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( ※ 本項の実際の掲載日は 2012-06-17 です。)
話の取っかかりは、次のページだ。
→ BLOGOS「生活水準を下げ、国民は自立しよう」
このページの結論は、次の通り。
現在の日本国民の生活水準は、国民に優しい政府により、本来あるべき水準より高くなっている。つまり、日本国民の生活水準は、その国力に見合った水準より高いと考えられる。つまり、「日本の経済力は、諸外国に比べて低いのだから、身の丈に合った倹しい生活をすればいい。そのためには、生活水準を切り下げればいい。贅沢を慎み、増税をして、質素に貧しくくらせばいい」というわけだ。
現在、行うべきは、増税の先送りや財政出動などの景気対策ではなく、増税、社会保障の削減といった、国民の生活水準を下げる政策ではないだろうか。起こるべくして起こる変化に抵抗しても、事態は、より悪化するだけだ。
まるで野田首相みたいな見解だが、こういう見解を出す人は多い。もちろんまるきりの間違いだが、このページでは特にデータの捏造( or 誤解)がなされている。
日本の一人当たりGDPを見ると、USドル換算の名目値で2010年で17位で先進国最低、購買力平価換算でみると2011年の時点で、世界24位であり、台湾(20位)より下である。こういう理屈でグラフを示している。だが、元のグラフには 2012年まであるのに、2012年の分を隠して、2010年の数値を示している。
そこで、2012年の分を知りたい。それには、元のグラフのあるページを見ればいい。(グラフをクリックする。)
→ グラフと数値
見ればわかるように、2010年、2011年、2012年のいずれにおいても、日本はドイツやフランスを上回っている。もっと詳しいランキングを見るなら、これだ。
→ Wikipedia
これは 2010年のランキングだが、日本より下には、ドイツ・フランス・イギリス・イタリアがある。日本より上なのは北欧諸国や合衆国ぐらいだ。
これが 2010年のランキングであり、2011年や 2012年には、円高のおかげで、日本のランキングはずっと上昇する。
要するに、上記ページ(BLOGOS)の記事は、まったくのデタラメを根拠にしたものだ。
( ※ 「時間軸を長く取って一人当たり名目GDP(ドル換算)の推移を見ると、日本はリーマンショック後の、ドル安、ユーロ安のために盛り返しているものの、実質的にはドイツ、フランスよりも下だと考えてよい」というふうに、弁解ふうの説明もあるが、無意味。ドル安、ユーロ安は、一時的なものではなく、正しい状況への復帰にすぎない。そもそも、それまでが、異常なユーロ高だったのだ。数年前には、欧州の物価水準は滅茶苦茶に高かった。明らかに異常なユーロ高だった。)
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では、日本の経済水準は、十分に高いのだろうか?
なるほど、国際比較ならば、円高の効果で、そう言える。しかしながら、国内レベルで言うと、国民の生活水準はどんどん低下していると言える。
そのことは、次のページで訴えられて、はてなブック−マークで人気を博した。
→ 生活水準なんかもうダダ下がりじゃん
→ その はてなブックマーク
ここで主張された核心(生活水準が下がっていること)は、正しい。そのことは、次のグラフからわかる。

(クリックして拡大。別サイトで。)
平均年収はこのように、どんどん低下しているのだ。
( ※ 平成 21年の激減は、リーマンショックの影響。)
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では、そのように長期的に低下することの理由は、何か?
