なくても、その金で買える物の量はずっと多くなる。たとえば、次のようになる。
「今の高齢者は生涯の年金総額 5000万円をもらえるが、今の若者は生涯の年金総額 4000万円をもらえる。その意味で、今の若者の方が、もらえる総額は減る。ただし、その間に、大幅な円高が進む。だから、ドル表示で言うと、今の若者の方が、もらえる総額ははるかに多くなる。そして、その理由は、ドルベースの GDP が長年の間に大幅に増えるからだ」
( ※ 円高が進むときに、円ベースの成長率ばかりを見ていては駄目だ、ということ。)
ちなみに、ドルベースでの日米の成長率を見ると、次の通り。
つまり、日米の成長率は、長期的にはほぼ同等である。(最近の円高を考えれば、なおさらそうだ。)(若干の上下のブレがあるのは、円安・円高による変動。)
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まとめて言えば、GDP が増える限りは、社会保障負担についてあれこれと心配する必要はないのだ。
問題があるとすれば、GDP が増えなくなることだ。これは、次の二点が理由となる。
・ 生産性向上率の低下
・ 労働人口の減少
この二つのうち、前者は問題とはならない。そもそも、小泉みたいに「構造改革! 生産性向上!」と叫んでも、無意味なのだ。政府が掛け声を挙げても、生産性の向上は達せられない。それに影響するのは、政策ではなくて、国民の努力だ。
この二つのうち、後者は問題だ。少子化にともなって、労働人口が減少することは、とても問題だ。この問題は、現時点では、あまり問題となっていない。というのは、少子化が起こってから、それが労働力人口の減少となって現れるには、15〜20年ぐらいかかるからだ。その影響は、今のところ、現れていない。
→ 労働力人口の推移 (グラフ)
しかしもうそろそろ、その影響が現れかけてきている。今後はかなり急速に、労働人口が減りそうだ。
→ 労働力人口の将来見通し (グラフ)
だから、大切なのは、高齢者の増加や社会保障費の増加ではなくて、労働者人口の減少(少子化)なのである。
結論。
若者から高齢者へと所得が移転したとしても、それはしょせんは「配分」の問題であるから、たいしたことはない。いくら高齢者に回す金が増えたからといって、高齢者は若いころには今の若者よりもずっと貧しい生活を送ってきたのだから、今になっていくらかの所得移転を受けたからといって、どうってことはない。
それよりも、「生産量」の問題の方が、いっそう重大だ。人口が減ってしまえば、生産量の総額が減ってしまうから、そのときこそ、社会保障費の負担がのしかかる。
その意味で、「生産量」の減少をもたらす「少子化」こそ、真に対処すべき問題だと言える。
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なお、「少子化」の問題について、政府は「騎馬戦型から肩車型へ」などと述べている。
→ 白書 (PDF)(キャッシュ)
しかし、こんなふうに分析しているだけでは駄目だ。このような現状を徹底的に阻止するべく、根本的な対策が必要となる。
さもなくば、将来的には、日本は次の二者択一になる。
・ 高齢者を養えなくなり、国が衰退する。
・ 外国人労働者を招く。
後者の場合には、日本は多国籍化したあげく、今の外国人が日本国籍を保有するようになって、日本は外国人に乗っ取られてしまう。(たとえば米国では、黒人やヒスパニックが大量に移民として流入したあげく、彼らに国を左右されるようになりつつある。日本もそのうち、黒人やヒスパニックが大量に移民として流入したあげく、彼らに国を左右されるようになるだろう。……いや、黒人やヒスパニックのかわりに、中国人が日本を乗っ取ってしまうだろう。)
そうなることを避けたければ、さっさと少子化の対策を大幅に取るべきなのだ。財政破綻は、日本を滅ぼさないが、少子化は、日本を滅ぼす可能性がある。その場合、日本人の日本が滅びて、中国人の日本が繁栄するようになる。尖閣諸島が中国に奪われるのではなく、日本全体が中国に奪われるようになる。
