◆ TPP : 税率か 数量か:  nando ブログ

2013年10月08日

◆ TPP : 税率か 数量か

 TPP の例外品目については、輸入障壁として、関税の税率をいじるよりは、輸入数量をいじる方がいいだろう。

 ──

 TPP の例外品目については、関税をいくらか残すことになりそうだが、各国の協議が紛糾している。いずれも自国の特定品目について関税を高く維持したがっているようだ。たとえば、日本だと、米(コメ)や、テンサイ(大根)や、サトウキビ。アメリカやベトナムだと、自動車産業。

 しかし、私としては、「関税の税率を高めに設定するよりは、輸入数量を制限する方がいい」と思う。つまり、「税率よりは数量を指標とする」という発想だ。

 では、なぜか? それは、次のことが可能になるからだ。
 「一定の輸入シェアを認めれば、あとは各国が関税率を自由に設定できる」

   ※ 輸入シェア = 市場における輸入品のシェア


 たとえば、「どの品目についても 20% 」という指標を立てたとする。その場合、どの品目も例外なしに 20% の輸入シェアを認めなくてはならない。そうなる範囲内でのみ、関税の税率を高めることができる。
 例。
 日本で、コメの輸入シェアを 20%まで認めなくてはならない。そのための税率は 50%が妥当だと判明したら、関税は 50%になる。この場合、日本は 20% という輸入シェアを認めていて、それだけのコメを輸入しているのだから、各国は「 50%よりも関税を引き下げろ」と文句を言うことはできない。50%という関税率が自動的に容認される。
 ただし、 20%という輸入シェアが実現されなくなったら、各国は「 50%よりも関税を引き下げろ」と文句を言うことができるし、日本は関税を引き下げる義務を負う。結果的に、コメの輸入シェアが 20%になるまで、関税はどんどん引き下げられる。

 このような例では、関税がどのくらいになるかは、各国ごと・品目ごとに、事情が異なる。日本のコメのように国際競争率が弱ければ、50%というような高めの関税率が容認される。他国としては、文句を言いたいところだが、20% という輸入シェアが実現しているのだから、あまり文句を言わないで我慢することもできる。ここで我慢しておけば、自国の例外品目でも他国に文句を言われないのだから、おたがいさまだと思える。
 こうして万事、丸く収まる。

 ──

 さて。ここで問題が残る。それは、こうだ。
 「 20%というような輸入シェアは、どのようにして数値を定めるか?」


 これについては、次のことを提案する。
  ・ その数値は、各国が自己申告する。
  ・ 数値をランク付けして、「自由化度」の指標とする。
  ・ ランク別に、関税免除の特典を与える。
   (自由化度が高いほど、関税免除が高くなる。)

 
 例示すると、次のように、6段階にランク付けする。

  ・ 0% の輸入シェア …… ランク0
  ・ 10% の輸入シェア …… ランク1
  ・ 20% の輸入シェア …… ランク2
  ・ 30% の輸入シェア …… ランク3
  ・ 40% の輸入シェア …… ランク4
  ・ 50% の輸入シェア …… ランク5


 上記のランクに応じて、関税が免除される。次のように。

  ・ ランク0 ……  0割 免除
  ・ ランク1 ……  1割 免除
  ・ ランク2 ……  2割 免除
  ・ ランク3 ……  3割 免除
  ・ ランク4 ……  4割 免除
  ・ ランク5 ……  5割 免除

 たとえば、A国が「わが国は、輸入シェアを 20% とする」と宣言したとする。その場合、A国はどの品目についても 20%の輸入シェアを認めなくてはならない。そのことを条件に、ランク2を獲得する。
 A国は「ランク2」に分類された。すると、他の諸国の関税に対して、一定の関税免除を受ける。上の表によると、ランク2は「2割免除」であるから、どの国でも、関税を2割免除される。
 たとえば、B国の麦の関税率が 20%だとすると、その2割が免除されて、16%という関税率となる。(A国の麦がB国に輸入されるときの、B国における関税率が、20%から 16%へと、2割減額される。)
 同様に、C国の砂糖の関税率が 50%だとすると、A国の砂糖は2割免除で、40%という関税率となる。
 
 結局、ある国が自由化度を高めれば高めるほど、その国は他国において課される関税が減るわけだ。つまり、輸入を多く自由化すればするほど、輸出では自由化のメリットを多く受けるわけだ。
 これは「ギブ・アンド・テーク」の発想だ。より多くを与えるほど、より多くを受け取る。
 そして、これは、TPP の理念そのものでもある。TPP の理念をうまく具現化する方法が、本項で述べたことだ。
 こうして、TPP の理念がうまく実現するようになる。



 [ 付記1 ]
 最終的な到達点はどうなるか? 「比較生産費」の概念に沿って、各国は特異な産業に特化していくことになるだろう。
 結果的に、非効率な産業は捨てられることになる。実際、それで構わない。
 例。テンサイ(大根)や、サトウキビなどは、1000%を越える税率になっている。しかし、そんな非効率な産業は、保護する必要はない。それによって農家が保護されているのではなくて、それによって国内の国民が不便になっているだけのことだ。
(たとえば、サトウキビを使った料理を食べることができない。)

 [ 付記2 ]
 ただ、完全に自由化すると、次の問題も起こる。
 「市況の変化によって、壊滅してしまう農産業モデルが、変わりの産業がすぐに出現するとは限らない。世界が安定していればいいが、世界が激変することもあるのだから、単に高率だけで産業の存廃を決めるべきではない。ある程度の産業保護は必要だ」
 それはごもっとも。だから、「関税の完全な撤廃」を目標とはしていない。上記のプランでも、最高度でさえ、「輸入シェアは 50%」である。つまり、「国内産業のシェアを 50%まで保護すること」は、容認されている。
 本項の最終目標は、「関税をゼロにすること」ではなくて、「輸入品のシェアを 50%まで高めて、消費者に十分な選択肢を与えること」である。
 つまり、産業保護や産業育成が最終目的ではなくて、消費者の選択の自由が最終目的だ。……この点を誤解しないでほしい。

( ※ なぜそれが最終目的であるかという話は、下記項目で。
    → TPPの目的 )
 
posted by 管理人 at 22:31 | Comment(0) | 経済 このエントリーをはてなブックマークに追加 
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