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社会には失業者があふれている。とすれば、労働者の人口は、どんどん減っているのだろうか?
実は、その逆である。労働者の人口はどんどん増えている。つまり、雇用はどんどん増えているのだ。そのことは、下記の図からわかる。
( 図: 朝日新聞からの転載。
ただのデータなので、著作権は存在しない。)
この図から明らかなように、労働者の人口(被雇用者の総数)は増加の一途である。特に、非正規労働者(■)がどんどん増えている。正規労働者(■)の数は、あまり変わらない。近年、少子化のせいで、若者人口の減少が進んでいる。その一方、団塊の世代の退職のせいで、高齢の労働者がどんどん引退しつつある。結果的に、労働可能人口は減っている。それにもかかわらず、労働人口は増えているのだ。
「労働可能人口は減っているのに、実際の労働者数は増えている」
これが現実である。この意味では、「雇用が減っている」ということはないのだ。現実には、雇用はどんどん増えているのだ。
その意味で、次の方針は、間違いである。
「雇用が減っているので、雇用を増やそうとする」
このような政策は、根本的に狂っている、と言える。
(雇用[=労働人口]はどんどん増えているので。)
(理由はたぶん、女性労働者の増加だろう。専業主婦が減っているわけ。)
【 注記 】
コメント欄で指摘を受けたが、就業者総数は減っている。
→ http://ecodb.net/country/JP/imf_persons.html
その理由は、自営業者が減っていることらしい。
その意味では、「労働者の総数が増えている」という
上記の記述は、いくらか不正確であったことになる。
上記の認識はいくらか改める必要がありそうだ。
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勘違いの例は、もう一つある。
「パナソニックやシャープなどの工場が閉鎖されて、失業者が出ている。この問題を解決するには、パナソニックやシャープなどの工場が閉鎖されないように、日本の工業の国際競争力を高めることが大切だ」
こういう発想がしばしば見られるが、正しくない。理由は次の通り。
第1に、「輸出が減少した」という事実はない。日本の経常収支は黒字基調である。パナソニックやシャープなどの家電は衰退しつつあるが、他の産業(特に電子部品の産業)は順調に増加している。日本全体では、工業力は、十分に競争力がある。
第2に、仮に輸出産業が衰えたならば、円安になるはずだ。現実には、円安になるどころか、円高基調にある。短期的はともかく、ここ数年で、1ドル=120円ぐらいから、1ドル=90円程度まで円高になった。これはすなわち、日本の輸出産業の強さを示す。実際、輸出額は、特に減っているわけではない。
第3に、工業の労働者人口が減少するのは、もともと当たり前のことなのだ。
「第一次・第二次産業の人口が減少して、第三次産業の人口が増える」
というのは、長期的なトレンドとなっている。

図の出典
つまり、パナソニックやシャープなどの工場が閉鎖されるのは、もともと当然のことなのである。これらの工場が閉鎖されて、そこから失業者が誕生するのは、当たり前のことなのだ。……ただし、それは別に、失業増加の理由にはならない。なぜなら、本来ならば、次のようになるはずだからだ。
「第一次・第二次産業で失業者が発生し、第三次産業で雇用される」
この意味で、工場閉鎖による失業者が出現するのは、不思議でも何でもなく、当たり前のことである。
問題は、第二次産業で失業者が発生することではなくて、それらの失業者が第三次産業で雇用されないことだ。つまり、次のことだ。
「産業間で労働者の移動が起こらない」
これが失業率の高止まりの本当の理由である。
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以上の話をまとめて言おう。
・ 現状では失業が多いと見なされる。
・ それは「雇用が減少しているからだ」と見なされる。
・ 特に工場閉鎖が、雇用減少の理由だと見なされがちだ。
・ しかし実際には、雇用は減るどころか増えている。
・ 雇用は増えている。なのに、雇用環境の悪化はある。
・ 雇用には、「量的な縮小」でなく、「質的な悪化」がある。
・ それは、「非正規労働者の増加」という形で現れている。
・ その原因は、第二次産業における雇用の縮小ではない。
・ 第三次産業の雇用が増えないことが、真の問題だ。
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結局、第二次産業の雇用が減ったことでなく、第三次産業の雇用が増えないことが、真の問題だ。
では、それを解決するには、どうすればいいか?