多くの人は、次のように考える。
・ グローバル化のせいだ。
・ 派遣が増えて、正社員が減ったからだ。
・ 老人が富を得て、若者が富を奪われるからだ。
・ 日本の生産性が低下したからだ。
しかし、これらはいずれも誤りである。
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では、正解は何か? 日本人の平均所得がどんどん低下することの理由は、何か? それは、二つある。
第1に、円高による、名目価格の下落である。たとえば、円高が1割あり、日本の輸入量が全体の2割だとすれば、「1割×2割= 0.2割」なので、2%の所得低下があって当然だ。
現実には、円高は近年、「1ドル=120円」から「1ドル=78円」まで進展したので、その分、名目所得は低下してもいいはずだ。
第2に、総生産(GDP)の縮小である。その意味するところは、「マクロ的な均衡点の縮小」である。つまり、「生産量 ≒ 働く量」が縮小したのだ。
比喩的に言うと、週5日間働いていたのが、週4日間だけ働くようになる。あるいは、5人が働いていたのが、4人だけが働くようになる(1人は失業する)。こういうふうに、「働く量」が減り、同時に、「所得」も減る。……これは「不況の悪化」と同義である。それが進展していったわけだ。
つまり、この10年間、日本は不況を脱しつつあったのではなく、不況がどんどん深化していったのである。それが「生活水準の低下」=「平均年収の低下」の意味である。
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結論。
日本はこの 10年間、生活水準が低下していった。その理由は、生産性の低下のような「質の悪化」が理由ではない。「経済規模の縮小」が理由である。それはまた、「不況が悪化していった」ということと同義である。
対策
ここまで理解すれば、どういう対策を取ればいいかもわかる。
それは、「日本経済が質的に悪化したことを理解して、身の丈に合った倹しい生活をすること」ではなくて、逆に、「需要不足の状況において、需要を拡大し、そのことをもって、生産量を拡大すること」である。
ここでは、現状を「質の悪化」ではなく「量の縮小」と認識することが大切だ。そして、「量の縮小」の理由を、「供給不足によるインフレ」ではなく、「需要不足によるデフレ」と認識することが大切だ。
ここでは、「稼ぎが少ないから、消費を減らせ」という個人的な発想は成立しない。逆に、「消費を増やせば、仕事が増えて、稼ぎも増える」という、マクロ経済学的な認識が必要となる。
マクロ経済学を理解すれば、人は正しい道を理解できる。一方、マクロ経済学を理解できなければ、人はあえて間違った落とし穴を選択してしまう。……そのことが、冒頭で紹介した BLOGOS の記事を見るとわかる。
無知は罪なのである。
[ 付記 ]
マクロ経済学を知るということは、簡単に言えば、「貯蓄のパラドックスを知る」ということだ。つまり、「みんなが貯蓄をすると、国全体の貯蓄はかえって減ってしまう」という原理を知ることだ。
実は、この方向を取っているのが、野田政権の消費税増税路線だ。日本の経済政策は、マクロ経済学を知らない素人によって、正解とは逆方向に進んでいるのである。冒頭で紹介した記事もまた同じ。
具体的には、どうすれば良いですか。藤井聡・中野剛志コンビの「列島強靱化論」みたいなものですか。
> 具体的には、どうすれば良いですか。
直接的には、「中和政策」「新・中和政策」という項目を見てください。
原理的には、「需要を拡大」でサイト内検索してください。
もっと広範に知りたければ、「経済カテゴリ」を開いて、気の向いた項目を見てください。
いずれにせよ、「経済カテゴリ」を見るか、サイト内検索するか、どちらかですぐにわかるはずです。
すでに述べられたことをいちいち質問するよりは、まずは自分で調べましょう。私は授業料をいただいているわけじゃありません。
驚いた。恒常所得仮説を知らないのですか。将来増税の予定でその分を減税しても「消費」に回るわけない。
→ http://nando.seesaa.net/article/112610398.html
→ http://nando.seesaa.net/article/112512035.html
→ http://nando.seesaa.net/article/152625528.html
また、合理的期待形成仮説についても説明済みです。(小泉の波立ち内でサイト内検索すればすぐ見つかるる。)
人の意見を読もうとしないで、自分の意見だけを一方的に言いたければ、本サイトには書かずに、2ちゃんねるに行ってください。あなたには人の意見を聞こうとする態度がまったく見られません。これ以上与太を書き続けるようであれば、書き込み禁止にします。
というか、仮説が仮説に過ぎず、すでに専門家には否定されていることさえ気づかない素人は、ここには来ないでください。