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記事はこれ。
《 対外資産、初の1000兆円突破 昨年末 対米投資が過去最大 》
日本の政府や企業、個人投資家が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産残高が、平成29年末時点で前年末比 2.3%減の 328兆4470億円になった。
対外純資産は過去4番目の大きさで、日本は27年連続で世界最大の債権国になった。日本に次いで純資産額が多かったのはドイツ(261兆1848億円)
( → 産経ニュース 2018.5.25 )
これで連想するのは、日本の政府の借金だ。つまり、国債残高。
《 国の借金、過去最高に 3月末1071兆円 》
財務省は10日、2017年3月末時点の国債や借入金、政府短期証券を合わせた国の借金の残高が過去最高の1071兆5594億円だったと発表した。
( → 日本経済新聞 2017/5/10 )
国債だけでなく、借入金、政府短期証券を含めた借金だが、それが 1000兆円を越えている。
この数値は、しばしば「国民の借金が 1000兆円を越えた! 大変だあ!」という騒ぎを招く。
たとえば、朝日の解説記事がそうだ。
→ (平成とは 第2部・国のかたち)戦略なき財政再建、政治の怠慢:朝日新聞 2018年4月25日
→ (平成とは 第2部・国のかたち:3)財政危機 借金依存、漂う戦時の空気:朝日新聞 2018年4月25日
しかし実は、この国債の半分ぐらいを保有しているのが、日銀だ。
日銀が3日に公表した「日本銀行が保有する国債の銘柄別残高」によると、3月30日現在の保有国債残高は 416.4兆円
( → ロイター 2018年4月4日 )
1000超円超の借金があっても、そのち4割は日銀が貸しているのである。とすれば、差し引きして、純然たる借金は 600兆円以下となる。
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一方で、(民間を含めた)国全体の対外資産は、1000兆円超もある。対外負債を差し引いた対外純資産残高を見ても、328兆4470億円もあるという。(冒頭記事。)
とすれば、600兆円との差額は 300兆円以下にしかならない。この程度の借金ならば、どうってことはない。
したがって、「日本が破綻する」というような心配をする必要はないのだ。
※ 「国が破綻する」というような心配をするべきは、対外的に貧しくなっているアルゼンチンのような国だ。一方、世界最大の債権国(冒頭記事)のような日本については、「国が破綻する」というような心配は必要ないわけだ。
※ では、何の心配もしなくていいか? そういうわけではない。国債残高が過剰にふくらむと、何らかの破綻が起こる可能性もある。ただしそれは、「経済が壊れてしまう」というような破綻ではあるまい。かわりに「通貨が壊れてしまう」というような破綻だ。つまり「ハイパーインフレ」である。
※ 結局、日本は将来、年率 10%を越えるハイパーインフレが襲う可能性はあるが、その場合は、「国債の保有者が大損する」という形で解決される。同時に、大幅な増税も必要となるだろう。とはいえ、ここでは、通貨が壊れるだけであって、国の経済が壊れるのとは違う。資産家にとっては心配だろうが、一般の国民が心配するようなことではない。
※ 対策は? 財政の健全化だが、そのためには、増税をすればいいのではない。増税をすればするほど、経済が悪化して、財政は悪化する。だから、正解は、「減税して経済を回復させて、そのあとで、過熱した景気を冷やすために、増税をすること」だ。この件は、下記で述べた。
→ 理想党
【 追記 】
(1)
私の計算は、ずさんだったようだ。国の資産が計上されていなかった。
これを含めて考えると、国の資産は増えるので、国の借金は大幅に減じる。
すぐ下のコメントに数字が並べられているが、それによると、
実際に返済しなければならない借金(A−B)は、65.7兆円である。
とのことだ。
(2)
次のコメントがあった。
対外純資産とは日本国民(政府+民間)が外国に持っている純資産なので、これと国の借金を比べるのは意味がない。
これはちょっと誤解だ。
「対外純資産とは日本国民(政府+民間)が外国に持っている純資産」
というのは妥当だが、
「国の借金」
というのは、「政府の借金」であるとはいえ、それは、「日本国民全体」の借金のことである。
とすれば、純粋に同一の範疇ではないにせよ、大幅に重なりあっている。
対外純資産が多ければ、一国の経済の信用と安定は保たれるので、「国の借金が多すぎて、破綻する」という心配をやわらげる心理的効果がある。
ま、直接的に「財政破綻を回避させる」というわけではないのだが、そもそも、「財政破綻が起こる」というのが、心理的なものであるがゆえに、心理的な効果の有無で十分なのだ。
これは、取り付け騒ぎみたいなものである。「安全だ」とみんなが思っていれば、国債の残高が増えても問題ない。逆に、「安全でない」と思えば、あっというまに国債価格が暴落して、金利も上昇して、日本経済は破綻する。ただの心理だけで、(妄想による全体行動を通じて)経済破綻が起こる。