池田信夫ならば、こう言うだろう。
「日本の第三次産業の生産性は低い。だから、日本の第三次産業の生産性を高めればいい」
もっともらしい主張だが、正しくはない。「生産性を高める」ということの意味は、「質の改善」である。生産性を高めれば、労働者の所得は高まるだろうが、雇用を増やすことにはならない。むしろ、雇用を減らすことになる。
(たとえば、生産性を2倍に高めれば、同じ仕事を半分の人数でできるので、雇用は半分に減ってしまう。……このように「雇用の人数を減らして生産性を高めよう」というのが、いわゆるリストラだ。)
では、正しくは? こうだ。
「第三次産業の雇用を増やすには、特定の産業を補助すればいいのではなく、日本全体の経済規模(GDP)を増やせばいい。そのためには、経済成長のボトルネックとなっている消費を拡大すればいい」
つまり、「消費の拡大」だ。これによって、次のことが起こる。
「需要増加にともなって、所得増加と生産量増加が、ともに起こる。インフレスパイラルの形で、GDP が増加していく。かくて、マクロ的な生産量が拡大する」
これを一言でいえば、こうだ。
「マクロ的な均衡点を移動させる。(その生産量を拡大する)」
要するに、「縮小均衡」から「拡大均衡」へと、マクロ的な均衡点を移動させればいい。つまり、「マクロ的な均衡点の移動」をもたらせばいい。
この件は、下記で述べたとおり。
→ 生産量の調整
たとえば、(理論上の)マクロ的な均衡点を、( GDPの数値で)500兆円から 550兆円へと移動する。このように均衡点が移動すれば、あとは放置するだけで、自動的に GDP が拡大していく。つまり、生産量の増加が起こる。それにともなって、雇用が拡大するから、失業者は減る。たとえ工場がどんどん閉鎖されても、その分、第三次産業で雇用が増えるから、「産業構造の変化」にともなって、失業者は吸収される。
換言すれば、政府が特に「構造改革」なんて叫ばなくても、単に GDP を拡大するだけで、自動的に「産業構造の変化」が起こる。
結論。
なすべきことは、「マクロ的な均衡点の移動」だけである。それさえやれば、あとは自動的に GDP が拡大する。その際、「産業構造の変化」をともないながら、失業者質は自動的に新産業に吸収される。つまり、失業率は低下する。
[ 付記1 ]
では、「マクロ的な均衡点の移動」をするには、どうすればいいか? それはすでに、上記項目で述べたとおり。
→ 生産量の調整
ここで述べたように、次のことをすればいい。
「最初の一撃」としての大型減税
つまり、20〜30兆円の減税だ。これによって理論上の「マクロ的な均衡点」が移動する。(500兆円から550兆円へ)
あとは、放置するだけでいい。自動的に、GDP が 500兆円から550兆円へ増加していく。つまり、生産量の増加が 50兆円ある。
なお、「マクロ的な均衡点の移動」の意味は、次のことではない。
「金が天から降ってくるので、富が 50兆円分増える」
こんなことはありえない。むしろ、次のことである。
「働く量が増えるので、所得の量も消費の量も増える」
富をもたらすものは、働くこと(労働)なのである。労働によって、人は富を得ることができる。
ただし現実には、働く機会が与えられていない。そこで、働く機会を与えるようにしよう、という方針を立てればいい。そして、「働く機会を与える」ということは、「マクロ的な均衡点の移動」によってもたらされる。
その意味は、次のことだ。
「景気というものは、『需給の一致』というミクロ的な原理で決まるものではない。むしろ、マクロ的な原理に基づく。マクロ的な原理とは? 『需要 − 供給 − 所得』という三者のトライアングル的な関係(スパイラルの関係)のことだ」
このトライアングルが変化すれば、景気の変化が起こる。小さなトライアングルのときには、「需要 − 供給 − 所得」のいずれも小さな値となる。そのせいで、労働者数も小さくなる。逆に、大きさなトライアングルのときには、「需要 − 供給 − 所得」のいずれも大きな値となる。そのせいで、労働者数も大きくなる。
特に現状では、「所得」がボトルネックとなっているので、拡大のスパイラルが起こらなくなっている。そこで、このボトルネックに「大型減税」という形の資金を投入すればいい。そうすれば、あとは自動的に経済が拡大する。かくて失業問題も解決する。
[ 付記2 ]
ひるがえって、駄目な政策は、次のようなものだ。
「労働者を増やすために、個別に補助金を投じる」
たとえば、「若者を雇用した企業に補助金を与える」という政策。( → 出典 )
このようなことをしても無駄だ。なぜなら、若者を新規雇用しても、その分、高齢者が解雇されてしまうからだ。全体としては、雇用者総数を増やすことにつながらない。単に、「右手で増やして、左手で減らす」というふうに、交替が起こるだけだ。
なすべきことは、個別に一部の労働者の雇用を増やすことではなくて、労働者全体の数を増やすことだ。そのためには、GDP を拡大するしかない。(上記 [ 付記1 ]で述べた方策。)
[ 付記3 ]
少子化と、高齢者の退職とが、ともにある。つまり、労働可能人口は、減りつつある。なのに実際には、労働者の総数は増えている。それは、なぜか?