あと 300年もすれば、日本は中国に併合されて、日本語も消えてしまうかもしれない。……もし「少子化」の対策を取らなければ。
何が本当に問題であるかを、きちんと理解しよう。
【 追記 】
何が問題かは、すでに述べたことからわかるが、念のために書けば、こうだ。
若い人々は「高齢者に金を奪われる」と騒いでいるが、そんなことはたいして問題ではない。単に親への仕送りをしているにすぎない。高齢者へ金を渡さなければ、かわりに自分で仕送りをするようになるだけだ。さして差はない。
それよりは、少子化が大変だ。今の若い人たちが年老いたときに、彼らを養ってくれる子供たちは半減している。となると、40年ぐらいたってから、人々は「年金をちょっとしかもらえなくなる!」と大騒ぎすることになる。
そして、そうなった原因は、今の若い人たちが子供を産まなくなったからだ。自分たちが子供を産まなくなったから、自分たちが将来的に年金をろくにもらえなくなるのだ。
要するに、今の若い人々が損をするのは、今の高齢者に金を渡しているからではなく、今の若い人々が子供を産まなくなっているからだ。
ここが問題だ。問題がどこにあるかを、勘違いしてはならない。
( ※ 仮に若者たちが子供をたくさん産めば、若者たちはちっとも損しない。将来的には今の高齢者の3倍ぐらいの年金をもらえるはずだ。高齢者を恨む暇があったら、さっさと妊娠のための努力をすればいいのだ。)
[ 付記1 ]
生産性の上昇率は、長期的に年2〜3%で、ほぼ固定的である。近年ではIT化の影響があるから、3%ぐらいかもしれない。
日本の実質成長率が、円ベースで1%だとしたら、(3%との)差の2%は、「円の価値上昇」が起こっていると見なしてよい。
また、日本の実質成長率が、ドルベースで5%だとしたら、(3%との)差の2%は、「ドルの価値下落」(米国物価の上昇)が起こっていると見なしてよい。
[ 付記2 ]
なお、1.03 の 50乗は、4.38 である。
1.03^50 = 4.38390602
二世代後(50年後)には、生産力は 4倍以上になっているのだから、「若い世代の方が恵まれない」というようなことはありえない。
ちなみに、今の若者たちの2〜3世代前というと、サザエさんや星飛雄馬 のころだから、朝食は「メザシとお新香と味噌汁」で、「ちゃぶ台に家族そろって」というライフスタイルだった。今の若者からすれば極貧生活に見えるだろう。その意味で、今の若者たちは、物質的にはものすごく恵まれている。
( ※ ついだだが、ちびまる子ちゃん の時代は、1974年〜1975年頃なので、はるかに恵まれた時代となっている。高度成長が進んで、家電なども普及していき、人々は幸福感を味わった。それでも、当時の生活を今から見れば、途方もなく貧しい生活に見えるだろう。 → 動画 )
[ 付記3 ]
それでも、若者たちは、閉塞感につつまれて、「自分たちは不幸だ」と思い込んでいる(と思われる)ことが多い。
→ 「日本の若者はこれからもずっと不幸です」のはてなブックマーク
とはいえ、はてな民や、アゴラ民のように不満だらけの人は別として、一般の若者たちは、けっこう幸福感につつまれていると言える。下記の本の紹介文には、こう書いてある。
「統計によれば、20代の75%が現在の生活に「満足」している」
絶望の国の幸福な若者たち
読者評による紹介は、こうだ。
大人たちは若い世代を心配してくれているけれども、僕たちはそれほど不幸ではありません。むしろ、等身大の幸福を享受しているのです。そんなことに気付かない大人たちって残念ですね。ま、その通り。「大変だあ、日本が滅びる!」なんて叫ぶ、オオカミ少年みたいな人々の声ばかりを聞くと、ろくなことはない。もうちょっと腰を落ち着けて、じっくり考えるといい。
(もちろん、将来に不安はありますが…)
そうすれば、問題の本質は、もっと別のところにあるとわかる。
それは何か? 問題は、今いる若者たちの生活ではなく、これから生まれてくる赤ん坊たちの誕生だ。問題は、現在の若者たちの生活の貧しさではなく、将来の赤ん坊の誕生の少なさだ。これこそ、最も問題視するべきことなのだ。