その意味で、心理的な安全を与えることに、意味はある。対外資産には、そういう心理的な意味があるのだ。
(3)
次のコメントがあった。
国際企業の貸し借りは、国際会計を取ったとしても、粉飾は容易、内部留保は見えない。
本項が扱っているのは、企業会計の問題じゃなくて、財政破綻に対する心理的影響の問題なので、企業内部のことは無視しています。
「政治屋や国が何かに利用しようとしている数字」
というのは、たしかにあるんだけど、それを論じると、面倒臭くなる。そのことは、ちょっと考えていたんだけど、複雑すぎて、ゴチャゴチャしてきたので、結局、何も書かないことにしました。別枠扱いとします。
関連する話は、下記で論じた。
→ 日本もタックスヘイブンだ: Open ブログ
とりあえずは、こちらを読んで、私の言わんとしていたところを推察してみてほしい。
( ※ ま、どうでもいいけど。)
(4)
一般論で言うと、対外純資産は、国の経済力の信用力に強く結びつく。
たとえば、ギリシャ危機のようなときには、円が買われた。
一方、アルゼンチンとかベネズエラみたいな国は、国全体が大赤字の借金漬けなので、信用力がまったくない。借金することもできないありさまで、国全体の経済が破綻してしまっている。
対外純資産と、国の国債残高は、直接的には損得勘定みたいなものは生じないが、「国の経済力の信用」については、どちらも強く影響する。本項では、この「国の経済力の信用」について論じている。(「破綻」があるかどうかという点で。)
【財務省】
平成28年度「連結財務書類」の概要
によると、
●国の負債合計(総債務) 1469.7兆円
○国の資産合計 986.3兆円
◎資産・負債の差額(純資産) −483.4兆円
つまり、国の借金(純債務)は483.4兆円である。…A
【日銀】
第132回事業年度(平成28年度)決算等について
によると、
同年度の日銀保有国債は417.7兆円である。…B
だから、実際に返済しなければならない借金(A−B)は、65.7兆円である。
※ これらの数字は統計が出るのに1年かかるので、すべて一昨(2016=平成28)年度末の数字である。
何の意味もない集計と診ます。
国際企業の貸し借りは、国際会計を取ったとしても、粉飾は容易、内部留保は見えない。
政治屋や国が何かに利用しようとしている数字
と見るべきで、
せっかくのここのブログの表現の仕方としては、
もう少し配慮を求めたいと思います。
それを承知での掲示としても、あと少し丁寧に
日銀に国債を全部負担させれば国の借金は事実上ゼロになる、という論を見ることがあるがこれは本当だろうか?
バランスシートで見ると日銀の負債の部に民間銀行から預け入れている日銀当座預金が計上されており、それを支えるのが資産の部にある保有国債に見える。
日銀当座預金というのは民間銀行の日銀に預けているお金、つまり民間銀行の資産の部に計上されているお金である。
そして民間銀行の負債の部に計上されている主要なものは預金であり、これは国民が銀行に預けているお金である。
民間銀行は資産の部にある日銀当座預金で、負債である預金を支えているバランスシートを構成している。
もしある日、『日銀が資産の部にある国債と負債の部にある当座預金を相殺する』ことができるとするならば、日銀の資産が一方的に減少し債務超過に陥り、日銀当座預金を支える資産が消滅する。
これはつまり民間銀行が預金の支払いをする原資を失うということであり、我々の預金が消失することに繋がるのではないか?
という疑念を持っている。
日銀は別途、通貨発行益(シニョリッジ)という「打ち出の小槌」を使って、巨額の利益を計上していますから、心配は必要ありません。
万一、不足が生じたら、お札をどんどん刷ればいいだけ。(実際には、キーボードでコンピュータの数字をいじるだけ。)
>というのは、「政府の借金」であるとはいえ、それは、「日本国民全体」の借金のことである。
日本政府は外国から借金をしていないので、政府の借金=国民の資産となります。
金融資産の場合「誰かの資産は誰かの借金である」ということを理解できないと、上記のようなことを書いてしまうものです。
>もしある日、『日銀が資産の部にある国債と負債の部にある当座預金を相殺する』ことができると
>するならば、日銀の資産が一方的に減少し債務超過に陥り、日銀当座預金を支える資産が消滅する。
>これはつまり民間銀行が預金の支払いをする原資を失うということであり、
>我々の預金が消失することに繋がるのではないか?
ご指摘のとおりですが、日銀はそんなことをしないので、そうはなりません。
日銀が国債を市中銀行に売る場合、市中銀行の当座預金から現金を引き出し、市中銀行は預金準備率まで現金を補充しなければならないので、市中銀行は現金を吸い上げられます。
しかし、それは「金融引き締め」なので、預金が消失する前に、金利がべらぼうに上がり、融資を受ける企業は皆無となり、不況というより恐慌になります。その責任を取らされて、日銀総裁も理事も辞めさせられるので、そんなことはできないでしょう。