女性労働者の就業が増えているからだろう。そうとしか考えられない。
ただし、増えた女性労働者の多くは、非正規労働者になっている。
そこで、「非正規労働者から正規労働者へ」という転換をなすべきだ。つまり、雇用の質的な改善をなすべきだ。では、そのためには? もちろん、「 GDPの拡大」があればいい。つまり、「量の拡大」にともなって、自動的に「質の向上」がもたらされる。
ここでも、「正規労働者を増やした企業に補助金」というような政策は駄目だ。あくまでマクロ的に「 GDPの拡大」をめざすべきなのだ。国が補助金によって雇用を歪ませようとするのは、たとえその歪ませ方が正しくても、政策としては正しくない。なぜならそのように介入することは、政府の介入という社会主義的な政策だからだ。(産業構造を歪めてしまうことの弊害が起こる。)
政府がなすべきことは、特定企業や特定産業に補助金を出すことではなくて、国全体の GDP を拡大することだけなのだ。政府がなすべきことは、マクロ的な政策を取ることだけなのだ。ここを見失ってはならない。
【 関連項目 】
→ 失業と市場原理
引用した図には、「無断転載・複製を禁じます」と書いてあるが、これは朝日の図には一般的に記述される注記である。
ただし、朝日の作成した図画には著作権が成立するが、ただのグラフには著作権が成立しない。それはただのデータだし、誰がやってもほぼ同じものができるからだ。また、グラフの元になったデータは、朝日の作成したものではなく、政府の作成したデータである。
このようなグラフには、著作権が成立しない。ゆえに、(出典を明らかにして)転載することは、違法ではない。
念のために注記しておく。
経済の活性化の為のGDP拡大で、雇用条件の充実が転職を促しますが、バブル時の「稼ぐなら銀行・証券」の方々の波乱に富む人生を知るだけに、第三次産業は波が大きすぎる嫌いがあります。
そのかわり、仕事の密度がとても低い。半分ぐらいの時間は何もしていない、ということは多々ある。スーパーのレジ係だって交替制で、休んでいる人が多い。
一方、第二次産業では、スーパーのレジ打ちみたいな仕事を休みも取らずに8時間ぐらいやらされることが多い。トヨタの工場なんか猛烈に厳しい。過労死する人もいる。
どっちがいいかというと、私なら第三次産業の方がいいな。たとえ時給が低くても。過労死するよりはマシ。
ところで、今はやりのITで、Webデザイナーってのは、第三次産業なんでしょうね。広告屋みたいなもので。
・「第三次産業の雇用が増えないことが、真の問題だ。」を細かく言うと、第三次産業の雇用は増えてはいるが、第一次と第二次産業での雇用減少分を充分吸収できるだけ増加していないということと思います。
・「労働可能人口は、減りつつある。なのに実際には、労働者の総数は増えている。」については、就業者数は1997年の65.57万人から2012年の62.40万人へと減っているが、非正規社員だけは増えているということと思います。
・GDPが拡大すれば短期的には非正規雇用が増えも、就業可能人口は急には増えないので、やがて正規雇用が増えるということでしょうか。
これは次のデータがありますね。
→ http://ecodb.net/country/JP/imf_persons.html
この数値の定義は
「月末1週間に1時間でも働いた人(ILO(国際労働機関)定義)、又は年齢18〜64歳で勤労所得または自営所得を有する人」
です。本項の労働者数は、
「正社員 + 非正規社員」
です。
データの取り方で認識が異なるようですね。
自営業者が減っているのかもしれません。
考察の必要がありそうです。情報はありがとうございました。
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> GDPが拡大すれば短期的には非正規雇用が増えも、就業可能人口は急には増えないので、やがて正規雇用が増えるということでしょうか
GDPが拡大すれば、労働市場で需要が増えるので、雇用条件が良くなるということです。正規雇用が増えることもその一つです。
短期的に非正規雇用が増えるかどうかは、何とも言えません。ただちに非正規雇用が減って正規雇用が増えるかもしれません。
→ http://kousyoublog.jp/?eid=2235
→ http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/pdf/p03012_1.pdf (PDF)
後者のデータを見ると、高齢者の自営(農業自営)が減っているように思えます。趣味で農業をやる人が減って、年金だけで暮らす、ということなのかもしれません。
週に数時間とか、年収30万円とか、そういう就業者数がどんどん減っているようだが、そういうのは無視してもいいとも言えそうです。つまり、本項で示したような、普通の労働者だけを考えれば良さそうだ。
とはいえ、小規模店舗の閉鎖や、小企業の倒産は、結構ありそうなので、就業者総数は実際に減っているとも言えそうです。その意味では、本文中の数字は、いくらか不正確かも。