Q
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2010/2010honbun/html/i1110000.html の第1-1-1-18図によれば米ドルの通貨供給量(マネーサプライ)は20年前から2.5倍になってるので、GDPが2倍になってもむしろ貧しくなってる。
A
マネーサプライの増加率は物価上昇率と同じではない。(経済規模拡大の分が含まれるので。)/物価上昇率の考慮は必要で、それは言及済み。本項の [ 付記1 ]
実際に豊かになっていることは一人あたり名目GDPの推移を日米比較で見る。
http://ecodb.net/exec/trans_weo.php?type=WEO&d=NGDPDPC&c1=US&c2=JP
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日本のGDP速報値は、昨年の4.7%増だという。
→ http://j.mp/KEue7z
これから推計すると、(前項の昨年値に掛け算して)本年度のGDPは 500兆円程度と推定される。
現在の円レートは1ドル=78.7円だから、ドル換算で、6.35兆ドル。
一方、日本の人口は 1278200万人 → http://j.mp/KuaoKV
一人あたりGDPは、49687 ドル。
一方、米国の推計値は、49601ドル。
→ http://j.mp/MH5O7B
現在の円高水準のレートで見る限り、日本と米国の豊かさは同等だ。
ただし、米国の富は大部分が富裕層に偏っており、普通のサラリーマンの所得はかなり低い。日本では年収 400万円なら普通だが、米国では3万ドルぐらいが普通だ。女性の事務系サラリーマンだと、年収2万ドル以下のことも多い。
その意味では、日本の中下位のサラリーマンは、米国のサラリーマンよりも、ずっと豊かかだ。ただし、上位のサラリーマンは、米国の方が圧倒的に豊かである。米国は貧富の格差が大きい。
→ 日本の所得分布
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa09/2-2.html
→ 米国の所得分布
http://lasttechage.wordpress.com/2011/11/26/social-inequality-zerosumgames/
管理人様は、10年間くらいデフレについて言及されてこられたと思いますが、最近になって、ドルベースでは経済成長しているとおっしゃられるようになりました。(確か半年くらい前にも一回そのような記事があったかと・・・)
ドルベースでも成長しているのだったら、生産量の拡大という本質的な問題はクリアできているのですから、何が問題なのか分からなくなってしまいました…
つまり、これは今までの事は一部、間違いだったと言う事なのでしょうか?
経済成長と不況とは全く別の問題です。
「不況を解決するには経済成長をすればいい。それには生産性向上で生産力を高めればいい」というのが小泉流の主張でしたが、私はそれを否定しました。「生産性向上で供給力が増えても、需要が増えなければ、需給ギャップがどんどん広がり、かえって不況は悪化する」と。
不況とは、需給ギャップが存在する状況です。ある程度以上、需要が縮小すると、企業は、生産コスト以下(原価割れ)で販売しなくてはならなくなるので、企業は赤字になり、労働者は失業します。これが不況です。
不況が起こる理由は需要の縮小です。ここで供給量を拡大しても意味がなく、需要を増やすことで、遊休設備を稼働することによって、生産量が増え、企業の原価割れや労働者の失業が解消します。
本項で言う「生産性の向上」(3%)は、供給の側における供給の拡大です。
不況の問題は、需要の側における需要の拡大です。具体的には、「需要が供給量に追いつくこと」であり、「需給ギャップ」(現状ではGDPの5%程度=25兆円程度)をなくすことです。
