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まずは朝日の記事を紹介しよう。
企業がもうけに応じて納める法人税について、政府は2016年度の国と地方分を合わせた実効税率を30.88%とする方向で最終調整に入った。今年度の32.11%より1.23%幅引き下げる。17年度には税率を20%台とする方針だ。
安倍晋三首相は6日に都内で講演し、法人減税について、「実効税率を数年で20%台にまで引き下げ、国際的に遜色のない水準に改革する」と語った。
( → 朝日新聞 2015-11-07 )
しかし、ここには嘘がある。「国際的に遜色のない水準」というが、日本は特に法人税が高いわけじゃない。そのことは、下記の数値を見ればわかる。( → 出典ページ )
日本 30.4
アメリカ 26.9
イギリス 20.7
ドイツ 36.9
フランス 41.6
日本の数値は、アメリカやイギリスよりは高いが、ドイツやフランスよりは低い。その意味で、「国際的に遜色のない水準」となっている。
自民党の嘘にだまされてはいけない。
( ※ 数値の典拠は、財務省のデータ。リンクは、上記ページに記してある。)
【 補説 】
以上はただのデータだが、実は、人々の見失っている重要な点がある。それを指摘しよう。
(1) 配当性向
安倍首相は、「法人税減税をすると、企業が投資を増やして、景気が回復する」というようなことを言っている。しかしながら、法人の利益がそっくりそのまま投資に回るわけではない。その前に、利益から配当金が引かれる。
そして、この配当金の割合(配当性向)は、日本企業では欧米企業よりもかなり低い。
日本の配当性向は2割程度で、アメリカの3割強程度、EUの4割程度と比べて低い水準にある。
( → 年次経済財政報告 内閣府 )
配当性向が低いということは、企業の内部に貯め込まれる利益が多い、ということだ。このような状況では、企業は減税をされても、金を投資に回すことはなく、単に内部留保が増えるだけだ。(実際、企業は余っている金を投資せずに、内部留保をどんどん増やしているばかりだ。それが回り回って国債購入資金となっている。)
(2) 分離課税
配当に回った分は、日本では分離課税となり、低い率で課税される。諸外国では、総合課税となり、高い率で課税される。
以上は、個人レベルの課税だ。これと法人税との総和が、実質的な税となる。
個の総和を考えると、日本では、分離課税の分、税率が圧倒的に低い。法人税が少しぐらい高いとしても、分離課税で圧倒的に低い課税となる。総合的には、「金持ち優遇」となるばかりだ。
分離課税の分まで含めると、日本は諸外国に比べて、株主への課税が圧倒的に低いと言える。
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以上の (1)(2) を勘案すれば、日本の企業課税は諸外国よりもずっと低い、と言える。ここで法人税を減税しても、企業の内部留保が増えて、金持ちに減税となるだけだ。国全体では、貯蓄が増えて、消費が減る。その分、景気には悪影響があるばかりだ。
法人税減税は、貧富の格差を拡大し、かつ、景気を悪化させる。(透視が増えないまま、消費が縮小する。)
経済学的には、悪手だと言える。「景気回復を狙う」と言いながら、景気を悪化させるという点では、狂気的もしくは阿呆だ。