したがって最低でも25兆円程度の需要拡大が必要であり、そのためには、最低でも 10〜15兆円の大型減税が必要でしょう。ただしこれは単に「不況脱出」というだけなので、公共に転じるには、20兆円以上の減税が必要でしょう。
なお、公共事業の場合は、(建築業界だけに投入するから)せいぜい数兆円ぐらいしか増やせないので、不況脱出は無理です。
結論として言うと、……
本項で言う「生産量の拡大」は、実際の生産量の拡大であり、それはたしかにドルベースで年3%ぐらいの成長があるのだが、一方、生産性の向上で、年3%ぐらいの供給量の拡大がある。そのせいで、需給ギャップは、相も変わらず、5%ぐらいのまま続いている。そのせいで、企業が赤字になったり、労働者が失業したりする。この問題をなくすには、需給ギャップを埋めるしかない。つまり、年3%という変化量を超えて、大幅に需要を増やすしかない。そのとき、遊休していた人員や設備が稼働するので、不況を脱することができる。
このように、「遊休していた人員や設備が稼働する」という形で成長が起こった場合のみ、不況を脱することになる。単に年率3%の成長が続くだけでは、不況脱出にはならない。
比喩。
クラスのなかで「チビ」と呼ばれる生徒は、平均身長よりも5%低い身長だった。彼は毎年、3%成長する。では、彼はもはや「チビ」ではなくなるか? いや、仲間も3%成長するから、彼は相も変わらず、「チビ」と呼ばれる。いくら毎年3%成長しても、平均身長との差である5%は残ったままだからだ。彼が「チビ」と呼ばれれなくなるためには、毎年3%延びるだけでなく、平均身長との5%のギャップを埋める必要がある。そのギャップを埋めたとき初めて、「チビ」と呼ばれなくなる。
なるほど、間違いではなかったのですね。
つまり、トリオモデルで言うと、「女」の形のまま止まるのではなく、右下にシフトするから、という解釈になるのですね?
修正ケインズモデルでは、デフレの行き着く先の均衡点は、ほぼ止まったような感じになるので、トリオモデルでも勝手に止まった様になると考えておりました。
ご教授、本当にありがとうございました。
途上国は今でも高い出生率です。アフリカでは人口爆発が続いています。
日本では出生率が極端に低いが、他の先進国はそうではありません。特にフランスでは出生率が高くなっている。政府の出産奨励策が有効だから。
http://j.mp/NPiZst
日本では結婚自体が困難になっているのも理由ですね。出生率低下は、ほとんどは経済的な理由です。
少子化はドイツ、イタリアなどでも顕著ですし
一種の先進国病みたいなもんではないでしょうか?
フランスや合衆国はそうでもないですが双方ともに移民の国と言っていいくらいですし。
また経済的な理由とありますが日本だと平均所得が低い沖縄の出生率が高く平均所得の高い東京が低いので
当て嵌まらないと思います
自分の考えとしては家電製品の発達やコンビニなどができ生活が便利になった、女性でも一人で生きていけるようになった事により結婚する事のメリットが減った事。
それから個人の自由を尊重し結婚しろという社会的な圧力が減った事などが非婚化
少子化の理由であると思います。
生殖本能が無い欠陥人間の激増が原因だと思います
その又、根本原因は飲食物に大量に使われて居る食品添加物=合成化学物質=環境ホルモンだと思います
ご先祖様から受け継いだ貴重なDNA遺伝子が
化学物質で破壊されてしまい、生殖本能の無い欠陥人間が激増して居るのです
人類の歴史は戦争ですが、戦争では滅びて居ません
地球上に大量にばら撒かれた化学物質で滅びるでしょう
日本は、その最先端を突っ走って居るわけです
→ 「環境ホルモン 嘘」で検索。
しかしその後、「人間の男性の精子が減少しつつある」という事実が検証され、その理由が「環境ホルモンか?」と推定されましたが、詳しい理由はいまだ判明していません。
→ http://j.mp/UtAoGa
ただ、日本の少子化に関する限りは、環境ホルモンとは別の要因です。他の国ではこんなにひどい少子化にはなっていませんから。